BOSS CS-1 Compression Sustainerは、1978年に登場したBOSS初のコンプレッサーです。ROSS Compressorや初期MXR Dyna Compで知られるCA3080系とは異なり、フォトカプラーを使った光学式の圧縮回路を採用しています。
音量を自然に整える常時オン用というより、カッティングへ強い「パコパコ感」を加えるキャラクター系コンプです。必要な場所だけオンにすると、この古い回路ならではの個性が生きます。

所有するBOSS CS-1。青い筐体にLEVEL、SUSTAIN、NORMAL/TREBLEを備えた初代Compression Sustainerです。
BOSS初のコンプレッサー
BOSS公式の製品史では、CS-1の販売期間は1978~1982年です。後継のCS-2は1981年、CS-3は1986年に登場しました。
CS-1は後継機と同じ青いCompression Sustainerでも、回路も操作も大きく異なります。BOSS公式はCS-1を同社初のコンプレッサーペダルとし、CS-2/CS-3とは異なるフォトカプラー式の光学設計だと説明しています。
| 項目 | BOSS CS-1 |
|---|---|
| 販売期間 | 1978~1982年 |
| 圧縮方式 | フォトカプラーを使った光学式 |
| 操作 | LEVEL、SUSTAIN、MODE |
| MODE | NORMAL/TREBLE |
| 電源 | 9V電池/ACAアダプター |
| 消費電流 | 5mA |
| 公称圧縮範囲 | 60dB |
OTA式ではなくフォトカプラー式

CS-1の内部基板。BOSS公式が説明する光学式コンプレッサー回路を、ディスクリート部品中心で構成しています。
代表的なROSS Compressorや初期MXR Dyna Compは、CA3080というOTAを使った回路で知られています。OTAはOperational Transconductance Amplifierの略で、制御信号に応じて増幅量を変える部品です。
一方、CS-1は光と受光素子を組み合わせたフォトカプラーで音量を制御します。BOSS公式によれば、光学式ゆえに圧縮が始まるまでわずかな遅れがあり、それがCS-1特有のコンプレッションを作ります。
ただし、「光学式なら必ずこの音」「OTAなら必ず自然」と単純には分けられません。検出回路、時定数、周辺回路を含む設計全体で反応は変わります。CS-1と3080系の違いは、方式名だけでなく、弾いたときのアタックと戻り方で判断するのが分かりやすいです。
参考 PX-1 CS-1アルゴリズム解説RolandCA3080を使ったROSS Compressorの基板と音はこちらで紹介しています。
3080系より強く感じる「パコパコ感」
手元のROSSやMXR系コンプと比べると、CS-1はカッティング時の「パコパコ」という圧縮感が強く出ます。ピッキングの頭と、その後に音量が持ち上がる動きが分かりやすく、エフェクトをかけたこと自体が演奏の一部になります。
この反応は、粒を自然にそろえるだけの透明なコンプレッサーとは別物です。16分のカッティングへ明確な弾力を付けたいときや、音の立ち上がりを意図的に加工したいときに効果を発揮します。
逆に、歪みの前へ常時置いて音を太くする、軽いブースターやプリアンプのように使う、といった用途では癖が強すぎることがあります。3080系コンプを常時オンにしている人が同じ感覚で置き換えると、アタックの感触や高域の出方が想像以上に変わるかもしれません。
私の場合、CS-1は完全に「使うところでオンにするコンプ」です。常時オンに向かないというのは絶対的な仕様ではなく、所有個体をアンプや他のコンプと比較したうえでの使い方です。
コンプレッサーをかけっぱなしにする場合の設定と注意点はこちらで解説しています。
LEVEL、SUSTAIN、NORMAL/TREBLEの使い方

操作はLEVELとSUSTAINの2ノブ、NORMAL/TREBLEのモードスイッチだけです。
| 操作 | 役割 |
|---|---|
| LEVEL | エフェクトオン時の音量を調整する |
| SUSTAIN | 音の伸びと圧縮感を調整する |
| NORMAL | 通常のサステイン。比較的ノイズを抑えやすい |
| TREBLE | 高音域のサステインを強調する |
まずLEVELでバイパス時との音量差をそろえ、SUSTAINを低い位置から上げていきます。SUSTAINを上げるほど伸びと「パコパコ感」が強くなり、ノイズも目立ちやすくなります。
BOSS公式の説明では、SUSTAINを最小側にすると、大きな入力を抑えるリミッターのような使い方もできます。強いキャラクターが必要ないときは、低い設定から試す方が扱いやすいです。
TREBLEは単純なトーン切替ではなく、高域側のサステインを強調するモードです。明るいカッティングでは効果が前へ出ますが、アンプやピックアップによっては硬く感じるため、NORMALと音量をそろえて比較します。
常時オンより曲中の決め所に向く
ファンクのカッティング
CS-1の個性が最も分かりやすい使い方です。SUSTAINを中程度から始め、右手の強弱が均一になりすぎない範囲で上げます。高域を目立たせたいときだけTREBLEへ切り替えます。
単音のサステイン
LEVELを上げすぎず、SUSTAINで音の伸びを加えます。後段の歪みを強く押すより、CS-1自体の圧縮の動きを聞かせる設定が合います。
意図的なエフェクト感
自然さを目標にせず、SUSTAINを深くして圧縮の動きをリズムへ組み込みます。ピッキングごとに音がつぶれて戻る感触を、ワウやフランジャーと同じような「効果」として使う考え方です。
日本製個体とACA電源の注意

所有個体の裏面。MADE IN JAPANと、地域別のACAアダプター指定が記載されています。
CS-1はACAアダプター仕様です。所有個体の裏面ラベルにも、100V地域はACA-100、117VはACA-120など、地域別のACAシリーズが記載されています。
ACAアダプターはすでに生産終了しています。BOSS公式は、9V電池を使うか、PSA対応のBOSS製品にあるDC OUTから給電する方法を案内しています。一般的な9Vセンターマイナス電源へ単独接続する場合は、現行ペダルと同じ感覚で扱わず、ACA仕様への対応を確認してください。
参考 CS-1 Recommended Power SupplyRoland Support中古で確認したいポイント
- LEVELとSUSTAINに大きなガリがないか
- NORMAL/TREBLEの切替で音が途切れないか
- エフェクトオン時に極端な音量低下がないか
- SUSTAINを上げたときのノイズが許容範囲か
- フォトカプラーやスイッチを含む内部部品が交換されていないか
- ACA仕様を理解した電源で動作確認されているか
1978~1982年の製品なので、個体差や経年変化は避けられません。音のキャラクターだけでなく、電解コンデンサ、ジャック、スイッチ、基板修理の跡も確認したいところです。
ヴィンテージ実機を維持せずCS-1の方向を試したい場合、現行のBOSS PX-1にはCS-1モデルが収録されています。ただし、これはデジタルで再現したモデルであり、古い実機そのものではありません。
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まとめ
BOSS CS-1は、1978年に登場したBOSS初のコンプレッサーです。フォトカプラーを使った光学式回路と、LEVEL、SUSTAIN、NORMAL/TREBLEという独自の構成を持っています。
3080系コンプと比べると、カッティングでの「パコパコ感」が強く、音を自然に整えるというより、圧縮の動きそのものを聞かせるタイプです。私には常時オンのプリアンプ的用途より、必要な曲やフレーズで踏む使い方が合っています。
万能なコンプレッサーではありません。しかし、音の立ち上がりを強く抑えた「パコパコ」としたカッティングを一発で作りたい場面では、後継機とも3080系とも違うCS-1の個性が役に立ちます。
FAQ
- BOSS CS-1はBOSS最初のコンプレッサーですか?
- はい。BOSS公式では、1978年に登場した同社初のコンプレッサーペダルと説明されています。販売期間は1978~1982年です。
- CS-1はCA3080を使ったOTA式ですか?
- いいえ。BOSS公式によると、CS-1はフォトカプラーを使った光学式コンプレッサーです。代表的なROSSや初期Dyna CompのCA3080系とは方式が異なります。
- NORMALとTREBLEの違いは?
- NORMALは通常のサステイン、TREBLEは高音域のサステインを強調するモードです。TREBLEは明るいカッティングで効果が目立ちます。
- CS-1は常時オンに向きますか?
- 所有個体では圧縮感と音色変化が強いため、常時オンより必要なフレーズで使う方が合いました。薄い設定なら常時使用もできますが、透明なコンプではありません。
- CS-1へ現行のPSAアダプターを直接使えますか?
- CS-1はACA仕様です。BOSS公式は9V電池、またはPSA対応BOSS製品のDC OUTからの給電を案内しています。単独給電ではACA仕様に対応する方法か確認してください。


