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MXR Phase 45 1978年製レビュー|Phase 90より浅い揺れ

1978年製のヴィンテージMXR Phase 45を入手しました。Phase 45は、MXRの定番フェイザーであるPhase 90の弟分にあたるモデルで、Phase 90が4ステージ構成なのに対して、Phase 45は2ステージ構成の控えめなフェイザーです。

派手に「シュワーッ」とうねるPhase 90に対して、Phase 45は音色の揺れを浅く加えるタイプです。単体で聴くと地味に感じるかもしれませんが、バンドアンサンブルやクリーントーン、カッティング、アルペジオ、ローズ系のエレピサウンドでは非常に使いやすいエフェクターです。

1978年製 MXR Phase 45。ブロックロゴ期のヴィンテージ個体です。

MXR Phase 45とは?

MXR Phase 45は、1970年代に登場したコンパクトフェイザーです。兄弟機として有名なPhase 90が4ステージのフェイザーであるのに対し、Phase 45は2ステージ構成。つまり、フェイザーとしてのかかり方は浅めで、音の揺れも控えめです。

「フェイザーをかけている」とはっきり主張するPhase 90に対して、Phase 45は原音にうっすら動きを混ぜるような音です。コーラスほど広がらず、ユニヴァイブほどクセが強くなく、トレモロほど音量変化もありません。あくまで原音より目立たない浅い揺れを加えるエフェクターです。

モデルステージ数音の傾向向いている使い方
MXR Phase 452ステージ浅め、自然、軽いクリーン、カッティング、アルペジオ、常時ON
MXR Phase 904ステージ揺れが深く、エフェクト音が大きいリード、リフ、派手なフェイザーサウンド

1978年製Phase 45の特徴

今回入手した個体は1978年製のMXR Phase 45です。1978年というと、いわゆる初期スクリプトロゴ期ではなく、ブロックロゴ期にあたる年代です。

ヴィンテージMXRは、同じモデルでも年代によってロゴ、基板、パーツ、ジャック、スイッチ、内部配線などに差があります。特に1970年代後半のMXRは、まだ現代的なLEDやDCジャックが標準装備される前の時期で、非常にシンプルな構造です。

  • コントロールはSpeedノブのみ
  • LEDなし
  • DCジャックなし
  • 9V電池駆動
  • バイパススイッチと入出力ジャックのみのシンプル構造
  • 2ステージフェイザーらしい浅いかかり

現代のエフェクターに慣れていると、LEDがないことやDCジャックがないことは不便に感じるかもしれません。ただ、この潔い構造こそが当時のMXRらしさでもあります。

裏蓋にはスクリプト期からの切り替わり途中なのかスクリプトMXRロゴが刻印されてます。

サウンドレビュー:Phase 90よりも揺れが浅く、原音より目立ちにくい

実際に鳴らしてみると、Phase 45はPhase 90とはかなり印象が違います。Phase 90は「フェイザーを踏んだ音」になりますが、Phase 45は「音に動きが出る」くらいのかかり方です。

Speedを遅めにすると、コードの後ろでゆっくり空気が揺れるようなサウンドになります。クリーントーンのアルペジオにかけると、音が平面的にならず、少しだけ立体感が出ます。

Speedを上げてもPhase 90ほど強烈にはなりません。深くえぐるようなフェイズサウンドではなく、軽く揺れるモジュレーションとして使えます。派手さはありませんが、逆に言えば原音を壊しにくいです。

クリーントーンとの相性

最も相性が良いのはクリーントーンです。ストラトやテレキャスターのシングルコイルで鳴らすと、ピッキングの強弱を残したまま、浅い揺れを加えられます。

特にハーフトーンやリア+センター系の音にかけると、カッティングが非常に気持ちいいです。フェイザー特有のクセはありますが、Phase 90ほど強く主張しないため、常時ONに近い使い方もできます。

歪みとの相性

歪みの前に置くと、揺れがやや丸くなり、ヴィンテージ感のあるサウンドになります。オーバードライブやファズの前に薄くかけると、中音域を残しながら少しだけ動きが出ます。

歪みの後ろに置くと、フェイザーの動きがわかりやすくなります。ただしPhase 45はもともとかかりが浅いため、現代的な強いモジュレーション感を求める場合は物足りないかもしれません。

エレピやシンセにも合いそうな音

ギター用エフェクターではありますが、Phase 45の薄いかかり方はローズ系のエレピやシンセにも合いそうです。Phase 90ほど音が動きすぎないため、コードに浅い揺れを足す用途に向いています。

phase90よりも、よくUnivibe系と比較されます。松美庵さんのサイトに掲載されてる改造記事の内容を実装するとさらにユニヴァイブっぽくなるので、ヴィンテージではなく現行品をお持ちの方におすすめです。

http://www.matsumin.net/diy/jisaku2/phase45/index.html

Phase 45の回路的な特徴

Phase 45は、ざっくり言えばPhase 90を簡略化したような2ステージフェイザーです。フェイザーは、原音と位相をずらした音を混ぜることで、特定の帯域に谷を作り、その谷をLFOで動かすエフェクトです。

Phase 90は4ステージ構成のため、フェイズの谷がより深く、うねりも強く感じられます。一方でPhase 45は2ステージ構成なので、谷が少なく、効果も浅めです。

項目Phase 45Phase 90
フェイズ段数2ステージ4ステージ
効果の深さ浅い深い
原音の残り方残りやすいエフェクト感が強い
使いやすさバッキング向きリードやリフ向き
上品、自然、薄い濃い、派手、粘る

また、Phase 45系の回路ではFETのマッチングが重要です。FETのばらつきが大きいと、LFOによる揺れ方やフェイズのかかり方に差が出ます。現行の復刻系モデルでも、マッチドFETを採用していることがアピールされています。

初期Phase 45はクワッドOPAMP 1個構成だった?

Phase 45の回路で面白いのが、オペアンプの構成です。後年の回路図やクローン基板では、TL022やTL062などのデュアルOPAMPを2個使う構成で描かれていることが多いです。デュアルOPAMPは1つのICの中に2回路分のオペアンプが入っているため、2個使えば合計4回路分になります。

一方で、初期のPhase 45では、デュアルOPAMPを2個ではなく、14ピンのクワッドOPAMPを1個使って4回路分をまとめている個体が存在するようです。クワッドOPAMPは、1つのICパッケージの中に4つのオペアンプが入った部品で、LM324やRC3403、MC3403系のようなICが代表的です。

Phase 45は2ステージフェイザーなので、回路全体として必要なオペアンプ数はそこまで多くありません。入力バッファ、2段のフェイズシフト部、LFO周辺をまとめると、4回路入りのクワッドOPAMP 1個にまとめられます。つまり、初期のPhase 45は「2回路入りICを2個」ではなく、「4回路入りICを1個」で済ませる、よりシンプルでコンパクトな実装だったと考えられます。

構成使用するIC中身のオペアンプ数特徴
初期型に見られる構成クワッドOPAMP × 14回路14ピンIC 1個で回路をまとめるシンプルな実装
後年の回路図・クローンでよく見る構成デュアルOPAMP × 22回路 × 2個=4回路用途ごとにICを分けやすく、現代の製作では扱いやすい

音質面で「クワッドOPAMPだから必ず良い」「デュアルOPAMPだから悪い」と単純には言えません。ただ、ヴィンテージ個体として見る場合、どの年代の基板なのか、どのICが載っているのかはかなり重要なチェックポイントになります。

特にPhase 45はPhase 90よりも流通個体数と確認できる資料が少なく、同じブロックロゴ期でも中身が完全に同じとは限りません。外装のロゴだけで判断するよりも、基板、IC、ポットデイト、配線、裏蓋の刻印などを合わせて見る方が、年代判定としては確実です。

1978年製Phase 45の良いところ

1. とにかく音が自然

Phase 45の最大の特徴は、エフェクトの揺れが原音より目立ちにくいことです。フェイザーというと、どうしても70年代ロック的な強いうねりを想像しがちですが、Phase 45はもっと控えめです。

コードを弾いたときに音が濁りにくく、クリーンのニュアンスも残りやすいです。派手な音作りよりも、演奏全体の雰囲気を少し変えたいときに向いています。

2. 1ノブなので迷わない

コントロールはSpeedのみです。DepthもFeedbackもありません。そのため、音作りで迷うことがありません。

遅めにすればゆったりした揺れ、速めにすれば軽いロータリー風の動きになります。細かく作り込むタイプではなく、感覚的に使うエフェクターです。

3. ヴィンテージMXRらしい音がある

1970年代のMXRは、筐体、ノブ、スイッチ、ジャック、基板の雰囲気が非常にシンプルです。現代のエフェクターのような多機能さはありませんが、道具としての潔さがあります。

特にPhase 45は、Phase 90ほど市場に多く出回る印象がないため、ヴィンテージMXRの中でもやや通好みのモデルです。

気になるところ・注意点

1. LEDがないのでON/OFFがわかりにくい

ヴィンテージ個体なので、LEDはありません。ライブで使う場合、今ONなのかOFFなのかが視覚的にわかりません。

Phase 45はかかりが浅いため、音量が大きい現場ではON/OFFの判別が難しいこともあります。実戦投入するなら、ループスイッチャーに入れて使うのも良いと思います。

2. DCジャックがない

この時期の個体は基本的に9V電池駆動です。現代のボードに組み込むには少し不便です。

ただし、ヴィンテージ価値を考えると、安易にDCジャックを増設するのはおすすめしません。改造する場合は、価値が下がる可能性も考えたうえで判断した方が良いです。

3. 派手なフェイザーを求める人には物足りない

Phase 45は、強烈なフェイズサウンドを出すエフェクターではありません。Van Halen的な濃いフェイザーや、深くうねるサイケな音を求めるならPhase 90の方が向いています。

Phase 45は、あくまで音に浅い揺れを加えるエフェクターです。そこを理解して使うと非常に良いですが、派手さを期待すると地味に感じると思います。

おすすめの設定

用途Speed位置音のイメージ
常時ON風の薄い揺れ8〜9時ほとんど気づかない程度の浅い揺れを加える
クリーンアルペジオ9〜10時ゆっくりした空気感のある揺れ
ファンクカッティング10〜12時リズムに軽く動きを加える
ロータリー風1〜3時速めの揺れで少しクセを出す
飛び道具的な使い方3時以降浅いながらも独特の揺れが出る

個人的には、Speedを9時前後にした薄い設定が一番Phase 45らしいと感じました。エフェクト単体で聴くと地味ですが、バンドの中ではこのくらいがちょうど良さそうです。

Phase 45はどんな人におすすめ?

  • Phase 90だとフェイザーが濃すぎると感じる人
  • ほとんど歪んでいない音に浅い揺れを足したい人
  • カッティングやアルペジオを気持ちよくしたい人
  • ヴィンテージMXRが好きな人
  • 派手なエフェクトよりも薄味のモジュレーションが好きな人
  • 常時ONに近いフェイザーを探している人

逆に、強烈なうねりや派手なサイケ感が欲しい人にはPhase 90やPhase 100の方が合うと思います。Phase 45は、あくまで「さりげないフェイザー」です。

ヴィンテージ個体を買うときのチェックポイント

1970年代のMXR Phase 45を購入する場合は、音だけでなくコンディションも重要です。特に以下のポイントは確認しておきたいところです。

チェック項目確認内容
基板オリジナル基板か、修理や改造跡がないか
ポットガリがないか、交換されていないか
スイッチ踏んだときに音切れや接触不良がないか
ジャック接触不良、ナットの緩み、交換跡がないか
電池スナップ断線、腐食、交換の有無
内部スポンジ劣化して基板やパーツに付着していないか
外装塗装、ロゴ、ノブ、ネジの状態

特に古いMXRは内部のスポンジが劣化してベタついていることがあります。スポンジが崩れて基板に付着している場合は、クリーニングが必要になることもあります。

まとめ:Phase 45は“薄いからこそ良い”フェイザー

1978年製のMXR Phase 45は、派手なエフェクターではありません。むしろ、現代的な感覚で聴くとかなり控えめです。

ただ、その控えめさこそがPhase 45の特徴です。Phase 90のように音を大きく変えず、原音を残しながら浅い揺れを加えます。

クリーントーン、カッティング、アルペジオ、エレピ的なコードワークなどには非常に相性が良く、常時ONに近い使い方もできます。

原音より揺れを目立たせないフェイザーを探している人に向いています。

参考資料