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Maxon PT-909 キャラメルスイッチ型レビュー|バッファーと穏やかな揺れ

四角いキャラメルスイッチを備えたMaxon PHASE TONE PT-909の実機

私のMaxon PHASE TONE PT-909は、四角いキャラメルスイッチの付いたタイプです。以前紹介した丸いスイッチのPT-909より、フェイズ効果は少しおとなしく感じます。バイパス時の音の劣化が少なく、スイッチングノイズもありません。

水没で故障したものを安く買ったのですが、電解コンデンサを交換したら直りました。

四角いキャラメルスイッチを備えたMaxon PHASE TONE PT-909の実機

今回紹介する私のPT-909。オレンジ色の筐体と四角いスイッチが特徴です。

キャラメルスイッチ型は1980年のカタログにも載っている

PT-909は、同じ型番でも筐体やスイッチの形が異なります。私のものは四角い金属製スイッチが付いた、いわゆるキャラメルスイッチ型です。

1981年以降のモデルだと思っていましたが、1980年のMaxonカタログに、すでに四角いスイッチ型のPT909が載っています。 私のものの製造年までは分かりませんが、この形は1980年には登場していたようです。

参考 Maxon 1980年カタログ・PT909掲載ページ楽器カタログの世界

以前紹介した丸いスイッチのPT-909については、こちらに写真と音の印象をまとめています。

バッファーと電子スイッチで、踏み替えが静か

キャラメルスイッチ型は、エフェクトを切ってもバッファーを通る方式です。バッファーは、ギターからの信号を後ろにつながる機材へ送りやすくする回路。これとは別に、電子スイッチでエフェクトを切り替えます。

当時のIbanez版PT909のサービス資料にも、入力バッファーと電子スイッチが載っています。取扱説明書の説明は次のとおりです。

“FET electronic switching provides clickless, popfree switching.”

日本語訳:「FETによる電子スイッチで、クリック音やポップノイズのない切り替えを行います。」

参考 Ibanez PT909 取扱説明書(英語)Tonehome・当時の資料アーカイブ

私のPT-909も切り替えは静かで、音の劣化も少なく感じます。バッファーと電子スイッチを使う点は、TS808と同じような仕様です。

Maxon PT-909の背面にある外部電源ジャックと三つのノブ

背面の外部電源ジャック。古い機材のため、アダプターを使うときはプラグ形状と極性も確認したい部分です。

SPEED・WIDTH・FEEDBACKで揺れを調整する

PT-909にはSPEED、WIDTH、FEEDBACKの三つのノブがあります。SPEEDだけのPhase 90に対し、揺れの幅や癖まで調整できます。

PT-909のSPEED、WIDTH、FEEDBACKコントロールの接写

SPEED、WIDTH、FEEDBACKの三つのノブ。中心のFEEDBACKで、揺れの癖を調整できます。

ノブ調整できること
SPEED揺れが繰り返される速さ
WIDTH揺れが動く範囲と深さ
FEEDBACK効果音を回路へ戻す量。揺れの癖や強調感が変わる

最初はFEEDBACKを抑えて、一つずつノブを動かすと違いが分かりやすいです。穏やかな揺れから作るなら、次の順番で試してみてください。

STEP 1
速さをゆっくりにする
SPEEDを低めにして、揺れの周期が聞き取れる速さから始めます。
STEP 2
揺れの幅を決める
FEEDBACKを最小付近に置き、WIDTHを動かします。同じコードを弾きながら、ほしい深さを探します。
STEP 3
揺れの癖を足す
FEEDBACKを少しずつ上げます。音のうねりが強くなりすぎる場合は戻し、伴奏を邪魔しない位置を探します。
STEP 4
切り替えて音を確認する
エフェクトのON/OFFを比べ、音量感や元の音とのつながりを確認します。最後にSPEEDを曲に合わせます。

GEAR BOXの動画では、同じキャラメルスイッチ型のPT-909の音と操作を確認できます。私の所有品とは別の個体です。

以前の個体より、フェイズ効果はおとなしく感じる

以前紹介した丸いスイッチ型と比べると、こちらのフェイズ効果は少しおとなしく感じます。

ただ、条件をそろえて測定したわけではなく、こちらは水没・修理の履歴もあります。スイッチの世代による違いなのか、単に個体差なのかは分かりません。 電解コンデンサの交換で音が変わったかどうかも不明です。

内部は4つのFETを使うフェイザー

Maxon PT-909の内部基板に並ぶIC、コンデンサ、調整用部品

私のPT-909の内部。電解コンデンサを交換して復旧した個体です。基板にはICや調整用部品が並んでいます。

PT-909は、4段の回路で位相をずらすアナログ・フェイザーです。位相をずらした音を元の音と混ぜると、特定の帯域が打ち消し合います。その帯域を動かすことで、あの揺れが生まれます。

その調整に使うのが、電気的に抵抗値を変えられるFETです。当時のIbanez版PT909の回路図では、位相をずらす部分の4つのFETに選別品が指定されています。

“2SK30AY (SELECTED)”

日本語訳:「選別された2SK30A-Y」。回路図ではQ101〜Q104の4つに指定されています。

参考 Ibanez PT909 回路図(英語)Tonehome・当時の資料アーカイブ

資料はIbanez版なので、私のMaxonとすべての部品が同じかは分かりませんが、4段のFETフェイザーとバッファー、電子スイッチの構成が読み取れます。

MC1458Pの刻印と、青い印の付いた部品

PT-909の基板に実装されたMC1458Pと刻印されたIC

基板に載っているICにはMC1458Pの刻印があります。

当時のIbanez版サービス資料にも、同じ系列のMC1458が指定されています。

“MC1458”

日本語訳:「MC1458型のIC」。サービス資料の部品表では、IC101〜IC104に指定されています。

参考 Ibanez PT909 サービス資料・部品表とブロック図(英語)Tonehome・当時の資料アーカイブ

PT-909の基板上に並ぶ青い印の付いた四つの部品

青い印の付いた四つの部品。Ibanez版の回路図には、位相をずらす4つのFETに選別品の指定があります。

FETを選別・マッチングするのは、4段の特性をそろえるためです。写真の青い印だけでは、型番やどの程度そろっているかまでは分かりません。

基板上の調整用部品は回路の状態を整えるためのものです。普段の音作りは、外の三つのノブで行います。

Phase 90の発展版と考えたくなる理由

Phase 90系も、マッチングした4つのFETを使います。自作用の回路資料にも、次の指定があります。

“2N5952 Matched JFETs”

日本語訳:「マッチングした2N5952のJFET」。自作用資料の指定であり、すべての製造年代の実機部品を示すものではありません。

参考 Phase 90系の自作用回路・部品資料(英語)General Guitar Gadgets

PT-909は、同じ4段FETフェイザーの揺れをWIDTHとFEEDBACKでさらに調整できます。その意味では、Phase 90の発展版と言ってもいいと思います。 直接の開発経緯が分かっているわけではなく、回路の仕組みと操作性を比べての話です。

私が所有する1970年代のPhase 90についても、別の記事で紹介しています。

よくある質問

キャラメルスイッチ型のPT-909は1981年以降のモデルですか?
1980年のMaxonカタログに、すでに四角いスイッチ型が載っています。1981年以降に登場した形ではありません。私のものの製造年までは分かりません。
トゥルーバイパスですか?
エフェクトを切ってもバッファーを通る方式で、切り替えには電子スイッチを使います。私のPT-909は音の劣化が少なく、スイッチングノイズもありません。
以前紹介した丸いスイッチ型とは音が違いますか?
私が持っているものを比べると、キャラメルスイッチ型のほうがおとなしく感じます。条件をそろえた測定ではなく、水没・修理履歴もあるので、世代差か個体差かは分かりません。
水没したPT-909は電解コンデンサを交換すれば直りますか?
私のものは電解コンデンサを交換したら直りました。ただ、水没でどこが壊れるかは個体によって違うので、同じ交換で直るとは限りません。

古くても切り替えは静か

古いフェイザーですが、私のPT-909はバイパス時の音の劣化が少なく、切り替えも静かです。以前の丸いスイッチ型より効果は少しおとなしいものの、SPEEDだけでなくWIDTHとFEEDBACKでも揺れを調整できます。