BOSS DD-20は、多機能な大型ディレイの中でも、基本の音作りがかなりシンプルだと思う一台です。 一世を風靡した「GIGA DELAY」。すでに販売は終了していますが、気に入って使い続ける人がいるのも分かります。
大型のデジタルディレイというと、機能が多すぎて使いこなせないと感じるかもしれません。DD-20は、まずモードを選び、時間・繰り返し・音量を合わせれば使い始められます。すべての機能を覚える前に、普段使うディレイを一つ作れるところが、私には魅力です。

DD-20の操作面。ディレイの時間を液晶で確認でき、音量・繰り返し・音色にはそれぞれ専用のノブがあります。
大きくても、基本の操作は分かりやすい
私がDD-20をシンプルだと思う理由は、普段触る項目が表に出ていることです。音を変えたいときに、まずどのノブへ手を伸ばすかが分かります。
| ノブ | 調整するもの |
|---|---|
| MODE | ディレイの種類 |
| DELAY TIME | 音が返ってくるまでの時間 |
| F.BACK | 繰り返しの量 |
| E.LEVEL | ディレイ音の音量 |
| TONE | ディレイ音の明るさ |
例えば、余韻が長く残りすぎるならF.BACK、原音よりも反復音が目立つならE.LEVELを下げます。同じ「かかりすぎ」でも、繰り返しと音量を分けて調整できると、欲しい音へ近づけやすいです。
TONEは、ディレイ音の高域を調整します。原音のアタックを残しながら反復音をなじませたい場合に使えます。なお、録音を重ねるSOSモードではF.BACKとTONEは働きません。
細かな設定では長押しなども使いますが、最初からそこまで覚える必要はありません。まずSTANDARDで、ノブを動かしたときの違いをつかむのが分かりやすいと思います。
参考 DD-20取扱説明書・各部の働き(16〜18ページ)BOSS2003年登場の、メモリー付きデジタルディレイ
DD-20は2003年に登場したBOSSのツイン・ペダルです。BOSSの公式回顧記事でも、多機能なディレイをペダルで使いたい奏者に支持された製品として紹介されています。
参考 BOSSディレイ・ペダルの歴史・2003年DD-20BOSS| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方式 | デジタルディレイ |
| ディレイ時間 | 最長23秒。設定範囲はモード等で異なります |
| モード | 11種類 |
| 保存できる設定 | 4メモリー。別にMANUALがあります |
| 入出力 | ステレオ入力・出力、PHONES、CTL PEDAL |
| 電源 | DC9V、単3乾電池6本または指定ACアダプター |
| 消費電流 | 最大200mA |
| 外形寸法 | 幅173×奥行158×高さ57mm |
| 質量 | 1.2kg |
最長23秒という仕様は目を引きますが、私が紹介したいのは、普段の短いディレイや曲に合わせた反復を作りやすいことです。長い時間を使い切ることが、このペダルを使いこなす条件ではありません。
参考 DD-20 GIGA DELAY・仕様と販売完了の案内BOSSまずはSTANDARD、慣れたら音色を変える
11モードを一度に使うよりも、普通の反復音を作ってから、曲に合わせて変えると選びやすいです。
| モード | 試したい方向 |
|---|---|
| STANDARD | まずは時間と繰り返しを合わせる基本のディレイ |
| ANALOG/TAPE | アナログディレイやテープエコーの音色を取り入れる |
| SMOOTH/MODULATE | 残響の広がりや、揺れを加える |
ほかに、2種類の時間を組み合わせるDUAL、左右に反復音を振り分けるPAN、逆再生効果のREVERSE、特殊な効果を作るTWISTとWARP、録音を重ねるSOSがあります。
ANALOGはDM-2、TAPEはRE-201をモデリングした音色です。 DD-20の中にBBDやテープが入っているという意味ではありません。デジタル方式で、異なるタイプのディレイを選べます。
私が所有するDM-2後期型では、短いディレイをリバーブ代わりに使うこともあります。実際のアナログ機の使い方や内部については、こちらで紹介しています。
最初の音作りは、この順番で
最初に試すなら、私なら次のように設定します。以下は音の違いを覚えるための出発点です。
ここまでで普段使いの音が一つできます。そのあとにMODEをANALOGやTAPEへ変えてみると、機能の数を覚えるよりも、必要な音色を選ぶ感覚で使えると思います。
4つのメモリーとタップテンポが便利
DD-20は、作った設定を4つ保存できます。例えば、短い余韻、ソロ用、テンポに合わせた反復というように用途を分ければ、曲ごとにノブを合わせ直す手間を減らせます。これは私ならこう使う、という保存方法の例です。
MANUALは保存枠とは別です。さらに、メモリー切り替えやエフェクトOFFの際にディレイ音を残せるので、フレーズの余韻をつなぎたい使い方にも向いています。
タップテンポは、拍に合わせて操作し、ディレイの間隔を決める機能です。本体のTAPボタンに加え、右のMEMORY/TAPペダルでも操作できます。右ペダルはメモリー操作とタップ入力を切り替えて使うため、常にタップ専用ではありません。ペダル・モードによってメモリーの呼び出し方も変わります。
足元での切り替えと保存操作は、公式説明書の「操作方法」を一度確認しておくと安心です。
参考 DD-20取扱説明書・メモリーとペダル操作(10〜15ページ)BOSS接続端子と、中古で確認したいところ

背面にはステレオ入出力が並びます。モノラル接続ではINPUTとOUTPUTのA(MONO)を使います。画像引用:BOSS DD-20公式製品ページ。
まずギターとアンプ一台で使うなら、A(MONO)側から始められます。ステレオ入出力や外部ペダル端子は、必要な使い方が出てきてから広げれば十分です。
気になるのは設置面積です。幅173mmの本体に加え、背面のプラグを差す空間も必要です。小さなボードへ詰め込みたい人は、音や機能だけでなく、置き場所を先に確認したいところです。
中古で選ぶなら、次を確認します。DD-20に必ず起きる故障という意味ではなく、この機種の操作を一通り試すための項目です。
- DELAY TIMEを回したときに数値が追従し、押しながら回す操作もできるか。
- 左右のペダル、WRITE/SELECT、TAP/TEMPOが反応するか。
- メモリーへ保存した設定を呼び出せるか。
- 液晶とバックライト、使用する入出力に問題がないか。
- 電池室に液漏れ跡がなく、指定に合う電源で動作するか。
weedのモディファイ品について
DD-20には、weedのモディファイ品があったという記憶もあります。私の記憶では電解コンデンサの交換が中心でしたが、交換箇所や、そのほかの変更まで確認した話ではありません。「電解コンデンサを交換しただけ」とは言い切らず、改造品を選ぶ際は、個体に付属する仕様書や作業内容を確かめたいです。
DD-20が合う人、別の選び方が合う人
ノブで音を作り、気に入った設定をいくつか保存したい人には、DD-20の分かりやすさが魅力になると思います。 多機能なディレイに苦手意識があっても、まずSTANDARDだけを使うところから始められます。
一方、できるだけ小さくまとめたい人や、数多くの設定を曲ごとに呼び分けたい人は、本体サイズと4メモリーで足りるかを考えたいです。ほかの機種も用途で比較するなら、デジタルディレイのまとめ記事へどうぞ。
BOSS DD-20の音を動画で確認する
こちらは青キャスさんによるDD-20のレビュー動画です。モードを変えたときの反復音を聴き、自分ならどの音を使いたいかを考える参考になります。
よくある質問
- BOSS DD-20は廃盤ですか?
- はい。BOSS公式では販売完了と案内されています。中古で選ぶ際は、ペダルとノブの反応、液晶、メモリー保存、入出力、電池室の状態を確認したいです。
- DD-20は操作が難しいですか?
- 基本の音作りは、モードを選び、時間・繰り返し・音量・音色を専用ノブで調整できます。まずMANUALとSTANDARDで一つの音を作ると、機能を少しずつ覚えられます。
- 設定はいくつ保存できますか?
- 4つのメモリーに保存でき、別にMANUALがあります。右ペダルはメモリー操作とタップ入力を切り替えて使い、呼び出し方はペダル・モードによって異なります。
- ANALOGモードはアナログ回路ですか?
- DD-20はデジタルディレイです。ANALOGはDM-2をモデリングした音色で、BBD式のアナログディレイそのものが内蔵されているという意味ではありません。
多機能を、必要なところから使える一台
DD-20は、機能を全部覚えるまで楽しめないペダルではありません。まず一つのモードで音を作り、必要になったらメモリーやタップテンポを使う。その入りやすさが、私がこの大型ディレイをシンプルだと感じる理由です。
廃盤になった今でも、ノブを触って音を作る分かりやすさには魅力があります。機能の多さに身構えていた人にも、基本のディレイから試してみてほしい一台です。


