ジャック・ピアソンは、私が一番好きなギタリストです。 これから彼の演奏に触れるなら、ギターの音色に加えて、一音の強弱とフレーズの間にも耳を向けてほしいです。ブルースの力強さ、ジャズの滑らかな旋律、スライドの歌い回しを知ると、音作りで目指すものも見えてきます。
彼の音へ近づくために、私ならまず、軽く弾いた音と強く弾いた音の違いが残る設定を作ります。そこから弾く位置、ピックの当て方、ギターのボリュームを変えていきます。歪みの量を決める前に、手元でどこまで表情を変えられるかを確かめたいです。
ジャック・ピアソンはどんなギタリスト?
ジャック・ピアソンは、米国テネシー州ナッシュビル出身のギタリストで、歌手、ソングライター、セッションミュージシャンでもあります。ブルースとロックに加え、ジャズ、カントリー、アコースティックの演奏にも深い背景があります。

演奏中のジャック・ピアソン。弦へ触れる右手と、音程やビブラートを作る左手に注目したい一枚です。 画像引用:Jack Pearson公式 Photos(英語)
少年時代に兄からギターを教わり、デュアン・オールマンやディッキー・ベッツ、B.B.キング、ウェス・モンゴメリーなど、多様な演奏家から学んできました。公式の経歴では、ギタリストだけでなく、ピアノや管楽器の演奏家からも影響を受けたことが紹介されています。
any musician that spoke with their instrument
日本語訳:楽器を通じて語りかける、あらゆるミュージシャン。
参考 ジャック・ピアソンの生い立ちと音楽的背景(英語)Jack Pearson公式1993年にはディッキー・ベッツの代役としてオールマン・ブラザーズ・バンドのツアーに参加し、1997〜1999年には正式メンバーとして活動しました。この経歴から知る人も多いと思いますが、ソロでは歌ものから長い即興演奏まで楽しめます。
from 1997 to 1999
日本語訳:1997年から1999年まで。
参考 オールマン・ブラザーズ在籍時の経歴(英語)Premier Guitar・2018年12月18日音の特徴は、タッチ・歌い回し・フレーズの間
滑らかな演奏を支える、細かなタッチの使い分け
ジャックの演奏を音作りの参考にするなら、まず右手へ注目したいです。2012年の『Flatpicking Guitar Magazine』の取材では、ピックの持ち方、角度、弦への当て方、関節の動きまで練習し、欲しい音に応じて変えていることが紹介されています。
同じ音を弾くにも、ピックを深く当てるか浅く当てるかで、音の出だしは変わります。アンプの高音を下げる前にピックの角度を変えれば、音量を大きく変えずに耳へ当たる感触を調整できる場合があります。私なら、単音を繰り返しながらその違いを探します。
ブルースとジャズをつなぐ、間の取り方
同じ取材では、昔のジャズ奏者がソロに残す空間と、スウィングする感覚への好みも語られています。速いフレーズを覚えるだけでは、こうした音楽の運び方を取りこぼしてしまいます。
Playing is not practice.
日本語訳:演奏することと、練習することは違います。
参考 ジャック・ピアソン取材記事・タッチと練習方法(英語PDF、誌面8〜9ページ)Flatpicking Guitar Magazine・2012年1/2月号例えばブルースの伴奏で練習するなら、短いフレーズを弾いたあとに一拍休み、次のコードを聞いてから返してみます。コードが変わるところで、そのコードに含まれる音へ着地すると、伴奏とメロディーの関係を確かめやすくなります。これは彼の音楽性を手元の練習へ取り入れるための提案です。
標準チューニングでも歌うスライド
2018年の『Premier Guitar』の記事では、標準チューニングでのスライド演奏も紹介されています。スライド専用のオープンチューニングだけを前提にせず、普段の指板で歌えるところも、彼を学ぶ面白さです。
slide excursions in standard tuning
日本語訳:標準チューニングで繰り広げるスライド演奏。
参考 標準チューニングでのスライド演奏について(英語)Premier Guitar私なら、標準チューニングでは次の順番で試します。
太い弦や高い弦高への変更を急ぐより、普段のギターで雑音と音程を確認するところから始めたいです。押し付けすぎるとフレットへ当たるため、スライドを支える力加減もゆっくり確かめます。
使用機材から分かる音作りの考え方
ここでは、音作りの参考になるギター、アンプ、オーバードライブに絞ります。本人の機材は時期や録音によって異なり、以下は確認できた使用例です。
| 機材 | 音作りで注目したい点 |
|---|---|
| Squierのストラトキャスター | 価格や交換部品に先立って、個体の反応を確かめる |
| VVT Jack Pearson Signature | 強弱に反応し、強く弾くと少し圧縮される感触 |
| Ibanez TS9 Tube Screamer | 必要な場面で歪みを補う |
Squierのストラトキャスター
Squierを使う姿はジャックを語るうえで外せません。2018年の取材では、店頭で複数の個体を弾いて選ぶことや、ピックアップは純正のままで、一部のポットは交換したことを本人が説明しています。
高価なピックアップへ交換することを出発点にしていないのが興味深いところです。自分のギターでも、軽く弾いた音が出るか、強く弾いても音程や輪郭が崩れないかを、まず確かめたいです。
一方、同じ取材ではSGやG&Lなどの使用歴にも触れています。「Squierだけで成立する音」と決めつけるより、異なるギターでも自分の音楽を形にする奏者として捉える方が、音作りの参考になります。
Are you using the stock pickups?
Yeah.
日本語訳:「純正のピックアップを使っていますか?」「はい。」
参考 ジャック・ピアソン本人インタビュー・経歴と使用機材(英語)Premier Guitar・2018年12月18日VVT Jack Pearson Signature
VVTにはジャックのシグネチャーアンプがあり、メーカー掲載仕様は40W、15インチスピーカー一発のコンボです。本人のコメントには、強く弾いたときの圧縮感への言及があります。

VVT Jack Pearson Signature。15インチスピーカーを一発搭載したコンボで、ジャックのタッチに応えるアンプとして紹介されています。 画像引用:VVT Amps公式(英語)
It has dynamics, and it compresses a little bit when I push it hard.
日本語訳:強弱の表現力があり、強く弾き込むと少しコンプレッションがかかります。
参考 Jack Pearson Signatureの仕様と本人コメント(英語)VVT Amps私なら、この反応をアンプ選びや設定の基準にします。弱く弾けばすっと音が出て、強く弾いたときには少し歪みと粘りが増す。最初から歪みを深くすると強弱の差を聞き取りにくいため、クリーンから軽いクランチの範囲を探します。
メーカーが紹介している2014年のStation Innでの演奏映像です。フレーズの途中で強さや音の長さがどう変わるかに注目して聴いてみてください。
Ibanez TS9 Tube Screamer
Ibanez(アイバニーズ) Tubescreamer TS9
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2018年の『Premier Guitar』掲載機材にはTS9が含まれ、本人も曲に応じたオーバードライブの使用を話しています。上のVVT公式演奏動画の説明欄でも、TS9の使用が確認できます。
Jack is using his Squier Strat, TS9
日本語訳:ジャックは自身のSquier Strat、TS9を使用しています。
出典:VVT Amplifiersによる演奏動画の説明欄(英語)。曲に必要な歪みをエフェクターで補うことも、彼の音作りの一部です。
手持ちのクリーンアンプへ歪みを補うなら、TS9は試せる一台です。私ならDRIVEを低めにし、TONEで高音の当たりを合わせ、LEVELはまずON/OFFの音量差が小さい位置にします。中域の押し出しが強すぎる場合は、歪みを足し続けず、一度OFFの音と比べます。
以下はTS9単体の音を確認するための動画です。ジャック本人の演奏・設定を示すものではありません。
私が所有する1982年製TS9は別の記事で紹介しています。ジャックの使用個体の製造年や仕様と同一だという意味ではありませんが、TS9の音を掘り下げたい場合はこちらも参考になります。
手持ちのギターとアンプで試す音作り
ここからは、本人の設定値を再現するのではなく、タッチと強弱を聞き取りやすくするために私が提案する手順です。アンプにすでに軽い歪みがあれば、オーバードライブを足す前にその音を使います。
音が硬ければ、ピックの当て方とギターのトーンを先に確認します。低い弦が膨らむならアンプのBASSを下げます。音が伸びないときは、ゲインを上げる前に左手で弦を止めていないか、ビブラートで音程を大きく動かしすぎていないかも確かめます。
まず聴くなら『Live』から
ジャックをこれから聴く方には、入口として2枚組の『Live』を紹介したいです。公式ページでは、歌、ギター、B3オルガン、ドラムによる演奏と、長い即興を楽しめる作品として案内されています。

2枚組『Live』の収録曲と演奏時間。10分を超える曲もあり、短いフレーズから長い即興へどう展開するかを聴く入口になります。 画像引用:Jack Pearson公式 Live(英語)
Solid arrangements with improvisation and extended jams to enjoy.
日本語訳:しっかりしたアレンジに、即興と長いジャムを楽しめます。
参考 Live・作品紹介と試聴(英語)Jack Pearson公式公式ページには「I Can Fix It」「Do What’s Right」「Right Where We Belong」などの試聴があります。最初は音色、次はリズム、もう一度聴くときには休符というように、聴く対象を変えると練習へつなげやすくなります。
演奏へ取り入れるなら、長いソロを一度に覚えるより、好きな短いフレーズを一つ選びます。音の高さだけでなく、どこを強く弾き、どの音を長く残すかまで確かめてから、自分のアンプで弾きます。
よくある質問
- ジャック・ピアソンはどんなギタリストですか?
- ナッシュビル出身のギタリスト、歌手、ソングライターです。オールマン・ブラザーズ・バンドでも活動し、ブルース、ジャズ、スライドなど多様な演奏に背景があります。
- ジャック・ピアソンの音作りは何から始めればよいですか?
- 私なら、弱く弾く音と強く弾く音の違いが残るクリーンから軽いクランチを作ります。ピックの角度、ギターのボリュームとトーンを変え、短いフレーズで確かめます。
- Squierのピックアップを交換していますか?
- 2018年のインタビューでは、本人がSquierのピックアップは純正と回答しています。一部のポット交換にも触れていますが、すべての使用個体や時期に共通する仕様とは扱いません。
- エフェクターは使わないのですか?
- オーバードライブを使う例があります。2018年の取材では曲に応じた使用を話しており、掲載機材にはIbanez TS9も含まれています。
- スライドは標準チューニングでも練習できますか?
- はい。ジャックにも標準チューニングでのスライド演奏例があります。最初は一本の弦で音程を合わせ、鳴らさない弦をミュートするところから試します。
私が音作りで大切にしたいこと
私が一番好きなジャック・ピアソンを紹介するうえで、機材と一緒に伝えたいのは、音を出す手元とフレーズの関係です。同じギターでも、弾き始める強さ、伸ばす長さ、音を止める場所を変えると、メロディーの聞こえ方が変わります。
まずは手持ちのギターで、軽く弾いた一音を聴く。次に少し強く弾き、最後に短いフレーズへつなげる。私なら、その違いが自然に出る設定を作るところから始めます。


