結論から言うと、Ibanez TS5 Tube Screamerは、プラスチック筐体の印象で損をしているものの、音まで悪いエフェクターではありません。中音域が強くなるTSらしい方向を安価なヴィンテージ機で試したい人には、今でも面白い選択肢です。
掲載写真の所有個体では、オンにすると中音域が強くなり、低音域が控えめになる傾向を確認できました。
Ibanez TS5の音
まずは通常のプラスチック筐体版TS5のデモです。
音の中心は、Tube Screamerらしい中音域の強さと、低域を整理したオーバードライブです。TS808やTS9の完全な代用品というより、少しざらつきがあり、気軽にアンプへの入力を強くできるTSとして使うと良さが出ます。
ゲインを低め、LEVELを高めにすればブースターとして使えます。DRIVEを上げても極端なハイゲインにはならないため、ブルース、ロック、アンプの前段ブーストに合わせやすいエフェクターです。
TS5はTube Screamerの正統な流れにある
TS5は、TS10の後に登場したSoundtankシリーズのTube Screamerです。資料では1991年頃から1998〜1999年頃まで流通し、その後TS7 Tone-Lokへ移ったとされています。TS9リイシューは1990年代前半に始まっており、TS5と一部時期が重なります。
TS5はTS9に近い回路を基に、プラスチック筐体と小型部品でコストを抑えたSoundtankです。筐体と実装方法は変わっても、低音域を整理して中音域を強めるTSの基本は残っています。
Tube Screamer全体の系譜は、TS808から現行機までこちらで整理しています。
プラスチック筐体が評価を下げた

人気が伸びなかった最大の理由は、音よりもSoundtank特有のプラスチック筐体だと思います。金属筐体のTS808やTS9と並べると軽く、スイッチやジャックを含めて長期耐久性には不安が残ります。
一方で、通常使用なら軽さは小さな利点です。常に激しく踏むライブ用ではなく、自宅、録音、ループスイッチャー内で使うなら、筐体の弱さはそれほど大きな問題になりません。
TS7との違い
後のTS7 Tone-Lokは、押し込み式ノブとTS9/HOT切替を備えます。HOTでは低音域とクリッピング量が増えます。TS5は3ノブのSoundtankで、モード切替はありません。
TS5の内部と部品

所有個体では、プラスチック筐体と基板実装のジャックを確認できます。中古ではスイッチとジャックの固定、基板の割れを確認します。

手元個体のオペアンプは東芝TA75558系です。このオペアンプはTS9リイシューでも見られるため、JRC4558DでなければTSらしくない、と単純には言えません。

所有個体では2SC1815のブルーランクを確認しました。これは個体記録として扱います。

所有個体の入力部には0.02μFのコンデンサーがあります。回路はTS9に近い構成で、プラスチック筐体と小型部品を採用したSoundtank版です。
おすすめな人と注意点
TS5が向くのは、TS系の中域ブーストを低い予算で試したい人、プラスチック筐体を気にせず音で選べる人、少し外したヴィンテージTSが欲しい人です。
反対に、ライブで毎回強く踏む人、修理しながら長く使いたい人、金属筐体の安心感を重視する人にはTS9や現行TS Miniのほうが選びやすいです。中古品は、価格に加えてスイッチ、ジャック、ポットのガリを確認してください。
ヴィンテージTS10との違いも気になる場合は、こちらの実機レビューが参考になります。
FAQ
- Ibanez TS5の音はTS9に近いですか?
- 回路資料ではTS9に非常に近いとされています。中音域が強くなり低域を整理するTSらしさはありますが、筐体、部品、個体差によりノイズ量や音域のバランスまで同じとは限りません。
- TS5のプラスチック筐体は壊れやすいですか?
- 金属筐体よりスイッチやジャック周辺の耐久性には注意が必要です。自宅やスイッチャー内では使いやすい一方、ライブで強く踏むなら状態確認と予備の用意をおすすめします。
- TS5とTS7の違いは何ですか?
- TS5は3ノブのSoundtankです。後のTS7は押し込み式ノブとTS9/HOT切替を備え、HOTでは低音域とクリッピング量が増えます。
まとめ
Ibanez TS5は、筐体の見た目と耐久性で評価を落とした不遇なTube Screamerです。ただし、中音域を強めるTSらしい音は残っています。状態の良い個体を見つけたら、安さだけでなく、Soundtank期ならではの少し粗い実用機として試す価値があります。

