ユニヴァイブ。それは甘美な響き。
こんにちわ。日夜ヴィンテージエフェクターの回路収集に目がない管理人ですが、唯一回路図を所有していても中々作れないエフェクターがあります。
「Uni Vibe」(ユニヴァイブ)です。
Jimi HendrixやDavid Gilmourが好きな方はマストアイテムでしょう。その独特な響きと怪しさを醸し出すゆらぎによって多くのギタリストが虜になっています。
本日はそんなユニヴァイブサウンドを再現することに命を捧げた、ごきげんなヴァイブエフェクターを7つご紹介します。
そもそもUni Vibeって?
Uni Vibeとは?
Uni Vibeとは、現KORG監査役の三枝文夫さんが1960年代後半に開発した、HONEY社製の「PSYCHEDELIC MACHINE」(ユニヴァイブよりレア)のモジュレーション部分を切り出して製作されたエフェクターです。
当時PSYCHEDELIC MACHINEにはファズとモジュレーション機能がついていたようです。
モジュレーション機能、つまりユニヴァイブ部分のサウンドは一言では表せず、管理人の言葉で表すとすると「フェイザー+コーラス+トレモロをバランスよくミックスしたサウンド」です。
よく水中にいるような雰囲気を醸し出すサウンドとも言われますね。強烈なインパクトながらナチュラルで嫌味がない素晴らしいモジュレーションエフェクターだと思います。
どんな回路なの?
一般的なエフェクターはオペアンプなどのICチップを利用してサウンドを作るのですが、Uni Vibeは現在に至ったまででも画期的なしくみで動いています。
CDSと呼ばれる、光を受信して光の強さによって抵抗値が変わる抵抗4つと、光っては消えるムギ球電球によって独特なゆらぎを作っています。
そのサウンドを支えるプリアンプ回路も優秀で、ムギ球電球が消灯すればもちろんモジュレーションは停止するのですが、その状態でもギター信号がとても元気になった感触がし、ユニヴァイブのプリアンプ回路だけを切り出して作られたハンドメイドエフェクターがリリースされるくらいです。
CDSセル4つと囲まれた麦球電球。管理人の自作途中の写真です。
電源も諸説ありますが、16Vから24Vの一般的なエフェクターの倍近い電源を使用して動いていたので、野太く怪しいサウンドになっています。
本物は入手できないの?
残念ながらオリジナルUni Vibeはとうの昔に生産が終了しており入手はかなり困難です。ちょっと前に壊れているものでも20万円近い価格で取引されてました。
恐らく状態が良ければ30万円以上するでしょう。
生産完了の理由としては、サウンドの要である「CDS」がカドミウムという物質を使用しており、それが有害であるため国によっては輸出が出来ないなどの問題があるからです。
そもそも発売当時でもかなりのお値段だったそうなので、需要と供給がマッチせず生産完了してしまったのかもしれませんね。
Uni Vibe系エフェクター7選
そんな入手困難なユニヴァイブを様々なメーカーがクローン、もしくはシュミレートしたモデルをリリースしてくれているので現代でも楽しむことが出来ます。
JHS Pedals / Unicorn V2
JHS Pedals ジェイエイチエスペダルズ エフェクター トレモロ/ヴィブラート Unicorn V2 【国内正規品】
フルアナログ回路にもかかわらず、このサイズで更にタップ機能でRateの割合を調整出来るようになっています。
外部にエクスプレッションペダルを使用することでオリジナルユニヴァイブと同じく足でサウンドをコントロールすることが可能です。
お値段は少し高いですが、この価格帯では最強のユニヴァイブクローン、かつさらに先を行ったエフェクターだと思います。
Animals Pedal / Car Crush Chorus/Vibe
低価格でもありながら非常にオリジナルユニヴァイブに忠実な回路かつサウンドを誇ります。余計な機能は一切無く、シンプルにユニヴァイブサウンドを楽しむことが出来ます。他の方のレビューも上々なので、まず最初に買うとしたらこのエフェクターで間違いないと思います。
Jim Dunlop / JHM7 JIMI HENDRIX UNIVIBE
大手Jim Dunlop社がリリースしている、ジミヘンシリーズ(仮)の一つです。後述のMXR製のものと中身は同じのようですが、若干本機の方がエグみがあるように感じます。
なにより、Jimi Hendrix先生が印刷された筐体がかっこいいですね。先生を踏みつけないとエフェクトがかからないというのが心が痛いです。そのためか中々使用している人を見ません。
MXR / M68 UNI-VIBE CHO/VIB
近年、秀逸なエフェクターをリリースしてくれている老舗MXRからユニヴァイブクローンエフェクターです。Jimi Hendrix生誕70周年記念に発売されたJHM3 Uni-Vibeを元に定番化したモデルのようです。
前述の先生がプリントされたモデルと比べると若干クリアーで扱いやすいように感じます。Jimi先生、ギルモア先生どちらの使い方もできるようバランスをとっているようですね。
tc electronic / Viscous Vibe
ユニヴァイブ系エフェクターでは珍しく、クローンされた回路ではなくシュミレートされたデジタル回路のエフェクターです。デジタル回路と聞くとアナログ大好きな管理人は億劫に感じますが、バランスの良さやクリアさはもちろん、原音を損なわないようにシュミレートされた心意気を感じました。
むしろもうちょっとエグみが合ったほうがいいかもしれませんが、万人受けするのは本機だと思います。
Fulltone / Mini Deja Vibe MDV-3
ハンドメイドエフェクター界の御大、Fulltone社が全力で取り組んだユニヴァイブクローンエフェクターです。ユニヴァイブの良さってフットコントロールで揺れのスピードを調整出来ることなのですが、なかなか通常のエフェクターサイズで作ろうとすると再現できない。そこでFulltone社はワウの筐体を使ってしまおうとリリースしたのが本機です。
初代から数えると3期目のモデルで、初代はトランジスタにオリジナルと同じ2SC539や2SC828を使用していたようです。
本機は現在使用可能な部品で再現しているそうで、確かにユニヴァイブクローン系では一番扱いやすい印象がありました。エグみもばっちしです。
Sabbadius Custom Pedal Effects / Tiny Vibe Black
あまり聞き慣れないブランド名ですが、レイヴォーン仕様のTS系ドライブなどレガシーなタイプの回路を基にデザインされたエフェクターをいくつかリリースしているメーカーのようです。本機はJimi HendrixというよりはStevie Ray Vaughanをイメージしたサウンドのようでジャリッとした荒々しさを感じます。
回路的には一般的なユニヴァイブクローンで、他クローンのように無理に小型化せずに拘りのパーツ類で構成されているようです。
初めてのUni Vibeのまとめ
いかがでしょうか。
ユニヴァイブエフェクター愛好家は多いものの、オリジナルを所有している方はかなり少ないですが、偉大なギタリストのそばには必ずと言っていいほど本機のゆらぎを感じます。
バッキングにも良し、ソロにも良しなユニヴァイブ系エフェクターを皆様もぜひ入手してみてはいかがでしょうか。