ARION MEQ-1 Equalizerは、LEVELと7本の周波数スライダーを備えたグラフィックイコライザーです。今回紹介する所有個体は、プリンス通信工業製の日本製ヴィンテージです。
当時は格安エフェクターとして販売されていた印象がありますが、中を開けると部品数が多く、8本のスライダーまで小さなプラスチック筐体へ収められています。「この価格で本当に利益が出ていたのだろうか」と心配になるほどです。

プリンス通信工業製の日本製ARION MEQ-1所有個体。LEVELに加え、100Hzから6.4kHzまでの7バンドを調整できます。
GE-7よりEQの効きは穏やかに感じる
MEQ-1とBOSS GE-7は、100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1.6kHz、3.2kHz、6.4kHzという同じ7帯域を調整できます。LEVELを含む8本のスライダー構成もよく似ています。
ただし、実際に使うとMEQ-1はGE-7より効き方が若干薄く感じられました。スライダーを同じように動かしても音色の変化が穏やかで、強烈な補正を作るというより、アンプやギターの癖を少し整える用途に向いている印象です。
これは測定値ではなく、所有個体を弾き比べた私の感想です。古いエフェクターは部品の経年変化や個体差もあるため、すべてのMEQ-1とGE-7に同じ差があるとは断定できません。
穏やかな効き方は使いやすさにもつながる
EQは便利な反面、動かしすぎると低音だけが膨らんだり、高音が痛くなったりします。MEQ-1は変化が穏やかに感じられるため、初めてグラフィックEQを使う人でも破綻しにくいところが長所です。
まず全スライダーを中央に置き、気になる帯域を一本ずつ少しだけ動かすと分かりやすく使えます。
| 帯域 | 調整すると感じやすい変化 |
|---|---|
| 100Hz | 低音の量感、低音弦の膨らみ |
| 200Hz | 音の太さ、低中音域の濁り |
| 400Hz | 暖かさ、箱鳴りのような中低音 |
| 800Hz | ギターらしい中音域の押し出し |
| 1.6kHz | ピッキングの輪郭、前へ出る感触 |
| 3.2kHz | エッジ、歪みのざらつき |
| 6.4kHz | 明るさ、ノイズの目立ち方 |
歪みの前へ置けば歪み方そのものを変えやすく、歪みの後ろへ置けば完成した音の帯域を整えやすくなります。使い方に迷ったら、まず歪みの後ろへ置き、不要な帯域を少し下げる方法がおすすめです。
それでも一台を選ぶならGE-7をおすすめしたい
MEQ-1の穏やかな効き方は欠点だけではありません。少し動かしても音が急に変わりにくいため、微調整用としては扱いやすいです。安価な中古品が見つかり、スライダーやスイッチに問題がなければ、普通に使える7バンドEQです。
それでもMEQ-1とBOSS GE-7のどちらか一台を選ぶなら、私はGE-7をおすすめします。GE-7の方が補正の変化をはっきり感じやすく、ブースターとして音を前へ出したい場面から、不要な帯域を大きく削りたい場面まで対応しやすいからです。
MEQ-1を選ぶ理由は、日本製ARIONを集めたい、穏やかなEQが欲しい、状態の良い個体を安く見つけた、といった場合です。価格差が小さいなら、実用面ではGE-7を優先します。
バイパス音は若干抜けが悪く感じた
所有個体では、エフェクトをOFFにしたときの音が、直結時より若干抜けにくいように感じました。ただし、演奏に支障が出るほどではなく、普通に使う分には問題ありません。
この印象も所有個体についての評価です。ヴィンテージ個体では、ジャックやスイッチの接点、電解コンデンサーなどの状態によっても音が変わります。MEQ-1全体の仕様として「必ず音がこもる」と断定するものではありません。
気になる場合は、同じケーブルとアンプ設定でMEQ-1を外した音、接続してOFFにした音、ONにして全スライダーを中央にした音を順番に比べると判断しやすくなります。
格安機とは思えないほど部品数が多い

所有個体の内部。8本のスライダー、複数の電解コンデンサーやトランジスター、M5224Pと読めるICを小型筐体へ収めています。
内部を見ると、周波数帯ごとのスライダーを並べた上段基板と、増幅・切り替え回路を載せた下段基板に分かれています。写真では三菱のマークとM5224Pの刻印があるICも確認できます。
部品数が多いことだけで音質の良さは決まりません。それでも、当時の廉価なプラスチック筐体の中へ、7バンドEQとLEVEL、バイパス回路、電池スペースまでまとめた実装密度は見応えがあります。
一方、スライダー、スイッチ、入出力ジャックは機械的に消耗する部分です。ヴィンテージ品では部品の豪華さより、全帯域が途切れず動くか、操作時に大きなガリが出ないかを優先して確認します。
公式仕様は7バンド、各帯域±15dB
ARIONの公式英語ページでは、MEQ-1を次のように紹介しています。
“Packs 7 bands of EQ. at half the price of many 6 band.”
日本語訳:「多くの6バンドEQの半額で、7バンドEQを搭載しています。」
参考 MEQ-1 Equalizer製品情報(英語)ARION| 項目 | ARION公表値 |
|---|---|
| 周波数帯 | 100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1.6kHz、3.2kHz、6.4kHz |
| 各帯域の調整幅 | ±15dB |
| LEVEL | ±15dB |
| 電源 | 9V電池/DC9V出力のACアダプター |
| 消費電流 | 15.5mA |
| 寸法 | 73W × 50H × 127Dmm |
| 重量 | 340g(電池含む) |
公式ページの価格表現は販売当時の訴求であり、現在の新品価格や中古相場を示すものではありません。MEQ-1は中古流通が中心なので、購入時は価格だけでなく動作状態を確認してください。
プリンス通信工業製の日本製ヴィンテージ個体
この記事の所有個体は、プリンス通信工業製の日本製MEQ-1です。同じ型番でも製造時期や生産国が異なる可能性があるため、この記事の内部写真をすべてのMEQ-1に共通する仕様とは扱いません。
日本製というだけで音が良いと断定することもできません。今回の個体で面白いのは、生産国の肩書きより、廉価機として販売されながら多くの部品を小さな筐体へ詰め込んだ設計です。
同じARIONのエフェクターでは、MTE-1 TUBULATORも内部写真を交えて紹介しています。
中古購入時に確認したい点
- LEVELを含む8本のスライダーが途切れず動くか
- スライダー操作時に大きなガリや音切れが出ないか
- フットスイッチが一度で切り替わるか
- INPUT/OUTPUTジャックを動かして音が途切れないか
- 電池ふたの爪や筐体に割れがないか
- 電池の液漏れや基板の腐食がないか
- 本体表記と使用するアダプターの電圧・極性が合っているか
プラスチック筐体では、ジャックへ挿したプラグに横方向の力が加わると、筐体や基板へ負担がかかります。外観の傷より、スライダー、スイッチ、ジャックの状態を優先して選びます。
まとめ
ARION MEQ-1は、100Hzから6.4kHzまでの7帯域とLEVELを調整できるグラフィックイコライザーです。所有する日本製ヴィンテージ個体は、GE-7よりEQの効きが若干穏やかに感じられ、その分だけ微調整しやすい音でした。
内部には想像以上に多くの部品が収められ、当時の廉価機とは思えない実装密度を楽しめます。バイパス音は少し抜けにくく感じましたが、普通に使うには問題ありません。
状態が良く安価ならMEQ-1も面白い選択です。ただし、MEQ-1とGE-7のどちらか一台を実用目的で選ぶなら、私は補正の幅が広く感じられるBOSS GE-7をおすすめします。
FAQ
- ARION MEQ-1は何バンドのイコライザーですか?
- 100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1.6kHz、3.2kHz、6.4kHzの7バンドです。各帯域とLEVELを±15dBの範囲で調整できます。
- ARION MEQ-1とBOSS GE-7はどちらがおすすめですか?
- 穏やかな効き方や日本製ARIONの希少性を楽しむならMEQ-1も魅力があります。実用目的で一台を選ぶなら、所有者は補正の変化を感じやすいBOSS GE-7をおすすめします。
- 掲載されているARION MEQ-1は日本製ですか?
- はい。この記事の所有個体はプリンス通信工業製の日本製ヴィンテージです。ただし、同じ型番の全個体が同じ生産国や内部仕様とは限りません。
- ARION MEQ-1のバイパス音は劣化しますか?
- 所有個体では直結時より若干抜けにくく感じましたが、普通に使うには問題ありません。接点や部品の経年変化による個体差もあるため、MEQ-1全体の共通仕様とは断定できません。
- ARION MEQ-1はどんな人に向いていますか?
- 効きが穏やかな7バンドEQを探している人、日本製ARIONを集めている人、状態の良い中古品を安く見つけた人に向いています。強い補正幅を重視するならBOSS GE-7をおすすめします。

