ARION SPH-1 Stereo Phaserは、かなりエグくかかるのに、ギターのフレーズを邪魔しにくいフェイザーです。RESONANCEを上げれば「グワングワン」と音が回り、下げればアルペジオの後ろでゆっくり揺れます。
手元の個体はスリランカ製です。古い日本製のヴィンテージではありません。それでも、今はARIONの新品を店頭で選べる状況ではなく、SPH-1も中古で2万円台の掲載例があります。安いプラスチック製ペダルだったはずが、気軽には買い直せない一台になりました。

手元のARION SPH-1。青いラベルと大きなプラスチック製フットペダルがARIONらしい外観です。
かなりエグいのに音楽的
フェイザーは、元の音へ少し形を変えた音を重ね、特定の音域を消したり強めたりしながら動かすエフェクターです。難しく考えるより、「音の中を波がゆっくり通り抜ける」と考えると分かりやすいです。
SPH-1は、その波をかなり深くできます。RESONANCEを上げると、母音が変わるような「ウォウ」「グワン」という動きが前へ出ます。歪みと一緒に使えば、ギターの後ろで回るだけではなく、フレーズそのものがうねります。
それでも、ただ派手なだけではありません。RATEを遅くしてDEPTHを下げると、コードの響きがゆっくり入れ替わります。クリーンのアルペジオや、音数の少ない間奏にも置きやすい揺れです。
この「最大ではエグい、下げればきれい」という幅が、SPH-1を手元に残したくなる理由です。
4段・720度のアナログフェイザー
ARIONの仕様では、SPH-1は4段・720度のフェイズシフトを行います。4段というのは、音の位相を動かす回路が4つ並んでいるという意味です。
段数は揺れ方を決める要素の一つです。SPH-1は4段の動きへRESONANCEを戻すことで、浅い揺れから強いクセまで作れる設計です。
ARIONの英語製品ページには、ロータリースピーカー風の使い方も説明されています。
英語原文:
> “Can also create spinning speaker sounds.”
日本語訳:
> 「回転するスピーカーのような音も作れます」
参考 SPH-1 STEREO PHASER仕様(英語サイト)ARION・英語| 項目 | ARION公表値 |
|---|---|
| 方式 | 4段・720度フェイズシフト |
| LFO速度 | 6秒〜100ms |
| 操作 | RATE、DEPTH、RESONANCE |
| 電源 | 9V電池/9V DC |
| 消費電流 | 17mA |
| 寸法 | 73W × 50H × 127Dmm |
| 重量 | 325g(電池含む) |
RATE・DEPTH・RESONANCEの使い方
- RATE:揺れる速さ。右へ回すほど速くなる
- DEPTH:揺れが動く幅。右へ回すほど深くなる
- RESONANCE:フェイザー特有のクセ。右へ回すほど「ウォウ」という響きが強くなる
最初はRATEを10時、DEPTHを11時、RESONANCEを9時にします。そこから揺れを目立たせたいときは、いきなり全部を上げず、RESONANCEを少しずつ右へ動かすと音を作りやすいです。
| 使い方 | RATE | DEPTH | RESONANCE | 聞こえ方 |
|---|---|---|---|---|
| アルペジオ | 9〜10時 | 10〜11時 | 8〜9時 | コードの後ろでゆっくり揺れる |
| 歪みのバッキング | 10〜12時 | 11〜1時 | 10〜12時 | 中音域が動き、リフへ立体感が出る |
| エグい単音 | 11〜2時 | 2時以上 | 2時以上 | 「ウォウ」と強くうねる |
| ロータリー風 | 1時以上 | 10〜12時 | 9〜11時 | 回転が速くなったように聞こえる |
この位置は手元の個体での出発点です。SPH-1はRESONANCEを少し動かしただけでも表情が大きく変わります。
DIRECT/STEREOスイッチはOUT 2の音を変える
上部のDIRECT/STEREOスイッチは、2つ目の出力「OUT 2」の使い方を選びます。
- DIRECT:OUT 2から揺れていない原音を出す
- STEREO:OUT 1とOUT 2を使い、左右へ広がるフェイザー音を出す
アンプを1台だけ使う場合はOUT 1へ接続します。2台のアンプやステレオ入力を使うと、DIRECTでは原音とフェイザー音を左右へ分けられ、STEREOでは揺れが左右へ動くような広がりを作れます。
2台のアンプを使うときは、最初に両方の音量を小さくします。接続する機材によってはハムノイズや音量差が出るため、一台ずつ確認してから同時に鳴らします。
内部は4段フェイザーらしい部品配置

スリランカ製所有個体の内部基板。4段の位相回路、調整用トリマー、基板実装のジャックを確認できます。
基板には、フェイズシフトを作る4つの回路が並んでいます。青く印が付いた小さな部品と内部トリマーは、フェイザーが深く動く位置をそろえるための調整に関わります。
この内部トリマーは通常の音作り用ノブではありません。位置がずれると揺れが浅くなったり、正常にフェイズしなくなったりします。動作している個体では触らない方が安全です。

所有個体のICとDIRECT/STEREO切替スイッチ周辺。小さな筐体に部品が密集しています。
筐体、フットペダル、ノブの軸はプラスチックです。ジャックやポットも基板へ直接取り付けられています。軽く安く作れる一方、強く踏む力やケーブルを横へ引く力が基板へ伝わりやすい構造です。
中古品では、フットスイッチが一度で切り替わるか、ジャックを動かしたときに音が途切れないか、電池ふたの爪が残っているかを確認します。
スリランカ製はヴィンテージではない
ARION SPH-1には日本製とスリランカ製があります。手元の青いラベルの個体は、後期に作られたスリランカ製です。この記事ではヴィンテージ品としてではなく、生産終了したARIONの実用機として扱います。
生産国だけで音の良し悪しは決まりません。この個体は、SPH-1らしい深い揺れとRESONANCEの強い効きを十分に楽しめます。日本製を探すより、まず正常にフェイズするか、ジャックやスイッチが傷んでいないかを優先した方が実用的です。
なぜ今は高いのか
SPH-1は新品を普通に選べる現行商品ではありません。2026年には、スリランカ製中古が24,800円で掲載された例があります。
参考 スリランカ製ARION SPH-1中古入荷例Sparkplug.tokyoこれは掲載例で、すべての個体が同じ価格で売れるという意味ではありません。元は手頃なペダルだったため、現在の2万円台は希少性が乗った価格です。箱の有無より、フェイザーが深く動くか、ノイズや接触不良がないかを確認したいところです。
同型SPH-1の音を確認できる日本語レビュー動画です。
フェイザーの定番機や現行モデルとの違いはこちらで比較しています。
まとめ
ARION SPH-1 Stereo Phaserは、4段・720度のアナログフェイザーです。RATE、DEPTH、RESONANCEの3つで、薄い揺れからかなりエグい「グワングワン」まで作れます。
手元のスリランカ製個体はヴィンテージではありません。それでも、深くかけた音の迫力と、下げたときの使いやすさは十分に魅力的です。強烈なのに、曲の中へ入れる場所が見つかる。そこがSPH-1の面白さです。
現在は中古価格が上がっているため、プレミア価格だけを見て急いで買うより、正常にフェイズする個体を選びます。プラスチック筐体と基板実装部品も含め、状態の良い一台を丁寧に使いたいペダルです。
FAQ
- スリランカ製ARION SPH-1はヴィンテージですか?
- この記事の所有個体は後期のスリランカ製で、ヴィンテージ品としては扱っていません。現在は生産終了して新品を普通に選べないため、中古市場で希少性が上がっています。
- ARION SPH-1はどんな音ですか?
- DEPTHとRESONANCEを上げると、グワングワンと強くうねるエグいフェイザー音になります。設定を下げると、アルペジオやコードの後ろへ置ける滑らかな揺れも作れます。
- RATE・DEPTH・RESONANCEは何を変えますか?
- RATEは揺れる速さ、DEPTHは動く幅、RESONANCEはフェイザー特有のクセを調整します。最初はRATE 10時、DEPTH 11時、RESONANCE 9時から試すと違いを聞き分けやすいです。
- DIRECT/STEREOスイッチは何に使いますか?
- OUT 2の出力方法を選びます。DIRECTではOUT 2から原音を出し、STEREOではOUT 1とOUT 2を使って左右へ広がるフェイザー音を作ります。アンプ1台ならOUT 1へ接続します。
- ARION SPH-1の中古品は何を確認すればよいですか?
- エフェクトONで深くフェイズするか、RATEに合わせて揺れが動くか、スイッチとジャックに接触不良がないか、電池ふたの爪が残っているかを確認します。内部トリマーは通常の音作りには使いません。

