私のMaxon D&S OD-801は、音の勢いが強く、日本のヴィンテージ・ファズを思わせる1台です。 Big Muff系の歪みが好きで、音痩せが少し気になる人にも試してほしいと思っています。
所有しているのは、四角い金属製のフットスイッチを備えた、通称「キャラメルスイッチ」型です。D&Sにはさまざまな時期のモデルがありますが、この形は私には少し珍しく感じられます。音だけでなく、この外観にも惹かれるものがあります。

キャラメルスイッチ型のD&S OD-801
D&SはDistortion & Sustainerの略です。古い小型筐体のモデルや、写真のように大きな筐体と角型スイッチを備えたモデルなど、外観と回路に違いがあります。今回紹介するのは、前面に「D&S」「OD-801」と書かれたヴィンテージ個体です。
| 見るところ | 所有個体の特徴 |
|---|---|
| 本体表記 | Maxon D&S OD-801 |
| スイッチ | 四角い金属製のキャラメルスイッチ |
| 調整 | DISTORTION・TONE・LEVEL |
| 音の印象 | 勢いのある強烈な歪み、ファズのような感触 |
| オフ時 | バッファを通る方式 |
Big Muff研究者のKit Raeさんは、角型スイッチのD&Sを1979〜1982年ごろの世代として整理しています。写真の個体について製造年を絞るには、底面や内部の製造情報も必要です。中古で探すときは「D&S」という名前に加えて、筐体、スイッチ、OD-801の表記を見比べると分かりやすいです。
“a new enclosure, a square button”
日本語訳:「新しい筐体と、四角いボタン」
参考 Maxon D&Sの世代と外観の記録(英語)The Big Muff Page似た名前のD&S IIにはOD-802という別のモデルがあります。D&S OD-801を探す際は、この型番の違いも確認してください。D&S II OD-802の実機記録はこちらにあります。
音は強烈。ジャパンヴィンテージ・ファズのような感触
私がこのD&Sで気に入っているのは、音の勢いです。ディストーションという名前から想像するより、ファズとして捉えたほうが、自分の感覚には近いです。日本のヴィンテージ・ファズらしいニュアンスがあり、思い切り歪ませた音を楽しみたいときに使いたくなります。
ゆらゆら帝国のような荒々しいファズ・サウンドが好きな人には、かなりおすすめしたい1台です。さらに、ジョン・フルシアンテさんやデヴィッド・ギルモアさんの音をイメージして、強く歪んだギター・サウンドを作りたい人にも試す価値があると思います。
ここで挙げたアーティスト名は、D&Sを使った音作りの提案です。3者がこのOD-801を使用したという意味ではありません。
角型スイッチの実演動画
今堀良昭さんによる、同じ角型スイッチのD&S OD-801の実演です。動画内の使用機材は概要欄でD’pergoのギターと1967年製Fender Pro Reverbと説明されています。私の所有個体とは別の実機による演奏です。歪み方を知る参考として聴いてください。
Big Muffとの関係は?
この時期のD&Sは、Big Muff系の回路をもつエフェクターとして捉えられます。 Kit Raeさんは、自身の角型スイッチ個体の配線を追って回路図を作成し、歪みの回路とBig Muffの関係を説明しています。
“This is a trace of my square button version”
日本語訳:「これは私の角型ボタン版から配線を追ったものです。」
参考 角型スイッチのD&S/OD-801の回路解析(英語)The Big Muff Pageその解析では、Ram’s Head期のBig Muffとの共通点と、トーン回路の経路の違いが示されています。掲載された回路図は歪み部分を比較するためのもので、電子スイッチ部分は省かれています。
また、実機を扱ったPEDAL SHOP CULTの解説でも、大きい筐体のOD-801について、Big Muff系の音と、トーン回路・入出力バッファの違いに触れています。単に形を変えただけでなく、音の調整や接続の仕方にも違いがある点がおもしろいところです。
参考 OD-801 D&S Large Caseの実機解説PEDAL SHOP CULT
Big Muff自体にも年代やモデルによる違いがあります。「Big Muffの音」をひとつにまとめて比較するより、自分が好きなモデルのどこを気に入っているのかを考えると、D&Sを試すときも音を比べやすくなります。
音痩せと、オフ時のバッファについて
私がD&Sをおすすめしたいのは、Big Muff系の歪みが好きでありつつ、接続したときの音痩せが気になる人です。ただし、歪ませた音の低音域や中音域が物足りないことと、オフ時に高音域が落ちることは、別々に聴き比べたい点です。
オンの音は音量をそろえ、TONEで調整する
歪ませたときに音が細く感じられるなら、まずLEVELで比較する音の大きさをそろえ、TONEを動かして好みの響きを探すのがよいと思います。音量差が大きいままだと、音色の違いを判断しにくくなります。
D&Sのトーン回路にはBig Muffと異なる点がありますが、D&Sならすべての組み合わせで音痩せを解消できる、ということではありません。使うギターやアンプと合わせ、低音域の量や高音域の出方を聴いて選びたいです。
オフでもバッファを通ることが利点
角型スイッチ期のD&Sには、電子スイッチとバッファが組み込まれています。バッファは、ギターの信号を後ろにつながるケーブルや機材へ送りやすくする回路です。このタイプはエフェクトをオフにしても、バッファを通ります。
長いケーブルをつなぐと、ギターの信号は高音域が落ちるなどの影響を受けることがあります。バッファを通して出力インピーダンスを下げると、その後ろのケーブルによる影響を受けにくくなります。BOSSも、長いケーブルとバッファの関係を解説しています。
“Buffered pedals do help.”
日本語訳:「バッファを備えたエフェクターは役に立ちます。」
参考 ケーブルの長さとバッファの働き(英語)BOSS高いインピーダンスの信号をそのまま長く引き回す場合と比べると、外来ノイズの影響を抑えやすくなる面もあります。ただ、ピックアップが拾ったハムや電源由来のノイズまで取り除く回路ではありません。オフ時の音色とノイズは、それぞれ確認するのが大切です。
私はバッファ特有の音の変化を多少感じますが、気になりません。オフ時にも信号を送りやすくしてくれる点は、こうしたIbanez・Maxon系のエフェクターの好きなところです。接続したまま使いやすいかどうかも、歪みの音と同じくらい大事だと思っています。
3つのノブで音を合わせる

初めて音を合わせるなら、次の順番を出発点にできます。写真のノブ位置は撮影時の状態です。
- LEVELを控えめにしてオンにし、DISTORTIONで欲しい歪み量に合わせる。
- TONEを中央付近から動かし、高音域が痛ければ戻し、輪郭を出したければ少し上げる。
- LEVELでオフ時との音量差を整え、普段のアンプ設定でもう一度聴く。
- オフにしたときの音も、アンプへ直接つないだ音と比べる。ケーブルの長さの違いにも注意する。
中古の個体を試す場合は、3つのノブのガリ、スイッチの反応、ジャックの接触、修理・改造履歴も確認したいです。古いエフェクターを選ぶ楽しさはありますが、気持ちよく弾ける状態かどうかが最初の判断になります。
私にとってこのD&Sは、強いファズのような歪みと、バッファを通したオフ時の扱いやすさを一緒に楽しめる1台です。Big Muff系が好きなら、オンとオフの両方を聴いて、自分の音作りに合うかを試してほしいと思います。
Maxon D&S OD-801についてよくある質問
- キャラメルスイッチ型のD&Sとは?
- 四角い金属製スイッチを備えた世代のD&Sです。この記事の所有個体にはOD-801と表記されています。同じD&Sでも年代によって筐体や回路が異なります。
- D&S OD-801はBig Muff系ですか?
- 角型スイッチ個体の回路解析では、Ram’s Head期のBig Muffとの共通点とトーン回路の違いが示されています。この記事ではBig Muff系の歪みとして紹介しています。
- D&Sなら音痩せを防げますか?
- オフ時のバッファは、後ろにつながるケーブルによる高音域への影響を抑える助けになります。オン時の音が細く感じる場合は、LEVELで比較する音量をそろえ、TONEで低音域と高音域の出方を調整してください。
- D&S OD-801はどんな音が好きな人に向いていますか?
- 私が気に入っているのは、勢いのある強い歪みです。日本のヴィンテージ・ファズやBig Muff系の音が好きな人におすすめします。試奏では、歪ませた音に加えてオフ時の音色も聴いてみてください。

