Guyatone VT2 Vintage Tremoloは、1台で足りるはずなのに2台持っているくらい好きなトレモロです。音量を周期的に上下させるエフェクターですが、薄くかけるとUni-Vibeのように音がゆっくり回り込む感じがあります。
この揺れは、Fenderアンプ風の素直なトレモロとも、音を四角く切る現代的なトレモロとも少し違います。DEPTHを上げると存在感が増すのに、ギターのフレーズと一緒に動いてくれる。2ノブだけで、この独特なうねりをすぐ出せるところが気に入っています。

クリーム色の小さな筐体にDEPTHとRATEだけ。迷わず音を作れるところもVT2の魅力です。
トレモロなのにUni-Vibeに近く感じる
トレモロは、音量を大きくしたり小さくしたりして揺れを作ります。Uni-Vibeは、音の一部を遅らせて混ぜ、音域ごとの強弱を動かすエフェクターです。仕組みは同じではありません。
それでもVT2を遅く揺らすと、単純な「大きい・小さい」より、音が奥へ引いて戻ってくるように感じます。特にクリーンや軽いクランチでは、Uni-VibeのCHORUSモードを浅くかけたときのような、丸く回る雰囲気があります。
これは私が2台の所有個体を弾いて感じた音の印象です。VT2はあくまでトレモロですが、普通のトレモロとは違う揺れが欲しいときに手が伸びます。
DEPTHとRATEの使い方
- DEPTH:音量が上下する幅。右へ回すほど揺れが深くなる
- RATE:揺れる速さ。右へ回すほど速くなる
まずはDEPTHを9時、RATEを9時にします。ここからDEPTHを少し上げると、音の後ろで揺れていたVT2が前へ出てきます。
| 使い方 | DEPTH | RATE | 聞こえ方 |
|---|---|---|---|
| Uni-Vibe風のゆっくりした揺れ | 8〜10時 | 8〜9時 | 音が前後へゆっくり回る |
| コードのバッキング | 10〜12時 | 9〜11時 | コード全体が呼吸するように揺れる |
| はっきりしたトレモロ | 1〜3時 | 10〜1時 | 音量の上下がリズムとして聞こえる |
| 速い刻み | 12時以上 | 2時以上 | 細かく途切れるような動きが出る |
所有する2台は、RATEとDEPTHを同じ位置にしても、揺れの速さと深さが少し異なります。実際に曲を弾きながら、RATEで揺れの速さをテンポに合わせ、DEPTHで欲しい深さに調整します。

手元のVT2は2台。塗装の傷やノブ位置は違いますが、どちらもこの独特な揺れを楽しめます。
LM3080Nで音量を揺らす回路

所有個体で確認したNational Semiconductor製LM3080N。写真中央の8ピンICです。
この個体にはNational Semiconductor製LM3080Nが使われています。LM3080NはOTAと呼ばれる部品で、外から流す制御電流に応じて信号の大きさを変えられます。
コンプレッサーでは、強く入った音を検出してOTAの音量を下げます。VT2では、ゆっくり動く制御信号でOTAの音量を周期的に上下させます。同じ3080系でも、コンプレッサーとトレモロでは動かし方が違います。
National Semiconductorの英語データシートは、LM3080を次のように説明しています。
英語原文:
> “intended to fulfill a wide variety of variable gain applications.”
日本語訳:
> 「さまざまな可変ゲイン用途に対応するための部品です」
参考 LM3080データシート(英語PDF)National Semiconductor資料・英語私が見てきた古いトレモロでは、トランジスターやフォトカプラーで音量を動かす回路をよく見ます。小さなVT2へLM3080Nを入れた設計は珍しく感じます。VT2の音は、ICだけでなく、揺れを作る回路、周辺部品、DEPTHの効き方まで含めて決まります。
この大きさへ電池まで詰め込んでいる

筐体のほとんどを使うVT2の基板。2つのジャック、電源端子、ポット用の小基板まで小さな箱へ収めています。
内部を見ると、基板は筐体の幅いっぱいです。上にはDEPTHとRATEのポットを載せた小さな基板があり、その下へメイン基板、フットスイッチ、ジャック、電源端子が入っています。さらに9V電池の場所まで残しています。
「よくこの大きさへ全部入れたな」と感心する密度です。修理するときは窮屈ですが、足元へ置くとこの小ささが助かります。
1990年代初頭のVT2を扱った修理記録でも、小型の共通筐体へ詰め込んだため回路を追うのが大変だったと紹介されています。
参考 Guyatone VT-2の回路と修理記録イタリヤ超介研究所裏蓋をゴム枠で押さえる発想が面白い

底板を外したVT2。黒いゴム枠が筐体の外周を囲み、底板を押さえる作りです。右下には9V電池も入ります。
VT2の底は、金属板を黒いゴム枠で押さえる構造です。ネジを増やさず、小さな筐体を滑りにくくし、机や床へ置いたときの当たりも柔らかくできます。かなり力技ですが、目的には合っています。
困るのは、古くなるとゴムが硬くなり、伸びたり切れたりすることです。中古品では底板がきちんと留まるか、ゴム枠に大きな亀裂がないかを確認します。交換品を探しにくい部分なので、無理に引っ張らない方が長持ちします。
1990年代初頭に記録があるMicro Effectsシリーズ
VT2はGuyatoneのMicro Effectsシリーズに含まれる日本製トレモロです。1990年代初頭に発売された機種として、当時の個体を扱った修理記録が残っています。
メーカーのシリアル対応表が公開されておらず、手元にある2台の正確な製造年は不明です。外観と内部を見ても、年までは読み取れません。
製品名の「Vintage Tremolo」は、古いアンプに入っていたトレモロを小型ペダルで楽しむ意図を表した名前です。現在ではVT2自体も古い生産終了機になりました。
中古で確認したいところ
- DEPTHを上げたときに音量が周期的に変わるか
- RATEを回すと揺れの速さが滑らかに変わるか
- フットスイッチを踏んだときに音が途切れないか
- ジャックを動かしてもノイズや接触不良が出ないか
- 黒いゴム枠が底板を保持できるか
- 電池スナップが腐食していないか
外部電源を使う場合は、実機の電圧と極性を確認してから接続します。表示が読めない個体は、最初に9V電池で動作を見る方が安全です。
同型VT2のDEPTHとRATEの変化を確認できる日本語動画です。
トレモロの種類と現行機はこちらの記事で比較しています。
同じGuyatoneの古いモジュレーションでは、ジャンクから修理したPS-101 Rolly Phase Sonixも紹介しています。
まとめ
Guyatone VT2 Vintage Tremoloは、LM3080Nで音量を動かす小型トレモロです。DEPTHとRATEだけの簡単な操作で、はっきりした音量の上下から、Uni-Vibeを思わせる丸い揺れまで作れます。
私はこの音がかなり好きで、同じVT2を2台持っています。珍しい部品が入っているから眺めて楽しいだけではなく、ギターをつないだときにちゃんと気持ちいい。小さな箱へ回路と電池を詰め、底板をゴムで留める作りまで含めて、Guyatoneらしい面白さが詰まった一台です。
FAQ
- Guyatone VT2はUni-Vibeですか?
- VT2は音量を周期的に変えるトレモロです。Uni-Vibeとは回路が違いますが、RATEを遅く、DEPTHを浅くすると、音が前後へ回るような近い雰囲気を感じます。
- VT2のLM3080Nは何をしていますか?
- LM3080NはOTAと呼ばれる部品で、VT2では制御信号に合わせてギター音の大きさを周期的に変えます。コンプレッサーにも使われますが、VT2ではトレモロを作るために動きます。
- VT2は何年製ですか?
- VT2は1990年代初頭に発売された機種として修理記録が残っています。メーカーのシリアル対応表が公開されておらず、この記事で紹介する2台の正確な製造年は不明です。
- VT2でUni-Vibe風の音を作る設定は?
- DEPTHを8〜10時、RATEを8〜9時から試します。クリーンか軽いクランチで弾き、揺れが浅ければDEPTHを少しずつ上げます。
- VT2の中古品はどこを確認しますか?
- DEPTHとRATEの動作、フットスイッチとジャックの接触、電池スナップの腐食、底板を押さえる黒いゴム枠の亀裂を確認します。外部電源は実機の電圧と極性を確認してから接続します。
