黄色いGuyatone PS-101 Rolly Phase Sonixを、ジャンクのまま終わらせず救出しました。
入手時は故障していたうえ、基板のソケットからオペアンプが1個抜かれていました。欠けていた部品を補い、信号が通る場所と揺れを作る回路を追って復活させています。
直ってうれしいのはもちろんですが、音もかなり気に入りました。DEPTHを上げれば、1970年代らしい深いうねり。下げれば、手元のMXR Phase 45を思わせる浅い揺れまで作れます。黄色い筐体も含めて、自慢したくなる一台です。

修理して音が戻ったPS-101。黄色い筐体の傷も、この個体が過ごした時間として気に入っています。
正式名はPS-101 Rolly Phase Sonix
前面の表記は「ROLLY Phase Sonix BOX」です。Guyatoneの1976年カタログでは「SUPER PHASE SONIX PS-101」として掲載され、DEPTHとSPEEDで幅広いフェイズ効果を作れる機種として紹介されています。
つまり、少なくとも1976年には販売されていたモデルです。手元の個体そのものの製造年を示す刻印は見つかっていないため、1970年代のPS-101として紹介します。
参考 1976年Guyatoneカタログ|SUPER PHASE SONIX PS-101ギターカタログ| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | Guyatone |
| 型番 | PS-101 |
| 前面表記 | Rolly Phase Sonix Box |
| カテゴリ | フェイザー |
| コントロール | DEPTH、SPEED |
| 電源 | 9V電池 |
| 製造時期 | 1970年代。1976年カタログ掲載を確認 |
| 所有個体の状態 | オペアンプ欠損・故障状態から修理済み |
オペアンプが抜かれたジャンク品だった
裏蓋を開けると、8本足のオペアンプを差すソケットが1か所だけ空でした。自然に外れたという状態ではなく、部品が抜き取られたまま売られていたジャンク品です。
オペアンプは、ギターから来た小さな電気信号を受けたり、フェイザーの揺れを作ったりする部品です。1個抜けると、必要な場所で信号を受け渡せません。電池を替えるだけでは直らない故障でした。
回路図と周囲の配線を照合し、欠けていたデュアル・オペアンプを補いました。その後、電源、音の通り道、揺れを作る低い周期の信号を順に確認し、フェイザーとして動くところまで戻しています。

修理後の内部基板。3個の角形オペアンプと、左下の金属缶オペアンプが見えます。
Phase 100風の見た目でも、回路はPhase 90寄り
DEPTHとSPEEDの2ノブなので、最初はMXR Phase 100のような機種にも見えます。しかし、PS-101の回路にはPhase 100で使われる光学部品がなく、4個の2SK30Aを使って4段のフェイズ回路を動かしています。
この「4段のフェイズ回路をJFETで動かす」という基本形は、MXR Phase 90に近い考え方です。部品の値、DEPTH回路、入出力、揺れを作る回路には違いがあるため、Phase 90に近い方式を持つGuyatone独自のフェイザーと考えるのが自然です。
フェイズ回路は、元の音へ少し位相をずらした音を混ぜ、特定の音域を打ち消します。その打ち消す場所を動かすと、「シュワーッ」と音域が移動して聞こえます。段数が変わると、同時に動く谷の数や揺れの濃さも変わります。
| 機種 | 回路の目安 | 聞こえ方と操作 |
|---|---|---|
| MXR Phase 45 | 2段 | 浅く、ゆるやかな揺れ |
| MXR Phase 90 | 4段JFET | Phase 45より濃い揺れ。基本はSPEED 1ノブ |
| Guyatone PS-101 | 4段JFET | DEPTHで揺れの濃さ、SPEEDで速さを調整 |
| MXR Phase 100 | Phase 90とは異なる多段・光学式 | INTENSITYとSPEEDで複数の揺れ方を選ぶ |
PS-101は、回路の段数だけを見ればPhase 90側です。しかしDEPTHを下げると、効果音の主張が引っ込み、Phase 45を思わせる浅い揺れまで作れます。4段回路が2段へ切り替わるのではなく、4段のまま揺れの深さを弱くしている点が違いです。

緑色のフィルムコンデンサーと4個の2SK30Aで、4段のフェイズ回路を作っています。
回路図と所有個体の中身
PS-101と同じ基板を使ったVox 1900 Phaserの回路図には、次の部品が記載されています。
英語PDFの原文:
IC1, IC2, IC3: LM1458N / IC4: LM741CH / Q1–Q4: 2SK30A(O)日本語訳:IC1〜IC3はLM1458N、IC4はLM741CH、Q1〜Q4は2SK30AのOランクです。
参考 PS-101/Vox 1900 Phaser回路図(英語PDF)Audio Circuit・英語資料手元の個体でも、角形のオペアンプが3個、金属缶のオペアンプが1個、K30A表記のJFETが4個見えます。角形オペアンプのうち1個は、修理時に補った部品です。

表面にK30Aと読める黒い部品がJFETです。写真の範囲でも複数を確認できます。
DEPTHとSPEEDは何を変えるのか
- DEPTH:フェイザーの揺れをどれくらい強く聞かせるか
- SPEED:揺れが一往復する速さ
DEPTHを下げると、コードの音程感を残しながら、後ろでゆっくり音域が動きます。ここがPhase 45に近いと感じる範囲です。
DEPTHを上げると、音域の谷がはっきり移動し、フェイザーをONにしたことがすぐ分かる音になります。SPEEDを遅くすると大きな波、速くするとロータリー・スピーカーに近い細かな回転感へ変わります。
1976年のカタログも、ゆっくりしたフェイズ音から回転スピーカー風の音まで作れる点をPS-101の特徴として挙げています。2ノブだけですが、使える範囲はかなり広いフェイザーです。
同型PS-101の動作を確認できる動画です。手元の修理個体そのものの録音ではありません。
実際に鳴らして気に入ったところ
このPS-101は、深くかけた音より、DEPTHを少し戻した位置が特に気に入りました。フェイザーの存在は分かるのに、コードの輪郭が消えません。クリーンでアルペジオを弾くと、各音の後ろを薄い波が通っていきます。
さらにDEPTHを上げると、1970年代のフェイザーらしい大きなうねりになります。単音リフや、音を伸ばしたコードへ使うと、音域が上下ではなく奥から手前へ回るように聞こえます。
Phase 90の1ノブは迷わず使える良さがあります。PS-101は、同じ4段JFET系の方向を持ちながら、DEPTHでPhase 45風の浅さまで戻せる。この一段広い調整幅が、修理して残してよかったと思う理由です。
ジャンク品を買うときに見る場所
ヴィンテージのフェイザーが動かない場合、原因はオペアンプだけとは限りません。電池端子、スイッチ、ジャック、電解コンデンサー、揺れを作る回路、4個のJFETと内部調整も関係します。
今回の個体はオペアンプが目に見えて欠けていましたが、部品を差す前に次を確認しました。
1. 電源のプラスとマイナスが正しい場所へ届くか
2. ソケットの向きとICの1番ピンが合うか
3. ICを外した原因になるショートや発熱がないか
4. バイパス音とエフェクト音のどこまで信号が来ているか
5. 修理後に部品が異常に熱くならないか
ジャンク品の面白さは、安く買うことより、故障の理由を追って音を取り戻すところにあります。このPS-101は、その楽しさと音の両方が残った当たりの一台でした。
Phase 45・Phase 90・Phase 100も実機で比較
PS-101の浅い側に近い揺れは、[1978年製MXR Phase 45](https://2n3565.tokyo/mxr-phase45-1978/)の実機レビューで確認できます。
4段JFETフェイザーの基準になる[ヴィンテージMXR Phase 90](https://2n3565.tokyo/mxr-phase-90-script-vintage%ef%bd%9c%e5%85%83%e7%a5%96%e3%83%95%e3%82%a7%e3%82%a4%e3%82%b6%e3%83%bc%e3%83%9a%e3%83%80%e3%83%ab%e3%81%ae%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%97%e3%83%88%e6%9c%9f%e3%83%b4/)も所有個体で紹介しています。
見た目の印象が近い[MXR Phase 100](https://2n3565.tokyo/phase100_block/)は、Phase 90とは異なる回路です。PS-101と音を比べるときは、ノブの数より回路と揺れの濃さを聞くと違いが分かります。
まとめ
Guyatone PS-101 Rolly Phase Sonixは、1976年のカタログで確認できる日本製ヴィンテージ・フェイザーです。手元の個体は、故障したうえにオペアンプが1個抜かれたジャンク品でしたが、回路を追って復活させました。
回路は4個の2SK30Aを使う4段JFET式で、考え方はPhase 100よりPhase 90に近い構成です。とはいえ、DEPTHを下げればPhase 45を思わせる浅い揺れまで作れます。完全なPhase 90コピーというより、Guyatoneが2ノブで使える幅を広げた4段フェイザー、と捉えるのがしっくりきます。
ジャンクから戻ってきた音、傷のある黄色い筐体、修理跡を含む基板。その全部を含めて、手放しにくい一台になりました。
FAQ
- Guyatone PS-101の正式名は何ですか?
- 前面にはRolly Phase Sonix Boxと書かれています。1976年のGuyatoneカタログではSUPER PHASE SONIX PS-101として掲載されています。
- Guyatone PS-101はPhase 90のクローンですか?
- 4個の2SK30Aを使う4段JFET式という基本形はPhase 90に近い構成です。DEPTH回路や部品の値には違いがあり、近い方式を持つGuyatone独自のフェイザーです。
- PS-101はPhase 45の音も出せますか?
- DEPTHを下げると、Phase 45を思わせる浅い揺れまで弱められます。ただし回路は4段のままで、Phase 45と同じ2段回路へ切り替わるわけではありません。
- PS-101にはどのオペアンプが使われていますか?
- PS-101/Vox 1900の回路図はLM1458Nを3個、LM741CHを1個指定しています。手元の個体は角形オペアンプの1個を修理時に補っています。
- 故障したPS-101へオペアンプを差せば直りますか?
- オペアンプ以外に電源、スイッチ、ジャック、コンデンサー、JFET、内部調整が故障している場合があります。ソケットの向きと電源電圧を確認し、通電中に発熱する場合はすぐ止めて修理店へ依頼してください。

