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TS9を改造してヴィンテージのTS9に近づける方法

こんにちは、私は34歳、15年以上自作エフェクターを個人で製作しているギター歴18年の男性です。エフェクターに関しては長年の経験と情熱を持っています。特にTS9については、ヴィンテージモデルに強い憧れを抱き、それに近づけるための改造を行ってきました。この記事では、私が実際に行ってきたTS9の改造方法を紹介し、ヴィンテージTS9に限りなく近づけるための具体的なステップを説明します。

改造は自己責任でお願いします!

管理人が試してよかったものだけ紹介してますが、試して壊れちゃった!とかあんまりいい音にならなかった等は自己責任でお願いします。メーカーからの保証も当たり前ですが切れます。

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ヴィンテージTS9に近づけるための改造ポイント

TS9をヴィンテージのサウンドに近づけるためには、いくつかの重要なパーツを交換する必要があります。以下では、改造ポイントについて詳しく説明し、それぞれの部品が回路内でどのような役割を果たしているのかも追記します。
紹介している基板の写真はTS808のものですが、TS9と同じ基板を使っているので問題ないと思います。製造時期などで部品の種類などに違いはあると思いますのでこのあたりはご了承ください。

1. オペアンプの交換(JRC4558D)

まず最初に行うべきは、現行のオペアンプをヴィンテージのJRC4558Dに交換することです。このオペアンプは、TS9の心臓部にあたる増幅回路を司り、ギター信号を増幅する役割を果たします。ヴィンテージのJRC4558Dは、オリジナルTS9の音の暖かさと豊かさに大きな影響を与えます。

現行で販売されているJRC4558Dとの違いですが、見た目上の話であればヴィンテージは表面ツヤツヤしていて、現行品はツヤがないです。あとはメーカー名JRCの下に製造番号のようなものが書いてあるのですが、ヴィンテージは数字4桁で現行品は数字とアルファベットが混在してます。ヴィンテージの頭の数字は恐らくですが製造年数を表していて「3626」であれば1983年製造、「4121」であれば1984年製造だと思います。故にTS9のオリジナルの製造年数にあった年に製造された艶ありヴィンテージ4558Dは高値で取引される傾向が見れます。

注意

JRC4558Dは偽物が多く出回っていますので、購入の際には信頼できる出品者から入手するよう注意が必要です。相場は3,000円〜10,000円程度です。

手に入れるのが難しいのであれば、NE5532PやOP275、OPA2134などは現在でも変えておすすめかも知れません。もちろん、艶あり4558と比較するとコレジャナイ感はすごくあるのですが、解像度がとても上がるような気がします。

ちなみにTS9でなくてTS9をヴィンテージに近づけたいのであれば通称マレーシアンチップと呼ばれるマレーシア製のRC4558Pを入手する必要がありますが、平気で1万円以上します。

2. JFETの交換(2SK30A GRランク)

次に重要なのが、JFETの交換です。JFETは、TS9の入力段で信号を処理し、入力インピーダンスを高める役割を持っています。これにより、ギターからの信号がエフェクターにスムーズに伝わり、音のダイナミクスと抜けが向上します。GRランクのJFETを使用することで、オリジナルのTS9に近いサウンドが得られます。

注意

東芝製2SK30A GRランクは非常に入手が難しくなっています。相場は10個で2,000円〜5,000円程度で、オークションサイトで定期的にチェックする必要があります。

どうしても東芝製が出に入らなければセカンドソースで出ている普通の2SK30A GRでも良いと思います。

回路図上ではオンの時もオフの時も通る部分で、いわゆるスイッチ二該当するフリップフロップ回路で使われる部分です。エフェクトオフの音もスッキリするような気がしています。

オリジナルのTS-9でもOランク品が使われているんですが、なんでエミッタフォロワのトランジスタ 2SC1815には最高ランクのBL(ブルー)が使われてるのに、2SK30Aには最低ランクを選んだんでしょうね?きっと、昔のOランク品は実際には2ランク上のGR品くらいの性能があったんだと思います。今のリイシュー品に使われているOランク品は、性能もそのOランク相応なんでしょう。

ただ、まだ同じ音にはならないんですよね。(ちなみに、GRランクにするとLEVEL MAXでON/OFF切り替えたときに「ピッ」っていう発振音が出ることがあります。MAXで使いたい人は、4558のすぐ右側の1k抵抗を3.9Kか4.7Kオームに変えてみてください)

3. クリッピングダイオードの交換(東芝製1S1588)

クリッピングダイオードは、オペアンプのフィードバックループ内に配置されており、信号のクリッピングを制御する役割を持っています。これによって、TS9特有のソフトなオーバードライブサウンドが生み出されます。東芝製1S1588ダイオードは、オリジナルの温かみのある歪みを再現するために最適です。

写真でわかりにくいですが赤丸部分に同じ部品が2つ付いていて、これがダイオードです。両方交換してください。

MEMO

クリッピングダイオードの交換は、比較的簡単に行える改造の一つです。相場は10本で1,000円〜3,000円程度かと思います。

最近は見かけなくなってきていて、どうしても手に入らない場合は1N456Aというものがオススメです。むしろヴィンテージを意識しなければ個人的には1N456Aの方が好みでした。

4. フィルムコンデンサーの交換(クリッピング部の0.047μF)

クリッピング部の473は、信号のハイパスフィルターとして機能し、高周波数帯域を制限する役割を持っています。ポリプロピレンフィルムコンデンサーに交換することで、よりクリアで透明感のあるサウンドを実現できます。これは、オーディオ用に特化した高品質なフィルムコンデンサーを選ぶことが重要です。

注意

高品質なフィルムコンデンサーは500円〜2,000円程度で購入可能ですが、入手が難しい場合もあります。オーディオ専門店やオンラインショップでのリサーチが必要です。

5. タンタルコンデンサーの交換(0.22μF)

タンタルコンデンサーは、TS9のトーンコントロール回路やカップリング部分で使用され、音質の滑らかさとノイズ低減に寄与します。日本製の高品質なタンタルコンデンサーに交換することで、音の透明感とレスポンスが向上し、オリジナルに近いサウンドを実現できます。

上の写真で言う黄色いやつです。色の問題ではないと思いたいですが、青いタンタルコンデンサだといい結果だったこと多いです。

MEMO

0.22uFの古いタンタルコンデンサーは100円〜500円程度で購入可能ですが、特に80年代の日本製品は入手が難しいことがあります。

NEC製などはまだ製造しているのかまだ見かけるので選ぶと良いでしょう。もし見つけられないのであれば、思い切ってメタライズフィルムコンデンサでサイズ感が合うものに変えても面白いかもしれません。最近のブティック系TSはよくここをフィルムに変えてます。

6. バイポーラ電解コンデンサーの交換(1μF ニチコン製)

バイポーラ電解コンデンサーは、信号のカップリングやデカップリングに使われ、低周波数のレスポンスに影響を与えます。特にニチコン製のバイポーラ電解コンデンサーを使用することで、低音域の再現性が向上し、オリジナルのTS9に近いサウンドを得ることができます。

古ければ何でも良いというわけではありませんが、もし古いもので探すのであれば昔のラジオの中身や、Arion系統の古い日本製エフェクターを分解するとよくついていたりします。ニチコン以外でもELNAもいいと思います。

ここも両極性の電解コンデンサで良いものが手に入らなければ、フィルムコンデンサで小サイズの1UFコンデンサに変えてもいいと思います。抜けが良くなりすぎるかと思いますが。

7. セラミックコンデンサーの交換(51pF)

51pFのセラミックコンデンサーは、ハイフリケンシーフィルターとして機能し、高周波数帯域のノイズをカットします。このコンデンサーを別タイプに交換することで、音の透明感や微細なニュアンスが向上し、オリジナルのTS9にさらに近づけることができます。


なかなか古いセラミックコンデンサを探すのは大変だと思うので、もし良さげなものが手に入らなければマイカコンデンサという雲母で作られた高級コンデンサを使っても面白いと思います。
あとはここの値を47pFに下げると歪みが増すような気がします。

8. 入力部分のフィルムコンデンサの交換(0.02μF)

個人的に重要度は高くないですが、ここはこの回路の制作者がこだわっているようなので取り上げます。

入力部分のコンデンサはよくある0.022μFではなく、余り見かけることのない0.02μFを使っているのでもう少し品質の良いものにかえてあげましょう。

改造するに当たって必要なもの

私が10年以上愛用しているハンダゴテです。ブーストボタンを押せばどんな頑固なハンダでもみるみる溶けていきます。

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はんだごてを置いておく台です。これがないとはんだごてを床などにおいて火事になってしまいます。

ギターに使われる半田の定番品、kester44です。

部品を基板から取り外すために必要なハンダ吸い取り線です。ハンダがなかなか吸い取れないからって熱しすぎると基板のパターンが剥がれてしまうので吸い取るときは慎重にしましょう。僕は5秒経っても吸い取れなければ一旦冷やしてはんだごての当て方を変えてます。
はんだ付けするときもそうですが、はんだごては部品や基板に接する力の強さやコテの当たる場所などによってはんだ付けや取り外しのやりやすさが全然変わります。これは経験しなくては身につかないことなのでもし怖い場合はリペアショップなどはんだ付けに慣れている人にお金を払ってやってもらいましょう。

Q&A: 改造に関するよくある質問

Q1: 改造に失敗したらどうすればいいですか?

A1: 失敗した場合、まずは問題が発生した部分を特定し、その部分の配線やはんだ付けを再確認しましょう。それでも解決しない場合は、専門のリペアショップに相談することをおすすめします。

Q2: ヴィンテージのパーツを購入する際に注意すべき点は?

A2: ヴィンテージパーツは偽物が多いため、購入する際は信頼できる出品者から購入することが重要です。また、出品者の評価や他の購入者のレビューを確認すると良いでしょう。

Q3: 改造後の音が思った通りにならなかった場合、どうすれば良いですか?

A3: 音質が思った通りにならない場合、使用したパーツの品質や特性を見直す必要があります。また、改造によってサウンドのキャラクターが大きく変わることもありますので、その違いを理解した上で再調整することを検討してください。

まとめ

以上の改造ポイントを実施することで、現行のTS9をヴィンテージのTS9に限りなく近づけることが可能です。これらの改造は、すべてオリジナルのサウンド特性を再現するために重要な要素です。ヴィンテージパーツの入手には困難が伴いますが、その分得られる満足感は非常に大きいものです。ぜひ、これらの改造を試してみてください。

ちなみにこれが私の愛用している自分で改造したTS9です。本日紹介した改造以外にも色々やってます。1982年製造のヴィンテージTS9も所有していますが、違いがわからないくらいまでやってます。

私の経験から言うと、自分の手でエフェクターを改造することは、ギタリストとしてのスキルを一段階上げる貴重な経験となります。挑戦する価値は十分にありますので、興味のある方はぜひ取り組んでみてください。