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究極のストラトギターに改造するためのパーツ一覧

目次

はじめに|ストラトキャスター改造の魅力とは?

ストラトキャスターは、世界中のギタリストに愛され続ける歴史的なエレキギターです。そのままでも完成された魅力がありますが、パーツを交換してカスタマイズすることで、自分だけの理想の音色や抜群のプレイアビリティを追求できるのが、ストラト改造の最大の魅力です。

この記事では、あなたのストラトをさらに進化させるためのおすすめパーツを、サウンドの変化や選び方のポイントを交えながら詳しくご紹介します。ヴィンテージライクなサウンドを求める方も、最新のモダンな機能を求める方も、きっと理想のパーツが見つかるはずです。

ソニックブルーの自作ストラトキャスター

私が愛用するストラトタイプのギターです。2ピースアルダーボディにラッカーでソニックブルーを塗装。ネックはALLPARTS製、ブリッジはWilkinson VSVG、ピックアップにはAngel Seeksという希少なモデルを搭載しています。

パーツ交換時の注意点や、失敗しないためのコツもしっかり解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ストラトキャスターの分解されたパーツ

① ピックアップ交換|サウンドの心臓部をアップグレード

ギターのサウンドを最も劇的に変えるパーツ、それはピックアップです。ストラトらしい鈴鳴りや、繊細なニュアンスを拾うシングルコイルサウンドは唯一無二ですが、「もっと図太いロックサウンドが欲しい」「枯れたヴィンテージトーンを再現したい」といった願いもピックアップ交換で叶えられます。

The Revival Pickups RPS8 Texas Special

ヴィンテージ志向のアルニコ5マグネットを採用し、いわゆる「テキサス・サウンド」を狙ったピックアップセット。ノーマルより少しパワー感があり、粘りのあるミッドレンジが特徴です。ブルースやロックで、あの甘くしゃがれたトーンを出したいギタリストにぴったりです。

MEMO

RPS8 Texas Specialは、シングルコイルの歯切れの良さを保ちつつ中音域がグッと前に出るため、クランチサウンドとの相性も抜群です!

Fender Vintera ’60s

本家Fenderが送るリプレイスメント・ピックアップ。60年代初頭の、あのクリスタルで透明感のあるストラトサウンドを再現します。まさに「これぞストラト」という王道のサウンドを求めるなら間違いのない選択肢です。

Fender Deluxe Drive Stratocaster Pickup SET

ピッキングへの素早いレスポンスと、パワフルで元気なサウンドが持ち味。ヴィンテージ系の枯れた味わいとは方向性が異なりますが、アンプをドライブさせた時の気持ちよさは格別です。HR/HM系にも対応できるパワーが欲しい方におすすめです。

その他、予算に余裕があればVanzandt、Grinning Dog、LINDY FRALIN、Bare Knuckle Pickups、Raw Vintageといったブティック系メーカーも素晴らしいピックアップを製造しています。

もちろんSeymour Duncanも定番ですが、最近のモデルはややモダンすぎる印象も。取り付けの際は配線図をよく確認し、特にホットとコールドを間違えないようにしましょう。自信がない方は、無理せずリペアショップに依頼するのが安心です。

★参考:サウンドハウス虎の巻!ギター パーツの配線 https://www.soundhouse.co.jp/howto/guitar/wiring/

② ポット交換|操作性とサウンドを微調整

ボリュームやトーンを司るポット(ポテンショメータ)は、回し心地という操作性だけでなく、実は音質にも影響を与える重要なパーツです。スムーズなボリューム奏法をしたいのか、あるいは誤って触れても動かない適度な重さが欲しいのか、自分のスタイルに合わせて選びましょう。

ストラトキャスターには通常250kΩのポットが使われますが、メーカーによってトルク(回す際の抵抗感)が異なります。

主なおすすめポット

  • HOSCO SCUD CTS製ポット (CTS-A250-S)|標準的なトルク
  • ESP ORIGINAL PARTS BOURNS POT 250kΩA|軽いトルク
  • SCUD ALPHA ポット (ALP-250A)|重めのトルク
ESP ORIGINAL PARTS BOURNS POT 250kΩA ポット

ESP ORIGINAL PARTS BOURNS POT 250kΩA ポット

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この3つの中では、BOURNSが最も軽く、CTSが中間、ALPHAがやや重めです。ボリューム奏法を多用する方には軽いBOURNSが人気ですが、私個人は標準的なトルクで信頼性も高いCTSを愛用しています。ストラトには3つのポットが必要なので、忘れずに3つ購入しましょう。

MEMO

CTSポットには、背面に「へそ」と呼ばれる突起があるものとフラットなものがあります。へそ付きの方がややトルクが軽い傾向にあるので、軽い操作感を求める方は仕様を確認してみてください。

③ ペグ交換|チューニングの安定性を劇的に向上

弦を巻きつけ、音程を保つペグは、チューニングの安定性を司る心臓部。精度の高いペグに交換するだけで、アーミングをしてもチューニングが狂いにくくなり、ライブやレコーディングでのストレスが大幅に軽減されます。迷ったら、まず国産のGOTOH製を選べば間違いありません。近年ではFender Custom Shopでも採用されている信頼のブランドです。

GOTOH SD91-05M L6(ニッケル)|ヴィンテージスタイルの決定版

GOTOH ギターペグ SD91-05M L6 ニッケル

GOTOH ギターペグ SD91-05M L6 ニッケル

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クルーソンタイプのヴィンテージなルックスと、現代的な精度を両立させた定番モデル。軽量なためヘッド落ちの心配もなく、多くのギタリストから絶大な支持を得ています。

GOTOH SD91 HAPM 05M L6 N|弦交換も楽々なロック式

このペグは、GOTOHが誇る2つの先進技術を搭載しています。

  1. H.A.P. (Height Adjustable Post)
    弦を巻くポストの高さを調整できる機構。これにより、ナットにかかる弦の角度を最適化でき、サスティンの向上やチューニングの安定に繋がります。ストリングガイドが不要になるメリットも。
  2. Magnum Lock(マグナムロック)
    弦を引っ張るだけでロックできる画期的なシステム。弦交換が圧倒的にスピーディかつ簡単になり、チューニングの安定性も格段に向上します。特にトレモロを多用するプレイヤーには心強い味方です。

ポストに弦を何周も巻かないためテンション感が少し柔らかくなる傾向があり好みは分かれますが、チューニングの安定性と弦交換の手軽さは何物にも代えがたいメリットです。

GOTOH SDS510-HAPM-05M-L6-Nickel|究極の安定性を求めて

GOTOH ギターペグ SDS510-05M L6 ニッケル

GOTOH ギターペグ SDS510-05M L6 ニッケル

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上記のHAPM機構に加え、「C.A.R.D.」という黒い樹脂製スペーサーが搭載されたモデルです。このパーツが回転軸の摩擦を最小限に抑え、さらに滑らかで精密なチューニングを可能にします。究極の安定性を求めるならこのモデルがおすすめです。

④ ブリッジ交換|サスティンとトーンを根本から改善

ボディと弦を繋ぐブリッジは、弦振動をボディに伝える重要なパーツです。素材や構造によってサスティン(音の伸び)やトーンが大きく変わるため、理想の鳴りを追求する上で欠かせないポイントです。

Freedom Custom Guitar Research SP-ST-01

Freedom Custom Guitar Research SP-ST-01 Synchronized Tremolo Unit Nickel

Freedom Custom Guitar Research SP-ST-01 Synchronized Tremolo Unit Nickel

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ヴィンテージ志向のプレイヤーに絶大な人気を誇るシンクロナイズドトレモロ。質量の大きい鉄製のイナーシャブロックが、豊かで長いサスティンを生み出します。美しいニッケルメッキの仕上げも魅力です。

Wilkinson by GOTOH VSVG-NX (VSVG-N)

トレモロを多用する現代的なプレイヤーに最適なモデル。滑らかなアーミングと抜群のチューニング安定性を、クラシックなルックスで実現しています。私も愛用しており、ジャンルを問わず使える万能さが魅力です。

※このブリッジはサドルが特殊な形状のため、後述するサドル単体での交換はできませんのでご注意ください。

MEMO

ブリッジ交換は大掛かりなので、まずは現状のチェックから。ブリッジのイナーシャブロック(ボディに埋まっている金属の塊)に磁石を近づけてみてください。くっつけば響きの良い鉄製、くっつかなければ亜鉛合金製の可能性が高いです。鉄製なら無理に交換する必要はないかもしれません。

⑤ ブリッジ取り付けネジ交換|6点支持のままアーミングを滑らかに

Musiclily Ultra 33X3.5mm ステンレス製 トレモロユニットブリッジ用ビス

これは地味ながら効果絶大なパーツ。通常のブリッジ取り付けネジはただの木ネジですが、この製品はネジの頭のすぐ下に溝が切ってあります。この溝がブリッジプレートのナイフエッジの役割を果たし、アーミング後の戻りをスムーズにします。これにより、ヴィンテージライクな6点支持ブリッジのルックスとサウンドを維持したまま、まるで2点支持ブリッジのような滑らかなアーミングとチューニングの安定性を実現できます。

※類似品もありますが、溝の位置が不適切なものもあるため、評価の高いこちらをおすすめします。

⑥ ブリッジサドル交換|手軽にできるサウンドチューニング

ブリッジ本体の交換はハードルが高い…という方でも、サドル交換なら比較的手軽に挑戦できます。弦が直接触れるサドルは、アタック感や倍音に大きく影響します。弦高やオクターブ調整で頻繁に触れる部分でもあるため、精度の高いものを選ぶとセッティングも楽になります。

RawVintage サドル RVS-108(国産等ミリ規格) / RVS-112(USA製等インチ規格)

RawVintage エレキギター サドル ミリサイズ RVS-108

RawVintage エレキギター サドル ミリサイズ RVS-108

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RawVintage サドル インチサイズ RVS-112

RawVintage サドル インチサイズ RVS-112

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素材と製法にこだわり、ヴィンテージ特有の豊かな倍音とサスティン、そしてパキっとしたアタック感を再現。多くのプロギタリストも愛用する定番サドルです。国産モデルに多い「ミリ規格」と、Fender USAなどに使われる「インチ規格」があるので、購入前に必ず自分のギターのサドルの弦間ピッチを測りましょう。

⑦ アウトプットジャック交換|ノイズや音切れを未然に防ぐ

意外と見落としがちですが、シールドを挿すアウトプットジャックの品質は、サウンドの信頼性に直結します。ジャックの接点が劣化・酸化すると、「ガリ」と呼ばれるノイズや突然の音切れの原因に。ライブやレコーディングで最悪の事態を避けるためにも、信頼性の高いジャックへの交換は非常に有効です。

Pure Tone PTT1(オープンジャック)

通常のジャックが1点だけで接触するのに対し、このジャックは2重の接点でプラグをがっちりホールド。接触不良のリスクを極限まで減らし、安定した信号伝達を実現します。価格は少し高めですが、トラブルを未然に防ぐ保険として考えれば非常にコストパフォーマンスの高いパーツです。

Switchcraft

SCUD Switchcraft社製オープンジャック モノラル OJ-120

SCUD Switchcraft社製オープンジャック モノラル OJ-120

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長年にわたりギターパーツの標準として採用されてきた、信頼と実績のSwitchcraft社製ジャック。迷ったらこれを選んでおけば間違いない、まさに「定番中の定番」です。

⑧ ピックアップセレクター交換|確実なサウンド切り替えのために

ピックアップを交換するなら、ピックアップセレクターの状態もチェックしましょう。ストラトの多彩なサウンドを生み出す5wayスイッチは、頻繁な切り替えによって接点が摩耗しやすい消耗品です。ガリノイズや接触不良が起こる前に、耐久性の高いものに交換するのがおすすめです。

SCUD CRL製レバースイッチ

SCUD CRL製レバースイッチ 5way 取付ビス付 ノブ別売り CRL-5W

SCUD CRL製レバースイッチ 5way 取付ビス付 ノブ別売り CRL-5W

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Fenderをはじめ多くのギターメーカーで純正採用されている、アメリカCRL社製の高耐久スイッチ(ライセンス品)。「カチッ、カチッ」という確実なクリック感は操作していて心地よく、純正スイッチのフニャフニャ感が気になる方にもおすすめです。ピックアップセレクターは、正直これ一択と言っていいほどの信頼性があります。

⑨ トレモロ周りの強化|スプリングとクローで鳴りを変える

ストラトの象徴であるトレモロユニット。アームを使った表現はギタリストの個性が光る部分です。弦の張力を支えるスプリングや、それを引っ掛けるスプリングクロー(スプリングハンガー)といった小さなパーツを交換するだけでも、サウンドや操作性は大きく変わります。

RawVintage トレモロスプリング RVTS-1

RawVintage トレモロスプリング RVTS-1 / Tremolo Springs

RawVintage トレモロスプリング RVTS-1 / Tremolo Springs

1,520円(08/20 12:32時点)
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通常、トレモロスプリングは本数を増やす(3本→5本など)と弦の張力に負けなくなりサスティンが向上しますが、その分アーム操作が重くなります。しかし、このRawVintage製スプリングは絶妙なバネレートで設計されており、5本張りにしても比較的スムーズなアーミングが可能です。「豊かな生鳴りとサスティンが欲しい、でもアームの操作性も犠牲にしたくない」というわがままな願いを叶えてくれます。

Raw Vintageのスプリングを5本張りしたストラトの裏側

スプリングをRaw vintage製に変更し、5本張りに。アーミングが滑らかになり、チューニングも安定。生鳴りも豊かになったように感じます。

Musiclily Ultra ブラス製トレモロスプリングクロー

スプリングを引っ掛けるプレート、スプリングクローです。通常は鉄板を折り曲げただけのパーツですが、これは贅沢にもブラス(真鍮)の削り出しで作られています。厚みがあり質量も増すため、サウンドにコシと粘りが加わります。また、スプリングを掛ける爪部分の精度も高く、弦振動をロスなくボディに伝えてくれます。

ブラス製のスプリングクローに交換した様子

スプリングクローをブラス製に交換。アーミングがさらに安定し、音の重心が少し下がった印象です。

⑩ 配線材の交換|音の解像度を上げる

内部の配線材を交換するのも、こだわりの改造です。音の輪郭がハッキリしたり、高音域の抜けが良くなったりと、音の解像度に影響を与えます。

Belden 8503

BELDEN 8503 フックアップワイヤー5色セット 8503-01-5

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シールドケーブルでも有名なBelden社の、内部配線材の定番。交換すると、音にかかっていたヴェールが一枚剥がれたような、クリアで明瞭なサウンドになる傾向があります。被膜がビニール製なので、ハンダごての熱で溶かさないよう、手早い作業が求められます。

ルシアーオブジャパン Gavitt製 ビンテージクロスワイヤー

ヴィンテージのFenderにも使われていたクロス(布)被膜のワイヤー。ハンダ付けの際に被膜を剥く必要がなく、芯線を押し戻す(プッシュバック)だけで作業できるため、初心者にも扱いやすいのが魅力です。ルックスもヴィンテージ感満点で、ピックガードを開けた時の満足度も高まります。

配線材は奥が深い世界です。ご興味があればこちらの記事もどうぞ。

⑪ ノイズ対策の新定番|やりすぎないシールディングのすすめ

ストラトキャスター特有の「ジー」というノイズ。これを軽減するために導電塗料などでボディキャビティ全体をシールドする方法もありますが、私はあまりおすすめしません。なぜなら、ストラトらしい美味しいサウンド成分は、実はノイズの中にも含まれていると考えているからです。過度なシールドは音の煌びやかさやエア感を失わせ、どこか味気ないサウンドにしてしまうこともあります。

そこでおすすめなのが、このピックガード裏に貼り付けるアルミ製のシールドプレートです。

Fender ピックガードシールド American Vintage ’62 Stratocaster® Pickguard Shield

これは、ピックアップやポット周りといったノイズの発生源に最も近い部分をピンポイントでシールドするアイテム。ギター本体の鳴りを損なうことなく、効果的にノイズを軽減できます。

作業は、ピックガードから全てのパーツを取り外し、このシールドを貼り付けてから再度パーツを組み込むだけ。導電塗料を塗る手間や乾燥時間を考えれば、非常に手軽です。

注意

作業の際はピックアップやポット、スイッチを全て取り外す必要があります。そのため、完了後にはピックアップの高さ調整を再度行う必要がありますので、元の高さを覚えておくか、写真を撮っておくと良いでしょう。

⑫ ネックプレート交換|ボディとネックの鳴りを一体化

ネックとボディをボルトで接合する「デタッチャブル構造」のストラトにとって、ジョイント部分のパーツは鳴りに大きく影響します。手軽に交換できるネックプレートを変えるだけでも、サウンドキャラクターは変化します。

KTS チタン製ネックプレート

KTS チタンパーツ Ti-Neck Plate Titanium Neck Joint Plate

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一般的な鉄製のプレートとは一線を画す、チタン製のネックプレート。軽量でありながら非常に硬質なチタンは、サウンドに「キレ」と「スピード感」を与え、カラッとした明るい鳴りに変化します。

Freedom Custom Guitar Research トーンシフトプレート

こちらはブラス(真鍮)製のプレート。鉄に比べて質量が大きく、中低音域にコシと粘りを加え、サウンドをよりファットにします。クロームメッキが施されているため、ルックスが変わらないのも嬉しいポイントです。

Freedomの2mm厚ネックプレートを装着したストラト

私のストラトにもFreedom製の2mm厚プレートを使用しています。

厚さは2mmと3mmがありますが、3mmはかなり音が太くなり、ギターによっては音が飽和しすぎることも。まずは2mmから試すのがおすすめです。鳴りが少し物足りないギターなら、3mmが劇的に効く場合もあります。

↓は3mm厚のモデルです。

【上級編】ジョイント部分の精度を高める改造

ネックプレート交換だけでなく、ジョイント部分に一手間加えるだけで生鳴りを向上させる方法があります。それは、**ボディ側のネジ穴を、ネックジョイントビスが抵抗なく通るサイズに拡張する**というものです。これにより、ネックとボディがより強力に密着し、振動伝達の効率が格段に上がります。

多くの量産ギターではこの処理がされていないため、効果は絶大です。電動ドリルがあれば比較的簡単に行えますが、ギターに穴を開ける作業なので、慎重に行ってください。

⑬ コンデンサ交換|トーンの効き具合をカスタム

コンデンサ(キャパシタ)は、トーン回路の心臓部。この小さなパーツの種類や容量(スペック)を変えるだけで、トーンを絞ったときの音色や、高音域のキャラクターが変化します。トーンノブを積極的に使うプレイヤーにとっては非常に重要な改造です。

Sprague ORANGE DROP 0.047uF

現行品で手に入るコンデンサとしては、もはや説明不要の「オレンジドロップ」。手頃な価格ながら安定した品質で、多くのギタリストやリペアマンに愛用されています。よりヴィンテージライクなサウンドを求めるなら、マニアックなPIO(ペーパー・イン・オイル)コンデンサなどを探してみるのも面白いでしょう。

【応用編】リアピックアップにもトーンを効かせる改造

実は、ほとんどのストラトキャスターはリアピックアップにトーン回路が繋がっていません。これが、リアの「ギャンギャンした」硬い音の一因でもあります。この改造を施すことで、リアピックアップの音が扱いやすく、より音楽的になります。

最も簡単なのは、**センターピックアップ用のトーンを、リアピックアップと共有させる**方法です。下の図のように、セレクタースイッチの端子を1本ジャンパー線で繋ぐだけで完了します。

出典:https://mcbrain.jp/5676/

私はセンターとリアを多用するため、フロントとセンターのトーンを共有にし、リアに独立したトーンを割り当てています。

⑭ はんだ|音質と信頼性を支える縁の下の力持ち

ギターの電気回路において、はんだ付けの品質は音質や信頼性に大きく影響します。質の悪いハンダや、不適切なハンダ付け(イモハンダ)はノイズの原因となり、せっかく交換した高品質なパーツの性能を十分に発揮できません。ぜひ楽器・オーディオ用のはんだを使いましょう。

おすすめのはんだ

  • Kester44(ケスター44)|ギターリペアの世界的定番
  • 日本アルミット KR-19RMA|オーディオグレードの高音質はんだ
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どちらもプロの現場で高い評価を得ている製品です。特にKester44は、ヴィンテージライクなサウンドを求めるなら一度は試してみたい定番品。適切な温度管理とはんだごてを使えば、ハンダ付けは決して難しくありません。

⑮ その他|あると便利なメンテナンスアイテム

最後に、操作性やメンテナンス性を向上させる便利なアイテムをご紹介します。

Freedom Custom Guitar Research SP-P-09 シリコンオイル

チューニングが狂う主な原因は、ナットやサドル、ストリングガイドなど、弦が触れる部分の摩擦です。チョーキングやアーミングで動いた弦が、摩擦によって元の位置に正確に戻れないために音程がズレます。このシリコンオイルを弦が触れる部分にごく少量塗布するだけで、弦の滑りが劇的に改善し、チューニングが驚くほど安定します。

注意

シリコンオイルの付けすぎは禁物です。ホコリを吸着して固まったり、ベタつきの原因になります。爪楊枝の先などで、ごく微量を塗布するようにしてください。

改造の進め方|5つのステップ

ここで、ストラトキャスターを改造する大まかな手順を5つのステップでご紹介します。全体の流れをイメージすることで、作業がスムーズに進みます。

STEP.1
プランニング
まずは「どんなサウンドにしたいか」を明確にし、交換するパーツを選びます。必要な工具や予算もリストアップしましょう。
STEP.2
分解
弦を外し、ピックガードやブリッジなど、交換に必要な部分を丁寧に分解します。ネジを無くさないように注意!
STEP.3
パーツ交換と配線
新しいパーツを取り付け、配線図を確認しながら正確にはんだ付けを行います。
STEP.4
組み立てと基本調整
全てのパーツを元に戻し、ネックの反りや弦高、オクターブチューニングなど、ギター全体のセッティングを行います。
STEP.5
試奏と微調整
実際にアンプから音を出し、サウンドや弾き心地をチェック。違和感があれば、再度調整を繰り返して完成度を高めます。

Q&A|ストラト改造のよくある質問

最後に、ストラトキャスターの改造に関するよくある質問とその回答をまとめました。

改造の費用はどれくらいかかりますか?
交換するパーツによりますが、数千円の小物パーツから、数万円するピックアップやブリッジまで様々です。まずは気になるパーツ1点から交換してみるのがおすすめです。
初心者でも自分でパーツ交換できますか?
はんだ付けやギターの基本的な調整に挑戦してみたい方なら可能です。しかし、少しでも不安があればプロのリペアショップに依頼するのが最も確実で安心です。
ブリッジとサドル、どちらから交換すべきですか?
サウンドを大きく変えたいならブリッジユニットごとの交換が効果的です。手軽に音の変化を楽しみたい、あるいは微調整したい場合は、まずサドルやトレモロスプリングの交換から試してみるのが良いでしょう。
オレンジドロップ以外のコンデンサのメリットは?
コンデンサは種類によってキャラクターが大きく異なります。例えばヴィンテージのレプリカ品であるPIO(ペーパーインオイル)コンデンサは、よりウォームでまろやかなトーンになります。理想のサウンドに合わせて色々試すのは、改造の醍醐味の一つです。
配線材を交換すると本当に音は変わりますか?
はい、変化は感じられることが多いです。特に、高音域の抜けや音の輪郭に影響が出やすい部分です。パーツ交換で満足のいく音になった後、最後の仕上げとしてこだわってみるのも良いでしょう。「良い配線材を使っている」という満足感が、良いプレイに繋がる側面もあります。

エフェクタービルダーからのひと言

サイト管理人

ストラトキャスターは本当に懐が深く、いじればいじるほど「沼」にハマってしまう魔性のギターです(笑)。しかし、パーツ選びで最も大切なのは「自分がどんな音で、どんな風に弾きたいか」という基準です。いきなり全てを交換するのではなく、まず「ここが気になる」というポイントから一つずつ試していくのが、失敗も少なく、変化を楽しみながら進めるコツです。あなたのギターライフがもっと豊かになるお手伝いができれば嬉しいです!

まとめ|自分だけの理想のストラトを育てよう

いかがでしたか?今回は、ストラトキャスターの改造におすすめのパーツを、ピックアップから始まり、電気系統、ブリッジ周り、ネックジョイント、そして便利な小物まで網羅的にご紹介しました。改造には少し手間がかかりますが、自分の手で育てたギターは、かけがえのない唯一無二の相棒になります。

この記事で紹介したパーツやアイデアを参考に、あなたのストラトキャスターをさらに魅力的な一本に仕上げてみてください。サウンド、ルックス、操作性、すべてをあなた好みに染め上げて、ギターカスタムの世界を存分に楽しみましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、あなたのギター改造の第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。