結論から言うと、手元のMAXON D&S IIは、低音域が多く、深く荒々しく歪むヴィンテージディストーションです。Tube Screamerのように中域を整えてアンプへの入力を強くするエフェクターというより、1台で聞こえやすい歪みを作りたいときに向いています。
本記事で扱うのは、電解コンデンサーの製造年から1978年頃と推定している個体です。D&S IIには時期による仕様差があり、後年のOD-802や現行リイシューと同じものとしてまとめないほうが実態に近いと考えています。
MAXON D&S IIの音
まずは同年代のD&S IIを使ったデモです。低音域を保ったまま歪みが深くなり、輪郭に少し粗さが残る方向を確認できます。
実機を弾いた印象も、細く鋭いディストーションではありません。低域と中音域が残り、ゲインを上げるほど荒さとサステインが増します。
回路を見た第一印象は、MXR Distortion+にTONE回路を加えたような組み合わせでした。ただし、実際のサウンドはDistortion+そのものではなく、もう少し太く、深く歪むニュアンスがあります。ここは回路の系統名だけでは説明しきれない部分です。

1978年頃と判断した理由
内部の電解コンデンサーには1978年製と読めるものが使われています。部品の製造年と完成品の製造年は必ずしも一致しませんが、少なくとも1978年以降に組まれた個体と考える材料にはなります。
久しぶりに動作確認したときも問題なく動きました。ただし、40年以上経過したエフェクターは、同じ型番でも電解コンデンサーやスイッチの状態でノイズ、出力、低域の出方が変わります。ヴィンテージ個体を選ぶなら、外観だけでなく動作状態を優先したいところです。

D&S、後期D&S II OD-802との違い
初代D&Sのヴィンテージも所有していますが、そちらはBig Muff系を思わせる回路で、さらにファズ寄りに深く歪みます。今回のD&S IIは名前こそ近いものの、音の重心と歪み方は別物です。
また、後期のD&S II OD-802はTS808に近い時代の筐体と回路を持ち、本記事の初期個体よりオーバードライブ寄りです。D&S IIからSonic Distortionへ発展していったのではないか、というのが実機を見比べたときの私の印象ですが、世代ごとの回路変更をメーカーがすべて公開しているわけではないため、ここは推測として捉えてください。
後期OD-802の内部と音は、別記事で詳しく紹介しています。
現行リイシューは同じ音なのか
現在はMAXONの公式ラインナップにD&S IIリイシューがあり、公式にはOD808に近いデュアルオペアンプ構成で、より多い低域、出力、ゲインを持つモデルと説明されています。そのため「D&S IIは再発されていない」という以前の認識は現在の状況には当てはまりません。
ただし、公式の現行仕様と1978年頃の手元個体には、筐体も回路の見え方も違いがあります。ヴィンテージの完全再現と決めつけず、現行品はD&S IIの音の傾向を今の環境で使いやすくした選択肢として見るのが安全です。
参考 DISTORTION AND SUSTAINER II (D&S II)MAXON初代D&Sの現行品を探す場合は、こちらの商品リンクも確認できます。初代D&SとD&S IIは歪み方が異なるため、同じモデルの代用品ではなく、よりファズ寄りの兄弟機として考えてください。
向いている使い方
この個体の低音域を活かすなら、クリーンから軽いクランチのアンプへつなぎ、DISTORTIONを中程度から上げてメインの歪みにする使い方が合います。ハムバッカーでは低域が膨らみすぎないようTONEを調整し、シングルコイルでは低中音域を増やす方向へ追い込めます。
整ったモダンハイゲインや、TS系の中域ブーストを求める人には別のエフェクターが合います。歪みの粒の粗さ、低音域の量、ヴィンテージらしい個体差まで含めて楽しみたい人向けです。
現行ディストーションも含めて比較したい場合は、選び方と音の方向をこちらで整理しています。
FAQ
- MAXON D&SとD&S IIは同じ回路ですか?
- 同じではありません。手元の初代D&SはBig Muff系を思わせるファズ寄りの回路で、1978年頃のD&S IIはよりディストーション寄りです。D&S IIも製造時期で仕様差があります。
- ヴィンテージD&S IIと現行リイシューは同じ音ですか?
- 現行品はD&S IIの音の傾向を引き継ぎますが、公式仕様と手元の初期個体では筐体や回路の見え方が異なります。完全に同じ音と断定せず、別個体として試奏するのがおすすめです。
- MAXON D&S IIはどんな人に向いていますか?
- 低音域が多く、粒の粗いヴィンテージディストーションをメインの歪みにしたい人に向きます。低音のぼやけが少ないハイゲインやTS系の中域ブーストが目的なら別機種が選びやすいです。
まとめ
1978年頃のMAXON D&S IIは、低音域の量と深い歪み、少し荒い輪郭が魅力です。初代D&S、後期OD-802、現行リイシューを同じ回路として扱わず、世代ごとの違いを含めて選ぶと、このエフェクターの面白さが見えてきます。


