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Studio Daydream FETBOX Vレビュー|J201×4の2段ブースト

Studio Daydream FETBOX V Rev.5.0所有個体の外観

Studio Daydream FETBOX Vは、アンプの前段へ置いて音量、歪み、低音、高音を整えられる2チャンネル仕様のプリアンプです。右のBypassと左のCH. Selectを組み合わせることで、バイパス、CH1、CH2という3段階を一台で使い分けられます。

一時期は、私はこれ一台だけを持ってセッションへ行っていました。初めて使うアンプでも、その場で音量と音色を合わせやすく、バッキングからソロまで足元の二つのスイッチで対応できるところが便利です。

先に結論
FETBOX Vは、CH1を基準となるプリアンプ音、CH2をもう一段上のブーストとして使える実戦的な一台です。所有個体は基板表記がRev.5.0で、J201を4個使ったディスクリート構成です。現行のFETBOX CUSTOM V8はメーカーが回路の大幅な変更を明記しているため、この記事の旧FETBOX Vと同じ仕様ではありません。
Studio Daydream FETBOX V Rev.5.0所有個体の外観

所有するStudio Daydream FETBOX V。CH.1 Vol、CH.2 Vol、Gain、Bass、Trebleと、CH. Select/Bypassの二つのフットスイッチを備えます。

FETBOX Vはどんなエフェクターか

FETBOX Vは、単に音量だけを上げるクリーンブースターよりも、アンプのプリアンプに近い感覚で音を作れるペダルです。Gainで歪み方を決め、BassとTrebleで接続先のアンプに合わせ、CH.1 VolとCH.2 Volで二つの音量を用意できます。

Studio Daydreamは2008年に大阪で始まり、2010年に岡山へ移った日本のハンドメイド・エフェクターブランドです。所有個体の内部基板にも「Made in JAPAN」と記されています。

参考 Studio DaydreamについてStudio Daydream

バイパス、CH1、CH2で2段階ブーストができる

操作の中心は、右側のBypassスイッチと左側のCH. Selectスイッチです。Bypassでエフェクトのオン/オフを切り替え、エフェクトがオンのときはCH. SelectでCH1とCH2を選びます。

状態役割の例セッションでの使い方
バイパスアンプ本来の音クリーンや音量を抑えた伴奏
CH11段目のプリアンプ/ブースト基準となるバッキング音
CH22段目のプリアンプ/ブースト強めのクランチやソロ

CH1とCH2は、それぞれCH.1 VolとCH.2 Volで音量を決められます。CH1を常用音、CH2をソロ用として設定すれば、別のブースターを後ろへ足さなくても二段階の音量差を作れます。

この構成の良さは、会場のアンプが変わっても役割を変えなくてよいことです。アンプ側を無理に追い込まず、FETBOX Vで基準音とソロ音を作っておけば、短い転換時間でも合わせやすくなります。

セッション向けの最小構成や音量差の作り方は、こちらでも紹介しています。

5つのノブの役割

Studio Daydream FETBOX Vの5つのノブと9V電源端子

左からCH.1 Vol、CH.2 Vol、Gain、Bass、Treble。側面には9V電源端子があります。

ノブ役割最初に試す位置
CH.1 VolCH1の出力音量バイパスと同程度
CH.2 VolCH2の出力音量CH1より少し大きめ
Gain歪みと押し出しの強さ9~10時
Bass低域の量12時
Treble高域の量12時

最初はGainを低め、BassとTrebleを12時にし、CH1をバイパスと同じ音量へ合わせます。次にCH2へ切り替え、ソロで必要な分だけ音量を上げます。最後に、アンプが細ければBassを足し、こもるならBassを少し下げるという順番にすると迷いにくいです。

旧FETBOX Vの取扱説明書は見つかっていません。Gain、Bass、Trebleが各チャンネルの内部でどの位置にあるかは、ノブ名だけでは分かりません。実機ではCH1とCH2を交互に切り替え、それぞれへの効き方を耳で確認するのが確実です。

J201を4個使ったディスクリート構成

Studio Daydream FETBOX Rev.5.0の内部基板

所有個体の内部基板。「FETBOX Rev.5.0」「Made in JAPAN」の表記と、4個のトランジスタ型部品を確認できます。

私が所有する個体は、J201を4個使ったディスクリート構成です。内部写真でも、少なくとも基板の見える面に4個のTO-92型トランジスタと三つの調整用トリマーがあり、オペアンプICのパッケージは見当たりません。

ただし、写真では各トランジスタ表面の印字を判読できません。そのため、4個すべてがJ201であることを写真だけで独立して確認できたわけではありません。また、青いトリマーの正確な役割を示す資料も確認できていないため、音が出ている個体では位置を動かさない方が安全です。

ディスクリート構成とは、オペアンプICへ多くの増幅処理をまとめず、個別のトランジスタなどで増幅段を組むことです。どちらが常に優れているという話ではありませんが、私はオペアンプを中心に作る歪みより、FETを個別に使った回路の歪み方を好みます。ピッキングに対する柔らかい追従や、ゲインを上げたときの崩れ方が、アンプの前段として扱いやすいからです。

なお、onsemiのTO-92型J201は、2026年9月確認時点でDigiKeyに生産中止品と表示されています。一方、表面実装型のMMBFJ201などまでなくなったわけではありません。「J201という素子が完全に入手不能」という意味ではなく、この個体と同じ形状の旧部品を4個そろえた構成が、以前より貴重になったと捉えるのが正確です。

参考 onsemi J201(TO-92)の供給状況DigiKey

トランジスタ・プリアンプはアンプでも珍しくない

FETBOX Vを使っていると、真空管アンプらしい反応を作る方法は、真空管やオペアンプだけではないと感じます。トランジスタを使ったプリアンプは、ギターアンプにも実例があります。

たとえばErnie Ball Music Manの公式FAQは、1970年代のHD-130の一部について次のように説明しています。

“It has a completely solid state pre amp and a Tube power amp design.”

日本語訳:「完全なソリッドステート・プリアンプと、真空管パワーアンプを組み合わせた設計です。」

参考 Music Manアンプに関する公式FAQ(英語)Ernie Ball Music Man

これはMusic Manの全モデルが同じ構成という意味ではありません。ただ、前段が半導体だから音楽的ではない、という単純な線引きができない好例です。FETBOX Vも、部品名そのものより、増幅段の組み方とアンプへのなじませやすさに魅力があります。

どのアンプにも合わせやすい理由

セッション先のアンプは、低域の量、高域の硬さ、入力感度が毎回同じとは限りません。FETBOX VにはGain、Bass、Trebleがあるため、単なる音量アップだけでなく、接続したアンプの癖に合わせて入口の音を整えられます。

私が一台だけ持って行けた理由もここにあります。バイパスを素の音、CH1を基準のプリアンプ音、CH2をソロ用に決めると、アンプが変わっても足元の役割は変わりません。音量を二段階に分けられるので、ブースターを別に用意する必要もありませんでした。

ギター用プリアンプをアンプ前、リターン、PA直でどう選ぶかは、こちらで整理しています。

現行FETBOX CUSTOM V8との違い

現在、Studio Daydreamの公式サイトにはFETBOX CUSTOM V8が掲載されています。外部コントロールは旧モデルと同じ構成を引き継いでいますが、メーカーは内部回路を大幅に変更し、音色やトーン回路の動作も大きく進化したと説明しています。

したがって、FETBOX CUSTOM V8は旧FETBOX Vの考え方を受け継ぐ現行モデルではあっても、Rev.5.0の同一回路を再生産したものではありません。中古の旧モデルと現行V8を比べる場合は、名前やノブ数だけで同じ音と判断しない方がよいでしょう。

参考 FETBOX CUSTOM V8製品ページStudio Daydream

中古で確認したいポイント

  • Bypassが一度で切り替わるか
  • CH. SelectでCH1とCH2の両方を選べるか
  • CH.1 VolとCH.2 Volを別々に調整できるか
  • Gain、Bass、Trebleに大きなガリや音切れがないか
  • LEDが各操作に合わせて点灯するか
  • 電源端子や入出力ジャックへ触れても音が途切れないか
  • 本体表示と使用する電源の電圧・極性が一致するか
  • 内部のトリマーや配線に不用意な変更がないか

二つのチャンネルがこの機種の中心なので、バイパスと片方のチャンネルだけで動作品と判断しないことが大切です。音量差を作れるかまで確認すると、FETBOX Vを選ぶ意味のある部分を確かめられます。

まとめ

Studio Daydream FETBOX V Rev.5.0は、バイパス、CH1、CH2を使い分け、一台で二段階のブーストを作れるプリアンプです。二つの音量、Gain、Bass、Trebleがあるため、接続先のアンプが変わるセッションでも素早く基準音を作れます。

所有個体はJ201を4個使ったディスクリート構成とされ、内部写真では4個のトランジスタ型部品とRev.5.0の基板を確認できました。個人的には、オペアンプ中心の歪みとは違うFETディスクリート回路の感触も、このペダルを使い続けた理由です。

現行のFETBOX CUSTOM V8は、メーカーが内部回路の大幅な変更を明記しています。旧FETBOX Vの中古を探すなら、現行モデルと同じ仕様だとは考えず、二つのチャンネル、五つのノブ、電源とジャックの動作を実機で確認することをおすすめします。

FAQ

Studio Daydream FETBOX Vは何ができるペダルですか?
アンプの前段で音量、歪み、低音、高音を整えられる2チャンネル・プリアンプです。バイパス、CH1、CH2を使い分け、一台で二段階のブーストを作れます。
FETBOX VのCH1とCH2はどう使い分けますか?
CH1を基準となるバッキング音、CH2を強めのクランチやソロ用として使うと分かりやすいです。CH.1 VolとCH.2 Volで、それぞれの音量を設定できます。
所有個体は本当にJ201を4個使っていますか?
J201を4個使った個体です。内部写真でも4個のTO-92型トランジスタを確認できますが、表面印字は読めないため、写真だけで全ての型番を確認できる状態ではありません。
旧FETBOX Vと現行FETBOX CUSTOM V8は同じ回路ですか?
同じ回路ではありません。Studio Daydreamは、現行FETBOX CUSTOM V8で内部回路を大幅に変更し、音色やトーン回路の動作も進化したと説明しています。
FETBOX Vはセッションに向いていますか?
向いています。Gain、Bass、Trebleで会場のアンプへ合わせ、CH1を基準音、CH2をソロ用にすれば、一台で音色補正と二段階の音量設定ができます。