Fuzz Faceを製造していた本家Arbiter社は1960年代に設立されたイギリスのメーカーですが、1970年代中頃にはFuzz Faceの製造をやめてしまって現在はDunlop社が権利を買い取り製造を続けています。
ジミヘンの使用で有名ですが、更に有名な話としてファズフェイスは製造時期によって大きくキャラクターが異なるということです。1960年代はゲルマニウムトランジスタを使ったモデルが主流で、1970年代に入ってからはシリコントランジスタを使用したモデルが有名です。
ジミヘンはゲルマニウムトランジスタを使ったファズフェイスもシリコントランジスタを使ったファズフェイスも使用してますが、本日紹介するファズフェイスはシリコントランジスタ期のモデルを再現したものです。
ゲルマニウムトランジスタのモデルはいわゆるブチブチ系のサウンドでドライブ感を味わうものが多いのですが、ゲルマニウムトランジスタは個体差が大きい上に温度や湿度などの環境によって性能が変わってしまうという特性がありました。
逆にシリコントランジスタはブチブチ感は薄まりましたがサステインが強くなっていわゆるディストーションサウンドが強くなって安定性も増しました。
中を見るとだいぶシンプルです。オリジナルファズフェイスもシンプルで、この独特の丸い形はマイクスタンドの足をイメージして作られたそうです。
スイッチを見ればわかりますがちゃんとトゥルーバイパスになってます。
写真の銀色のトランジスタがシリコントランジスタです。BC108はよく見かけるトランジスタではありますが、製造メーカーが不明なので恐らくDunlopが特注したモデルが使われているのかと思います。
シリコントランジスタは環境によって性能に影響が出ないと言っても、個体差自体はそれなりにあります。ヴィンテージのファズフェイスが高値で売られてますが、当時は個体差の測定など恐らくおこなっていなかったで、イケてる音が出るものと微妙な音のファズフェイスがあります。
本機はジミヘン先生に敬意を払い、バイアスの調整を基板裏の半固定抵抗で行うことであたり個体のファズフェイスのサウンドを作っているのかと思います。実際ファズフェイスは私自身数えられないほど作ってますが、本機はずば抜けていい音がすると思います。