ジョン・フルシアンテさんのエフェクターで、最初に押さえたいのはBOSS DS-2、Ibanez WH10、BOSS CE-1の3台です。DS-2は強い歪み、WH10は広い周波数変化を持つワウ、CE-1はコーラスに加えてプリアンプと2台のアンプへの信号分岐を担いました。
2022年のアルバム制作では、BOSS SD-1またはDS-2に、Electro-Harmonix Big MuffやMXR Super Badass Variac Fuzzを重ねる方法を本人が説明しています。使った機材は時期によって変わるため、この記事では確認できた年代と用途を分けて紹介します。
ジョン・フルシアンテのエフェクター|先に結論
| 機材 | 確認できる時期・資料 | 本人またはテックが説明した役割 |
|---|---|---|
| BOSS DS-2 | 1990年代以降、2022年制作 | 強い歪み。2022年はSD-1と選択して使用 |
| Ibanez WH10 | 『Blood Sugar Sex Magik』以降、2022年 | 広い周波数範囲を持つ標準ワウ |
| BOSS CE-1 | 1990年代以降、2022年 | コーラス、プリアンプ、アンプ2台への信号分岐 |
| BOSS SD-1 | 2022年制作 | DS-2より歪みを抑えた力強い音 |
| Electro-Harmonix Big Muff | 2022年制作 | SD-1またはDS-2へ重ねるファズ |
| MXR Super Badass Variac Fuzz | 2022年制作 | ソロやバッキングへ加えたファズ |
| MXR M300 Reverb | 2022年リハーサル | 短いルーム系と長い残響を使い分けるリバーブ |
| MXR Dyna Comp | 2022年リハーサル | クリーンのサステインを補うコンプレッサー |
最初から多数のペダルをそろえる必要はありません。強いリードならDS-2、ワウを含むフレーズならWH10系、クリーンから歪みまで共通する音量・音域の変化を試すならCE-1のプリアンプに近い現行機から始めると、役割を聞き分けやすくなります。
この記事は根拠の強い代表機材を年代別に解説します。過去記事で扱ってきた47台にDyna Compを加えた48台は、歪み、揺れ、空間系、フィルターに分けた資料一覧へ残しています。
年代別に見るジョン・フルシアンテのエフェクター
『Blood Sugar Sex Magik』以降のWH10
ジョン・フルシアンテさんは2009年公開のインタビューで、Ibanez WH10を『Blood Sugar Sex Magik』以降の標準ワウと説明しています。同じインタビューでは、BOSS Turbo Distortionを継続的に使うこと、BOSS Chorus Ensembleを信号分岐に使うことも話しています。
参考 John Fruscianteインタビュー(英語サイト)Vintage Guitar原文:
“the Ibanez WH-10 is my standard wah since Blood Sugar Sex Magik.”日本語訳:「Ibanez WH-10は『Blood Sugar Sex Magik』以来、僕の標準ワウです」
2009年に本人が話したのは初期WH10です。WH10V2とWH10V3は後年に登場した別世代です。
1998年復帰後にテックが説明したCE-1とDS-2
元ギターテックのDave Leeさんは、CE-1を2台のMarshallへ信号を分けるために使い、CE-1のLEVELは強く弾いたときに少し歪み始める位置へ調整したと説明しています。DS-2も重要なペダルで、一時期はボードに2台載せていました。
参考 Dave Leeによるジョン・フルシアンテの機材解説(英語サイト)BOSS Articles原文:
“The BOSS CE-1 Chorus Ensemble is crucial to John’s sound. We used it to split the guitar signal to the two Marshall heads.”日本語訳:「BOSS CE-1 Chorus Ensembleはジョンの音に欠かせません。これでギター信号を2台のMarshallヘッドへ分けていました」
2022年の2作品で重ねた4台の歪み
2022年の『Unlimited Love』と『Return of the Dream Canteen』では、BOSS SD-1またはDS-2をオンにし、Big MuffまたはMXR Super Badass Variac Fuzzを重ねる方法を本人が説明しています。本人はこの4台をよく使ったと話していますが、曲ごとの組み合わせまでは覚えていないとも説明しています。
参考 ジョン・フルシアンテが語る2022年のサウンド・メイクギター・マガジンWEB同年4月のボードは、テレビ出演とライブ映像を基にした分析がギター・マガジン2022年6月号へ掲載されています。これは2022年4月前半の記録で、誌面でも6月以降のツアーでは構成が変わる可能性に触れています。
参考 ギター・マガジン2022年6月号 ジョン・フルシアンテ特集リットーミュージック2022年リハーサルのリバーブとコンプレッサー
2022年公開のリハーサル用ボードでは、MXRのリバーブを短いルーム系と長い残響に分け、Dyna Compをクリーンのサステインが欲しい場面に使用したと説明しています。アルバム本編のリバーブは実際の部屋の響きも使われており、リハーサル用ペダルの設定と録音結果は同一ではありません。
参考 2022年の本人インタビューとリハーサル用ボード(英語サイト)Guitar WorldDyna Compに関する原文:
“The Dyna Comp was just exactly what I needed.”日本語訳:「Dyna Compは、まさに自分が必要としていたものでした」
ジョン・フルシアンテの使用エフェクター
BOSS DS-2 Turbo Distortion
DS-2は、TURBO IとTURBO IIの2モードを持つディストーションです。BOSSの日本語公式情報では、TURBO IIは中域を前へ出したソロ向けの音として説明されています。
ジョン・フルシアンテさんの設定値は時期や曲で変わります。まずはTURBO IIでLEVELをバイパス音とそろえ、TONEとDISTを12時から動かすと、アンプとの音量差を判断しやすくなります。この数値は本人の公開設定ではなく、自宅で試奏を始めるための目安です。
参考 DS-2 TURBO DistortionBOSS私が所有する日本製と台湾製の音の印象や、DS-1との回路の違いは、BOSS DS-2の実機レビューで紹介しています。
比較するDS-1の音も知りたい方には、私が所有する銀ネジDS-1を2台比較したレビューもあります。初期個体の控えめな歪みや、DISTを抑えた使い方を紹介しています。
Ibanez WH10
WH10は、ジョン・フルシアンテさんが『Blood Sugar Sex Magik』以降の標準ワウと話した初期モデルです。ワウの位置によってフィードバックする音程を変えられることと、広い周波数範囲を本人が評価しています。
初期WH10と、後年のWH10V2、WH10V3は別世代です。2009年の本人発言は初期WH10についての説明です。
現行世代のIbanez WH10V3
WH10V3はGUITAR/BASSの周波数範囲切替、DEPTH、トゥルー/バッファード・バイパス切替を備えた現行世代です。初期WH10そのものではありませんが、新品でWH10系の操作を試せる候補です。
参考 WH10V3IbanezIbanez(アイバニーズ) トゥルー・バイパス・モードを備えた定番ワウペダル WH10V3
サウンドハウスで見るAmazon楽天市場Yahooショッピングメルカリで探す
BOSS CE-1 Chorus Ensemble
CE-1はコーラス/ビブラートとプリアンプを備えるヴィンテージ機です。Dave Leeさんの説明では、ジョン・フルシアンテさんのシステムでCE-1は2台のMarshallへの信号分岐にも使われました。
2n3565が所有するCE-1でも、エフェクトをオフにした状態で入力レベルに応じた音量・音域の変化を確認しています。ジョンの機材を考えるときは、揺れだけでなくLEVELを上げたプリアンプの変化も比較点になります。
CE-1プリアンプを試すBOSS BP-1W
BP-1WはCE-1とRE-201のプリアンプを基にしたモードを持つブースター/プリアンプです。CE-1のコーラスや2出力は備えないため、本人使用機の代替ではなく、プリアンプによる変化を現行品で試す候補です。
BOSS/BP-1W Booster/Preamp ボス ブースター プリアンプ BP1W 技 WAZA CRAFT 技クラフト 日本製
サウンドハウスで見るAmazon楽天市場Yahooショッピングメルカリで探す
CE-1のコーラス/ビブラートを試すBOSS CE-2W
CE-2WはSTANDARD、CE-1 CHORUS、CE-1 VIBRATOの3モードを備えます。CE-1のプリアンプや入力レベル調整は再現しないため、揺れを現行の小型ペダルで試す候補として分けて考えます。
BOSS/技WAZA CRAFT CE-2W Chorus ボス
サウンドハウスで見るAmazon楽天市場Yahooショッピングメルカリで探す
BOSS SD-1 Super OverDrive
SD-1は2022年の制作でDS-2と選択して使われました。本人はDS-2より歪みが少なく、力強い音を得られると説明しています。DS-2の強い歪みが必要ないバッキングや、アンプへ入る信号を上げたい場合に違いを試せます。
Electro-Harmonix Big Muff(2022年はモデル不明)
2022年の本人インタビューではBig Muffという名称まで挙げられています。SD-1またはDS-2へ重ねて使いましたが、筐体や回路世代は示されていません。
ファズの年代別候補とDS-2との役割の違いは、個別記事で詳しく整理しています。
現行のElectro-Harmonix Big Muff Pi
現行Big Muff PiはSUSTAIN、TONE、VOLUMEの3ノブを持つ標準モデルです。2022年の本人使用個体と同一仕様であることを示す資料はありませんが、Big Muff系の歪みをDS-2やSD-1と比較する出発点になります。
MXR Super Badass Variac Fuzz
Super Badass Variac Fuzzは、2022年の制作でソロだけでなくバッキングにも使用したと本人が説明しています。VOLTAGEで内部電圧を下げたような反応を作れますが、曲ごとの設定値は公開されていません。
MXR M236 Super Badass Variac Fuzz
サウンドハウスで見るAmazon楽天市場Yahooショッピングメルカリで探す
MXR M300 Reverb
2022年のリハーサル用ボードでは、MXRのリバーブを短いルーム系と長い残響に分けて使用していました。本人の発言はMXRのリバーブという範囲ですが、掲載写真と機材表ではM300が紹介されています。アルバム録音の実際の部屋の響きとは分けて考えます。
MXR Dyna Comp
2022年のリハーサル用ボードで、クリーンのサステインが欲しい場面に使用したと本人が説明しています。同資料にある製品名はDyna Compで、筐体の年代や派生モデルまでは示されていません。
現行のMXR M102 Dyna Comp
現行M102はOUTPUTとSENSITIVITYを備える同名モデルです。2022年の本人使用個体とは分け、クリーンのサステインとアタックの変化を試す現行候補として紹介します。
ジョン・フルシアンテのエフェクター接続順
Dave Leeさんが説明したCE-1の2アンプ分岐と、2022年に複数の歪みを重ねた方法は別年代の情報です。全時代を通した一つの固定配線ではありません。
少ない機材で役割を聞き分ける場合は、次の順から試せます。以下は本人の公開配線ではなく、各ペダルの変化を聞き比べるための試奏例です。
ギター → WH10V3 → SD-1またはDS-2 → Big Muff系 → BP-1W → アンプ
- WH10V3:歪みへ入る前の周波数を動かす
- SD-1/DS-2:基本の歪みを選ぶ
- Big Muff系:必要なときだけ歪みを重ねる
- BP-1W:最後にCE-1系プリアンプの音量・音域変化を試す
WH10を歪みの後ろへ移すと、ワウのピークが強く出る場合があります。本人の全時代共通の正解ではないため、アンプ音量を下げた状態から前後を比較してください。
ギターとアンプは何を使っていた?
2022年のGuitar World本人インタビューでは、『Unlimited Love』の中心となるギターは1962年製Fender Stratocaster、アルバムの大部分の音色に使ったアンプはMarshall Silver JubileeとMajorです。エフェクターだけを同じにしても、シングルコイルの反応、アンプの音量、ピッキングで結果は変わります。
| 時期・用途 | ギター | アンプ/接続 |
|---|---|---|
| 2022年『Unlimited Love』録音 | 1962年製Fender Stratocasterが中心 | Marshall Silver JubileeとMajorを主に使用 |
| Dave Leeさんが説明したCE-1システム | — | CE-1からMarshall MajorとSilver Jubileeへ分岐 |
| 「Readymade」「Fortune Faded」 | Gibson Les Paul | 3台目のSilver Jubileeへエフェクターを通さず接続 |
この表は同じ時期の固定構成ではありません。2022年の本人説明と、元機材担当者による過去のシステムの回想を分けて整理しています。
ギターに関する原文:
“my ’62 Strat”日本語訳:「僕の1962年製Stratocaster」
アンプに関する原文:
“Marshall Silver Jubilee and Major stacks”日本語訳:「Marshall Silver JubileeとMajorのスタック」
参考 『Unlimited Love』のギターとアンプ(英語サイト)Guitar World自宅では大音量のMarshallを再現するより、アンプをクリーンから軽いクランチへ設定し、DS-2、WH10、CE-1系プリアンプの順に役割を確認する方が調整しやすくなります。
ジョン・フルシアンテのエフェクターに関するFAQ
- ジョン・フルシアンテのエフェクターで最重要なのはどれですか?
- BOSS DS-2、Ibanez WH10、BOSS CE-1の3台が中心です。DS-2は歪み、WH10はワウ、CE-1は揺れに加えてプリアンプと信号分岐を担いました。
- ジョン・フルシアンテのDS-2を試すときは何モードから始めますか?
- 本人の全時代に共通する設定値は確認できません。強いリードを試す場合はTURBO IIでLEVELをバイパス音とそろえ、TONEとDISTを12時から調整すると変化を比較しやすくなります。
- Ibanez WH10V3は本人が昔から使ったWH10と同じですか?
- 同じ世代ではありません。本人が『Blood Sugar Sex Magik』以降の標準ワウと話したのは初期WH10です。WH10V3は現行の第3世代で、WH10系の操作を新品で試す候補です。
- BOSS CE-1の代わりに使える現行機はありますか?
- プリアンプの変化を試すならBOSS BP-1W、コーラスとビブラートを試すならBOSS CE-2Wが候補です。どちらもCE-1の全機能を1台で再現する製品ではありません。
- ジョン・フルシアンテのエフェクター接続順は分かりますか?
- 全時代と全曲に共通する完全な接続順は公開資料から確認できません。CE-1で2台のMarshallへ分岐したこと、2022年にSD-1またはDS-2へBig MuffやVariac Fuzzを重ねたことは確認できます。
まとめ
ジョン・フルシアンテさんのエフェクターは、DS-2、WH10、CE-1の3台から確認すると役割を理解しやすくなります。2022年の制作ではSD-1またはDS-2へBig MuffやSuper Badass Variac Fuzzを重ね、リハーサルではMXR ReverbとDyna Compも使われました。
機材数を増やす前に、DS-2の歪み、WH10の周波数変化、CE-1系プリアンプの音量・音域変化を1台ずつ比較すると、必要な機材を判断できます。










