K.E.S KIP-AC208MSは、8つのDC出力と2つのACコンセントを一体化したフルアイソレート・パワーサプライです。一般的なコンパクトエフェクターだけでなく、専用アダプターを使うマルチエフェクターなども同じボードでまとめられます。
私の所有機は、通常のグリーンではなく数量限定のオールブラック仕様「KIP-AC208MS LTD BLK」です。必要な機能へ絞った中型機で、DC出力を実際に測ると、切り替え式の2ポートは9V・12V・18Vの各設定で動作し、固定6ポートもすべて9.70V以上を示しました。

所有している数量限定のK.E.S KIP-AC208MS LTD BLK。通常モデルのグリーンとは印象が大きく異なるオールブラック仕様です。
K.E.S (ケーイーエス) ボルテージセレクト機能付き フルアイソレーテッド AC/DCマルチパワーサプライ KIP-AC208MS
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通常版との違いはオールブラックの外装

黒い筐体にKIP-AC208MSとFULLY ISOLATED POWER SUPPLYの文字が入っています。
通常のKIP-AC208MSはグリーンの筐体ですが、LTD BLKは本体、文字、端子まわりまで黒で統一されています。キクタニミュージックも、KIP-AC208MSをベースにオールブラックカラーを採用した特別限定モデルと案内しています。
電源としての仕様は通常モデルと共通です。派手な色を避けて、黒いペダルボードへ自然になじませたい人には魅力のある限定仕様だと思います。
LTD BLKは数量限定品なので、いつでも購入できる通常モデルとは分けて考えた方がよいでしょう。2026年9月時点では一部の楽器店に限定ブラックの在庫表示もありますが、在庫がなくなれば入手しにくくなる可能性があります。通常のグリーンモデルはサウンドハウスとAmazonで販売を確認でき、機能も共通です。これから購入するなら、まず通常版の在庫を確認するのが現実的です。
参考 K.E.S パワーサプライのオールブラック限定仕様キクタニミュージック 参考 K.E.S KIP-AC208MS 通常版の販売ページサウンドハウス8つのDC出力と2つのACコンセントを搭載

左側のPort 1・2は9V、12V、18Vを切り替え可能。右側のPort 3~8は9.4V固定です。
DC出力は合計8ポートです。左側のPort 1・2は、スライドスイッチで9V・12V・18Vを選べます。Port 3~8は9.4V固定です。
| 出力 | 電圧 | 最大電流 |
|---|---|---|
| Port 1・2 | 9V | 500mA |
| Port 1・2 | 12V | 375mA |
| Port 1・2 | 18V | 250mA |
| Port 3~8 | 9.4V | 各500mA |
| DC出力全体 | - | 合計18Wまで |
Port 1・2が便利なのは、12Vや18V指定のエフェクターを変換ケーブルなしで接続できることです。ただし、電圧を上げればよいわけではありません。接続前にエフェクター側の指定電圧、極性、必要電流を必ず確認します。9V専用機へ12Vや18Vを入れると故障するおそれがあります。
また、各ポートに最大値が書かれていても、8ポートすべてで同時に500mAを使えるわけではありません。DC出力全体の上限は18Wです。複数のデジタル機器を接続するときは、各機器の消費電流だけでなく合計電力にも余裕を持たせます。
上面にはAC100Vのコンセントが2口あります。これは電圧を変換する出力ではなく、入力されたAC100Vを通すスルー構造です。専用アダプターを使う機材をボード内へ組み込むときに便利ですが、2口合計6Aの上限を守る必要があります。
全8ポートの電圧をテスターで実測

エフェクターを接続しない無負荷状態で全DC出力を測定。写真はPort 1を9Vに設定したときの9.26Vです。
所有機の状態を確かめるため、デジタルテスターで8つのDC出力をすべて測定しました。測定時はエフェクターを接続していない無負荷状態です。Port 1・2は9V、12V、18Vへ切り替え、それぞれの電圧を確認しました。
| ポート | 設定電圧 | 実測値 | 設定値との差 |
|---|---|---|---|
| Port 1 | 9V | 9.26V | +0.26V |
| Port 1 | 12V | 12.35V | +0.35V |
| Port 1 | 18V | 18.44V | +0.44V |
| Port 2 | 9V | 9.28V | +0.28V |
| Port 2 | 12V | 12.39V | +0.39V |
| Port 2 | 18V | 18.51V | +0.51V |
| Port 3 | 9.4V固定 | 9.81V | +0.41V |
| Port 4 | 9.4V固定 | 9.76V | +0.36V |
| Port 5 | 9.4V固定 | 9.76V | +0.36V |
| Port 6 | 9.4V固定 | 9.78V | +0.38V |
| Port 7 | 9.4V固定 | 9.74V | +0.34V |
| Port 8 | 9.4V固定 | 9.70V | +0.30V |
固定6ポートの実測範囲は9.70~9.81Vでした。メーカーはPort 3~8について、最適な環境で無負荷時約9.8V、高負荷時でも9.4Vを確保する設定と説明しています。所有機の無負荷測定は、その公称値に近い結果です。
Port 1・2も、9V、12V、18Vの各設定へ問題なく切り替わりました。無負荷では設定値より少し高く出ていますが、これはペダルをつないで電流が流れたときの電圧とは条件が異なります。実測値は所有機と測定時点の結果であり、すべての個体で同じ数値になるとは限りません。
参考 K.E.S KIP-AC208MS製品仕様キクタニミュージック電圧の違いだけではアイソレートを証明できない
8つのポートは完全に同じ数値ではなく、それぞれわずかに異なる電圧を示しました。私には、各出力がきちんと動作していることを確認できる納得感のある結果でした。
ただし、ポートごとの電圧が違うことだけで、端子間が電気的に絶縁されているとは証明できません。部品の誤差があれば、共通電源を分岐した製品でも少し違う値になるためです。
KIP-AC208MSをフルアイソレートと判断する根拠は、グラウンドまで完全に個別化した回路を採用しているというメーカー仕様です。実際に絶縁を測定で確かめるなら、出力同士の導通や抵抗などを確認する別の試験が必要です。今回の電圧測定で確認できたのは、各ポートの出力電圧と切り替え動作です。
必要な機能へ絞った中型パワーサプライ

通電中は中央のLEDが点灯します。細長い筐体なので、ペダルボードの奥側へ配置しやすい形です。
本体寸法は幅240×奥行54×高さ30mm、重量は360gです。小型パワーサプライより横幅はありますが、ACコンセント2口まで含む製品としては細長く、ボードの奥側へ置きやすい形です。
表示画面、USB、電圧を連続調整するつまみなどはありません。その代わり、よく使う9V出力を6口、必要なときだけ12V・18Vへ切り替えられる出力を2口、専用アダプター用のACコンセントを2口に整理しています。
私は、この「必要な機能だけを突き詰めた」構成がKIP-AC208MSの良さだと思います。多数の設定を毎回確認する必要がなく、ボードへ組んだ後は電源をまとめて入れられます。
向いている人と注意点
KIP-AC208MSが特に向くのは、次のようなボードです。
- コンパクトエフェクターとマルチエフェクターを併用する
- 専用ACアダプターを使う機材が1~2台ある
- 9Vだけでなく12Vや18Vのペダルも使う
- デジタルとアナログの電源を分離してノイズ対策したい
- 電源タップとDCパワーサプライを一台へまとめたい
反対に、9Vの小型ペダルを3~4台だけ使うボードには大きめです。ACコンセントを使わないなら、さらに小さいフルアイソレート電源の方が場所と重量を抑えられます。
パワーサプライを選ぶときは、端子数だけでなく、電圧、各ポートの最大電流、DC全体の18W上限を確認します。ACコンセントはDC出力とは別のスルー構造ですが、こちらも2口合計6Aまでです。
大型ボード向けパワーサプライとの比較はこちらでまとめています。
まとめ
K.E.S KIP-AC208MSは、8つのフルアイソレートDC出力と2つのACコンセントを細長い筐体へまとめた、実用本位の中型パワーサプライです。限定版のLTD BLKは、通常のグリーンモデルと同じ機能をオールブラックの外装で楽しめます。
所有機を無負荷状態で測定すると、Port 1・2は9V、12V、18Vの切り替えがすべて動作しました。Port 3~8は9.70~9.81Vで、メーカーが示す無負荷時約9.8Vに近い結果です。
電圧差だけでアイソレート構造を証明することはできませんが、メーカーはグラウンドまで個別化したフルアイソレート回路と明記しています。DCペダルと専用アダプター機材を一つのボードへまとめたい人には、機能の過不足が少ない一台です。


