BOSS OC-2は、原音に1オクターブ下と2オクターブ下の音を混ぜられる、アナログのオクターバーです。 Char氏の使用でも知られていますが、中を開けてみると、そのぎっしりした基板も印象に残ります。
Octavia系の内部と見比べると、同じ「オクターブ」という名前が付くエフェクターでも、そもそもの設計の考え方が違うと感じます。OC-2が作るのは下のオクターブ。上のオクターブを伴うファズとは、狙っている音も使い方も異なります。

今回紹介するOC-2。原音、1オクターブ下、2オクターブ下の音量を、それぞれ独立して調整できます。
BOSS OC-2は、低い音を足して厚みを作るオクターバー
OC-2は1982年に登場したモデルです。操作はシンプルで、3つの音をどのくらい混ぜるかをノブで決めます。
| ノブ | 調整する音 |
|---|---|
| DIRECT LEVEL | 原音の音量 |
| OCT 1 | 1オクターブ下の音量 |
| OCT 2 | 2オクターブ下の音量 |
原音を中心に低い音を少し足せば、フレーズに厚みを加える方向になります。反対に原音を下げてオクターブ音を前に出すと、ギターの普通の音から離れた、低音主体の使い方ができます。
OCT 1とOCT 2は、歪み量や音程の連続的な変化を調整するノブではありません。どちらも、決まった高さのオクターブ音の音量です。この関係が分かれば、音作りは迷いにくいと思います。
BOSSの公式製品ページでも、下の2つの音を加える機能が説明されています。
one and two octaves below the original note日本語訳:元の音より1オクターブ下と2オクターブ下。
参考 OC-2の公式製品情報(英語)BOSSOctavia系とは、上と下だけでなく狙いが違う
Octavia系とOC-2を同じものだと思って選ぶと、期待する音がずれてしまいます。Tycobrahe Octaviaやその系統のオクターブファズは、歪みに上のオクターブが重なる響きが特徴です。一方、OC-2は下のオクターブを作り、原音と混ぜて使います。
| 比べる点 | BOSS OC-2 | Octavia系オクターブファズ |
|---|---|---|
| オクターブの方向 | 1・2オクターブ下 | 上のオクターブ |
| 音作りの中心 | 原音と低音の混ぜ方 | ファズと上の倍音の響き |
| 用途の例 | 単音のリフやメロディーに低音を重ねる | リードに鋭く独特な響きを加える |
もちろん、Octavia系にも機種ごとの違いや追加機能があります。それでも、OC-2を「下のオクターブを作って重ねるエフェクター」と考えると、両者を区別しやすくなります。
上のオクターブが出るファズについては、別記事のOctavio Octave Fuzzも参考にしてください。
中身はかなりぎっしり。小さな筐体に詰まった回路

基板には部品がぎっしり。外側は3ノブでも、内部には多くの部品が詰まっています。
OC-2を開けてまず感じるのは、かなり詰め込まれているということです。抵抗、コンデンサ、トランジスタに複数のIC。部品点数の少ないOctavia系の基板を見たあとだと、その違いがよく分かります。
部品が多いから上等、少ないから劣るという話ではありません。作ろうとしている音が違うので、必要な回路も違います。外からはどちらも「オクターブを加える箱」に見えても、内部を眺めると、その違いが具体的に見えてくるのが面白いところです。
ICが多くても、OC-2はアナログ方式
BOSSはOC-2をアナログのモデルとして紹介し、その特徴として波形の反転を利用する方式を説明しています。入力された音の波形を利用して下のオクターブを作る仕組みで、現代のデジタル・ピッチシフターとは方式が異なります。
it used waveform inversion to preserve the instrument’s natural sound.日本語訳:楽器本来の音を保つため、波形の反転を利用していました。
参考 BOSSのピッチ系エフェクターの歴史(英語)BOSSこれは「原音をそのまま低く再生する」という意味ではありません。下のオクターブとして作られた音には、OC-2ならではの音色があります。ICの数だけを見てデジタルかどうかを判断できない例でもあります。

基板全体を見たところ。複数のICにはTL022CPの表記があり、抵抗やコンデンサも密に配置されています。
写真で読めるTL022CPは、2回路入りのオペアンプです。オペアンプは音声信号の増幅などに使う部品で、ICが載っていること自体はデジタル音声処理の証拠にはなりません。
dual low-power operational amplifier日本語訳:低消費電力の2回路入りオペアンプ。
参考 TL022の製品説明・データシート(英語)Texas InstrumentsCharの使用は、機材取材でも確認できる
OC-2と聞いてChar氏を思い浮かべる人も多いと思います。ギター・マガジンWEBが2023年8月7日に公開した、デビュー45周年トリビュート・ライブの機材取材でも、ボード上のOC-2が紹介されています。
同記事では「Falling Star」のソロと「Never Ending Road」のカッティングで、音に厚みを加える用途に触れています。低い音を重ねる使い方が、実際の演奏の中でどう生きるかを知る例です。
これは取材対象となった公演での使用情報です。曲のすべての録音や、現在の全公演で同じ使い方をしているという意味ではありません。
参考 Charのペダルボード お馴染みのラインナップとニュー・フェイスギター・マガジンWEBChar氏のギターやアンプ、ほかのエフェクターとの組み合わせは、こちらの記事にまとめています。
最初は単音で、OCT 1から少しずつ足す
OC-2は単音を基本に使うモノフォニックのオクターバーです。和音全体へ安定してオクターブを付ける現代のポリフォニック機とは、使い方を分けて考えたいところです。
Char氏のカッティングでの使用例も、OC-2が和音を一音ずつ処理できるという意味ではありません。まず単音で反応を確かめ、そのうえで自分のフレーズに使うと特徴が分かりやすいと思います。
BOSS OC-2の実演動画
「エフェクター紹介チャンネル」によるOC-2の紹介です。3つの音を混ぜたときの雰囲気を知る参考にどうぞ。
よくある質問
- BOSS OC-2はOctaviaと同じエフェクターですか?
- 異なります。OC-2は1・2オクターブ下の音を原音に混ぜるオクターバーです。Octavia系は、上のオクターブを伴うファズとして考えると違いが分かりやすくなります。
- OC-2はアナログですか?
- はい。BOSSもアナログのオクターバーとして紹介しています。基板に複数のICがあっても、それだけでデジタル音声処理とはいえません。
- OC-2はコード弾きに対応していますか?
- 単音を基本とするモノフォニック方式です。和音全体へ安定してオクターブを付けるポリフォニック機とは異なります。まず単音とミュートを意識して試すと特徴が分かりやすいです。
- CharはOC-2を使用していますか?
- ギター・マガジンWEBの2023年8月7日公開の機材取材で、デビュー45周年トリビュート・ライブにおける使用が確認できます。記事ではFalling StarのソロとNever Ending Roadのカッティングへの使用が紹介されています。
3つのノブの奥に、Octaviaとは別の工夫がある
OC-2は外から見るとシンプルですが、中を見るとかなりぎっしりしています。Octavia系とは違う狙いの音を、小さなBOSSの筐体に収めている。その対比が面白い一台です。
上のオクターブを伴うファズが欲しいのか、低い音を重ねてフレーズに厚みを持たせたいのか。後者を試したいなら、OC-2の原音と2つの低音を混ぜる操作は、分かりやすい入口になると思います。
2n3565_tokyo 
