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MAXON ST-9実機レビュー|TS9との違い・MID BOOST・ST9Pro+

正式表記のMAXON ST9 Super Tube Screamerは、TS系の歪みに独立したMID BOOSTを加え、中域の量と押し出しを積極的に変えられるオーバードライブです。 手元のヴィンテージ個体は、TS9より低域と歪みの存在感を出しやすく、アンプをプッシュする用途だけでなく、単体の歪みとしても使いやすく感じます。

先に結論
  • TS9との大きな違いは、独立したMID BOOSTで中域を調整できること
  • 手元の個体ではJRC4558Dを2基確認できる
  • 生産期間と販売地域の細かな表記には資料差があり、所有個体は1980年代のST-9として扱う
  • 現行ST9Pro+はLOW BOOSTと内部9V/18V切替を追加した発展機
  • ST9Pro+へ外部18Vを直接入力する意味ではないため、指定の9V電源を使う

透明なオーバードライブが欲しい人より、TS系の中域を自分で追い込みたい人に向きます。ヴィンテージは個体差と整備状態の影響があるため、年代や部品名だけでなく実機の音と動作で判断してください。

MAXON ST-9とTS9の違い

ST-9はTS系を土台にしつつ、通常のDRIVE、TONE、LEVELにMID BOOSTを加えた4ノブ機です。MID BOOST回路は入力バッファーの後、クリッピング段の前に置かれています。中心周波数を移動するパラメトリックEQではなく、低中音域から高中音域にかけて広くブーストする量を調整します。

比較ST-9TS9
主な操作DRIVE、TONE、LEVEL、MID BOOSTDRIVE、TONE、LEVEL
中域クリッピング前の広い中域ブースト量を調整TS系の中域特性を3ノブで調整
実機で感じる低域手元の個体では比較的残しやすい手元のヴィンテージTS9では締まりが強い
選ぶ理由中域をさらに作り込みたい定番のシンプルなTSサウンドが欲しい

ST-9はTS9の上位版ではなく、MID BOOSTを備えた別モデルです。TS9の年代別の違いと実機レビューは別記事で詳しく扱っています。

実機で感じる音

手元のST-9では、MID BOOSTを下げてもTS系らしい中域のまとまりがあり、上げるほどピッキングの輪郭とバイト感が強くなります。ヴィンテージTS9より低域を残しやすく、エフェクター単体でも歪み量を作りやすい点が、私がST-9を好む理由です。

TS9はチューブアンプを押すと気持ちよくまとまります。一方、私の機材でJC-120と組み合わせた場合は、TS9よりST-9の方がMID BOOSTで補正しやすく感じました。ただし、これは所有個体とセッティングでの比較です。すべてのTS9とJC-120の相性が悪い、またはST-9ならどのアンプにも必ず合うという意味ではありません。

用途最初の設定調整の考え方
アンプをプッシュDRIVE 9時、LEVEL 1〜2時MID BOOSTを少しずつ上げ、低音弦の詰まりを確認
リードDRIVE 11時、MID BOOST 12時抜けが足りなければMID BOOST、硬ければTONEを戻す
単体の歪みDRIVE 1〜2時、LEVELは同音量アンプの低域に合わせてMID BOOSTを調整

数値は固定の正解ではありません。まずON/OFFの音量をそろえ、DRIVEとMID BOOSTを別々に動かすと、それぞれが歪みと中域へ与える変化を判断しやすくなります。

基板で確認できるJRC4558D

以下はこの記事で以前から掲載している所有個体の内部写真です。基板上には「ST-9」の印字があり、JRC4558Dと読めるオペアンプを2基確認できます。

MAXON ST-9所有個体の内部基板と2基のJRC4558D

所有個体の基板。JRC4558Dを2基確認できます。

写真から確認できるのは、この所有個体の実装です。製造時期や販売地域が異なるすべてのST-9に、同じメーカー・同じロットの部品が使われているとは限りません。また、オペアンプの型番だけで音の優劣は決まりません。

製造時期を確認するポイント

ヴィンテージST-9は1980年代のSuper Tube Screamerです。生産期間と販売地域の細かな表記には資料差があるため、所有個体は筐体、ラベル、基板、部品を合わせて確認します。

年代の扱い
所有個体は1980年代のST-9として扱います。生産年は、底面ラベル、シリアル、基板、複数部品のデートコードを合わせて確認します。

底面ラベル、シリアル、ポットや部品のデートコードまで確認できれば年代推定の材料は増えますが、一つの表示だけで製造年を確定しない方が安全です。Tube Screamer全体の系譜は、TS808、TS9、TS10をまとめた記事で確認できます。

現行ST9Pro+との違い

ST9Pro+は、1980年代のSuper Tube Screamerを基に、MID ENHANCE、LOW BOOST、内部9V/18V切替、トゥルーバイパスを加えた発展機です。

項目ヴィンテージST-9ST9Pro+
中域調整MID BOOSTMID ENHANCE
低域切替なしCLASSIC/LOW BOOST
回路電圧掲載個体は9V仕様内部スイッチで9V/18V
バイパスヴィンテージ仕様メカニカルトゥルーバイパス
入手中古個体流通在庫・中古を確認

ST9Pro+は、9V入力を内部の電圧変換回路で18Vへ昇圧し、内部スイッチで回路電圧を切り替える設計です。外部18Vアダプターを直接接続する説明ではありません。 製品仕様にある9V電池または指定のMaxon ACアダプターを使い、現物の取扱説明書と極性を確認してください。

以下は以前から掲載しているST9Pro+の試奏動画です。ヴィンテージST-9そのものの音源ではないため、LOW BOOSTや内部電圧切替を含む現行系の参考として見てください。

ヴィンテージST-9を中古で買うときの注意

ST-9は流通数が少なく、相場は状態、付属品、販売地域で変わります。「ヴィンテージTS9より必ず安い」とは限らないため、比較時点の実売価格で判断してください。

  • DRIVE、TONE、LEVEL、MID BOOSTを回してガリや音切れがないか
  • フットスイッチ、LED、入出力ジャックが安定して動くか
  • 電池端子に液漏れや腐食がないか
  • 基板や配線に修理・改造の痕跡があるか
  • 底面ラベル、シリアル、付属品と説明が一致するか
  • 出品者が年代を断定する根拠を示しているか

コレクション価値だけでなく、実際に使う音量でノイズと音痩せを確認します。修理歴があっても適切に整備された個体なら演奏用途では利点になり得ますが、オリジナル状態を重視する場合は交換部品を確認してください。

ST-9以外のTS系を価格、機能、用途から比べたい場合は、現行機を含む比較記事へ進めます。

FAQ

MAXON ST-9とTS9の違いは何ですか?
ST-9はDRIVE、TONE、LEVELにMID BOOSTを加えた4ノブ機です。MID BOOSTは入力バッファー後・クリッピング前で、広い中域のブースト量を調整します。
ヴィンテージST-9は何年代のモデルですか?
1980年代のSuper Tube Screamerです。個体の製造年は、底面ラベル、シリアル、基板、複数部品のデートコードを合わせて確認します。
ST9Pro+には18Vアダプターを接続できますか?
ST9Pro+は、9V入力を本体内部で18Vへ昇圧し、内部スイッチで回路電圧を切り替える仕様です。外部18V入力には対応しません。9V電池または指定のMaxon ACアダプターを使い、現物の取扱説明書を確認してください。

まとめ

MAXON ST-9は、TS系の基本サウンドへMID BOOSTを加え、中域の押し出しを積極的に作れるSuper Tube Screamerです。所有個体ではヴィンテージTS9より低域と歪みを残しやすく、JC-120でも調整しやすいと感じますが、これは実機比較での評価です。

ヴィンテージの年代・販売地域は有力な記録と未確定部分を分け、購入時は現物の状態を優先します。現行系のST9Pro+を選ぶ場合はLOW BOOSTと内部9V/18V切替が利点ですが、外部電源は指定の9V仕様を守ってください。