安いギター用コンプレッサーを選ぶなら、カッティングの音量差をそろえたい、単音の余韻を聞こえやすくしたいといった目的から絞ると選びやすくなります。価格や有名機の名前だけでは、使い勝手までは分かりません。
小型で明るさまで調整したいなら Mooer Yellow Comp、元の音を混ぜて弾いた瞬間の強さを残したいなら JOYO JF-312 Pipebomb、ノブ一つで変化を試したいなら 赤い1ノブ型のMOSKY Dyna が候補です。8機種の操作の違いと、用途に合わせた設定例をまとめました。
コンプレッサーは何を変える?
コンプレッサーは、強く弾いて飛び出た音を抑え、音の大きさの差を小さくするエフェクターです。このように強い音を抑える働きを「圧縮」と呼びます。その後で出力音量を上げると、小さな音や伸びている音も聞こえやすくなります。弦が実際に長く振動するわけではありません。
音を強くそろえると、カッティングの粒はまとまります。強弱をつけたつもりでも差が出にくくなる点には注意が必要です。「自然か、不自然か」は回路名だけで決まらず、圧縮量と音量の合わせ方でも大きく変わります。
中華コンプレッサーおすすめ8選を比較
表の機種名から、商品カード・試奏動画・設定例へ移動できます。価格と在庫は変わるため、購入前に各カードのリンク先で確認してください。
| 機種 | 主な調整 | こんな使い方に | 購入前の確認 |
|---|---|---|---|
| MOSKY Dyna(赤い1ノブ型) | COMPのみ | 細かな設定より、まず圧縮の変化を試す | 同名の2ノブ型と区別 |
| Mooer Yellow Comp | COMP / EQ / VOLUME | アルペジオの音量差と明るさを整える | 9Vアダプター駆動 |
| Donner Ultimate Comp | COMP / TONE / LEVEL、2モード | クリーンの明るさも変えたい | NORMAL / TREBLEの切替あり |
| Donner LAX COMP | Sustain / Level / Attack / Limit、2モード | 音量差のそろい方と弾き始めの音を調整 | Limitは歪み量のつまみではない |
| Rowin LEF-333 | COMP / TONE / LEVEL、2モード | 省スペースで音量差と高音を調整 | 色・音量ノブ表記の違いに注意 |
| JOYO JF-10 | SUSTAIN / LEVEL / ATTACK | 音の伸びと、弾き始めの音の残り方を調整 | 小型機より設置面積が必要 |
| JOYO JF-312 Pipebomb | MIX / ATTACK / LEVEL / COMP | 元の音を混ぜ、カッティングの強さを残す | 電源は9Vアダプター |
| MOSKY Mini C4 | SUSTAIN / LEVEL / ATTACK / CLIPPING | 小型でも弾き始めの音や歪みを調整 | CLIPPINGは強く弾くと歪む場合の調整 |
Dyna Comp系とROSS系の違いは?
Dyna CompとROSSは、どちらも「OTA」と呼ばれる、音量の調整に使う電子部品を組み込んだ回路で知られています。ROSS系だから自然、Dyna Comp系だから強くかかる、と分けず、実際の調整範囲を見て選んでください。ヴィンテージROSSの構成や所有機の写真は、ROSS Compressorの個別記事で紹介しています。
失敗しにくい設定の順番
以下の図はこの記事で提案する設定例です。実測した圧縮量やメーカー指定値ではありません。ノブの位置が同じでも、ギターの出力や弾き方で効き方が変わります。
かけっぱなしで使うときの調整や接続順は、こちらで詳しく説明しています。
8機種の特徴とおすすめ設定
MOSKY Dyna Compressor|赤い1ノブ型をシンプルに使う
掲載カードは、赤い筐体にCOMPノブ一つを備えたタイプです。同じMOSKYでも2ノブ型のDynamic Compressorがあるため、名前だけで判断せず、商品写真を見てください。
外から音量と圧縮量を別々に追い込む用途より、COMPを動かしながら、音の粒がそろう感覚を確かめたい人向きです。別機種のLEVELやSUSTAINがあるつもりで設定を探すと迷います。
MOSKY Dyna:カッティングの音量差を軽く整える
- 1 COMP10時
赤い1ノブ型の設定例。音量専用の外部ノブはありません。
強く弾いた音と弱く弾いた音を交互に比べます。変化が足りなければCOMPを12時へ上げ、弾く強さの差がなくなったら10時側へ戻します。ON/OFFで音量が変わる場合は、その差も含めて用途に合うか判断してください。
Mooer Yellow Comp|アルペジオの音量と明るさを整える
Yellow Compは音量差を整えたあとで、EQで明るさを調整できます。操作部はCOMP、EQ、VOLUMEです。内部で光を使って効き方を変える、光学式のコンプレッサーです。
アルペジオで細い弦だけ目立つ、音量をそろえると少し暗く感じる、といったときに比較しやすい構成です。強い圧縮もできるため、「光学式なら強弱が必ず残る」とは考えないほうがよいです。
Yellow Comp:アルペジオを軽くそろえる
- 1 VOLUME12時
- 2 EQ12時
- 3 COMP10時
VOLUMEはON/OFFの音量がそろうように補正。
小さい音が埋もれるならCOMPを少し上げます。弾いた瞬間の強さが消えたらCOMPを戻し、音が暗い場合だけEQを少し上げてください。一つずつ動かすと、どちらが効いたか聞き分けられます。
Donner Ultimate Comp|NORMALとTREBLEでクリーンを調整
COMPで圧縮量、TONEで明るさ、LEVELで出力を調整します。中央のスイッチはNORMALとTREBLE。TREBLEは、クリーンの高音をはっきりさせたいときに比較できるモードです。
Yellow Compと迷うなら、音色切替を使いたいかが判断材料になります。まずNORMALで整え、バンドで音がこもる場合だけTREBLEを試すと、明るくしすぎずに調整できます。
Ultimate Comp:NORMALでクリーンの粒をそろえる
- 1 LEVEL12時
- 2 TONE11時
- 3 COMP11時
図は3ノブ。中央スイッチは上側のNORMAL。LEVELは音量に合わせて補正。
TREBLEに切り替えて高音が強すぎたら、先にNORMALへ戻します。圧縮量を増やしたい場合はTONEではなくCOMPを上げてください。スイッチとTONEの両方を高音寄りにすると、弾く音やノイズが目立つことがあります。
NORMAL, for a neutral optical compressor sound
。日本語訳:NORMALはニュートラルな光学式コンプレッサーの音。Donner公式のモード・操作説明(英語)。
Donner LAX COMP|弾き始めの音まで調整する
LAX COMPは、Sustain、Level、Attack、Limitの4ノブと、Natural / Brightスイッチを備えています。Ultimate Compよりも調整項目が多く、音量差のそろい方と、弾き始めの音の残り方を別々に調整したい人の候補です。Attackでは、強く弾いた音をどれくらい素早く抑えるかを調整します。
Limitは、ギターから入ってくる音の大きさを調整するノブです。名前から「出力の最大音量を決めるだけ」「歪みを足すノブ」と決めつけず、ギターの出力に合わせて使います。
LAX COMP:単音の音量を整える
- 1 Sustain11時
- 2 Level12時
- 3 Attack12時
- 4 Limit12時
図は4ノブ。中央スイッチはNatural。Levelは実際の音量に合わせて補正。
まずSustainを上げ下げして伸び方を決め、次にAttackだけを動かして弾いた瞬間の音を比べます。強く弾くと不自然に歪む場合は、ギターから入る音を調整するLimitを確認します。Brightは、Naturalで暗く感じた場合に試してください。
Limit:to adjust the input signal
。日本語訳:Limitは入力信号を調整する。Donner公式のLAX COMP操作説明(英語)。
Rowin LEF-333|小型でも音量と明るさを調整
小型でも音量差と明るさを分けて調整したいときの候補です。掲載カードの青い個体は、LEVEL、TONE、COMPと、NORMAL / TREBLEの切替を備えています。RowinはLEF-333を、内部で光を使って効き方を変える光学式コンプレッサーとして紹介しています。電源はDC9V・センターマイナスです。
音量ノブがVOLUME表記の個体や色の違う個体もあるため、写真と型番を確認してください。動画は音量ノブがVOLUME表記のタイプです。同じ3ノブでも、外観が似ていることだけで他社機と回路が同じとは判断できません。
Rowin LEF-333:細い弦の音量差を整える
- 1 LEVEL12時
- 2 TONE12時
- 3 COMP10時
青い掲載モデルのノブ表記。中央スイッチは上側のNORMAL。
音量差がまだ大きければCOMPを11〜12時に上げます。高音が不足した場合はTREBLEを試し、耳につくならNORMALへ戻してください。先にLEVELで音量を合わせておくと、明るさの変化に集中して比較できます。
Optical Comp
。日本語訳:光学式コンプレッサー。Rowin公式の光学式コンプレッサー説明(英語)。
JOYO JF-10|SUSTAINとATTACKを使い分ける
JOYOが「クラシックROSSの再現」と説明するモデルです。SUSTAINとLEVELに加え、弾き始めの音の残り方を調整するATTACKがあります。音の伸びだけでなく、弾いた瞬間の感触も比べたい人向きです。
SUSTAINを上げるほど必ず使いやすくなるわけではありません。単音のソロとカッティングでは必要な効き方が違うので、いつも弾くフレーズで確かめます。小型機に比べて筐体が大きいため、ボードの空きも確認してください。
JOYO JF-10:単音の余韻を聞き取りやすくする
- 1 SUSTAIN1時
- 2 LEVEL12時
- 3 ATTACK12時
LEVELはON/OFFの音量をそろえる位置へ補正。
休符のノイズが増えたらSUSTAINを11時側へ戻します。ピッキングの強さまで失われる場合はATTACKだけを少しずつ動かし、同じフレーズで比較してください。ATTACKとSUSTAINを同時に動かすと変化を判断しにくくなります。
A re-creation of the classic Ross compressor
。日本語訳:クラシックなROSSコンプレッサーの再現。JOYO公式のJF-10説明(英語)。
JOYO JF-312 Pipebomb|元の音を混ぜて弾いた強さを残す
Pipebombの特徴はMIXで元の音と圧縮した音を混ぜられることです。圧縮音だけでは弾いた瞬間が弱く感じるときに、元の音を足しながら調整できます。この混ぜ方をパラレル・コンプレッションと呼びます。
MIX、ATTACK、LEVEL、COMPの4ノブは、開閉式カバーの下にあります。単に「小型のJOYOコンプ」と見るより、原音を混ぜられる点でJF-10と比べると選びやすくなります。
JF-312 Pipebomb:カッティングの強さを残す
- 1 MIX12時
- 2 ATTACK12時
- 3 LEVEL12時
- 4 COMP1時
カバーを開いた正面の配置。MIXの目盛りは混合率の実測値ではありません。
COMPで音量差を整えたあと、MIXを動かして、弾いた瞬間の音の強さが戻る位置を探します。圧縮感が足りないときも、すぐCOMPを最大にせず、圧縮音の混ざり方を先に確認してください。LEVELは最後に合わせます。
The MIX knob enables access to parallel compression
。日本語訳:MIXノブでパラレル・コンプレッションを使える。JOYO公式のPipebomb説明(英語)。
MOSKY Mini C4|4ノブで弾き始めの音も調整
YMUZE MOSKYaudio Mini C4 Compressor Guitar Effect Pedal Metal Shell Pedal Effects True Bypass
掲載カードの銀色モデルはMini C4です。SUSTAIN、LEVEL、ATTACK、CLIPPINGの4ノブがあり、赤い1ノブ型Dynaとは操作が違います。細かな調整を外部ノブで行いたい人の比較候補です。
ギターから来る音が大きく、強く弾くと歪んでしまう場合はCLIPPINGで調整します。販売店の操作説明では、通常は時計回りいっぱいにし、必要な場合に下げる使い方が案内されています。ファズのような歪みを積極的に足すためのノブではありません。
MOSKY Mini C4:クリーンの強弱を軽くそろえる
- 1 SUSTAIN10時
- 2 LEVEL12時
- 3 ATTACK12時
- 4 CLIPPING5時
CLIPPINGは通常位置として最大側。強く弾くと歪む場合に下げます。
まずSUSTAINだけで効き具合を決めます。強く弾いたときの歪みは、SUSTAINによる音量のまとまりとは分けて聞いてください。CLIPPINGを下げたあとは、LEVELでON/OFFの音量差を確認し直します。
This control limits the amount of signal going to your compressor.
。日本語訳:このノブはコンプレッサーに入る信号の量を制限する。Mini C4の操作説明(販売店・英語)。
動画と商品ページでは、ここを比べる
動画では、ONにしたときの派手さより、同じフレーズで強弱がどれだけ残るか、休符でノイズがどう聞こえるかを比べてください。動画ごとにギター、アンプ、録音音量が違うため、別動画の大きさだけでは優劣を決められません。
商品ページでは、写真のノブ数と型番、電源、保証、販売元を確認します。特にMOSKY Dynaの1ノブ型と2ノブ型、Rowinの色・表記違いは、設定図と照合してから選んでください。価格は同じ通貨・送料条件で比較します。
ほかのコンプレッサーも比較したい場合
原音を混ぜる使い方が気になったら、所有しているXotic SP Compressorの紹介も参考になります。BLENDを備えたモデルを選ぶ理由と、ブースターとして使うときの考え方を説明しています。
予算やサイズを広げて比較するなら、コンプレッサー全体のまとめへ進んでください。
中華コンプレッサーのよくある質問
- 安いコンプレッサーでもライブで使えますか?
- 価格や生産国だけでは判断できません。音量、圧縮の効き方、休符のノイズ、電源やスイッチの動作を、普段のギターとアンプで確認してください。
- 初心者にはどれがおすすめですか?
- 設定を少なくしたいなら赤い1ノブ型のMOSKY Dyna、圧縮量・明るさ・音量を別々に調整したいならMooer Yellow CompやDonner Ultimate Compが候補です。原音を混ぜたい場合はJOYO JF-312を比較してください。
- コンプレッサーでノイズが増えるのは故障ですか?
- 圧縮後の音量を上げると、ギターや前段の機材に含まれるノイズも聞こえやすくなります。圧縮量と出力を下げ、ギター直結時やほかの機材を外した状態と比べて切り分けます。
- Dyna Comp系とROSS系は別の方式ですか?
- どちらもOTAを使った回路で知られています。名前だけで強い・自然と分けず、圧縮量、アタック、原音を混ぜる機能など、実際の調整項目で比較してください。
- 設定例と同じ位置なのに音が違うのはなぜですか?
- ギターの出力、弾く強さ、アンプや接続順で、コンプレッサーに入る音が変わるためです。図は設定案です。音量調整ノブがある機種はON/OFFの音量を合わせ、圧縮量を少しずつ調整してください。赤い1ノブ型MOSKYでは、切り替えたときの音量差も含めて用途に合うか確かめます。
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