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エフェクターの昇圧で音は変わる?18V対応機種と9Vとの違い

エフェクターの昇圧で音は変わる?18V対応機種と9Vとの違い

エフェクターの電源を9Vから18Vなどへ上げると、音が太く、クリーンになり、音圧も出たように感じることがあります。私もこの感触は好きですが、オーバードライブでは歪みが物足りなくなることもあります。電圧を上げれば何でもよくなる、というわけではありません。

試す前に、メーカーの説明書で外部電源が18Vに対応しているか確認してください。「内部18V駆動」と書かれていても、18Vの電源を挿せるとは限りません。ケンタウロス系にも、外から入れる電源は9V専用という機種があります。

先に押さえたい3点
  • 音をつぶしたくないなら昇圧が合う場合がある。歪みのまとまりが好きなら9Vも比べる
  • 本体へ入れてよい電圧は、説明書の電源仕様で確認する
  • 私の自作ODでの27Vや約40Vの経験を、市販機の対応電圧へ当てはめない

昇圧すると音はどう変わる?

9Vでは強く弾くと歪んでいた音が、18Vでは歪まずに出ることがあります。この「歪むまでの余裕」がヘッドルームです。音の山がつぶれにくくなると、ピッキングの強弱やコードの各音を聞き取りやすく感じることがあります。

ただし、低音や音量が必ず増えるわけではありません。同じ機種を同じ音量で比べ、弾いた瞬間の音や歪み方を聴いてみてください。

Secondly, you’ll get an increase of clean headroom.

日本語訳(2n3565):第二に、クリーンな音で扱える余裕が増えます。

参考 電圧とクリーンの余裕について(英語)Wampler公式

オーバードライブの歪みが気持ちよいとは限らない

オーバードライブでは音をあえてつぶして歪みを作ります。昇圧でそのつぶれ方が変わると、音がすっきりする一方、粘りやまとまりが減ったように感じる場合もあります。

オペアンプは音を増幅する部品です。私はこの部品を使ったオーバードライブでは、昇圧すると元のよさが薄れると感じることもあります。ジャカジャカとコードを弾くなら、昇圧しないほうが好きです。適度に音がつぶれてまとまる感触も、オーバードライブの魅力だと思います。

また、歪みを作るダイオードなどの部品が別に入っている回路もあります。電圧を上げてもその部分の歪みが残るため、すべての機種で一律に歪みが減るわけではありません。弾き方と欲しい歪み方で選びます。

「内部で昇圧」と「外部18V対応」は別

電源で18Vを用意する方法と、エフェクターの中で電圧を上げる方法は別です。電源をつなぐ前に見るのは、本体の電源端子へ何Vを入れてよいかです。

方法電圧を変える場所電源を選ぶときの考え方
内部昇圧エフェクターの中の回路外からは指定の9Vなどを入れる。内部の電圧を外部電源の許容値にしない
外部電源を9Vから18Vへ変更パワーサプライや昇圧機器エフェクター本体が外部18V入力に対応している場合に使う

内部では電圧を下げて、一定に保っている機種もあります。Wamplerが説明する、一部のデジタル機能を含む製品がその例です。外の電源を変えても、音を処理する回路の電圧まで変わるとは限りません。アナログかデジタルかにかかわらず、電源はメーカーの指定に合わせてください。

the 9v input is brought down

日本語訳(2n3565):入力の9Vは内部で電圧を下げて使われます。

参考 内部で電圧を下げて使う機種の説明(英語)Wampler公式

ケンタウロス系へ18Vを挿す前に確認

ケンタウロス系には、9Vを本体の中で高い電圧へ変えて使うものがあります。すでに内部で電圧を作っているからといって、入口へ18Vを入れてよいわけではありません。

販売店Tym Guitarsが掲載するKlon KTRの取り扱い説明では、回路を壊すおそれがあるため、9Vを超える電源の使用を禁止しています。KTRには指定の9V電源を使ってください。

Do not attempt to power the unit with more than 9 volts

日本語訳(2n3565):9Vを超える電源を使わないでください。

参考 Klon KTRの外部電源についての取り扱い説明(英語)Tym Guitars(販売店)

JHS NOTAKLÖNも、外部電源は9V専用です。内部で9Vを18Vへ変換しており、メーカーは9Vを超える電源の使用を禁止しています。

Do not use more than 9V DC as the pedal internally converts 9V to 18V.

日本語訳(2n3565):内部で9Vを18Vへ変換するため、9V DCを超える電源を使わないでください。

参考 NOTAKLÖNの電源仕様(英語)JHS公式

電子回路をまとめた小さな部品(IC)のうち、電圧を変えるMAX1044は、動作電源の範囲が1.5〜10.0Vです。このような部品へ18Vがかかれば、動作条件を超えます。音を増幅するICに余裕があっても、電源を作るICが先に壊れることがあります。

参考 MAX1044の動作電源電圧範囲Analog Devices公式

ケンタウロス系を選ぶ際も、同じ系統なら電源仕様も同じとは考えず、製品ごとの説明書を確認します。音の違いや機種選びはKlon系オーバードライブの比較にまとめています。

18V対応かは説明書の「電源」を見る

「DC9〜18V対応」など、外部入力として18Vを使えると明記されていれば、指定条件で試せます。DCは直流電源の意味です。本体が9V専用なら、部品の見た目から対応していると判断せず、9Vを使います。

見る項目合わせる条件
電圧本体が指定するDC9V・DC9〜18Vなど。内部の駆動電圧とは区別
極性とプラグセンターマイナスなどの+/−と、指定されたプラグの太さを合わせる
電流mAは電流の単位。電源側が本体の必要量以上を供給できる出力を選ぶ
型番・世代V2、Mini、旧型などを区別。同じブランドやシリーズの仕様を流用しない

mAの数字が大きい電源と、電圧が高い電源は別です。9V専用機なら、必要な電流以上を供給できる9V電源を選べます。mAに余裕があっても、18Vを入れてよい理由にはなりません。

外部18Vに対応するエフェクター4機種

次の4機種は、メーカーが9Vと18Vの両方に対応すると案内しています。手持ちのペダルが含まれていれば、買い替える前に電源を変えて試してみてください。

機種外部電源の範囲比べたいこと
Xotic EP BoosterDC9〜18Vブースト時の張りと、強く弾いたときのつぶれ方
Xotic SP CompressorDC9〜18V原音を混ぜたときの弾き心地と歪みにくさ
Xotic RC Booster V2DC9〜18Vクリーンブーストや軽い歪みの反応
Suhr Riot DistortionDC4〜18V、標準9V歪ませたときのつぶれ方と輪郭

以下は電圧の違いを比べるための設定例です。まず9Vで弾き、ノブとスイッチを保ったまま、電源を外してから18Vへ切り替えます。音量差が出たら、後で音量をそろえて聴き比べてください。

Xotic EP Booster:1ノブでブーストの感触を比べる

EP Boosterは1つのノブでブースト量を調整します。外部電源は9〜18Vに対応。メーカーも歪むまでの余裕に合わせて電圧を選べると説明しています。ノブを動かさずに電源だけを替えれば、単音の張りや、強く弾いたときのつぶれ方を比べやすいでしょう。

The EP-Booster can be powered by 9-volt up to 18-volts for desired headroom.

日本語訳(2n3565):必要なヘッドルームに合わせ、9〜18Vで動作させられます。

参考 EP Boosterの電源仕様(英語)Xotic公式

本体内部の小さな設定スイッチ(DIPスイッチ)は動かさず、9Vと18Vで同じ状態にします。

EP Boosterで、ブースト量を増やさず電圧を比べる

EP Booster:最小付近から弾き心地を比較

  • 1 GAIN7時

GAINは最小付近、内部DIPは同じ状態で比較します。初期設定では最小でも約+3dBのため、ON/OFFを必ず同音量にできるとは限りません。

9Vと18Vの比較中はGAINを固定します。ノブで音量が合わない場合は、録音した音の再生音量をそろえると、大きい音をよい音と感じているだけかを確かめやすくなります。

Xotic SP Compressor:原音を残したコンプやブースターに

管理人が所有するXotic SP Compressorの外観

私のSP Compressor。VOLUMEとBLENDに加え、3段階のスイッチで圧縮の強さを選びます。

SP Compressorは音量差を整えた音と、加工していない原音を混ぜられるコンプレッサーです。音量を上げるブースターとしても使えます。アンプの手前で音量と圧縮感を整える、プリアンプのような使い方もおすすめです。外部電源は9〜18Vに対応します。

9VDC-18VDC, Negative Tips

日本語訳(2n3565):DC9〜18V、センターマイナスです。

参考 SP Compressorの外部電源仕様(英語)Xotic公式

SP Compressorで原音を多めに残す設定

SP Compressor:軽く整えて電圧を比較

  • 1 VOLUME12時
  • 2 BLEND9時
  • 3 COMPLO上から:HI / LO / MID

圧縮はLO(スイッチ中央)。BLENDを低めにして原音を多く残します。内部DIPは固定し、電圧を変えた後はVOLUMEで音量を合わせます。

圧縮を強めると、コンプの働きでも音がつぶれます。まずはLOで原音を多めに残し、電源の違いを聴いてから好みの圧縮量に調整してみてください。操作や内部スイッチについてはSP Compressorの実機レビューで紹介しています。

Xotic RC Booster V2:軽い歪みとクリーンの余裕を比べる

RC Booster V2はGAINと音量に加えてTREBLE・BASSを調整できるブースターです。追加のGAIN2も備えています。9〜18Vに対応します。GAINを控えめにし、クリーンから軽く歪む設定で反応を比べます。

The RCB-V2 can be powered by 9-volt up to 18-volts for desired headroom

日本語訳(2n3565):RCB-V2は必要なヘッドルームに合わせ、9〜18Vで動作させられます。

参考 RC Booster V2の電源仕様(英語)Xotic公式

RC Booster V2をGAIN1だけで使う設定

RC Booster V2:GAIN2 OFFで比較

  • 1 GAIN9時
  • 2 TREBLE12時
  • 3 VOLUME12時
  • 4 BASS12時
  • 5 GAIN27時

GAIN2フットスイッチはOFFにし、小型GAIN2ノブは最小へ。図のノブは大きさをそろえて表示しています。TREBLE・BASSとGAINを固定して電圧を比べ、最後にVOLUMEで音量を合わせます。

電源と一緒にTREBLE・BASSやGAIN2も変えると、何による音の違いか分かりにくくなります。電圧だけを変えて聴くのがコツです。旧RCなどを使う場合は、その機種の説明書で対応電圧を確認してください。

Suhr Riot Distortion:歪みペダルでも18Vを選べる例

Riot Distortionは強めの歪みを作るディストーションです。標準の電源は9Vですが、メーカーが指定する動作範囲は4〜18V。18Vでも使えますが、その音が好みに合うかは別です。普段の歪み量でも聴き比べてみてください。

Operating Voltage: 4V to 18V (nominal 9V)

日本語訳(2n3565):動作電圧は4〜18V、標準は9Vです。

参考 Riot Distortionの動作電圧(英語)Suhr公式

Riotの歪みを抑えめにして、つぶれ方を比べる

Suhr Riot:VOICE中央で比較

  • 1 DIST9時
  • 2 LEVEL12時
  • 3 TONE12時

図は3ノブを表示。VOICEスイッチは中央に固定します。DISTとTONEを保ったまま9V/18Vを比べ、最後にLEVELで音量をそろえます。

歪みを控えた設定でも試すと、変化の違いをつかみやすくなります。硬く感じたり、好きなまとまりが減ったと感じたりしたら、9Vで使えばよいと思います。Riot MiniやRiot Reloadedは別モデルなので、電源の仕様もそれぞれ確認してください。

18Vを出せるパワーサプライのおすすめ4機種

18Vを使うペダルが何台あるか、電圧をスイッチで選びたいか、細かく調整したいかで選ぶと絞りやすくなります。VITAL AUDIO、K.E.S、CAJ、Fenderから4機種を挙げます。18Vの出し方と、そのときに使える電流が違います。

機種18Vの出力こんな使い方に
VITAL AUDIO VA-08 Mk-IIIA/B各500mA。別にHigh Current最大2000mA18V対応ペダルと、大電流の機材をまとめたい
K.E.S KIP-V.A.C.97〜9番の3口。18V時は各250mAが目安対応範囲内で電圧を細かく変えて比べたい
CAJ DC/DC Station II付属ケーブルで9Vの2口を18Vの1口へ。150mAまたは500mA細身の電源で、9V中心のボードに18Vを加えたい
Fender Engine Room LVL8切替2口。18V時は各250mA18Vのペダル2台と9Vのペダルを一緒に使いたい

電源の出力仕様にあるmAの数値は、その端子から供給できる電流の上限を表します。使う電圧で、ペダルの必要電流を満たす出力を選んでください。また、出力どうしを電気的に分けて干渉を抑える仕組みを「アイソレート」と呼びます。

VITAL AUDIO VA-08 Mk-III:大電流の機材もまとめたいなら

VA-08 Mk-IIIはMk-IIの後継です。A/Bの2口を9V・12V・18Vに切り替えられ、それぞれ最大500mAを供給できます。さらに別のHigh Current端子は、9V・12V・18Vで最大2000mAに対応します。

18V対応のコンパクトエフェクターと、大電流が必要な機材を同じ電源にまとめたい人に向いています。ただし、9V・12V・18Vのどれを使えるかは接続する機材次第です。本体には8つのアイソレートされたDC出力と、追加のHigh Current端子があります。接続は専用アダプターとペダルを先につなぎ、最後にコンセントへ挿すのがメーカー指定の順序です。

参考 VA-08 Mk-IIIの出力仕様VITAL AUDIO公式

K.E.S KIP-V.A.C.9:電圧を細かく調整したいなら

7〜9番の3口は、6.5〜18Vを連続して調整できます。電圧表示を見ながら設定できるので、対応ペダルの範囲内で、9Vと18Vの間も試したい人に向いています。全9口がフルアイソレートです。

18V時の電流は、1口あたり250mAが目安です。仕様表の「最大500mA」を、18Vでも出せる値として読まないでください。電源全体の上限は27Wです。たとえば18Vで250mA消費するペダルなら4.5W(18×250÷1000)なので、接続する機材の消費電力を合計して27W以内に収めてください。表示電圧にも誤差があります。

また、固定の1〜6番は9.4V仕様で、機材をつながない状態では約9.8Vになります。内部昇圧回路を持つ9.0V指定品など、高めの電圧を使えない機材には使用できないとメーカーが注意しています。すべての9Vペダルに使える電源ではありません。

参考 KIP-V.A.C.9の可変出力と使用上の注意K.E.S公式

CAJ DC/DC Station II:9V中心のボードに18Vを1台加えるなら

幅197mm、奥行き34.2mmの細身の電源です。本体の出力は9V/150mAが6口、9V/500mAが2口。18Vへ切り替えるスイッチはなく、付属のVoltage Doubler Cableで、独立した9V出力2口を18Vの1口にまとめます。

150mA端子を2口使えば18V/150mA、500mA端子を2口使えば18V/500mAです。18Vを1口用意するには、本体の9V出力を2口使います。普段は9Vを多く使い、18V対応ペダルも1台つなぎたいボードに合います。

電流を増やすCurrent Doubler Cableも付属しますが、18Vを作るのは先端が黄色いVoltage Doubler Cableです。このケーブルは、出力が独立していないCAJのAC/DC Stationシリーズでは使えません。

参考 DC・DC Station IIの仕様と付属ケーブルCAJ公式 参考 Voltage Doubler Cableの18V出力例と対応機種CAJ公式

Fender Engine Room LVL8:スイッチで18Vを選びたいなら

8つの独立した出力のうち、2口を9V・12V・18Vに切り替えられます。残りの6口は9V/500mA固定。18V対応ペダルを2台使い、ほかの9Vペダルもまとめて給電したいときに選びやすい構成です。

切替端子は9Vで500mA、12Vで375mA、18Vでは250mAです。18Vでも500mAを使えるわけではありません。18Vは切替端子から直接出せるため、2口をつなぐケーブルは不要です。

2 Switchable (9V/500mA, 12V/375mA, 18V/250mA)

日本語訳(2n3565):切替可能な2口は9Vで500mA、12Vで375mA、18Vで250mAです。

参考 Engine Room LVL8の電圧別出力仕様(一部英語)Fender公式

9Vと18Vを聴き比べる手順

18V対応機種と、指定の電圧・極性・プラグ・必要電流を満たす電源を用意します。18V出力を持つパワーサプライや、対応が明示された昇圧機器を使い、切り替えるたびに電源を外してください。

1
9Vでいつもの音を決める
アンプとギターを同じ状態にし、クリーン寄りの音と普段の歪みで弾きます。単音とコードの両方を短く録音すると比べやすくなります。
2
電源を外して18Vへ切り替える
演奏を止め、アンプの音量を下げます。電源メーカーの指定に従って通電を止め、ペダルへの給電を外します。スイッチ式は通電を止めた状態で18Vに設定します。表示を見て設定する機種は、ペダル未接続で通電して電圧を確認し、接続前に再び通電を止めてください。極性・プラグも確認して指定の順序で接続し、通電します。VA-08 Mk-IIIは専用アダプターとペダルを先につなぎ、最後にコンセントへ挿します。
3
ノブを固定して音を聴く
接続後、アンプの音量を少しずつ元の位置へ戻し、同じフレーズを弾きます。まず電圧以外を変えず、つぶれ方や強弱への反応を確認します。異常発熱や異音があれば電源を外し、使用を止めます。
4
音量を合わせて好みを決める
出力音量を合わせて、歪みの量やコードのまとまりを比較します。音量調整用のノブがない場合は、録音後の再生音量をそろえます。9Vへ戻すときも、同じ順序で通電を止めてから切り替えてください。

普通の分岐ケーブルで9Vを2本つないでも、安全に18Vを作れるわけではありません。電源を直列にするケーブルは、メーカーが直列接続を認めた、電気的に切り離された出力と専用ケーブルの組み合わせに限ります。分岐ケーブルと昇圧機器を混同せず、接続は電源メーカーの指定どおりにします。

電圧だけでなく、出力数や電流も合わせて選ぶ場合はパワーサプライの選び方と比較を参考にしてください。多数のエフェクターへ給電するなら、大型ボード向けの出力数・電流・電圧比較も役立ちます。

自作オーバードライブを27Vで使って感じたこと

私は自作のオーバードライブへ27Vを入れて使っています。電解コンデンサには50V耐圧のものを使っています。40V近くまで昇圧して試したこともあり、そのときの音も非常によく感じました。

この音は気に入っていますが、電圧を上げれば上げるほどよい、とは思っていません。私は、歪みペダルらしい感触が薄れると感じることもあります。また、自作機で試せた電圧を市販品にそのまま入れるのは危険です。市販品は説明書の範囲を守り、自作でも部品と回路全体の確認が欠かせません。

50Vのコンデンサを使っても、全体が50V対応にはならない

コンデンサは電気を一時的に蓄える部品で、「50V耐圧」はその部品へ加えられる電圧の上限を示します。ほかのICや電源回路まで50Vに対応しているという意味ではありません。逆向きの電圧や、電源の揺れで瞬間的に加わる電圧にも条件があります。

参考 アルミニウム電解コンデンサの定格電圧と使用条件ニチコン公式

オペアンプや電圧を変えるICも、型番によって使える電圧が違います。たとえば、次のような差があります。この表は部品単体の仕様で、エフェクター全体に入れてよい電圧ではありません。

ICの例動作電源の範囲読み方
TI LMC6624.75〜15.5Vオペアンプでも、18Vが動作範囲を超えるものがある
TI OPA21345〜36V36VはIC単体の端子間電圧。本体全体の対応を示さない
MAX10441.5〜10.0V電圧を変えるIC。高い出力を作れることと、高い入力を許容することは別

プラス・マイナス両方の電源を使う回路では、数値の読み方も変わります。たとえば「±18V」は、0Vに対して+18Vと−18Vがあり、電源端子間では合計36Vです。外部アダプターの18Vと同じ意味ではありません。

参考 LMC662の動作電源範囲Texas Instruments公式 参考 OPA2134の動作電源範囲Texas Instruments公式

データシートの「絶対最大定格」は壊れるおそれのある限界値であり、常用してよい範囲ではありません。自作では推奨動作条件を確認し、電源を入れた瞬間も含めて余裕を取ります。部品の選定を詳しく調べる場合は、コンデンサの容量・耐圧・極性と、オペアンプの電源条件と互換性も合わせて確認してください。

エフェクターの昇圧でよくある質問

18Vにすると必ず音がよくなりますか?
必ずよくなるわけではありません。強い入力を歪まずに扱える余裕が増える場合がある一方、好みの歪みや圧縮感が減ることもあります。対応機種で9Vと18Vを同じ音量で比べます。
9V専用のエフェクターへ18Vを入れても大丈夫ですか?
入れないでください。内部のICやコンデンサなどが故障するおそれがあります。「内部18V駆動」は外部18V対応を意味しません。本体・説明書が指定する外部電源を使います。
18V対応機種を9Vで使ってもよいですか?
メーカーが9〜18V対応としている機種なら、9Vも指定範囲です。18V専用と書かれた機種は別なので、18V対応という言葉だけで9Vも使えるとは判断しません。
18Vのほうが歪まなくなりますか?
電源の余裕が増えて、回路の一部が歪みにくくなる場合はあります。ただし別の部品で意図的に歪ませる回路もあるため、エフェクター全体の歪みが必ず減るとは限りません。
デジタルエフェクターも昇圧できますか?
外部18Vを使えるかは、アナログ・デジタルの分類よりメーカーの指定で判断します。内部で電圧を一定に調整する機種では、外部電圧を上げても音の変化を期待できない場合があります。
50V耐圧の電解コンデンサなら40Vで使えますか?
コンデンサ単体の耐圧だけでは、回路全体の対応は判断できません。ICや電圧を変える回路を含め、各部品に実際にかかる電圧と推奨動作条件を確認します。市販機は本体の指定を守ります。

昇圧は欲しい歪み方に合わせて選ぶ

外部18V対応の機種で、9Vと18Vを同じ音量にそろえて比べてみてください。単音の強弱が伝わるか、コードがまとまるか、好きな歪み方が残るか。昇圧した音がしっくりこなければ、9Vへ戻して構いません。