Demonfx Breaker Driveは、安いBluesbreaker系クローンとしてはかなり普通に使えるオーバードライブです。手元の個体は少し硬めで、弦を弾いた瞬間の輪郭がはっきり出ます。Gainを低くすれば、アンプの音へ薄く歪みを足す使い方もできます。
正直なところ、開ける前はここまで部品にこだわっているとは思いませんでした。中にはTL072CP、金属皮膜抵抗、WIMAと印字されたフィルムコンデンサー、しずく形のタンタルコンデンサーが入っています。低価格クローンですが、中身まで見るとなかなか面白い一台です。

手元のDemonfx Breaker Drive。Gain、Tone、Volumeの3ノブです。
Demonfx Breaker Driveはどんな音か
最初に感じたのは、低価格ペダルにありがちな「とりあえず歪むだけ」の音ではないことでした。Gainを9〜10時にすると、ギターとアンプの音を残しながら、弦を弾いた頭が少し強く出ます。
音の表面は滑らかというより、やや硬めです。コードを弾くと各弦の境目が残り、強く弾くとザクッとした輪郭が出ます。反対に、ふわっと丸い歪みや大量のサステインを作るペダルではありません。
Gainを上げても、低音が大きく膨らんでコードが崩れる感じは少なめです。クリーンアンプへ薄く歪みを足す、すでに少し歪んだアンプをもう一段押す、という使い方が合います。
Bluesbreakerのクローンなのか
名前、Gain/Tone/Volumeの3ノブ、内部のTL072CP、4本のクリッピングダイオードを見ると、Marshall Bluesbreaker系の回路を基にしたペダルと考えるのが自然です。
Marshall Bluesbreakerは1992年に登場したローゲインのオーバードライブです。強い歪みを作るより、アンプが少し歪み始めたような音を足せることから、後に「トランスペアレント系」と呼ばれるペダルの基準の一つになりました。
参考 マーシャル・ペダルの歴史 Part 2|BluesbreakerMarshall Japan元になったBluesbreakerの回路資料にもTL072が記載されています。
英語PDFの原文:
> “IC1a 1/2 TL072”
日本語訳:
> 「IC1aにはTL072の半分を使用」
参考 Marshall Blues Breaker回路図(英語PDF)General Guitar Gadgets回路資料・英語Breaker Driveの基板はBluesbreaker系と判断できる特徴を持っています。初代Bluesbreakerと部品の値がすべて同じとは限らないため、「完全コピー」より「Bluesbreaker系のクローン」と表すのが実機に合っています。
トランスペアレント系とは
トランスペアレントは、日本語にすると「透明」です。ただし、音がまったく変わらないという意味ではありません。
Tube Screamerのように中音域をグッと前へ出すペダルと比べて、ギターとアンプの低音・高音を大きく作り替えず、軽い歪みと音量を足しやすいペダルをまとめてこう呼びます。
Bluesbreakerは、その考え方の早い時期の代表機です。Breaker Driveもその流れにありますが、手元の個体は無色ではなく、少し硬い輪郭が加わります。この味付けが、安いクローンらしい欠点というより、ロックで使いやすい個性になっています。
トランスペアレント系全体の違いはこちらで比較しています。
内部にはTL072CPを搭載

所有個体の内部。抵抗、コンデンサー、オペアンプを表側から確認できます。
中央の8本足の部品はTL072CPです。オペアンプは、ギターの小さな信号を増幅する部品です。Bluesbreaker系では、歪みを作る前後の中心として働きます。

ソケットに挿されたTL072CP。周囲には金属皮膜抵抗とフィルムコンデンサーが並びます。
TL072は音を作る部品の一つです。ダイオード、コンデンサー、抵抗の値、電源、基板の作りまで合わさってペダルの音になります。本家Bluesbreaker系の回路で使われるTL072がきちんと入っているのは、クローンとしてうれしい部分です。
金属皮膜抵抗、WIMA、タンタルも入っている
青い抵抗は金属皮膜抵抗です。一般に部品の値がそろいやすく、ノイズを抑えやすい抵抗です。手元のBreaker Driveは少し硬めで輪郭のある音がします。この感触に金属皮膜抵抗も関係しているように感じますが、抵抗だけを交換して比べた結果ではなく、ペダル全体を弾いた印象です。

赤い部品にはWIMAの印字があります。黄色いしずく形の部品はC5位置のタンタルコンデンサーです。
赤いフィルムコンデンサーにはWIMAの印字があります。外観だけで流通経路や真贋までは分かりませんが、高価なペダルでも見かけるブランド名が、この価格の基板に載っているのは少し得をした気分になります。
C5位置には、黄色いしずく形のタンタルコンデンサーも使われています。タンタルコンデンサーは、小さな体積で必要な容量を持たせやすい部品です。音声経路、バイアス、電源のどこを担当しているかは回路を追う必要がありますが、部品をすべて安価な種類で統一していない点は好印象です。
部品のブランド一つで音の良し悪しは決まりません。それでも、中を開けて「この価格でここまでやっているのか」と楽しめるペダルでした。
安さの代わりに、スイッチとジャックは弱点

基板裏のスイッチ接続部。踏んだ力が基板とはんだ部分へ伝わる構造です。
安く作るため、スイッチやジャックは基板と一体になっています。配線を減らして組み立てやすくできるので、この価格を考えれば納得できる作りです。
ただし、長く使う点では弱点です。フットスイッチを踏む力や、プラグを抜き差しする力が、基板とはんだ部分へ直接かかります。私はこの構造のペダルは、独立したスイッチやジャックを配線したペダルより壊れやすいと考えています。
スイッチやジャックだけが傷んでも、基板のパターンまで割れると修理が大きくなります。ライブで何度も強く踏む人は、スイッチを蹴るように踏まず、ケーブルへ横方向の力をかけない方が安心です。
3つのノブは難しくない
- Gain:右へ回すほど歪みが増える
- Tone:右へ回すほど明るく硬い音になる
- Volume:エフェクトON時の音量を決める
最初はGainを9時、Toneを11時、VolumeをOFFと同じ音量にします。そこから「もう少し歪ませたい」ならGain、「音が硬すぎる」ならToneを少し左へ動かせば十分です。
| 使い方 | Gain | Tone | Volume | 音の狙い |
|---|---|---|---|---|
| 常時ON | 9時 | 10〜11時 | OFFと同じ音量 | アンプの音へ薄い歪みと輪郭を足す |
| 軽いクランチ | 12〜2時 | 11時前後 | OFFと同じ音量 | コードの形を残した軽い歪み |
| ブースター | 8〜9時 | 10〜12時 | 12時より上 | 後ろの歪みやアンプを押す |
この時計位置は手元の個体での出発点です。明るいアンプではToneを左へ、暗いアンプでは右へ動かすと合わせやすくなります。
同型機の音を確認できるデモ動画です。
まとめ
Demonfx Breaker Driveは、少し硬く輪郭の立つBluesbreaker系オーバードライブです。本家と部品単位で同じかは別として、Gainを低くした常時ON、アンプを押すブースター、コードを崩しにくい軽いクランチには十分使えます。
中を開けると、TL072CP、金属皮膜抵抗、WIMA表記のフィルムコンデンサー、タンタルコンデンサーが見えます。低価格クローンだからと侮れない、ちょっと自慢したくなる中身です。
一方、基板一体型のスイッチとジャックは長期使用の不安点です。音と価格を優先するなら面白い一台ですが、毎週ライブで強く踏む道具としては丁寧に扱いたいペダルでした。
FAQ
- Demonfx Breaker DriveはMarshall Bluesbreakerのクローンですか?
- 名前、3ノブ、TL072CP、クリッピングダイオードなどから、Bluesbreaker系の回路を基にしたペダルと考えられます。初代Bluesbreakerと部品の値がすべて同じとは限りません。
- Demonfx Breaker Driveはどんな音ですか?
- 手元の個体は少し硬めで、弦を弾いた瞬間の輪郭がはっきり出ます。Gainを低くするとアンプへ薄く歪みを足せて、上げるとコードの形を残した軽いクランチになります。
- WIMAやタンタルコンデンサーが入っていると音は良くなりますか?
- 部品のブランドや種類だけで音の良し悪しは決まりません。所有個体ではWIMA表記のフィルムコンデンサーとC5位置のタンタルコンデンサーを確認でき、低価格機でも部品を一種類へ統一していない点は好印象です。
- Demonfx Breaker Driveは常時ONで使えますか?
- 使えます。手元の個体ではGainを9時、Toneを10〜11時にして、VolumeをOFFと同じ音量へ合わせると、アンプの音へ薄い歪みと輪郭を足せます。
- 基板一体型のスイッチとジャックは壊れやすいですか?
- 踏む力やプラグを抜き差しする力が基板とはんだ部分へ伝わるため、独立配線の部品より負担が集中しやすい構造です。強く踏み込まず、ケーブルへ横方向の力をかけない方が安心です。


