Fender Vibrolux Reverb 1969 Vintage|ドリップエッジ時期の35W銀パネアンプ

Fender Vibrolux Reverbのすべて:歴史と魅力を徹底解説

Fender Vibrolux Reverbは、1964年に初登場した35Wの中出力アンプで、フェンダーのアンプラインナップの中でも特に人気があります!特に、その美しいクリーントーンと適度な音量が、多くのギタリストに愛され続けています。

この記事では、私のVibrolux Reverb1969年製の紹介以外にもVibrolux Reverbの歴史、各時代の回路の違い、スピーカー構成、6L6GCパワー管のバイアス方式など、細かい仕様に至るまで詳しく解説します!

Fender Vibrolux Reverbの歴史

Fender Vibrolux Reverbは、1964年に「ブラックフェイス期」と呼ばれる時代に初登場しました。その後、「シルバーフェイス期」にも継続して生産され、1979年までにわたりさまざまな改良が行われました。35Wという出力、10インチスピーカー2基の構成は、一貫して維持され、Vibrolux Reverbのサウンドの基盤となっています。

リイシュー品もFenderから出てますが、現在はなぜかシルバーパネル時期ドリップエッジ個体のリイシューのみの販売になっているようです。なかなか個体数も少ないレアアンプですのでぜひ御覧ください。

ブラックフェイス期(1964年〜1967年)

Fender Vibrolux Reverbが初めて登場したのは1964年で、この時期は「ブラックフェイス期」として知られています。ブラックフェイスとは、フロントパネルが黒くデザインされた時代のことを指し、音質的にも非常に評価が高いモデルが揃っています。

この時期のVibrolux Reverbは、出力が35Wで、スピーカーには10インチのOxfordやJensen製スピーカーが2基搭載されていました。特に、フェンダー独自のリバーブとトレモロ機能が組み込まれ、美しいクリーントーンとナチュラルなエフェクトサウンドが得られるのが特徴です。音の透明感とリッチなリバーブ効果により、ブルースやジャズ、カントリーのプレイヤーに好まれました。

回路としては、最初期のAA964やAB763といった、フェンダーアンプの中でも最も有名な回路が使用されています。特にAB763回路は、Fenderの他のアンプでも広く採用されており、そのクリーンで豊かな音色は今でも高く評価されています。

MEMO

ブラックフェイス期のVibrolux Reverbは、フェンダーアンプの中でも特に評価の高いモデルです。ヴィンテージアンプ市場でも非常に高価で取引されています!

シルバーフェイス期(1968年〜1979年)

1968年、Fenderはアンプのデザインを刷新し、これによりVibrolux Reverbも「シルバーフェイス期」に突入しました。フロントパネルが銀色に変わり、見た目に大きな変更がありましたが、出力は引き続き35Wで、スピーカー構成も10インチのスピーカー2基という仕様を維持しました。

シルバーフェイス期における最大の変更点は、回路設計における細かい改良です。この時期には、AB568やAA1069などの回路が導入され、パワー管のバイアス方式にも変更が加えられました。これにより、音がやや硬くなり、クリーントーンがよりタイトでクリアなものに変化しています。

また、この時期のモデルは、パワー管として6L6GCを引き続き使用しており、パワー感と音のダイナミクスにおいてはブラックフェイス期に近い性能を維持しています。しかし、音量を上げた際の歪み方やトーンのキャラクターは、若干の違いがあります。

注意

シルバーフェイス期のVibrolux Reverbは、ブラックフェイス期のモデルに比べてサウンドが硬めと感じることがありますが、これは回路設計の微調整によるものです。あとはシルバーフェイスの中期ごろからキャビネットに合板の木材が使われるようになったのも影響していると思います。

私のVibrolux Reverbはこの時期で、初期のドリップエッジというスピーカーパネルにアルミのフレームが取り付けられた仕様です。後述する回路的にはAA1069の回路に近かったのですが、パワー管のバイアス方式が合わず、改造してAB763の回路に変更しました。

ウルトラリニア期(1977年〜1981年)

シルバーフェイス期の後半、1977年から「ウルトラリニア回路」が一部のフェンダーアンプに導入されました。Vibrolux Reverbもその対象となり、この時期のモデルではクリーントーンのヘッドルームが拡大しました。これにより、音量を上げても歪みが少なく、クリーンサウンドを維持できる設計となっています。

ウルトラリニア回路は、ライブなどの大音量の場面で特にその性能を発揮しますが、オーバードライブやクランチサウンドを求めるプレイヤーには、やや「クリアすぎる」と感じられることもありました。

回路と6L6GCパワー管の説明

Fender Vibrolux Reverbには、時代ごとに異なる回路が採用されてきました。特に、ブラックフェイス期からシルバーフェイス期にかけて、回路の改良がなされており、音のキャラクターや動作特性に違いが生じています。

ブラックフェイス期の回路(AA964、AB763)

ブラックフェイス期のVibrolux Reverbには、主にAA964やAB763といった回路が採用されました。これらの回路は、クリーントーンを重視した設計で、特に低歪みの音質が特徴です。また、リバーブとトレモロが回路に組み込まれており、非常にナチュラルなサウンドが得られるようになっています。

MEMO

AB763は、Fenderアンプ全般に使用された回路で、最も人気のある回路の一つです。クリーンなサウンドと美しいトレモロ効果が魅力!

シルバーフェイス期の回路(AB568、AA1069)

シルバーフェイス期に移行した1968年以降、Vibrolux Reverbの回路には微調整が加えられました。AB568やAA1069といった回路が導入され、特にパワー管のバイアス方式が変更されました。これにより、音が少し硬くなり、クリアでタイトなサウンドが特徴となりました。

ウルトラリニア回路の導入(1977年〜1981年)

1977年以降、Fenderは一部のアンプに「ウルトラリニア回路」を導入しました。これにより、Vibrolux Reverbは大音量でもクリーントーンを維持しやすくなり、特にライブでの使用時にその性能を発揮しました。しかし、この回路は歪みが少なく、オーバードライブトーンを求めるプレイヤーには好まれないこともあります。

6L6GCパワー管とバイアス方式

Fender Vibrolux Reverbでは、パワー管として6L6GCが使用されています。このパワー管は、35Wという適度な出力を維持しつつ、豊かな中低音域を持つことが特徴です。

6L6GCは400V以上の高電圧が流れるため、フィルターコンデンサは定期的に交換する必要があります。私のVibrolux Reverbはオーバーホール済みということで買ったのですが、古い電解コンデンサのままになっていたのでF&T製の信頼のできるコンデンサに交換しました。

20年以上前に交換されたであろう古いコンデンサ

20年以上前に交換されたであろう古いコンデンサ

私が交換した新品のF&T社製コンデンサ

フィクストバイアス方式の採用

Vibrolux Reverbは、フィクストバイアス方式を採用しており、これはパワー管(6L6GC)に供給されるバイアス電圧を固定する方式です。この方式は、より高い出力とパワフルなトーンを生み出すのに適しており、Vibrolux Reverbのパンチのあるクリーントーンを支えています。

注意

フィクストバイアス方式を使用しているため、真空管交換時にはバイアス調整が必要になる場合があります!

バイアス方式の変遷

1968年以降、シルバーフェイス期のVibrolux Reverbでは、バイアス方式に細かい変更が加えられました。特に、パワー管の片方に合わせてもう片方をマッチングさせる方式が採用されました。これにより、個体差のある真空管でも安定した動作が可能となりました。

MEMO

現代ではマッチドペアの真空管が一般的ですが、当時は個体差が大きく、バイアス調整が重要な作業でした。

Vibrolux Reverbを使用した有名なギタリスト

Fender Vibrolux Reverbは、長年にわたり多くの有名なギタリストに愛用されてきました。特に、そのクリーントーンとリバーブ効果を活かしたギタリストが多く、ブルースやロック、カントリーのシーンで大活躍しています。

  • ノエル・ギャラガー (Oasis)
  • ジェフ・バックリィ
  • ジョン・フォガティ (Creedence Clearwater Revival)
  • ロイ・ブキャナン
  • カーク・フレッチャー
  • ダニー・ガットン
MEMO

ノエル・ギャラガーやジェフ・バックリィのような有名ギタリストが使用していることでも、Vibrolux Reverbの人気と評価は高まっています!

現代のライブ環境における評価

かつては、大音量が必要なライブではTwin Reverbのような85Wのアンプが重宝されていましたが、現代のライブ環境ではPAシステムやモニターが充実しているため、35WのVibrolux Reverbでも十分に対応できます!音量を上げすぎなくても、しっかりとバンド全体にマッチしたトーンを出せるのがこのアンプの大きな強みです。

さらに、このアンプはDeluxe Reverbより少し大きいサイズ感でありながら、Twin Reverbほどの重量や音量は必要としないため、持ち運びやすく、かつ音質面でも非常に優れています。Vibrolux Reverbは、現代のライブやスタジオシーンでもその価値が再評価されています。

Q&A – よくある質問

Vibrolux Reverbの出力はどのくらいですか?

Vibrolux Reverbの出力は35Wです。ステージやスタジオで使用するのに最適な音量です。

Vibrolux Reverbはどの時代に製造されましたか?

Fender Vibrolux Reverbは、1964年に登場し、1979年まで生産されました。さらに、2000年代以降にリイシューモデルも登場しています。

Vibrolux Reverbはどのジャンルに向いていますか?

ブルース、ロック、カントリー、ジャズなど、幅広いジャンルに対応しています。特にクリーントーンが必要なプレイヤーに最適です!

Vibrolux Reverbのスピーカー構成は?

10インチスピーカーが2基搭載されています。これにより、タイトでパンチのあるサウンドが得られます。

現代のライブで使いやすいですか?

はい!35Wの出力は、モニターがある現代のライブ環境で非常に使いやすく、持ち運びも便利です。

まとめ

Fender Vibrolux Reverbは、その35Wの出力と10インチスピーカー2基によるバランスの取れたサウンドで、現代のギタリストにとっても理想的なアンプです。Deluxe Reverbよりもパワフルで、Twin Reverbほど重くないため、持ち運びやすさと音量のバランスが絶妙です。特にモニターが充実したライブ環境では、そのクリーントーンと自然なオーバードライブが真価を発揮します。