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Devi Ever Hyperionレビュー|轟音と分離感、内部の造りと回路

Devi Ever Hyperionの外観。赤黒のイラストとVolume、Controlの2つのノブ

Devi Ever Hyperionは、内部の造りには少し引っかかるものの、音は良いと思うファズです。 轟音系の激しい歪みですが、音の分離も悪くありません。この音の魅力と、箱を開けたときの印象にギャップがある一台です。

回路も気になりました。最初はTone Benderのようなファズを発展させたものかと思ったのですが、調べるとDevi Everの別の回路を組み合わせた、という説明が見つかりました。

Devi Ever Hyperionの外観。赤黒のイラストとVolume、Controlの2つのノブ

今回紹介するHyperion。VolumeとControlだけのシンプルな操作部に、目を引くイラストが組み合わされています。

轟音系でも、音の分離は悪くない

Hyperionの良さは、思い切り歪んだ音を出せるのに、分離まで悪くなってしまう感じがしないところです。私には、激しさと音の分かりやすさが両立しているように感じられます。

もちろん、クリーンのように一音ずつ透き通るという意味ではありません。轟音系のファズとして聴いたときに、音の分離が悪くない、という評価です。大きく歪ませたいけれど、弾いている音まで全部ひと塊になるのは困る。そういう人には気になる一台だと思います。

メーカーの製品ページにも「Big Muff killer」という表現があります。日本語なら「Big Muffを脅かす存在」といった売り文句でしょう。ただし、これは音の立ち位置を伝える表現で、Big Muffと同じ回路だという説明ではありません。

参考 Hyperionの製品紹介(英語・別外装の掲載モデル)DeviEverFX

Big Muffの各タイプも比較したい方は、こちらの記事を参考にしてください。Hyperionと回路を同じ系統に分類するためではなく、どんなファズの音を求めるか考えるための比較です。

中を開けると、造りには正直ひっかかる

Hyperionの内部。緑のテープで覆われた部分、紫の配線、ジャックとフットスイッチ

内部にはテープで覆われた部分と、引き回された配線が見えます。写真の状態では回路部品の型番までは読めません。

中を見ると、私は結構雑な造りだと感じました。テープの処理や配線のまとまりを見ると、「この造りで2〜3万円するのか」と考えてしまい、価格に対する納得感は少し微妙です。

ここでいう2〜3万円は、私がこの造りに対して考える価格感です。現在の販売価格や中古相場を示しているわけではありません。また、この写真の個体を見た感想なので、外装や製造時期の異なるHyperionまで同じ造りとは限りません。

とはいえ、音は良いです。内部の仕上がりが気になったからといって、出てくる音まで嫌いになるわけではありません。見た目の丁寧さも含めて満足したい人と、まず音を重視する人とでは、評価が分かれそうです。

Hyperionの回路はTone Benderの発展形なのか

今回確認した資料では、HyperionをTone Benderの発展形と断定する根拠は見つかりませんでした。 むしろ、Devi Everの「Dark Boost」と「Silver Crank/33」を直列につないだ構成として説明されています。

Dark BoostとSilver Crankを一つに組み合わせたという説明

2015年のmadbeanpedalsフォーラムには、Hyperionの製作に関わったと述べるTorgoslayerという投稿者の説明が残っています。そこでは「2 other Devi Ever circuits in series」と書かれており、「ほかのDevi Everの回路2つを直列につないだもの」という意味です。

投稿では、その2つをDark BoostとSilver Crankとし、組み合わせを試した結果、一つのペダルになったと説明しています。これはメーカー公式の製品仕様書ではありませんが、製作への関与を述べる人物の証言として参考になります。

参考 Hyperionの製作経緯についての投稿(英語・返信#3と#6)madbeanpedals

公開回路図では、3つのトランジスタを使う構成

実機を扱ったT-TONE-WORKSの公開資料では、MPSA18を2つとPNPトランジスタを使う構成で、製作を扱う続編ではPNPを2N2907Aとしています。初段で信号を増幅し、後段にNPNとPNPのトランジスタを組み合わせた構成です。入力側に可変抵抗があり、出力側にも音量を調整する可変抵抗があります。

注目したいのは、トランジスタの個数だけで系統を判断しないことです。「3つ使うファズだからTone Bender」という結び付け方はできません。どこをどうつないでいるかまで見て初めて、回路としての違いが分かります。

ただし、これは公開された別個体の解析図についての説明です。今回の写真ではテープの下が見えないため、手元の個体も同じ型番・定数なのかまでは確認できません。

参考 Hyperionの実機と公開回路図音響効果な日々/T-TONE-WORKS 参考 Hyperion製作編・2N2907Aについて音響効果な日々/T-TONE-WORKS

私は、Tone Benderの派生と決めて聴くよりも、Devi Everの回路を組み合わせて生まれたファズとして見る方が、今回調べた内容には合っていると思います。音の印象が似ていることと、回路の出自が同じことは分けて考えたいです。

VolumeとControlの2つで音を探す

今回の個体のノブ表記はVolumeとControlです。独立したトーンノブはありません。公開解析記事では入力側の調整をPREGAINと呼んでおり、入力信号を調整して歪み方を変える構成が読み取れます。

音を試すなら、私なら次の順番から始めます。実測した推奨値ではなく、轟音と分離のバランスを自分の環境で確かめるための手順です。

STEP 1
Volumeを下げてから音を出す
アンプの音量を抑え、Volumeを低めにしてONにします。必要な音量まで少しずつ上げます。
STEP 2
Controlを動かして歪み方を比べる
同じフレーズを弾きながらControlを動かします。激しさだけでなく、音の粒や伸ばした音の変化も聴きます。
STEP 3
複数の弦と単音で分離を確認する
単音だけで決めず、普段弾くコードでも比較します。最後にVolumeを合わせ、欲しい轟音と音の分かりやすさが両立する位置を探します。

Hyperionの実演動画

Prymaxeによる「Devi Ever FX Hyperion Fuzz」の実演動画です。試奏の前に、Hyperionがどういう方向のファズかを知る参考にどうぞ。

よくある質問

HyperionはTone Bender系のファズですか?
今回確認した資料では、Tone Benderの発展形と断定する根拠は見つかりませんでした。製作に関わったと述べる人物は、Devi EverのDark BoostとSilver Crankを直列に組み合わせたものと説明しています。
HyperionはBig Muffのコピーですか?
メーカーはBig Muff killerという表現を使っていますが、これは回路が同一だという説明ではありません。音の比較と回路の出自は分けて考える必要があります。
激しいファズでも音の分離はありますか?
私には、轟音系の激しい歪みながら分離も悪くないと感じられます。クリーンのような明瞭さという意味ではなく、ファズとしての印象です。
内部写真から使用トランジスタは分かりますか?
今回の写真ではテープに覆われており、型番は確認できません。記事の回路説明は別個体の公開解析資料によるもので、今回の個体の部品を確認したものではありません。

造りには不満がある。それでも音は良い

Hyperionには、箱を開けたときに価格との釣り合いを考えてしまうところがあります。一方で、轟音系なのに分離も悪くない音は、素直に良いと思います。

内部の仕上がりと音の評価が、きれいに一致しない。私にとっては、そこも含めて印象に残るファズです。音を聴いて気になったなら、外装だけでなく個体の状態も見ながら選びたい一台です。

ほかのファズも含めて、自分に合う方向を探したい方はこちらで比較できます。