BOSS EQ-20 Advanced EQは、10本の周波数スライダーと9個のメモリーを備えた、生産完了品のグラフィックイコライザーです。2001年に発売され、2009年に生産を終えました。ヴィンテージと呼ぶにはまだ新しいものの、すでに登場から長い時間が経った機種です。
見た目は複雑ですが、基本は簡単です。10本のスライダーで音の明るさや太さを整え、気に入った形を保存します。保存した音は足元で呼び出せるため、イコライザーだけでなく、常時ONの音作り、ソロ用ブースター、プリアンプのような使い方にも向いています。

BOSS EQ-20 Advanced EQの所有個体。10バンドEQとLEVEL、液晶、2個のフットペダルを備えています。
EQは音域ごとに分かれた小さな音量つまみ
イコライザーを難しく考える必要はありません。音を低い方から高い方まで10の部屋に分け、それぞれの部屋に小さな音量つまみが付いていると考えると分かりやすくなります。
スライダーを上げると、その音域が目立ちます。下げると、その音域がおとなしくなります。全部を上げるより、邪魔な音域を少し下げるところから始めると、自然な音を作りやすいです。
| スライダー | 感じやすい変化の目安 |
|---|---|
| 30Hz/60Hz | 地響きのような低音。ギターでは下げると低音の膨らみを整理しやすい |
| 120Hz/200Hz | 音の太さや温かさ。上げすぎるとこもりやすい |
| 400Hz/800Hz | ギターの胴鳴りや中音域。音の存在感に関わりやすい |
| 1.6kHz/3.2kHz | ピッキングの輪郭や前へ出る感じ |
| 6.4kHz/12.8kHz | 明るさや空気感。上げすぎるとノイズも目立ちやすい |
| LEVEL | EQ全体を通った後の音量 |
これは出発点です。同じ設定でもギター、ベース、アンプ、置く場所によって聞こえ方は変わります。まず全スライダーを中央に置き、一本ずつ少し動かして役割を耳で確かめるのがおすすめです。
EQ-20はデジタルEQ
EQ-20は「おそらくデジタル」ではなく、BOSSがデジタルEQとして公表している機種です。BOSSの英語版製品ページには、次の短い説明があります。
“10 bands of digital EQ”
日本語訳:「10バンドのデジタルEQ」
参考 EQ-20 Advanced EQ製品情報(英語)BOSSデジタルだから難しいわけではありません。音を調整する操作は普通のスライダー式EQと同じです。デジタル化の大きな利点は、作ったEQカーブを保存して呼び出せることにあります。
9個の音作りを保存できる

30Hzから12.8kHzまでの10バンドとLEVELを搭載。液晶には選んだメモリー番号とEQカーブが表示されます。
EQ-20には9個のメモリーがあります。メモリーとは、スライダーの形を写真に撮って残すような機能です。
例えば、次のように使い分けられます。
- メモリー1:シングルコイル用に低中音を少し足す
- メモリー2:ハムバッカー用に低音を少し削る
- メモリー3:ソロ用に中音とLEVELを上げる
- メモリー4:アコースティックギターの耳に痛い帯域を抑える
- メモリー5:ベース用に低音を残しながら輪郭を加える
MANUALでは、目の前にあるスライダーの位置がそのまま音になります。MEMORYでは、保存した設定が音になります。保存したカーブと実際のスライダー位置が違っていても、液晶の線を見れば呼び出した形を確認できます。
左ペダルはエフェクトのON/OFF、右ペダルはMANUAL/MEMORYの切り替えです。手で細かな設定を行い、足では必要な音へ切り替える、という役割分担になっています。
ブースターとして使う
右端のLEVELは最大15dBまで上げられます。10本のEQをほぼ中央にしてLEVELだけを上げれば、音色を大きく変えないブースターとして使えます。
ソロで音を前へ出したい場合は、LEVELに加えて800Hz、1.6kHz、3.2kHz付近を少し上げる方法もあります。単に音量を上げるだけでなく、バンドの中で聞こえやすい音域を押し出せます。
ただし、後ろにつないだ歪みやアンプに余裕がない場合は、音量より歪みが増えます。それを狙うなら歪みの前、純粋な音量アップを狙うなら歪みの後ろやアンプのエフェクトループで試すと違いが分かりやすいです。
プリアンプのように常時ONでも使える
EQ-20はアンプを再現する機材ではなく、それ自体に歪みを作るDRIVEつまみもありません。それでも、音の土台を整えるという意味ではプリアンプのように使えます。
私が使った印象では、低音の余分な膨らみを抑え、中音を少し足し、LEVELで全体を持ち上げる設定が使いやすいです。常時ONにしておけば、ギターとアンプの間で音の輪郭や太さをまとめる役目を持たせられます。
EQ、プリアンプ、ブースターは別の箱でなければならないわけではありません。EQ-20では、スライダーをどの形にしてLEVELをどれだけ上げるかによって、三つの役割を使い分けられます。
アンプの前とSEND/RETURNの両方に対応

背面にはINPUT、OUTPUTとレベル切替を装備。ギター/ベースを直接つなぐ場合と、アンプのSEND/RETURNへ入れる場合を選べます。
背面のLEVELスイッチには、GUITAR/BASSとGUITAR AMP SEND/RETURN(+4dBu)があります。
ギターやベースから直接つなぐならGUITAR/BASSを使います。アンプのエフェクトループへつなぐなら、SEND/RETURN側から試します。PEAKランプが頻繁に点灯する場合も、入力が大きすぎる合図なので、接続とLEVELスイッチを見直します。
歪みの前へ置くと、歪ませる音そのものを変えます。例えば低音を下げてから歪ませると、輪郭を保ちやすくなります。歪みの後ろやSEND/RETURNへ置くと、完成した歪みの明るさや太さを整えやすくなります。
電池は単3形6本、アダプターはPSAシリーズ

背面のDC IN 9V端子。本体にはBOSS PSAアダプターを使うよう表示されています。

底面の電池室は単3形電池6本を使用します。中古品では液漏れ跡や端子の腐食も確認したい部分です。
電源は単3形電池6本、またはBOSS PSAシリーズのACアダプターです。公式仕様の消費電流は最大120mAです。電池寿命の目安はマンガン電池で約3.5時間、アルカリ電池で約12時間なので、普段使いではアダプターの方が安心です。
本体の端子付近には「DC IN 9V 200mA」とありますが、BOSS公式仕様では消費電流を最大120mAとしています。中古でアダプターが付属しない場合は、電圧だけでなく極性と必要な電流容量も確認してください。
公式仕様
| 項目 | BOSS公表値 |
|---|---|
| EQ | 30Hz、60Hz、120Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1.6kHz、3.2kHz、6.4kHz、12.8kHz |
| 調整幅 | 各帯域±15dB、LEVEL±15dB |
| メモリー | 9 |
| 規定入力レベル | -20dBu(GUITAR/BASS)、+4dBu(SEND/RETURN) |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 1kΩ |
| 推奨負荷インピーダンス | 10kΩ以上 |
| 電源 | DC9V、単3形電池6本、PSAシリーズACアダプター |
| 消費電流 | 最大120mA |
| 寸法 | 173W × 158D × 57Hmm |
| 重量 | 1.1kg(電池含む) |
2001年発売、2009年生産完了

所有個体の底面。台湾製の表示、シリアル番号、接続例、初期化方法が記載されています。
BOSSの修理対応一覧によると、EQ-20は2001年発売、2009年生産完了です。現在はメーカー修理対応も終了しています。
同じ時期のツインペダルには、ロータリーサウンドのRT-20やスペースエコー系のRE-20があり、現在はRT-2やRE-2、RE-202といった関連機種が販売されています。EQ-20だけが長く忘れられていたように見える気持ちは分かりますが、人気の差が製品展開の理由だったかは公式に確認できませんでした。
参考 生産完了品の修理対応期間に関するお知らせBOSS実用上の後継機はEQ-200
正当な後継機がないようにも見えますが、現在のBOSS公式EQ-20ページは、最新モデルとしてEQ-200を案内しています。筐体や操作方法まで同じではないものの、保存できる高機能10バンドEQという役割を受け継いだ実用上の後継機と考えるのが自然です。
| 比較 | EQ-20 | EQ-200 |
|---|---|---|
| EQ | 1系統の10バンド | 2系統の10バンド |
| メモリー | 9 | 127(バージョン1.1以降) |
| 接続 | モノラル入出力 | ステレオ、シリーズ、パラレル、インサート対応 |
| 外部制御 | 本体ペダル | 外部スイッチ、エクスプレッション、MIDI対応 |
| 重量 | 1.1kg | 630g |
EQ-20を選ぶ理由は、大きなスライダー、左右に分かれたペダル、9個という覚えやすいメモリー数に魅力を感じる場合です。より多くの設定、ステレオ接続、MIDI、小型軽量を重視するならEQ-200が向いています。
中古相場と選び方
2026年9月に確認した国内中古販売の例は、9,790円から13,200円ほどでした。販売店、付属品、状態で価格は変わるため、固定した相場ではありません。
参考 BOSS EQ-20中古販売例セカンドストリート 参考 BOSS EQ-20中古販売例ハードオフ公式ネットモール1万円前後で全機能が正常なら、9メモリーと2個のペダルを備えたEQとして面白い選択です。価格がEQ-200に近づく場合は、古さや修理対応の終了も含めて比較することをおすすめします。
中古購入時は、次の点を確認します。
- 10本のEQスライダーとLEVELが途切れず動くか
- スライダー操作時に大きなガリや音切れが出ないか
- 液晶とバックライトが正常に表示されるか
- 9個のメモリーへ保存し、電源を入れ直しても呼び出せるか
- 左右のフットペダルが一度で反応するか
- LEVELスイッチ、INPUT、OUTPUTに接触不良がないか
- 電池室に液漏れや腐食がないか
- 対応するPSAシリーズのアダプターが付属するか
まとめ
BOSS EQ-20は、10バンドEQ、LEVEL、9メモリーを大きな筐体へまとめたデジタルイコライザーです。音を帯域ごとに整えるだけでなく、LEVELを使えばブースターに、常時ONで全体を整えればプリアンプのようにも使えます。
所有個体を使った私の感想では、機能の多さから想像するほど難しくありません。液晶でEQカーブを見られ、左右のペダルでON/OFFとMANUAL/MEMORYを分けて操作できるため、ライブでも分かりやすい機種です。
公式にはEQ-200が最新モデルとして案内されています。それでも、大きなスライダーとツインペダルの操作感が好きで、正常な中古個体を1万円前後で見つけたなら、EQ-20をおすすめできます。
FAQ
- BOSS EQ-20はデジタルエフェクターですか?
- はい。BOSS公式はEQ-20を10バンドのデジタルEQとして案内しています。操作は一般的なスライダー式EQと同じで、作った設定を9個まで保存できます。
- BOSS EQ-20は何バンドで、何個まで保存できますか?
- 30Hzから12.8kHzまでの10バンドEQを搭載し、9個の設定を保存できます。各帯域とLEVELは±15dBの範囲で調整できます。
- BOSS EQ-20はブースターやプリアンプとして使えますか?
- 使えます。LEVELを上げればブースターに、EQで音の土台を整えて常時ONにすればプリアンプのように使えます。ただし、アンプを再現したり単体で歪みを作ったりする機材ではありません。
- BOSS EQ-20の電源は何ですか?
- 単3形電池6本、またはDC9VのBOSS PSAシリーズACアダプターを使用します。公式仕様の消費電流は最大120mAです。
- BOSS EQ-20に後継機はありますか?
- BOSS公式のEQ-20ページは、最新モデルとしてEQ-200を案内しています。同じツインペダル筐体ではありませんが、保存できる高機能10バンドEQという役割を受け継ぐ実用上の後継機です。


