ギター内部配線で迷ったら、AWG22前後の撚り線を基準にすると作業しやすく、補修にも使い回せます。布、PVC、FEPなどの被覆は、固有の音色より耐熱性と剥きやすさで選ぶのが現実的です。長いホット配線やノイズを拾いやすい区間だけ、シールド線を検討します。
ギター配線材は音より用途と作業性で選ぶ
ギター内部の短い配線では、導体ブランドや被覆材だけで「太い音」「ヴィンテージの音」と断定できません。パッシブギターの高域へ影響しやすいのは、ピックアップ、ポット、トーン回路、ギターケーブルまで含めた負荷と総容量です。内部配線では、電気特性に加えて次の実用品質を優先します。
- 既存端子へ無理なく通せる太さか
- 可動部やピックガードを開く作業に耐えるか
- 被覆を溶かさず、確実にはんだ付けできるか
- ホット線が必要以上に長くないか
- シールドと接地が導通しているか
Seymour Duncanは、FenderやGibsonを含む多くのメーカーで22AWGのフックアップワイヤーが使われると説明しています。BELDEN 8503も公式仕様では22AWG、7本撚りの錫めっき銅、PVC被覆です。したがって、AWG22は「音が最良だから」ではなく、強度、端子への収まり、取り回しのバランスを取りやすい基準と考えます。
参考 ギターで使われる標準的なフックアップワイヤーSeymour Duncan
おすすめ8選の比較表
| 配線材 | 構造・太さ | 選ぶ理由 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| BELDEN 8503 | 22AWG・撚り線・PVC | 仕様が明確な標準線 | Fender系、補修、自作 |
| Allparts Cloth Wire Kit | 22AWG・撚り線・布 | 押し戻せる布被覆 | Fender系の補修 |
| Providence FW-800 | OFCフックアップ線 | 国内で入手しやすい | 補修、色分け配線 |
| SONIC HW-02 | 黒白セット | ホットとグランドを分けやすい | ギター内部配線 |
| MOGAMI 2514 | 21AWG・撚り線・外径1.7mm | 柔軟な内部配線用線材 | 自作、補修 |
| Gavitt braided wire | 22AWG・撚り線・編組シールド | 信号線とシールドを一体化 | Gibson系、長い信号線 |
| Montreux No.1011 | 22AWG・7本撚り・編組シールド | 1m単位で扱いやすい | レスポール系の補修 |
| FEP線 0.3sq | 約22AWG・FEP被覆 | 被覆の耐熱性が高い | はんだ作業、狭い箇所 |
単線と撚り線の違い
| 種類 | 長所 | 注意点 | 選び方 |
|---|---|---|---|
| 単線 | 曲げた形を保ちやすい | 繰り返し曲げると導体へ負担がかかる | 固定した短い配線 |
| 撚り線 | 柔軟で取り回しやすい | 先端がほつれやすい | ピックガード、補修、初めての作業 |
同じ材質、太さ、長さなら、単線か撚り線かだけでギターの音を決める根拠は十分ではありません。内部配線では数cmから数十cmのため、まず機械的な扱いやすさで選びます。初めてなら、開閉時の動きへ追従しやすい撚り線が無難です。

単線と撚り線は、音色の名前ではなく曲げやすさと固定方法で選びます。
ツイスト線とシールド線の使い分け
| 方法 | 役割 | 向く場所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 単独のフックアップ線 | 短い内部接続 | シールド済みキャビティ内 | ホット線を長くしない |
| ホット/グランドのツイスト | ループ面積を小さくする | 対になる線をまとめる区間 | 完全な静電シールドではない |
| シールド線 | ホット線を導体で囲む | 長い信号線、離れたスイッチ | シールドを接地し、短絡を確認 |
シールド線やキャビティの導電箔は、連続した導体としてグランドへ接続して初めて機能します。一方、シングルコイルが拾う低周波の磁界ハムは、キャビティを覆うだけでは消えません。Seymour DuncanとStewMacも、配線や導電箔の導通・接地を確認するよう説明しています。

シールド線は外側の編組をグランドへ接続し、芯線との短絡がないことを確認します。
ルシアーオブジャパン Gavitt製 網線 ブレイデッドシールドクロスワイヤー 7本撚線 AWG22 (1m)
被覆材は耐熱性と作業方法で選ぶ
PVC被覆
一般的で、色の選択肢が多い被覆です。長時間こて先を当てると溶けやすいため、適切な温度、予備はんだ、短い加熱を心がけます。
布被覆
AllpartsのGW-0832-000は、公式に22ゲージの撚り線、push-back式の布被覆と案内されています。被覆を押し戻して芯線を出せるため、ヴィンテージ風の外観と作業方法を再現したいときに向きます。布だから固有のヴィンテージ音になるとは断定しません。
参考 GW-0832-000 Cloth Wire KitAllparts
FEP・耐熱被覆
FEPなどの耐熱被覆は、はんだ付け時に被覆が変形しにくいのが利点です。ただし滑りやすく、製品によっては被覆を剥きにくいため、対応するワイヤーストリッパーを使います。被覆材は作業性と耐熱性の仕様で選びます。
用途別おすすめギター配線材8選
1. BELDEN 8503|迷ったときの基準
BELDEN 8503は、22AWG、7×30の撚り錫めっき銅、PVC被覆のフックアップワイヤーです。メーカー仕様が明確で、色分けしながら一般的なギター内部配線やエフェクター製作に使いたい人の基準になります。
2. Allparts Cloth Wire Kit|Fender系の布被覆
22ゲージの撚り線を黒と白で各3.5ft収めたセットです。ストラトキャスターやテレキャスターの配線を、push-back式の布被覆で補修したい場合に向きます。
3. Providence FW-800|国内流通のOFC線
白と青を使い分けられる内部配線用ケーブルです。音色の形容より、必要な長さ、色、端子への収まりを確認して選びます。
4. SONIC HW-02|黒白を分けたい配線
黒と白を色分けできるフックアップワイヤーです。既存配線の色を保ちながら補修したい場合や、ホットとグランドを見分けやすくしたい場合に候補になります。
5. MOGAMI 2514|柔軟な21AWG
MOGAMIの公式カタログでは、2514は19/0.18mm、0.483mm²、21AWG、外径1.7mmの内部配線用線材です。22AWGよりわずかに太いため、ポットやスイッチの端子へ無理なく収まるかを確認します。
6. Gavitt ブレイデッドシールド線|長いホット配線
22AWGの撚り芯線を編組シールドで囲む構造です。Gibson系の配線や、離れたトグルスイッチまで信号線を引く場面に向きます。外側の網線が端子や芯線へ触れないように処理します。
7. Montreux Vintage braided wire|1mで使うGavitt線
Montreux No.1011は、AWG30を7本撚ったAWG22のGavitt製ブレイデッドワイヤーとして案内されています。レスポール系の補修で1m単位を選びたい場合に扱いやすい製品です。
8. FEPテフロン線 0.3sq|被覆の耐熱性を優先
0.3sqはおおむね22AWGに近い導体断面積です。ギター専用品ではないため、導体構成、外径、被覆の剥き方を確認して使います。はんだ付け時の被覆変形を抑えたい用途に向きます。
BELDEN 8412の芯線を流用する必要はあるか
BELDEN 8412は、公式には20AWGの2芯、編組シールドを備えたマイクケーブルです。芯線だけを取り出して内部配線へ流用することはできますが、22AWGより太く、1本の被覆外径も約2.1mmあります。ギター内部で「解像度が上がる」とは公式仕様から判断できません。
すでに手元にあり、端子へ無理なく固定できるなら再利用できます。しかし、内部配線のために新品の8412を分解するより、8503などのフックアップワイヤーを使うほうが作業は簡単です。
交換前に確認する順番
- ノイズや音切れが再現する条件を確認する
- ジャック、スイッチ、ポットの緩みと接点を確認する
- 既存配線を写真に残し、導通と短絡を測る
- 必要な区間だけ交換し、変更前後を同じ条件で比較する
- 組み戻す前に全ポジションの音とノイズを確認する
グランド処理やハムノイズの切り分けは、次の記事で詳しく解説しています。
トーンの効き方を変えたい場合は、配線材よりポットやコンデンサーの値が直接的です。
はんだの選び方と作業時の注意点はこちらで確認できます。
ギターからアンプまでの外部ケーブルは長さと静電容量の影響が大きいため、内部配線とは分けて選びます。
よくある質問
- ギター内部配線は何AWGが使いやすいですか?
- 迷ったらAWG22前後が基準です。多くのギターで使われ、強度、取り回し、端子への収まりのバランスを取りやすい太さです。
- 単線と撚り線で音は変わりますか?
- 同じ材質、太さ、長さなら、構造だけで固有の音を断定できません。内部配線では、固定しやすい単線か、曲げやすく疲労へ強い撚り線かを作業条件で選びます。
- シールド線はすべての配線に必要ですか?
- 必須ではありません。長いホット配線や離れたスイッチへの配線で有効ですが、短い配線やシールド済みキャビティでは通常のフックアップワイヤーで足りる場合があります。
- 配線材の交換だけで音は大きく変わりますか?
- 大きく変わるとは限りません。劣化や接触不良の修復、配線長やシールドの変更では差が出ますが、正常な短い線を同等品へ替えた差は小さいことがあります。
まとめ
ギター内部配線材は、まずAWG22前後、端子へ収まる外径、曲げやすさ、被覆の耐熱性で選びます。一般配線はフックアップワイヤー、長いホット線はシールド線という役割分担が分かりやすい基準です。
線材のブランドや被覆へ固有の音色を割り当てる前に、断線、接点、はんだ、接地、配線長を確認してください。正しい接続と確実な導通を作ることが、配線材選びより先です。










