BOSS GE-6 Graphic Equalizerは、100Hzから3.2kHzまでの6帯域を、それぞれ±15dBの範囲で増減できるアナログ・イコライザーです。音を細かく整える道具としては、6.4kHzとLEVELを追加した現行GE-7の方が使いやすいと思います。
それでもGE-6には、単なる旧型EQでは終わらない面白さがあります。複数のスライダーを大きく上げると、所有機では回路自体が歪み始め、初期BOSS OD-1を思わせる粗さと粘りが加わります。内部には、初期OD-1にも使われたRaytheon製RC3403ADBが2個搭載されています。

BOSS初期の6バンド・グラフィックイコライザーGE-6。所有機は塗装の傷も含め、長く使われてきた雰囲気があります。
GE-6は1978年登場の6バンドEQ
GE-6は1978年に登場し、1981年まで生産されたBOSS初期のコンパクト・エフェクターです。6本のスライダーは100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1.6kHz、3.2kHzを担当し、それぞれ中央の0から上へ動かすと強調、下へ動かすと減衰します。可変幅は各帯域とも±15dBです。
| 帯域 | 動かしたときに変わりやすい部分 |
|---|---|
| 100Hz | 低音の深さ。上げすぎると振動や濁りが増える |
| 200Hz | 音の太さ。下げると低音がすっきりする |
| 400Hz | 胴鳴りと厚み。上げると音が前へ出やすい |
| 800Hz | 中音域の存在感。上げると鼻にかかった力強い音になる |
| 1.6kHz | アタックと抜け。上げるとピッキングが伝わりやすい |
| 3.2kHz | ピックの硬さと明るさ。上げすぎると耳に痛くなりやすい |
この説明は出発点で、実際の聞こえ方はギター、アンプ、前後のエフェクターで変わります。まず全スライダーを0にそろえ、気になる帯域を1本ずつ動かすと役割をつかみやすいです。
参考 BOSS GE-6 Owner’s ManualTONEHOME 参考 BOSSコンパクト・ペダルの歴史BOSS
100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1.6kHz、3.2kHzの6帯域。各スライダーは±15dBの範囲で動きます。
普通に使うならGE-7の方が便利
GE-6の後継となるGE-7は、GE-6と同じ100Hzから3.2kHzまでの6帯域に6.4kHzを加え、独立したLEVELスライダーも備えています。
| 比較 | GE-6 | GE-7 |
|---|---|---|
| 周波数帯域 | 6バンド、100Hz~3.2kHz | 7バンド、100Hz~6.4kHz |
| 各帯域の増減 | ±15dB | ±15dB |
| 全体音量 | 専用LEVELなし | LEVELで±15dB |
| 高音の調整 | 3.2kHzまで | 6.4kHzも調整可能 |
| 状態 | 生産終了 | 現行品 |
GE-7は、全体の音量をLEVELで合わせながら、きらびやかな高音を6.4kHzで調整できます。イコライザーとして初めて使う人や、ライブ中に音量差を管理したい人にはGE-7の方が扱いやすいです。
一方のGE-6は、6本だけなので設定を追い込みすぎずに済みます。3.2kHzより上を独立して触れないことも、古いギターアンプのような帯域の狭さとして音の個性になります。
参考 BOSS GE-7公式製品ページBOSSGE-6をブーストするとオーバードライブのように歪む
GE-6は本来、音域を整えるイコライザーです。しかし複数の帯域を大きく上げると、回路へ入る信号と出ていく信号の振幅が増えます。増幅回路が扱える範囲を超えると波形の上下が削られ、意図しなくても歪みが生まれます。
所有機では、400Hz、800Hz、1.6kHzを中心に上げると、中音域が前へ出ると同時に、初期OD-1のようなザラつきと粘りが加わります。全帯域を大きく上げると歪みはさらに分かりやすくなりますが、低音の濁りと高音の痛さも増えるため、まずは各帯域を+3~+6dB程度から上げる方が調整しやすいです。
GE-6には全体音量を下げるLEVELがありません。大きくブーストすると、GE-6本体だけでなく、次につないだ歪みペダルやアンプの入力が歪む場合もあります。最初はアンプの音量を下げ、バイパス時との音量差を確かめながら試してください。
OD-1風ブーストの出発点
| 100Hz | 200Hz | 400Hz | 800Hz | 1.6kHz | 3.2kHz |
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | +3 | +6 | +9 | +6 | +3 |
中音域を中心に押し出す設定です。歪みが足りなければ各スライダーを少しずつ上げ、低音が膨らむなら100Hzと200Hzを戻します。硬すぎる場合は3.2kHzを下げます。
Raytheon RC3403ADBを2個搭載

GE-6の内部基板。中央と左側に、14ピンのRC3403ADBが1個ずつ搭載されています。
オペアンプは、小さな信号を増幅したり、特定の音域だけを増減したりするためのICです。所有機には、RaytheonのRC3403ADBが2個使われています。RC3403ADBは1個の中に4回路を収めた4回路入りオペアンプです。
GE-6では、このオペアンプを6帯域のフィルターと信号の増幅に使います。コイルの代わりにオペアンプ、抵抗、コンデンサを組み合わせ、各周波数を選んで増減する方式です。

IC表面にRC3403A、RAYと読める表示があります。Raytheon製RC3403ADBです。
初期OD-1と同じICでも回路は共通ではない
BOSS OD-1の初期仕様にもRC3403が使われています。BOSSのOD-1サービス資料にはRC3403が部品として記載され、初期回路では3本のダイオードを使った非対称クリッピングが歪みの中心です。非対称クリッピングとは、波形の上側と下側を異なる強さで削り、倍音を作る方式です。
GE-6のRC3403ADBは、6帯域のフィルターと増幅を担当します。OD-1のようにOVER DRIVEノブで増幅率を上げ、ダイオードで意図的に波形を削る専用回路ではありません。
したがって、GE-6の「ブースト・オーバードライブ部分」がOD-1と共通しているわけではありません。共通するのは同じ型番のオペアンプを使う点です。GE-6を強くブーストしたときに、そのオペアンプや後段が限界を超えて生じる歪みから、初期OD-1に通じる質感を感じるという関係です。
参考 BOSS OD-1 Service NotesManuals+GE-6の実用的な使い方
歪みペダルの前で音の入り方を変える
GE-6を歪みペダルの前へ置くと、歪ませる前の周波数バランスを変えられます。100Hzと200Hzを少し下げれば低音の濁りを減らし、800Hzと1.6kHzを上げればソロが前へ出やすくなります。強く上げれば、GE-6自身の歪みも加わります。
歪みペダルの後で完成した音を整える
歪みペダルの後へ置くと、歪みの量より最終的な音色を変えやすくなります。400Hz付近の膨らみを減らす、1.6kHzを上げて抜けを足す、3.2kHzを下げて耳に痛い成分を抑える、といった使い方に向きます。
特定の曲だけ音色を切り替える
普段はバイパスし、ソロや特定の曲だけオンにする方法も実用的です。音量差と歪みを含めて一つの音色として設定すれば、GE-6を6バンドのブースター兼オーバードライブとして使えます。
中古で確認したいポイント
- 6本のスライダーを動かしたときに大きなガリや音切れがないか
- 各帯域が実際に増減するか
- 全スライダーを0にしたとき、オンとバイパスで不自然な音量差がないか
- フットスイッチとLEDが正常に動くか
- 電池端子や電源ジャックに腐食、改造、接触不良がないか
- RC3403ADBの有無を重視するなら、購入前に内部写真を確認できるか
GE-6は古い機種なので、ICの銘柄だけで選ぶより、スライダー、電解コンデンサ、電源、スイッチの状態を優先した方が安心です。交換部品や修理跡があっても、正常に動作し、音が気に入れば実用品として問題ありません。
多機能なイコライザーが必要なら、10バンドと9つのメモリーを備えたEQ-20も選択肢です。
同じ6バンド構成のヴィンテージ機を比較するなら、ARION MEQ-1も紹介しています。
まとめ
BOSS GE-6は、100Hzから3.2kHzまでを±15dBで調整できる6バンド・グラフィックイコライザーです。高音用の6.4kHzと全体音量用LEVELを備えたGE-7の方が、通常の音色補整には便利です。
GE-6ならではの面白さは、帯域を強くブーストしたときの歪みにあります。所有機では、中音域を押し出すと初期OD-1のようなザラつきと粘りが加わります。内部のRaytheon RC3403ADBは初期OD-1にも使われましたが、GE-6はEQ回路、OD-1はダイオードを使ったオーバードライブ回路で、回路そのものは別です。
正確な音色補整を優先するならGE-7、古いBOSSらしいブーストの歪みまで音作りへ取り入れるならGE-6。この違いを理解して選ぶと、6バンドの少なさも個性として生かせます。
FAQ
- BOSS GE-6とGE-7は何が違いますか?
- GE-6は100Hzから3.2kHzまでの6バンドです。GE-7は6.4kHzを加えた7バンドで、全体音量を調整するLEVELも備えます。通常の音色補整はGE-7の方が扱いやすいです。
- BOSS GE-6はオーバードライブとして使えますか?
- 複数の帯域を強く上げると、所有機では古いオーバードライブのような歪みが生まれます。ただし専用の歪みペダルではないため、音量が大きくなり、接続先も歪む場合があります。
- GE-6と初期BOSS OD-1は同じ回路ですか?
- 同じ回路ではありません。どちらも初期仕様ではRC3403系オペアンプを使いますが、GE-6は6帯域のフィルター、OD-1はダイオードで波形を削るオーバードライブ回路です。
- RC3403ADBとは何ですか?
- 1個の中に4つの増幅回路を収めたオペアンプです。所有するGE-6にはRaytheon製が2個搭載され、各周波数帯のフィルターと信号の増幅に使われています。
- GE-6を歪みペダルの前と後のどちらへ置けばよいですか?
- 前へ置くと歪ませる帯域と入力の強さを変え、後へ置くと完成した歪みの音色を整えられます。GE-6自身のブースト感を使うなら、まず歪みペダルの前から試すと変化が分かりやすいです。
