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MAXON ST-9実機レビュー|TS9との違い・MID BOOST・ST9Pro+

MAXON ST-9 Super Tube Screamerは、TS系の歪みに独立したMID BOOSTを加え、中域の量と押し出しを積極的に変えられるオーバードライブです。 手元のヴィンテージ個体は、TS9より低域と歪みの存在感を出しやすく、アンプをプッシュする用途だけでなく、単体の歪みとしても使いやすく感じます。

先に結論
  • TS9との大きな違いは、独立したMID BOOSTで中域を調整できること
  • 手元の個体ではJRC4558Dを2基確認できる
  • 1983〜84年頃の短期生産、欧州向け販売という説明は複数の専門資料にあるが、現行の公式資料だけでは期間と地域を確定できない
  • 現行ST9Pro+はLOW BOOSTと内部9V/18V切替を追加した発展機
  • ST9Pro+へ外部18Vを直接入力する意味ではないため、指定の9V電源を使う

透明なオーバードライブが欲しい人より、TS系の中域を自分で追い込みたい人に向きます。ヴィンテージは個体差と整備状態の影響があるため、年代や部品名だけでなく実機の音と動作で判断してください。

MAXON ST-9とTS9の違い

ST-9はTS系を土台にしつつ、通常のDRIVE、TONE、LEVELにMID BOOSTを加えた4ノブ機です。MID BOOSTを上げると音量感と歪みの押し出しが増し、バッキングやソロを前へ出しやすくなります。

比較ST-9TS9
主な操作DRIVE、TONE、LEVEL、MID BOOSTDRIVE、TONE、LEVEL
中域MID BOOSTで量と効き方を調整TS系の中域特性を3ノブで調整
実機で感じる低域手元の個体では比較的残しやすい手元のヴィンテージTS9では締まりが強い
選ぶ理由中域をさらに作り込みたい定番のシンプルなTSサウンドが欲しい

「ST-9はTS9の上位機」と決めるより、MID BOOSTを含む別の音作りができる機種と考える方が実態に合います。TS9の年代別の違いと実機レビューは別記事で詳しく扱っています。

実機で感じる音

手元のST-9では、MID BOOSTを下げてもTS系らしい中域のまとまりがあり、上げるほどピッキングの輪郭とバイト感が強くなります。ヴィンテージTS9より低域を残しやすく、エフェクター単体でも歪み量を作りやすい点が、私がST-9を好む理由です。

TS9はチューブアンプを押すと気持ちよくまとまります。一方、私の機材でJC-120と組み合わせた場合は、TS9よりST-9の方がMID BOOSTで補正しやすく感じました。ただし、これは所有個体とセッティングでの比較です。すべてのTS9とJC-120の相性が悪い、またはST-9ならどのアンプにも必ず合うという意味ではありません。

用途最初の設定調整の考え方
アンプをプッシュDRIVE 9時、LEVEL 1〜2時MID BOOSTを少しずつ上げ、低音弦の詰まりを確認
リードDRIVE 11時、MID BOOST 12時抜けが足りなければMID BOOST、硬ければTONEを戻す
単体の歪みDRIVE 1〜2時、LEVELは同音量アンプの低域に合わせてMID BOOSTを調整

数値は固定の正解ではありません。まずON/OFFの音量をそろえ、DRIVEとMID BOOSTを別々に動かすと、それぞれが歪みと中域へ与える変化を判断しやすくなります。

基板で確認できるJRC4558D

以下はこの記事で以前から掲載している所有個体の内部写真です。基板上には「ST-9」の印字があり、JRC4558Dと読めるオペアンプを2基確認できます。

MAXON ST-9所有個体の内部基板と2基のJRC4558D

所有個体の基板。JRC4558Dを2基確認できます。

写真から確認できるのは、この所有個体の実装です。製造時期や販売地域が異なるすべてのST-9に、同じメーカー・同じロットの部品が使われているとは限りません。また、オペアンプの型番だけで音の優劣は決まりません。

製造年と欧州販売について

ヴィンテージST-9は「1983〜84年頃に短期間生産された」と説明されることが多く、Premier GuitarはIbanez ST9を1984年に欧州で短期間販売されたモデルとして紹介しています。別のヴィンテージ資料では1983年とする記録もあり、開始年の表記には揺れがあります。

参考 Green Giant: History of the Tube ScreamerPremier Guitar

年代・販売地域の扱い
1983〜84年頃の短期生産と欧州向け販売は有力な通説ですが、今回確認できた現行のメーカー公式ページは「1980年代のSuper Tube Screamer」とのみ説明しています。そのため、所有個体を1983年製と断定せず、1980年代のヴィンテージ個体として扱います。

底面ラベル、シリアル、ポットや部品のデートコードまで確認できれば年代推定の材料は増えますが、一つの表示だけで製造年を確定しない方が安全です。Tube Screamer全体の系譜は、TS808、TS9、TS10をまとめた記事で確認できます。

現行ST9Pro+との違い

ST9Pro+は、1980年代のSuper Tube Screamerを発展させたモデルです。旧北米正規代理店GodlykeのMaxon製品ページでは、808系を基にMID ENHANCE、LOW BOOST、内部9V/18V切替、トゥルーバイパスを加えた構成と説明されています。

項目ヴィンテージST-9ST9Pro+
中域調整MID BOOSTMID ENHANCE
低域切替なしCLASSIC/LOW BOOST
回路電圧掲載個体は9V仕様内部スイッチで9V/18V
バイパスヴィンテージ仕様メカニカルトゥルーバイパス
入手中古個体流通在庫・中古を確認

ST9Pro+は、9V入力を内部の電圧変換回路で18Vへ昇圧し、内部スイッチで回路電圧を切り替える設計です。外部18Vアダプターを直接接続する説明ではありません。 製品仕様にある9V電池または指定のMaxon ACアダプターを使い、現物の取扱説明書と極性を確認してください。

また、公式ページは起動時に約2,000mAの突入電流を必要とすると注意しています。一般的な出力電流だけを見て判断せず、パワーサプライで起動しない場合は高電流端子の対応可否を確認します。

参考 SUPER TUBE PRO PLUS (ST9Pro+)Maxon / Godlyke

以下は以前から掲載しているST9Pro+の試奏動画です。ヴィンテージST-9そのものの音源ではないため、LOW BOOSTや内部電圧切替を含む現行系の参考として見てください。

ヴィンテージST-9を中古で買うときの注意

ST-9は流通数が少なく、相場は状態、付属品、販売地域で変わります。「ヴィンテージTS9より必ず安い」とは限らないため、比較時点の実売価格で判断してください。

  • DRIVE、TONE、LEVEL、MID BOOSTを回してガリや音切れがないか
  • フットスイッチ、LED、入出力ジャックが安定して動くか
  • 電池端子に液漏れや腐食がないか
  • 基板や配線に修理・改造の痕跡があるか
  • 底面ラベル、シリアル、付属品と説明が一致するか
  • 出品者が年代を断定する根拠を示しているか

コレクション価値だけでなく、実際に使う音量でノイズと音痩せを確認します。修理歴があっても適切に整備された個体なら演奏用途では利点になり得ますが、オリジナル状態を重視する場合は交換部品を確認してください。

ST-9以外のTS系を価格、機能、用途から比べたい場合は、現行機を含む比較記事へ進めます。

FAQ

MAXON ST-9とTS9の違いは何ですか?
ST-9は通常のDRIVE、TONE、LEVELに独立したMID BOOSTを加えた4ノブ機です。TS系の中域をさらに調整でき、所有個体ではTS9より低域と歪みの存在感を作りやすく感じます。
ヴィンテージST-9は1983年製ですか?
1983〜84年頃の短期生産とする専門資料がありますが、開始年の表記には揺れがあります。現行のメーカー資料は1980年代とのみ説明しているため、底面ラベルやデートコードを確認せず個体の製造年を断定しない方が安全です。
ST9Pro+には18Vアダプターを接続できますか?
公式説明は、9V入力を本体内部で18Vへ昇圧し、内部スイッチで回路電圧を切り替える仕様です。外部18V入力を意味しません。9V電池または指定のMaxon ACアダプターを使い、現物の取扱説明書を確認してください。

まとめ

MAXON ST-9は、TS系の基本サウンドへMID BOOSTを加え、中域の押し出しを積極的に作れるSuper Tube Screamerです。所有個体ではヴィンテージTS9より低域と歪みを残しやすく、JC-120でも調整しやすいと感じますが、これは実機比較での評価です。

ヴィンテージの年代・販売地域は有力な記録と未確定部分を分け、購入時は現物の状態を優先します。現行系のST9Pro+を選ぶ場合はLOW BOOSTと内部9V/18V切替が利点ですが、外部電源は指定の9V仕様を守ってください。