ギタリストの皆さん、特にヴィンテージアンプを所有する方は「自宅で、あの最高のチューブサウンドを適切な音量で鳴らしたい…」と一度は考えたことがあるのではないでしょうか。その悩みを解決する必須アイテムが、ロードボックスとパワーアッテネーターです。
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ギター歴・エフェクター製作歴18年。ヴィンテージアンプを自宅で鳴らすために様々なアッテネーターを試してきた筆者が、実体験を基に徹底解説します。
時間がない方へ:この記事の結論
もしあなたが「最高の音質でレコーディングをしたい」と考えているなら、結論から言うと「UNIVERSAL AUDIO OX AMP TOP BOX」が最もおすすめです。筆者も愛用しており、その原音に忠実なサウンドと機能性は価格以上の価値があります。
そもそもロードボックス/アッテネーターとは?
混同されがちなロードボックスとアッテネーターですが、役割が少し異なります。
- ロードボックス:アンプヘッドからスピーカーの代わりに出力を受け止める「ダミーロード」機能がメイン。スピーカーを繋がずにアンプを鳴らせるため、ライン録音やサイレントレコーディングに必須です。
- パワーアッテネーター:アンプとスピーカーの間に入り、アンプをドライブさせた美味しいサウンドはそのままに、スピーカーから出る「音量だけを下げる」機材です。
最近のモデルは両方の機能を搭載していることが多く、この記事でもそうした多機能モデルを中心に紹介します。
失敗しない!ロードボックス/アッテネーターの選び方
高価な機材だからこそ、選ぶ上で絶対に外せない3つのポイントを解説します。
Point 1:許容入力(W数)はアンプより大きいものを選ぶ
最も重要なのが許容入力(W数)です。必ず、使用するギターアンプの最大出力よりも大きいW数に対応したモデルを選びましょう。例えば、100WのMarshallを使うなら、100W以上の許容入力を持つ製品が必須です。W数が足りないと、最悪の場合アンプやロードボックスが故障する原因になります。
Point 2:インピーダンス(Ω)を合わせる
インピーダンス(Ω)のマッチングも非常に重要です。アンプのスピーカーアウトのΩ数と、ロードボックスの入力Ω数を必ず合わせる必要があります。多くの製品は4Ω, 8Ω, 16Ωの切り替えスイッチを備えていますが、購入前に必ず確認しましょう。
Point 3:機能で選ぶ(キャビシミュの有無など)
自宅でのレコーディングが主な目的なら、高品位なキャビネットシミュレーターやIRローダー機能が搭載されたモデルがおすすめです。これにより、マイクを立てて録音したかのような、リアルなサウンドをラインで手軽に得られます。一方、ライブでの音量調整がメインなら、シンプルなアッテネート機能に特化したモデルが良いでしょう。
おすすめロードボックス・アッテネーター比較一覧表
製品名 | タイプ | 最大許容入力 | キャビシミュ | 価格帯 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|---|---|
BOSS WAZA TAE | リアクティブ/多機能 | 150W | 〇 | 高価格帯 | ライブから録音まで妥協したくない人 |
UA OX | リアクティブ/最高峰 | 150W | 〇 | 高価格帯 | 最高のライン録音環境を求める人 |
JHS Little Black Amp Box | パッシブ (FX-Loop用) | – | × | 低価格帯 | アンプの歪みはそのままに手軽に音量調整したい人 |
Shin’s Music Baby Master | パッシブ (FX-Loop用) | – | × | 中価格帯 | 原音のニュアンスを重視しつつ音量をコントロールしたい人 |
Crews GB-VI | アッテネーター | 100W | × | 中価格帯 | ライブでの音量調整がメインで堅牢性を求める人 |
Bugera PS1 | アッテネーター | 100W | 〇 (XLR) | 低価格帯 | 圧倒的なコストパフォーマンスでアッテネーターを導入したい人 |
DLATT-1 | ロードボックス/アッテネーター | 100W | × | 中価格帯 | シンプルで直感的に使えるロードボックスが欲しい人 |
※JHSとShin’s Musicの製品はアンプのセンド/リターンに接続する特殊なタイプです。詳しくは製品紹介で解説します。
おすすめのロードボックス・アッテネータ7選
BOSS WAZA Tube Amp Expander
WAZA Tube Amp Expanderは、チューブアンプの持つ温かみと豊かなサウンドに、さらに多彩な表現力を加える革新的なアクセサリーです!アナログの魅力を損なうことなく、あなたのサウンドの幅を広げ、ライブやレコーディングで新たな可能性を引き出します。
メリット
- 高精度なリアクティブロードと多彩な内蔵エフェクト、IR機能
- 直感的な操作性で、ライブ中でも素早いセッティング変更が可能
- USBオーディオインターフェイス機能も搭載し、これ一台で録音環境が完結
注意点
- 発売初期にソフトウェアの動作が不安定という報告があった(現在はアップデートで改善されている可能性が高いです)
- 機能が非常に多いため、すべてを使いこなすには少し学習が必要
UNIVERSAL AUDIO OX AMP TOP BOX
UNIVERSAL AUDIO OX AMP TOP BOXは、アンプのトーンを一切損なうことなく、リアルなキャビネットサウンドを再現する最高峰のロードボックスです!洗練された回路設計で、豊かなトーンをそのままキープしながら出力調整ができ、特にスタジオや自宅でのレコーディングで絶大な威力を発揮します。
メリット
- 原音に忠実でクリアなサウンド。良くも悪くも味付けがなく、アンプ本来の音を綺麗に録音できます。
- Universal Audioが誇る最高品質のキャビネット/マイクモデリング。
- アッテネーターとしての性能も最上位クラスで、小音量でもサウンドの質感が損なわれません。
注意点
- 価格が非常に高価(約20万円弱しますが、その価値は十分にあります)。
- 人によってはサウンドが「綺麗すぎる」と感じる可能性も。
筆者も愛用しており、ヴィンテージアンプのサウンドをレコーディングする際の必需品となっています。これ以上のアナログフィールを持つライン録音機材は無いと言っても過言ではないでしょう。
JHS Pedals Little Black Amp Box
※注意:この製品はアンプのスピーカーアウトではなく、エフェクトループ(センド/リターン)に接続して使用する「パッシブ・ボリュームペダル」です。 アンプのプリ部で作った歪みはそのままに、パワーアンプに送る信号レベルを下げることで、結果的に全体の音量を下げます。ロードボックスやアッテネーターとは仕組みが異なりますのでご注意ください。
メリット
- 非常にコンパクトで電源も不要。
- シンプルな操作で直感的にマスターボリュームのように使える。
- 価格が安く、手軽に音量調整ソリューションを導入できる。
注意点
- パワー管のドライブ感は得られないため、アンプをフルドライブさせたサウンドを得るための機材ではない。
- センド/リターン端子がないアンプでは使用できない。
Shin’s Music Baby Master 2
※注意:この製品もJHS同様、エフェクトループ(センド/リターン)に接続するタイプのボリュームコントローラーです。 高品位なパーツを使用しており、原音のニュアンスを損なわずに自然な音量調整が可能です。
Shin’s Music/Baby Master 2 [Custom Volume for SEND/RETURN] エフェクター シンズミュージック
メリット
- コンパクトで持ち運びに便利。
- ボリュームを絞った際のハイ落ちが少なく、非常にナチュラルな使い心地。
- 高品質なパーツで構成されており、プロの現場でも使用される信頼性。
注意点
- パワー管のドライブ感を得るための機材ではない。
- センド/リターン端子がないアンプでは使用できない。
Crews Maniac Sound GB-VI – POWER ATTENUATOR
Crews Maniac Sound GB-VIは、ライブハウスやスタジオでの使用を想定した、堅牢な作りの本格パワーアッテネーターです。アンプのトーンを極力損なわずに、-16dBまで段階的に音量を下げることができます。
メリット
- 非常に頑丈な作りで、プロのツアー機材としても耐えうる信頼性。
- シンプルな操作性で、迷うことなく使える。
- 音色の変化が少なく、自然なアッテネートが可能。
注意点
- キャビネットシミュレーターなどの付加機能はない。
- 完全なサイレント(無音)にはできない。
Bugera POWER SOAK PS1
圧倒的なコストパフォーマンスで人気を博す、パッシブタイプのパワーアッテネーターです。最大100Wまでのチューブアンプに対応し、自宅での練習から小規模なライブまで、手軽に音量コントロールを導入したいギタリストに最適なモデルです。
メリット
- 1万円前後という非常にリーズナブルな価格。
- 4, 8, 16Ωに対応し、ほとんどのチューブアンプで使用可能。
- マイクシミュレーター付きのXLRアウトも搭載し、簡易的なライン録音にも対応。
注意点
- 抵抗式(レジスティブ)のため、音量を大きく下げるほど高域が削れるなど、音質の変化が感じられやすい。
- ロードボックス機能は無いため、スピーカーキャビネットへの接続が必須。
- 高負荷での連続使用で本体が高温になりやすいという報告がある。
DLATT-1
こちらは個人制作のユニークなロードボックス/アッテネーターです。シンプルながら洗練された設計で、アンプの出力を自在に調整しながら、クリアなトーンを保つことができます。
メリット
- コンパクトで革新的な設計。
- 多段階のアッテネーション機能で細かい音量調整が可能。
- 音色の自然な保持に優れた回路設計。
注意点
- 個人制作品のため、流通量が限られる場合がある。
よくある質問(FAQ)
Q1. アッテネーターを使うと音は劣化しますか?
A. 厳密に言えば、音質の変化はゼロではありません。しかし、近年の高品質なリアクティブロードを搭載したモデルでは、その変化はごく僅かです。特に自宅でのレコーディングなどでは、小音量でアンプを鳴らすよりも、アッテネーターを使って適正な音量でドライブさせた方が、はるかに良い結果が得られます。
Q2. インピーダンスを間違えるとどうなりますか?
A. 最悪の場合、アンプの出力トランスが故障する可能性があります。これは非常に高価な修理に繋がるため、インピーダンスのマッチングは必ず確認してください。アンプ側とアッテネーター側のΩ数を合わせることが鉄則です。
Q3. 自宅での小音量練習だけが目的なら、どれがおすすめですか?
A. もしお使いのアンプにセンド/リターン端子があるなら、JHS Pedals Little Black Amp Boxが最も手軽です。パワー管のドライブは得られませんが、プリ管で歪ませるタイプのアンプであれば、手軽に音量をコントロールできます。本格的なチューブドライブサウンドを小音量で楽しみたい場合は、Crews GB-VIやBugera PS1が良い選択肢になります。
まとめ
以上、2025年最新のロードボックス/アッテネーターおすすめ7選をご紹介しました!どのモデルも素晴らしい個性と機能を備えており、あなたのギターライフをより豊かなものにしてくれるはずです。本記事の選び方や比較表を参考に、ぜひあなたのプレイスタイルや使用環境に最適な一台を見つけて、最高のチューブサウンドを心ゆくまで楽しんでください!