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【2025年版】Fuzz Faceにおすすめの定番トランジスタ14選

ファズフェイスフリークの皆様こんにちわ。

これから初めてファズフェイスを自作してみようとお考えの方も、トランジスタって何を使えばええねん。って自問自答している時間かと思います。
本日はここ1ヶ月で30台程度ファズフェイスを自作してみて、自作する際のポイントと合わせておすすめの定番トランジスタをご紹介できればと思います。
マニア向けですが、自作しない方でもこれからファズフェイス系のエフェクターを購入するときに、あぁこんなトランジスタが使われているのかとご査収頂ければ幸いです。

※注意 エフェクターに使われる電流は9V程度と小さいとはいえ、初心者の方がいきなりトライするので十分お気をつけください。

あくまで自己責任でお願いします。

トランジスタのhfeを測定しよう

特にゲルマニウムトランジスタのファズフェイスは当たり外れが大きいと聞きますが、たしかにそのとおりで大昔に製造されていたトランジスタは、増幅率=hfeの誤差が大きいです。

その誤差が面白かったりするのですが、一般的にトランジスタ初段のhfeは70、後段のhfeは120程度がよろしいようです。
測定にはテスターをお使いください。

バイアスを調整しよう

理想的なhfeって誰が決めたねんと思いますが、結構理論的なようでよく出回っているファズフェイスの回路図の定数に当てはめるとぴったりQ2のコレクタに来る電圧が4.5Vになっているようです。
ここの電圧が合うと、綺麗な倍音が出るようになります。

Fuzz face bias(YouTube動画)

Fuzz Face Bias解説図

参照:
Electrosmash – Fuzz Face解説

使用するトランジスタのhfeを測定して、理想値じゃなくても諦めてはいけません。他部分の抵抗数値を変更すれば理想的な数値に調整できたりします。
管理人はトリムポットで調整できるようにしちゃってますね。

上記サイトのR1を調整すれば、Q2のコレクタ電圧を調整できるようです。ここがあまりにずれると発信したりします。

シリコントランジスタも微妙にhfeずれたりするのと、テスターによっては微妙にずれが生じるので、R1抵抗をトリマーに変えて、Q2のコレクタ電圧を測定しながらトリマーを調整するといいでしょう。

Fuzz Faceにおすすめのトランジスタ14選

ファズフェイスにはゲルマニウムトランジスタを使用したモデル、シリコントランジスタを使用したモデルがあります。

一般的にゲルマニウムトランジスタはPNP型の物が多く、PNP型を使用したファズフェイスはポジティブグラウンド、つまりは9V外部電源はアイソレートされたものでなくては使えないという特徴があります。
シリコントランジスタのNPN型は普通に外部電源でも使えます。でも基本的には電池駆動の方がいい音すると思います。

型番種類使用されているエフェクター例hfe備考
NKT275ゲルマニウム PNP初期Fuzz Face、Analogman Sun Face60〜180入手困難、人気No.1
AC128ゲルマニウム PNP初期Fuzz Face80〜180暴れやすくファズ感強め
2N404ゲルマニウム PNPZVEX Fuzz Factory100〜180安定感あり、金足は高hfe
2SB77ゲルマニウム PNP日本製Fuzz系70前後安定性高いがファズ感弱め
MP25ゲルマニウム PNP自作向け60前後ロシア製、暴れ気味
3AX81Cゲルマニウム PNP自作ベースファズ60〜400中国製、ばらつき大
2N2222シリコン NPNManlay Soundなど150〜250扱いやすい定番シリコン
BC109Cシリコン NPN初期シリコンFuzz Face400〜500暴れやすい、要調整
BC108Bシリコン NPNJimi Hendrixモデル250〜350扱いやすい
BC183Lシリコン NPNFairchild製など410前後ゲルマに近い感触
2SC1815シリコン NPN東芝製一般用70〜700ランクごとに分類あり
2N3904シリコン NPN海外自作ファズ170前後倍音豊か、安価
2N5088シリコン NPNBIG MUFF500前後オーバードライブ寄り
BC549シリコン NPNPete Cornish系250前後スムースでバランス良し

ゲルマニウムトランジスタ

NKT275

NKT275

結論から言えば、これが一番良いです。初期のFuzz Faceに使われていただけと言われればそれまでなのですが、歪みのスムーズさ、暴れ具合、レスポンスのバランスが非常に良いです。

Fazz Faceの設計者ももしかしたら色々試してNKT275を選んだのかもしれませんね。でも、恐らくたまたま入手しやすいゲルマニウムトランジスタがNKT275だけだったのかもしれません。

ただし、2018年現在は入手は困難で、見つけても1個800円以上します。状態がいいと1個1,500円したりします。

写真のものは恐らくセカンドソース品でいわゆるレプリカです。

Fuzz Faceクローンの名ブランド、Analogman(アナログマン)でもNKT275御用達です。

側面に赤いドット、白いドット、ドットなしの3パターンの種類があるらしいですが、管理人はドットなししか入手したことがありません。

ドットなしを30個入手したときにhfeを測定してみましたが、20度の室温でhfeは60-180程度までのばらつきがありました。

(ゲルマニウムトランジスタは温度によって数値が変化します。)

AC128

AC128

NKT275が入手出来ない場合はAC128もおすすめです。NKT275と比較すると、AC128のほうが暴れ具合が高いイメージです。ファズっぽさは一番高いと感じます。

hfeは80-180程度です。生産時期や工場によって形が違うものが多いです。基本的にはどれも同じに感じました。

2023年現在1個1000円程度が目安でしょう。

NKT275と同じく、初期頃のFuzz Faceにも実際使われており、Fuzz自作サイトでもよく使用が推奨されています。

2N404

2N404

わりと最近でも入手しやすいトランジスタで、ZVEX社のFuzz Factoryでも使われていたりします。

金メッキタイプの足を備えているタイプもありますが、個人的には金メッキタイプは微妙でした。

金メッキタイプのhfeは400-500前後とかなり高く、めちゃくちゃ歪みディストーションみたいになります。

通常のものはhfe100-180くらいなので、ベターです。

NKT275やAC128より最近に製造されていたのか、非常に安定感があり、ドライブサウンドを求めるのであればおすすめです。

2N404(金足)

金足の2N404。ゴージャス。テキサスインスツルメンツ製。

2SB77

2SB77

日本が誇る日立製のゲルマニウムトランジスタ2SB77です。さすが日本製というべきか、50個ほどまとめ買いしてhfe測定したらすべて70前後と非常に安定してました。

ただ、ファズっぽい暴れ具合はそこまで無く、オーバードライブよりのサウンドです。

2018年現在は入手しづらくなり、2SB156などの同等品を使うようになってます。

他の日本製の2SBシリーズも同じような印象ですが、2SB175だけはAC128に近い印象を受けました。

(といっても2SB175はレアなので6個しか入手して3台しか作れてないですが。) 2SB175は前述のアナログマンのSUN Face(Fuzz Faceのクローン)でも使われているモデルがあります。

MP25

MP25

ロシア製のゲルマニウムトランジスタです。hfeは比較的安定してました。60前後です。

管理人がメインで使ってるファズフェイスはこれが初段にきて、後段に2N404を使用してます。

hfeは低いながらも結構暴れるサウンドです。ブーミーでいわゆるファズっぽさが非常に出ます。

10年くらい前は1個100円以下で買えたのですが、最近は入手しづらくなってきました。

ロシア製のトランジスタは比較的マイナーな部類ですが、管理人は日本製のトランジスタよりロシア製のものの方が好きだったりします。

3AX81C

3AX81C

中国製のトランジスタで最近でも結構入手しやすいです。中国製だからかはわかりませんが、hfeはかなりばらつきがあり、60-400程度まであります。

そのばらつきが面白かったりして、個体差も生まれやすいです。

サウンドは低音がよく出る印象です。ベースファズに使うと面白いかもしれません。

値段も安いので、お金がない高校生ギタリストに作ってあげるときによく使います。結構満足してるようです。

ちなみに中国から輸入できる違和感のあるAC128の中身もこれなのかもしれません。

AC128?(中国)」 width=

本当にゲルマなのかあやしくなるパッケージのツヤです。

シリコントランジスタ

2N2222

古典的な汎用NPNトランジスタです。金属缶タイプ(2N2222A)や樹脂パッケージ(PN2222A)など入手性がよく、ファズフェイスのシリコン版でも扱いやすい部類です。

hfeは150-250あたりが目安で、2N3904と比べて少し押し出しがありつつ倍音の出方は素直。初段/後段の組み合わせでバイアスを軽く追い込むと、扱いやすいシリコンファズになります。

BC109C

BC109C

ファズフェイスだけではなく、ワウのモディファイでもよく使われます。

シリコントランジスタに変更された時期のファズフェイスに使われていました。

hfe数値は400-500程度とかなり高く、既存のファズフェイスの回路定数には合わないと個人的には感じてます。

初段と後段のトランジスタの共通の足に電源から来ている33K抵抗の数値を結構下げたほうが良いと思います。

目安5.6K-6.8K程度です。発信するのも嫌なので、50Kトリムポットに変更して調整するようにしましょう。

きちんと調整してあげれば、かなり暴れてくれます。これぞシリコンファズといった感じです。

今でも製造されているのかはわかりませんが、比較的入手しやすいです。

BC108B

Jimi Hendrixのシグネチャーモデルのファズフェイスによく使われています。

これもBC109Cと同じく、初期のシリコンファズフェイスに使用されています。hfe数値はBC109Cより低く、250-350程度で少し扱いやすくなってます。

とはいえ33Kの抵抗は気持ち下げたほうが良いと思います。12K程度が目安でしょう。

調整すれば傾向はBC109Cに似てます。調整しない場合は少しオーバードライブよりな印象です。

BC183L

BC183L

管理人はシリコンだとBC183Lが一番好きです。色々なメーカーからセカンドソースされていますが、フェアチャイルド製のものが一番入手しやすいです。

hfeはかなり安定していて410前後です。シリコンファズよりゲルマの感触に近い印象です。

言わずもがなhfeは高いので33Kの抵抗値を落としてあげましょう。管理人は6.8Kの場合が多いです。

2SC1815

2SC1815

日本が誇る東芝製の凡用トランジスタですが、2018年頃に生産終了になったそうです。買いだめて使ってます。

2SC1815GRや2SC1815BLなど型番の数字のあとにアルファベット1,2文字入ってるかと思いますが、これはそのトランジスタのhfeの概算を表しています。

O(オレンジ)はhfeが70-140、Y(イエロー)は120-240、GR(グリーン)は200-400、BL(ブルー)は350-700です。

ファズフェイスに使うにはオレンジランクがちょうどいいでしょう。
結構ブーミーなサウンドです。

2N3904

2N3904

海外製トランジスタで一番安くて入手しやすい?2N3904です。

安物と心無い声を浴びせられることが多いですが、hfeは170前後で安定していて優等生です。

倍音がきれいに出てくれるので、ファズっぽさを求めるのであれば以外にアリな選択かもしれません。

2N5088

2N5088

2N3904に続き、入手しやすいです。BIG MUFFなどによく使われており、2N3904よりお値段が高いエフェクターによく使われます。

hfeは高めで500前後でした。これもバイアス調整してあげたほうが良いですが、しない場合かなりオーバードライブっぽくなるので、以外にアリかもしれません。

BC549

BC549

Pete Cornish製のエフェクターによくチョイスされるわりと最近?製造されているトランジスタです。

Pete Cornishが選ぶだけあって、非常にスムースな音色がします。バランスが良いので、ファズフェイスだけではなくTS系のトランジスタにも管理人はよく使います。

既成品でBC549を使ってるファズは見たことがないので、意外と先駆者になれるかも? hfeは250前後でした。

ファズフェイスに使われるトランジスタまとめ

いかがでしょうか。

hfeのことを多くいいましたが、それだけではファズフェイスの価値は決まりません。必ずしも数値が合ってるもの、同じトランジスタの型番を揃えることが正解ではありません。

理想のファズフェイスを探して、好みのファズフェイスを作ってみましょう。