Maxon D&S II OD-802は、TONEを少し絞った荒々しい歪みが気に入っている所有機です。緑のケースと角型のスイッチはTS808を思わせますが、音の印象まで同じではありません。
手元のOD-802は、部品の表記から1980〜1981年頃の製造と考えています。外観とともに、音を増幅する部品のRC4558Pや、ON/OFFを切り替えるスイッチ周りも写真付きで紹介します。
所有しているOD-802

所有している大きなケースのOD-802。左上がDISTORTION、右上がLEVEL、中央下がTONEです。
つまみは3つです。DISTORTIONは歪みの量、LEVELは出力する音量、TONEは音色を調整します。筐体にDISTORTIONと書かれている点も、OVERDRIVE表記のTS808との見分け方になります。
| 項目 | 手元の個体 |
|---|---|
| モデル | Maxon D&S II OD-802 |
| 筐体・スイッチ | ラージケース、角型スイッチ |
| 操作部 | DISTORTION、TONE、LEVEL |
| 音を増幅する部品(オペアンプ) | RC4558P、MALAYSIA表記 |
| スイッチ周り | 2SK121を確認 |
| 製造時期 | 1980〜1981年頃と推定 |
イケベ楽器の別個体の紹介でも、1980年頃とされるラージケースのOD-802にRC4558P MALAYSIAの搭載例があります。同じ型番でも部品が必ず一致するわけではありません。表に載せたのは、私のOD-802に付いている部品です。
参考 イケベ楽器:D&S II OD-802 Large Caseの紹介イケベ楽器店音の印象とおすすめのつまみ位置
手元のOD-802は、結構荒々しい歪みです。TS系ではTONEを上げて使うことがありますが、この個体は少し絞った方が好みです。つまみの位置をTS808と同じにして比べるより、それぞれの機種で弾きやすい音に合わせてから聴く方が、違いをつかみやすいと思います。
次の動画は、デジマートのヴィンテージ・エフェクター紹介です。D&S IIとOD-802を弾き比べているので、名前が似た2台の音を確かめられます。
以下はこの音の印象を基にした設定の提案です。実測した基準値ではないので、LEVELはON/OFFで音量が大きく変わらない位置に合わせてください。
軽く歪ませるバッキング
アンプをクリーンにして、コードの響きが残る程度にDISTORTIONを控えます。TONEを少し絞り、弦を強く弾いたときの音が痛くないか確かめます。
OD-802:軽い歪みでコードを弾く
- 1 DISTORTION9時
- 2 LEVEL12時
- 3 TONE10時
LEVELは仮の位置です。ON/OFFの音量をそろえ、歪みが多ければDISTORTIONを左へ戻します。
歪みを増やす単音のフレーズ
DISTORTIONを上げ、バッキングより強い歪みで単音を弾く例です。音のざらつきが強すぎれば、まずDISTORTIONを少し戻します。TONEを下げるだけで歪み量まで整えようとしない方が調整しやすくなります。
OD-802:歪みを増やした単音
- 1 DISTORTION2時
- 2 LEVEL11時
- 3 TONE9時30分
歪み量を変えたらLEVELも合わせます。TONEは好みの明るさへ少しずつ動かしてください。
音量を合わせる順番
OD-802をOFFにして普段の強さで弾き、アンプ側の音量と音色を決めます。
OD-802をONにし、DISTORTIONで歪みの量、TONEで音色を調整します。
同じフレーズを弾きながら切り替え、LEVELで音量差を整えます。大きな音ほど良く聞こえやすいため、音色を比べるときは音量をそろえます。
初期型D&S IIとの違い
D&S IIの名前が付いていても、初期型とこのラージケースのOD-802では、筐体や内部、弾いたときの印象が異なります。中古品を探すときは商品名に加えて、外観と基板の写真を確認してください。
別に所有している初期型の音や内部は、こちらの記事にまとめています。両方の写真を見比べると、同じ名前の機種を分けて考えやすくなります。
内部の部品と基板

OD-802の基板裏面。別の世代や改造されたものと見比べるときは、内部の写真も参考になります。
RC4558Pのマレーシア表記

手元の個体に入っているRC4558P。MALAYSIAの印字があり、いわゆるマレーシアンチップです。
ギターの音は、ケーブルの中を電気信号として伝わります。その小さな信号を大きくするために使う回路が、オペアンプです。写真のRC4558Pは、この回路を小さなチップにまとめた部品(IC)です。RC4558Pという名前や製造国の印字は個体を見分ける材料になりますが、それだけで音の良し悪しが決まるわけではありません。歪み方を考えるには周囲の部品と回路も含めて見る必要があります。
ダイオード周辺

歪みを作るダイオード周辺。所有個体ではゲルマニウム・ダイオードが使われています。
音を伝える電気信号が一定の大きさを超えたとき、超えた部分を切り取るように抑えることで歪みが生まれます。この働きが「クリッピング」です。写真のダイオードは、この回路で歪みを作るために使われている電子部品です。ただし、同じ種類のダイオードが使われていても、別のエフェクターと同じ回路とは限りません。ここでは写真で残せる個体の構成と、弾いて感じた音を分けて紹介しています。
スイッチ周りの2SK121

スイッチ周りに使われている2SK121。部品の共通点はありますが、これだけでTS808と同じ音とは判断できません。
TS808にも2SK121を使った個体があります。こうした共通点を見るのは面白いのですが、所有しているOD-802の音はOD-802として残したいところです。TS808仕様へ改造するより、この個体のまま使いたいと思っています。
部品から推定した製造時期

コンデンサなどの部品から、手元の個体は1980〜1981年頃の製造と考えています。製造年の確定情報ではありません。
古い個体では部品交換の可能性もあります。製造年を判断するときは、部品だけでなくケースや基板、シリアルなども合わせて確認する必要があります。また電源を使うときは、所有個体の端子の形、プラグの中心がプラスかマイナスか、対応する電圧を確認してください。外観の似た現行品の電源条件をそのまま当てはめないでください。
SD9と比べるときの注意
SD9もMaxonのディストーションですが、OD-802と同じ機種でも、外観だけ変えた復刻品でもありません。OD-802を探しているなら型番と世代を優先し、別の歪みを比較したいときにSD9を聴く、という使い分けがよいと思います。
Maxon SD9
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SD9はDISTORTION、TONE、LEVELで調整します。下は音色を比較するときのTONEだけを示した図です。歪み量と音量を合わせたあと、TONEを低めから動かして聴き比べてください。
SD9:比較するときのTONEのみ
- TONE9時
SD9のTONEだけを示した一部の図です。DISTORTIONとLEVELは、比較する音に合わせて別に調整してください。
旧米国代理店Godlykeの製品資料でも、SD9の音色回路はOD-802と同じものとして説明されていません。
a tone control that is reminiscent of the Boss DS-1日本語訳:「BOSS DS-1を思わせるトーン・コントロール」。
参考 旧米国代理店Godlyke:SD9の回路説明(英語)Godlykeよくある質問
- OD-802と初期型D&S IIは同じですか?
- 同じ名前を使っていますが、この記事はラージケースのOD-802の所有個体を紹介しています。初期型とは筐体や内部が異なるため、写真と型番を確認してください。
- おすすめの設定はありますか?
- 軽い歪みならDISTORTIONを9時、TONEを10時付近から試す方法があります。試す際は、LEVELはON/OFFの音量がそろうように調整してください。
- RC4558Pなら必ず同じ音になりますか?
- RC4558Pという部品だけでは決まりません。周囲の部品や回路、個体の状態も関係します。部品表は、私のOD-802に付いているものを紹介しています。
- SD9はOD-802の復刻品ですか?
- 同じ機種ではありません。SD9の商品情報を、そのままヴィンテージOD-802の仕様や音の根拠にはできません。
関連する実機紹介
同時期のMaxon製品の構造が気になる方は、D&S OD-801の実機紹介も参考にしてください。型番の数字が似ていても、同じ仕様として扱わずに見比べられます。
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