ギタリストであれば誰しもが入手したことのあるであろうBOSS SD-1は様々な改造パターンが存在し、Keeley社やWeed社などハイエンドブランドから改造モデルが販売されています。
個人的には元のままでも十分いいエフェクターですが、中古市場では台湾製であれば5,000円前後で手に入ることもあり、改造のベースとして非常に手頃です。
本日は年間100台以上エフェクターを自作し、自分用のSD-1を5台保有している管理人が今まで試して良かった改造方法を【7つ】ご紹介いたします。
改造はすべて自己責任です。極性・耐圧・定格の確認、静電気対策、通電前テストを徹底してください。
現行品は改造しづらい!
SD-1は2019年頃から表面実装のチップ基板に切り替わっています。この基板は部品が非常に小さく、はんだ付けの難易度が高いため改造には不向きです。改造を目的にするなら、それ以前のスルーホール基板を採用している個体を選びましょう。
BOSS SD-1はOD-1の後継機
BOSS SD-1は正式名称「Super Overdrive」といい、前身機であるOD-1をアップデートしたモデルとして1984年ごろに登場しました。回路は2回路入りオペアンプを元に定数が調整され、トーン回路が追加されたものです。4558系のオペアンプがSD-1らしい音を作っていますが、交換は完全に好みの領域です(高級品に変えると音は大きく変化しますが、偽物も多いため注意)。
日本製と台湾製が存在する
BOSS SD-1はロングセラーのため、日本製初期型と現行の台湾製が存在します。日本製の初期個体は太く温かみがあり人気ですが、中古相場は15,000円以上と高めです。対して台湾製の中古は5,000円前後で手に入ることもあり、改造ベースとしては非常に手頃です。
SD-1の改造方法7つ
まずは基板の部品位置を確認しましょう(私物につき一部改造済み)。
この写真を参考に変更箇所を間違えないようにしてください。基板には部品番号がプリントされているため、比較的わかりやすいと思います。
TEXAS MOD
名前の通りテキサス・ブルースなニュアンスにするMODです、基本的にはドンシャリ傾向なニュアンスになりますが、Fender系アンプをフルテンにしたようなサウンドを狙ってます。
部品 | 変更値 | 効果 |
---|---|---|
C2 | 0.047uF | 低域増加 |
C3 | 0.047uF(0.1uFでも可) | さらに低域増加 |
C6 | 除去 | 高域が出やすくなる |
C10 | 1uF フィルム | 信号をクリアに |
D4 | 1N4001 | タイトなクリッピング |
D6 | 1N4001 | 同上 |
Fullclone MOD
非常に実践的なMODで、まずはこのMODをしてみるのがいいでしょう。SD-1の良さを活かしつつ、アップグレードしてます。
部品 | 変更値 | 効果 |
---|---|---|
C2 | 0.047uF | 中域を強調 |
C3 | 0.1uF | 低域増加 |
C6 | 0.022uF | 高域を抑える |
C10 | 1uF フィルム | 信号をクリアに |
R6 | 2.2kΩ | ゲイン増加 |
D4 | 1N34A+1N4001直列 | 柔らかさと音量感 |
D5 | 1N4001 | タイト |
D6 | 1N34A+1N4001直列 | 柔らかさと音量感 |
Blues MOD
渋めの歪みサウンドになります。意外とブースター的に真空管アンプを歪ませるのには相性がいいです。
部品 | 変更値 | 効果 |
---|---|---|
C2 | 0.1uF | 低域増加 |
C3 | 除去 | ローがすっきり |
C5 | 0.022uF | 高域の角を取る |
C10 | 1uF フィルム | 信号をクリアに |
D4 | 1N34A+1N4001直列 | 柔らかい歪み |
D5 | 1N4001 | タイト |
D6 | 1N4001+LED直列 | ヘッドルーム拡張 |
Chocolate MOD
一番ブースター的な改造です。アンプで軽く歪ませてブーストさせると最高です。
部品 | 変更値 | 効果 |
---|---|---|
C2 | 0.1uF | 低域増加 |
C3 | 0.1uF | 低域増加 |
C6 | 除去 | 高域が出やすくなる |
D4 | LED(3mm低輝度) | ヘッドルーム拡張 |
D5 | 1N4001 | タイト |
D6 | 1N34A | 柔らかさ |
TS Steroid MOD
TSっぽい歪みになりますが、ちょっとニュアンスが違い面白いです。意外とDRIVEを上げてSD-1で歪ませるといい音です。
部品 | 変更値 | 効果 |
---|---|---|
C2 | 0.047uF | 中域寄り |
C3 | 0.047uF | 中域寄り |
C6 | 除去 | 高域が出やすくなる |
C10 | 1uF フィルム | 信号をクリアに |
C12 | 0.1uF | トーン効き位置が変化 |
R16 | 470Ω | 高域強調 |
D4 | 1N4001 | タイト |
D6 | LED | 音量感アップ |
BSM MOD
Fullclone Modに近いサウンドですが、こっちのほうがコンプ感が少なく荒々しいです。
部品 | 変更値 | 効果 |
---|---|---|
C2 | 0.1uF | 中域増加 |
C3 | 0.22uF | 低域増加 |
C6 | 除去 | 高域が出やすくなる |
C7 | 1uF フィルム | 信号をクリアに |
C8 | 0.1uF フィルム | 中高域調整 |
C10 | 1uF フィルム | 信号をクリアに |
D4 | LED | ヘッドルーム拡張 |
D5 | 1N914 | シャープなクリップ |
R7 | 4.7kΩ | ゲイン調整 |
BASS OD MOD
ベース用にSD-1を改造する方法です。
部品 | 変更値 | 効果 |
---|---|---|
C3 | ジャンパー | 低域増加 |
R10 | ジャンパー | 低域増加 |
C6 | 除去 | 高域が出やすくなる |
D6 | 200pF | 高域整え歪みを滑らかに |
SD-1改造MODのまとめ
今回紹介した7種類の改造は、低域強調、レンジ拡大、ブルージーな枯れ感、ナチュラルな歪み、TS系寄り、実戦的なクリアサウンド、ベース対応と幅広い方向性を持っています。
オペアンプは交換しても良いですが必須ではありません。高級品に変えると大きく変化する一方、偽物もあるため注意してください。
また、C10は本記事の改造方法では定数1uFのまま電解からフィルムに置換していますが、「抜けが足りない」と感じる場合は2.2uFに増やすのも一つの手です。
本記事の改造はすべて自己責任です。失敗しても保証はできません。
BOSS SD-1 改造に関するよくある質問
SD-1の改造は初心者でもできますか?
はんだ付け経験があれば可能ですが、現行のSMD基板は難易度が高いです。まずはスルーホール期の中古個体で、部品点数の少ない改造から始めてください。すべて自己責任で行ってください。
オペアンプ交換は必要ですか?
必須ではありません。標準の4558系でも十分です。高級オペアンプは変化が大きい反面、偽物が多いので注意してください。
どの改造が使いやすいですか?
ロック系はTEXAS、汎用性はFullclone、枯れ感はBlues、丸い歪みはChocolate、ミッド押しはTS Steroid、クリーン寄りの押し出しはBSM、ベースはBASS ODが扱いやすいです。