長岡亮介(浮雲)の使用機材を徹底解説|ギター・アンプ・エフェクターから紐解くサウンドの核
長岡亮介氏のライブやレコーディングで語られてきた機材を中心に、そのサウンドメイク術をわかりやすく整理しました。ワウやディレイ、ファズの活用法から、ギターやアンプの選び方まで、この記事で一挙に把握できます。
長岡亮介とは
ペトロールズでギター&ボーカルを務め、東京事変では「浮雲」名義でギタリストとして参加。卓越したカッティング技術と絶妙な「間」の感覚、そして音の抜き差しを活かしたプレイが持ち味です。ファンク、ソウル、ロックといったジャンルを自在に横断しつつ、エフェクターは必要最小限の構成で的確に使いこなすスタイルで知られています。
浮雲とは
「浮雲」は、東京事変で活動する際の名義です。バンドアンサンブルの中で他の楽器と音がぶつからないよう巧みにスペースを作り、ワウやトレモロで絶妙なアクセントを加えるのが特徴。ボーカルを邪魔することなく、楽曲に色気を与えるギタースタイルで知られています。
使用ギターの傾向
- テレキャスター系:歯切れの良いカッティングサウンドの要。ミッドレンジの抜けが良く、オープンコードでも音像が濁りにくいため、ワウやトレモロといったエフェクトとの相性も良好です。
- “テレファントム”系:テレキャスターの実用性とビザールライクなデザインを融合させた、彼の象徴的なモデル。ステージ上での存在感と、個性的なサウンドを両立させています。
- ストラトキャスター系:フロントやセンターPUでの柔らかなクリーントーン、ブリッジPUでの鋭いサウンドを状況に応じて使い分けます。カッティング時のノイズをいかにコントロールするかが、セットアップの鍵となります。
RS Guitar Worksのギターをよく使用してます。
https://www.digimart.net/search?brandId=19120
アンプおよび周辺機材
- ソリッドステート/クリーン系アンプ:まずアンプで上質なクリーントーンの土台を作り、エフェクターで表情を付けるアプローチ。カッティング主体のプレイスタイルと非常に好相性です。
- Dr.ZなどのクラスAB系アンプ:サウンドの応答性が速く、中域にコシがあるのが特長。ブースターやオーバードライブを組み合わせた際の、クリーンから歪みへの移行レンジの広さも魅力です。
- パワーサプライ/外部タップスイッチ:ディレイのテンポを足元でリアルタイムにコントロールするための外部タップや、ノイズを抑制し安定した電源を供給するパワーサプライは、実用面で非常に重要です。
サウンドメイクが参考になる楽曲
- 東京事変「OSCA」:鋭利なフレージングとワウペダルによる表現豊かなニュアンスが際立つ代表曲です。
- ペトロールズ「Fuel」:クリーンからクランチへと変化するダイナミクス、ディレイによる巧みな空間演出が参考になります。
- ペトロールズ「Talassa」:クリーンサウンドのレイヤーに、リバーブやディレイで深みを加えていく繊細なアプローチが学べます。
長岡亮介の使用エフェクター10選
Carl Martin 2 Wah
製品概要
2系統のサウンドモードと3段階のQ(ピークの鋭さ)設定により、ワウの可変レンジとサウンドキャラクターを多彩に調整できるワウペダル。トゥルーバイパス仕様。
サウンドメイクのポイント
深く踏み込まずとも繊細な表現が可能な、まさに“引きの美学”に応える一台。可変域が広いため、ペダルを大きく操作する必要がなく、細かなアクセント付けでファンクのニュアンスを生み出せます。カッティングの合間に軽く踏み込むことで、グルーヴを効果的に際立たせます。
Dunlop Cry Baby GCB95
製品概要
ワウペダルの代名詞とも言える定番モデル。現行機は赤Faselインダクターを採用し、その象徴的なサウンドと優れた耐久性で知られます。
サウンドメイクのポイント
よりロックテイストの硬質なピーク感が欲しい場合の選択肢。踏み始めから中域にかけての粘りのあるサウンドが特徴で、単音リフやスライドといったフレーズの存在感を強めるのに役立ちます。
VOX V847系
製品概要
1960年代の設計思想を継承し、スムーズなピークの立ち上がりと開放感のあるレンジを持つワウペダル。
サウンドメイクのポイント
クリーンや軽いクランチサウンドで、ペダルを“開けきらない”状態で使うと非常に心地よい効果が得られます。リズムの合間に少しだけペダルを動かし、サウンドに艶や色気を加える、といった繊細な使い方に適しています。
BOSS DD-5(Digital Delay)
製品概要
ディレイタイムをミリ秒単位で精密に設定できるデジタルディレイ。外部フットスイッチを接続すれば、タップテンポ入力にも対応します。
DD-5はすでにだいぶ古いモデルで、最新版はDD-8です。本当に長岡亮介氏が好きで同じものを使いたいという理由以外でアレば最新モデルを買ったほうが良いです。デジタル系のエフェクターは。
サウンドメイクのポイント
楽曲のテンポにディレイを正確に同期させる際に重宝します。ミックスレベルは控えめ、フィードバック(リピート回数)は1.5~2回程度を目安に、音符で空間を整理するようなイメージ。これにより、カッティングの輪郭をぼやけさせることなく、サウンドに広がりを与えられます。
Strymon blueSky(Reverb)
製品概要
プレート/ルーム/スプリングという3つの基本モードを備え、プリディレイやディケイなどを詳細に設定できる高品位なリバーブペダル。最新版はV2です。
サウンドメイクのポイント
原音を邪魔せずに自然な「奥行き」を加えられるのが魅力。プリディレイを短めに、トーンをやや暗めに設定すると、ボーカルの帯域と干渉することなく、ギターパートだけを定位的に少し後ろへ下げることができます。
Phantom fx Hizumi Station
製品概要
ローゲインOD/オーバードライブ/ファズを1台で切り替え可能なマルチステージ・ディストーション。豊かなサステインと音抜けを両立しています。
サウンドメイクのポイント
楽曲内で歪みのキャラクターを瞬時に切り替えるための心臓部。軽いブーストから、中域にハリのあるドライブ、そして毛羽立つようなファズまで、音量ではなく質感の変化で楽曲の展開を作ることができます。
Union Tube & Transistor Tsar Bomba(Fuzz)
製品概要
ロシアンMuff系の回路を基に、ノイズ低減と出力の向上を図ったファズペダル。アンサンブルの中で埋もれにくいサウンド設計が特徴です。
サウンドメイクのポイント
強く歪ませてもサウンドの輪郭が飽和しすぎない点が長所。これにより、ベースやキーボードとの音域の棲み分けがしやすく、リフをユニゾンで演奏する際も、不明瞭になることなくクリアに抜けてきます。
Roger Mayer Voodoo-1(Distortion)
製品概要
チューブアンプ特有のコンプレッション感と豊かなサステインを狙って設計された、英国製のディストーションペダルです。
サウンドメイクのポイント
中高域の艶を保ちつつ、過度に荒々しくならない上品な歪みを作れます。トーンは上げすぎず、ゲインは歪み始める直前に設定するのが、バンドアンサンブル内での良好な音抜けを確保するコツです。
BOSS “Distortion” 系
製品概要
DS-1やSD-1など、モデルごとに異なる周波数特性を持つBOSSの歴代の歪みペダル群。実用的なノイズ対策と高い堅牢性で、多くのプロに信頼されています。DS-1や2を使用しているそうです。
サウンドメイクのポイント
使用するアンプやギターの特性に応じて、サウンドに不足している帯域を補うような運用が基本。高域はカット気味に、レベルを上げて音量を稼ぎ、ゲインは抑えめにすると、クリーントーンの芯を保ったままサウンドを力強く押し出すことができます。
長岡亮介のエフェクター活用術 まとめ
長岡亮介(浮雲)のサウンドは、上質なクリーントーンを土台とし、ワウ/ディレイ/リバーブを最小構成で加えて音像を整え、楽曲に応じてキャラクターの異なる歪みで表情付けを行う、という設計思想が核となっています。ワウはレンジやピークを微調整できるモデルを好み、ディレイはタップテンポで正確に合わせ薄く短くかけるのがポイント。ファズやディストーションは音量差を生むためでなく、質感のレイヤーを重ねるように用い、帯域と歪みの質でダイナミクスを演出します。
サウンドメイクを試す際は、まずアンプで心地よいクリーントーンを設定することを起点に、ワウ=アクセント、ディレイ=テンポ整理、リバーブ=奥行き、という各エフェクトの役割分担を意識してみてください。歪みエフェクターはゲインを上げすぎず、レベルとミッドレンジで音を前に出すことを意識すると、彼のような「抜き差し」のニュアンスに近づけるでしょう。