はじめに
こんにちは。ギター歴18年、自作エフェクター歴は15年以上。BOSSの名機「DS-1」を、ご自身の機材や奏法に合わせて調整しやすいDS-1の改造方法を9種類まとめました。Keeley Modのような完成品も素晴らしいですが、自分の手で手を入れると音も満足度も一段上がるはずです。
後半は「線をつなぐだけ」で試せるお手軽MODも掲載(かなり攻めた音になります)。海外紹介の手法をベースに、元の内容は残したまま整理しています。
管理人が試してよかったものだけ紹介していますが、破損・期待した音にならない・記載ミスなどを含め、すべて自己責任でお願いします。メーカー保証は失効します。
最近のDS-1はチップ(SMD)基板で、はんだ付けの難易度が高いです。中古のスルーホール期を狙いましょう。黒い箱の新しめ個体はSMDの可能性が高いです。
部品変更箇所の確認
BOSSの基板は部品番号が印字されていて作業しやすい部類です。画像のマークを参考に、指定箇所以外は触らないよう進めてください。
Devil Distortion Mod
低音の不足感を補い、歪みを力強くしたいときの基本形。コードでも単音でも音が太く感じられます。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
C3 | 0.068μF | 低音域が少し増え、土台が安定する。 |
C10 | 0.047μF | 中音域がわずかに前に出て、フレーズが聞き取りやすい。 |
C12 | 0.047μF | 中音域の密度が増し、輪郭がはっきりする。 |
D4 / D5 | LED(3mm・低輝度推奨) | クリップ電圧が上がり、音量に余裕が生まれて歪みが滑らか。 |
LEDは低輝度の3mm推奨(高輝度は相性が良くない場面が多い印象)。
Jazz Blues Mod
暖かく落ち着いたトーンを狙う構成。帯域バランスを変えつつ、ローを少し増やします。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
C12 | 0.047μF | 高音の角が少し取れ、耳にやさしい。 |
C10 | 0.1μF | 中低音がふくよかになり、太さが出る。 |
R14 | 6kΩ(最大22kΩまで可) | 値を上げるほど低音が増える(22kΩで重低音寄り)。 |
D5 | 1N4001 | クリップが締まり、整った歪みになる。 |
Rock Mod
クラシックロックの厚みをイメージ。中低音に量感を足し、歪みをなめらかに整えます。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
C10 | 0.1μF | 中低音が増え、単音に重さがのる。 |
C12 | 0.047μF | 高音の刺さりをやや抑え、まとまりが出る。 |
R14 | 10kΩ | 低音の出方を調整し、バランスを取りやすい。 |
D4 | LEDを直列追加(3mm・低輝度) | 音量の余裕が増し、歪みがなめらかになる。 |
Tube Sound Mod
真空管的なコンプレッションと太さを目指す構成。ローとミッドの密度を高めます。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
C2 | 1.0μF | 低音の量感が増え、土台が安定。 |
C3 | 0.1μF | ロー〜ミッドの密度が上がる。 |
C12 | 0.047μF | 高音の角を少し丸める。 |
D4 | 小型LEDを直列追加 | 音量の余裕が増し、歪みが滑らか。 |
D5 | 1N4001 | タイトで扱いやすい歪み。 |
R14 | 10kΩ(22kΩでさらに重心を下げる) | 低音量感の調整。値を上げると重心が下がる。 |
Super DS Mod
より激しいディストーションに振る改造。ローの存在比率を増やし、高音は少し抑えめにします。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
D4 / D5 | LED(3mm・低輝度) | 音量の余裕と滑らかな歪み。 |
C12 | 1μF | 低音の厚みが増え、音像がどっしりする。 |
R14 | 2.2kΩ | ゲインの乗り方が軽快になる。 |
R13 | 2.2kΩ | 帯域バランスの再調整に寄与。 |
R16 | 6.8kΩ | 中音域の出方を調整し、聞き取りやすくする。 |
R17 | 6.8kΩ | 上記と合わせてミッドのまとまりを作る。 |
結果として低音が強まり、高音は少し落ち着いた歪みになります。LEDの色は任意でOKです。
シンセオクターブファズ Mod
基板裏のパターンを配線でつなぐだけで、オクターブ成分を含む強烈なファズ系に。切替スイッチでオン/オフにすると扱いやすいです。セッティング次第で発振する場合があります(それを狙って使うのも手)。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
基板裏パターン | 配線で直結(切替スイッチ併用推奨) | オクターブ成分+強いファズ感。倍音が増えてシンセ的な質感。 |
シンセファズ Mod
上記からオクターブ要素を抜いたバリエーション。粗い倍音が前面に出ます。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
基板裏パターン | 配線で直結(切替スイッチ併用推奨) | 強いファズ感と倍音。ゲイン設定によっては発振しやすい。 |
シンセ Mod
さらにファズも外し、モジュレーション的な揺れ・うねりだけを残す構成。6・7・8は配線の共通点があるため、ON-ON-ON+ON-OFFの二系統スイッチで「通常/モジュレーション」切替と3モード切替を両立させると実用的です。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
基板裏パターン | 配線で直結(モード切替スイッチ併用) | うねり・揺れの要素が加わり、シンセのような質感が得られる。 |
トレモロ Mod
トレモロ風の揺れを作る配線。ここは抵抗を1点かませます。
部品番号 | 変更後の値 | 効果(音の変化) |
---|---|---|
基板裏パターン | 配線で接続+470Ω抵抗を直列 | 音量変化の揺れが加わり、トレモロ的な表現が可能。 |
改造するに当たって必要なもの
10年以上使っているはんだごて。ブースト機能で作業が詰まりにくいです。
安全面でも必須の置台。
定番はんだ。馴染みがよく作業性が高いです。
取り外し時は熱しすぎに注意。数秒で無理なら一度冷まして当て方を変えるのが安全です。心配ならリペア店に依頼を。
最後に
本記事のDS-1 改造は、ステージや宅録で扱いやすくするための実用寄りの内容です。まずは交換点の少ないものから着手し、変化を確認しながら段階的に進めるのがコツ。好みの設定が見つかると、長く信頼できる一本になります。
DS-1 改造に関するよくある質問
初心者でもDS-1の改造はできますか?
はんだ付けの基本があれば可能です。まずは部品点数が少ないMODから。チップ基板の個体は難易度が上がるため、最初はスルーホール期の中古を選ぶと安心です。作業はすべて自己責任で行ってください。
どのMODから試すと違いが分かりやすいですか?
Devil DistortionやRockのように、C10/C12やLEDの変更で帯域と歪みの質感が変わるものが取り組みやすいです。LEDの置換だけでも聴感上の差ははっきり出ます。
部品はどこで入手できますか?偽物の心配はありますか?
国内の電子部品店や大手ECで購入できます。特にダイオードやブランド名を掲げた高級部品は偽物が混じることもあるため、信頼できる店舗を選びましょう。