私のBOSS DM-2は、傷だらけの外装がよく似合う「歴戦のディレイ」です。 MN3205を搭載した後期型で、今も温かみのあるアナログディレイを楽しんでいます。短くかけて、リバーブ代わりに使うこともあります。
DM-2Wと比べると、この個体はディレイが少し短く感じられます。それでも、ショートディレイとして使うときの温かさは気に入っています。今回は、私が所有しているこのDM-2の使い方と、後期型の内部を紹介します。

私のDM-2後期型。使い込まれた外装も含めて、歴戦のディレイという雰囲気です。
温かいショートディレイを、リバーブ代わりに
DM-2は、温かみのあるアナログディレイの代表的な1台です。私もその温かさが好きで、はっきりとした山びこを作る使い方に加えて、短いディレイで余韻を添えるように使うことがあります。
私にとっては、リバーブ代わりに使えるところも魅力です。 リバーブそのものとは響き方が違いますが、短いディレイを足したときの感じが気持ちよく、この古いDM-2を使い続ける理由になっています。
BOSSの公式解説では、DM-2は1981年に登場したコンパクトなBBD方式のディレイとして紹介されています。最大300msの遅延を得るために音の帯域を絞ったことが、原音となじむ温かいディレイ音につながっています。
参考 BOSSディレイ・ペダルの歴史(日本語)BOSS3つのノブで、時間・音量・繰り返しを調整する
| コントロール | 調整するもの |
|---|---|
| REPEAT RATE | ディレイの間隔。右へ回すほど短くなります |
| ECHO | ディレイ音の音量 |
| INTENSITY | ディレイ音の繰り返しの量 |
ショートディレイを作るなら、まずREPEAT RATEで間隔を短くし、INTENSITYで繰り返しを控えめにして、ECHOで余韻の大きさを合わせると調整しやすいです。時計の針の位置を決めてしまうより、原音との重なりを聴きながら合わせるのが分かりやすいと思います。
私の個体は、DM-2Wより少し短く感じる
このDM-2をDM-2Wと比べると、私にはディレイが若干短くなっているように感じられます。「長く使われてきて、BBDもくたびれてきたのかな」と思うところです。
ただ、これは弾いて感じた印象で、遅延時間を測定した結果ではありません。BBDの摩耗が原因だと分かったわけではなく、遅延時間にはBBDを動かすクロックの設定や調整状態も関わります。 古い個体の状態を考えるうえでは、音の印象と故障の診断を分けておきたいところです。
比較相手のDM-2Wには2つのモードがあり、公式の遅延時間はスタンダードが20〜300ms、カスタムが40〜800msです。時間の長さをきちんと比較するなら、スタンダード・モードで条件をそろえる必要があります。ここで書いているのは、私が使っていて感じた違いです。
参考 BOSS DM-2W公式仕様(日本語)BOSS今の私の使い方では、短いディレイとして楽しめることが大切です。長いディレイを求める場面とは使い分けながら、このDM-2らしい温かい余韻を楽しんでいます。
後期型の内部には、MN3205とMN3102

私の個体の内部。基板にはET5214-510Bと印字されています。
この個体に入っているBBDはMN3205です。BBDは、アナログ信号を小さな段階ごとに受け渡して遅らせる部品。その受け渡しのタイミングを作るのが、隣にあるMN3102というクロック用のICです。
DM-2は製造途中でこの組み合わせが変更されており、初期仕様と後期仕様を見分ける手がかりになります。
| 役割 | 初期仕様 | 後期仕様 |
|---|---|---|
| 音を遅らせるBBD | MN3005 | MN3205 |
| BBDを動かすクロックIC | MN3101 | MN3102 |

MN3205がBBD、MN3102がクロック用IC。2つの部品で役割が違います。
1982年8月25日付のBOSSサービス資料にも、このBBDとクロックICの変更が記載されています。資料では旧部品との関係を「BBD and BBD driver are incompatible with old ones」と説明しています。日本語では「BBDとBBDドライバーは旧型部品との互換性がない」という意味です。型番だけを見て、初期型と後期型のICをそのまま差し替えられるものではありません。
参考 BOSS DM-2サービス資料(英語PDF・Stompbox Electronics所蔵)BOSS/Rolandこの個体も、MN3205とMN3102の組み合わせから後期仕様と分かります。外装の傷の多さとは別に、内部の型番で世代を確かめられるのも面白いところです。
NE570NとJRC4558DDも使われている

JRC4558DDとNE570N。周囲には抵抗やフィルム、セラミック、電解コンデンサが並びます。
私のDM-2には、JRC4558DDとNE570Nも入っています。NE570Nは、信号を圧縮してから再び広げる処理を担うコンパンダーで、BBDを使ったディレイのノイズを抑えるための回路に使われています。
基板上には調整用の半固定抵抗もあります。これは普段の音作りに使う3つのノブとは別のもので、BBDの動作やクロックなどを調整するためのものです。遅延時間が気になっても、むやみに回すのではなく、サービス資料に沿った測定を伴う調整が必要です。
電源端子にはACAアダプターの表示

電源端子には、BOSS ACAアダプター指定のラベルが残っています。
本体の電源端子には「USE BOSS ACA ADAPTOR ONLY」、つまり「BOSS ACAアダプター専用」の表示があります。古いBOSSを使うときは、こうした電源の指定も確認しておきたいところです。現行品の感覚でアダプターを選ばず、この個体に合った電源を使います。
傷だらけでも、短い余韻を足したくなるDM-2
私のDM-2は、見た目も使い心地も「歴戦のディレイ」という言葉が似合う1台です。DM-2Wと比べて時間が短く感じられるところはありますが、温かいショートディレイをリバーブ代わりに使う楽しさは、今も残っています。
私がほかに使っているヴィンテージのアナログディレイでは、Maxon AD-9もあります。同じくMN3205を使った機種で、こちらも短い余韻の使い方が気に入っています。古いアナログディレイの音に興味があれば、併せて読んでみてください。
よくある質問
- DM-2後期型と初期型では、どのICが違いますか?
- BBDとクロック用ICの組み合わせが違います。初期仕様はMN3005とMN3101、後期仕様はMN3205とMN3102です。私の個体は後者を搭載しています。
- DM-2をリバーブ代わりに使えますか?
- リバーブと同じ響きではありませんが、私は短いディレイで余韻を添えるように使うことがあります。温かいショートディレイも、このDM-2の好きなところです。
- ディレイが短く感じるのは、BBDの摩耗が原因ですか?
- 私の個体はDM-2Wより短く感じますが、原因を診断したわけではありません。遅延時間にはクロックの設定や調整状態も関わり、DM-2Wと比較する際はモードなどの条件をそろえる必要があります。

