BOSS DS-2は、エフェクター側で歪みのキャラクターをしっかり作り、ギター・サウンドの中心に据えたくなるディストーションです。 ジョン・フルシアンテさんの使用で知られていますが、私が気に入っているのも、メインの歪みを任せられるところです。
私は日本製と台湾製の両方を持っています。手元の2台では、日本製のほうがややマイルド。台湾製はカラッとして、突き刺さる感じが若干強い気もします。ただ、基本的な音の方向は同じです。日本製と台湾製の小さな違いより、まずはDS-2そのものの歪み方が好きかどうかで選ぶのがよいと思います。

DS-2はどんなディストーション?
DS-2は1987年に登場した、2つのTURBOモードを持つディストーションです。TURBO Iは中低域を備えた歪み、TURBO IIは中域を押し出した歪みが特徴。バッキングとリードで音の方向を選べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | BOSS DS-2 TURBO Distortion |
| 発売年 | 1987年 |
| 回路の特徴 | オペアンプを使わないディスクリート回路 |
| 調整 | LEVEL・TONE・DIST・TURBO |
| モード | TURBO I/TURBO II |
| 外部切り替え | REMOTE端子でTURBOモードを切り替え |
| 電源 | 9V電池/BOSS PSAアダプター |
BOSS DS-2の実演動画と製品情報
DS-2の音を聴く参考に、西尾知矢さんの実演動画も掲載します。下の動画はDS-2単体の紹介です。上で書いた日本製・台湾製の比較は、私が所有する2台を弾いた感想です。
日本製と台湾製の音を比べる

手元の日本製は、歪みの当たり方が少しマイルドに感じられます。台湾製には、もう少し乾いた、カラッとした響きがあり、音が突き刺さるように出てくる感触が若干あります。
もっとも、別の種類のディストーションを弾いているような大きな違いではありません。2台を比べて私が強く感じるのは、共通する音の方向です。
| 個体 | 私が感じた音の違い |
|---|---|
| 日本製 | ややマイルドな当たり方 |
| 台湾製 | やや乾いた、突き刺さるような感触 |
| 共通点 | 歪みの基本的な方向は同じ |
この比較は私の2台についての感想です。製造国ごとの傾向を判断するには、複数の個体を同じ条件で比べる必要があります。中古で選ぶなら、製造国表示とあわせて、実際の音、ノブやスイッチの動作、修理・改造履歴まで確認したいところです。
基板で見えるダイオードの違い
内部にも違いがあります。2台の基板写真を見比べると、C40付近にある2本のダイオードで、ガラス部分の大きさや外観が異なります。


ゲルマニウムかシリコンかという材質は、部品の型番と仕様書を照合して判断するものです。この2台に使われているダイオードの材質は、まだ分かっていません。写真から分かる外形差と、弾いたときに感じる音の差はありますが、音の違いがこのダイオードだけに由来するかどうかは、部品の特性や回路を調べて確かめる必要があります。
DS-1との違いは、モードと回路の作り方
DS-2にはTURBO I/IIの切り替えがありますが、DS-1との違いはモードの数にとどまりません。DS-1はトランジスタとオペアンプを組み合わせた増幅回路、DS-2はオペアンプを使わないディスクリート回路です。
オペアンプは、信号を増幅する回路を1つのICにまとめた部品です。ディスクリート回路は、個々のトランジスタなどを組み合わせて作ります。DS-1にもトランジスタは使われており、DS-2との違いは増幅にオペアンプICを使うかどうかです。
BOSSのDS-1解説では、トランジスタとオペアンプを組み合わせた設計が説明されています。DS-2の公式製品情報にも、オペアンプを使用しない回路設計と明記されています。
参考 All About the BOSS DS-1BOSSOD-2とも共通するディスクリート設計
同時代のOD-2にも、ディスクリート方式という共通点があります。BOSSの解説によると、OD-2は1985〜1995年に販売され、オペアンプ方式に代わるディスクリートの信号経路を採用していました。
“a low-noise discrete signal path rather than an op-amp topology”
日本語訳:「オペアンプ方式ではなく、低ノイズのディスクリート信号経路」
参考 OD-2の回路と歴史の解説(英語)BOSSDS-2とOD-2は、増幅回路の作り方に通じる部分がある、という見方ができます。それぞれの歪み方は、増幅段や音域の調整を含めた回路全体で決まります。
私ならDS-2をメインの歪みとして使う
私は、オペアンプ式の歪みエフェクターではアンプの歪みを支えるような使い方、ディスクリート式ではエフェクターを音作りの中心にするような使い方を考えることが多いです。これは回路方式ごとに用途が決まるという話ではなく、私が使い分けを考えるときの好みです。
DS-2も、音の中心となるプリアンプのような役割を任せる使い方が合うと思います。エフェクター側で歪みの量や音の輪郭を作り、アンプ側で最後のバランスを整える考え方です。アンプが変わってもDS-2のキャラクターを音作りの出発点にできるところに魅力を感じます。
ここでいう「プリアンプのように使う」は、ギターアンプのINPUTにつなぎ、歪みの中心をDS-2で作るという意味です。アンプやスピーカーによって最終的な響きは変わるので、接続先に合わせてTONEやLEVELを調整します。
TURBO I/IIの選び方と調整の順番

最初に試すなら、次の順番が分かりやすいと思います。フルシアンテさん本人の設定ではなく、DS-2でメインの歪みを作るための調整案です。
- アンプは、DS-2をオフにした音を基準に、クリーン〜軽い歪みへ整える。
- TONEを中央付近から始め、TURBO IとIIを比べる。中音域を強調した音にしたければIIを選ぶ。
- DISTで必要な歪み量を決め、LEVELでオン・オフ時の音量差を調整する。
- 高域が刺さると感じたらTONEを少し戻し、輪郭が埋もれるなら少し上げる。
リードで中音域を強調したい場合はTURBO IIから試します。軽い歪みが欲しい場合はTURBO IでDISTを低めにし、弾いたときの歪み具合を確かめてください。

ジョン・フルシアンテのDS-2は日本製?台湾製?
フルシアンテさんが使ったDS-2の製造国は、本人や担当テックの発言からは特定できません。 2017年のJFeffectsによるDave Leeさんへの質問には、まさに「日本製か台湾製か、本人は気にしていたのか」という問いがあります。
その回答は、次の短いものでした。
“I don’t remember that one.”
日本語訳:「そのことは覚えていません。」
参考 Dave Mail 13:DS-2の製造国についての質問(英語)JFeffectsこれは「台湾製だった」「日本製にこだわっていた」のどちらを示す回答でもありません。フルシアンテさんと同じ製造国を選ぶことを購入の決め手にするには、使用時期と個体が結び付く資料が必要です。音を近づけたいなら、まずDS-2のモードと、後段の機材を含めた音作りを考えるのが実用的だと思います。
DS-2とCE-1は音作りの中心だった
BOSS公式のDave Leeさんへのインタビューでは、DS-2とCE-1がフルシアンテさんの核となるエフェクターだったことが説明されています。DS-2を2台載せていた時期にも触れています。
同じ取材で、CE-1はコーラスに加えてプリアンプとして重要であり、強く弾いたときに少し歪むよう、レベルを調整していたと語られています。信号はCE-1からMarshall MajorとSilver Jubileeへ送られていました。
参考 Dave Leeが語るJohn Fruscianteの音作りBOSS私も、フルシアンテさんの音に近づくうえで、DS-2やCE-1による音作りを重視しています。アンプの機種を追う前に、エフェクターで作る歪みや弾いたときの反応へ耳を向けたくなります。
一方、2022年のアルバム制作についての本人インタビューでは、DS-2などを重ねる使い方とともに、Marshallを大音量で鳴らし、その前で弾くことの重要性も語られています。エフェクターの役割を知ったうえで、アンプの鳴らし方やタッチまで含めて考えると、音作りの見方が広がります。
参考 ジョン・フルシアンテが語るサウンド・メイク術ギター・マガジンWEB年代別の使用機材や、DS-2以外のエフェクターの役割は、こちらで整理しています。
DS-2が合う人と、選ぶときに確かめたいこと
DS-2は、歪みのキャラクターをエフェクター側で作りたい人や、中域を押し出したリード・サウンドを求める人に向く1台だと思います。TURBO IとIIを切り替えて、自分のギターとアンプでどちらが扱いやすいかを試せます。
私の2台では、日本製のややマイルドな感触、台湾製のやや乾いた感触という違いはあります。それでも、どちらにも同じDS-2らしい方向を感じます。製造国への興味を持ちつつ、実際に弾いて気に入る個体を選ぶのが私のおすすめです。
ほかのディストーションと音の方向を比較したい場合は、定番機をまとめた記事も参考にしてください。
BOSS DS-2についてよくある質問
- DS-2の日本製と台湾製は音が違いますか?
- 私の2台では、日本製がややマイルド、台湾製がやや乾いて突き刺さる印象です。ただし基本的な方向は同じで、製造国全体に当てはまる比較ではありません。
- DS-1とDS-2は回路が違いますか?
- DS-1はトランジスタとオペアンプを組み合わせた増幅回路、DS-2はオペアンプを使わないディスクリート回路です。DS-2にはTURBO IとIIの切り替えもあります。
- フルシアンテのDS-2は日本製ですか?
- 使用個体の製造国は特定できません。2017年に日本製か台湾製かを問われた元ギターテックのDave Leeさんは、そのことは覚えていないと回答しています。
- DS-2をプリアンプのように使うとは?
- この記事では、アンプのINPUTにつなぎ、歪みの中心をDS-2で作る使い方を指しています。アンプやスピーカーに合わせ、TONEとLEVELで音のバランスを整えます。


