Maxon UE305は、好きな歪みを外部で選び、コンプレッサーとディレイ、コーラスをまとめて使いたいときに魅力のあるヴィンテージマルチです。 私には、セッションへ手軽に持ち出すUE300に対して、ライブでお気に入りの歪みと組み合わせたくなる1台です。
UE300にはチューブスクリーマーが入っていますが、UE305はその部分がアナログディレイになっています。歪みまで1台で完結させる構成ではないぶん、そこを自分で選べる。そして、3つの出力を使って音を広げられるところにも惹かれます。

私のMaxon UE305。好きな歪みと組み合わせて使いたいヴィンテージマルチです。
UE305とUE300は、内蔵するエフェクトが違う
UE305に内蔵されているのは、コンプレッサー/リミッター、アナログディレイ、ステレオコーラスの3系統です。コンプレッサーとリミッターは1つのセクションになっています。
1984年のMaxonカタログにも、この構成でUE305が掲載されています。同じページにはUE300も並んでおり、当時のマルチエフェクターのラインナップとして確認できます。
参考 Maxon 1984年カタログ・UEシリーズ掲載ページ(日本語・PDF)Guitar Catalog| 比較するところ | UE300 | UE305 |
|---|---|---|
| 共通の内蔵エフェクト | コンプ/リミッター、コーラス | コンプ/リミッター、コーラス |
| 異なる内蔵エフェクト | チューブスクリーマー | アナログディレイ |
| 歪みの用意 | 内蔵TSを使える | 外部で好きなものを追加 |
| 出力 | 2系統 | 3系統 |
私にとってUE300は、近所のセッションにも持ち出している機材です。ヴィンテージTSに近い内蔵の歪みが気に入っています。UE305との使い分けを考えるときには、その「歪みも含めてまとまっている便利さ」が大きな違いになります。
コンプレッサーとディレイの調整
コンプレッサー/リミッター

コンプレッサー/リミッターは3ノブ。左端にまとまっています。
ATTACK TIMEで圧縮がかかるまでの速さ、THRESHOLDで圧縮を始める音量の境目、LEVELで出力音量を調整します。外部ループより前にあるので、追加する歪みへ入れる音の強弱をここで整えられます。
アナログディレイ

UE300のTSと入れ替わる位置にあるアナログディレイ。
ディレイは、DELAY TIMEで繰り返し音の間隔、REPEATで繰り返しの回数、DELAY LEVELでディレイ音の音量を調整します。UE305を選ぶと、このディレイを別に持ち出さずに済むところが良いと思います。
歪みはセンド/リターンで追加する
UE305は、歪み以外の基本的な音作りをまとめたマルチだと感じます。 強弱を整えるコンプレッサー/リミッター、繰り返し音を加えるアナログディレイ、揺れと広がりを加えるステレオコーラス。この3つを土台にして、歪みは自分の好みで足せます。
外部エフェクトループは、コンプレッサー/リミッターの後、アナログディレイとコーラスの前に入る構成です。

本体にも接続順が印刷されています。SENDとRECEIVEが外部エフェクト用です。
チューブスクリーマーなどを組み合わせるなら、次のようにつなげます。
1. ギターをUE305のINPUTへ接続する。
2. UE305のSENDから、歪みペダルの入力へつなぐ。
3. 歪みペダルの出力を、UE305のRECEIVEへ戻す。
4. UE305のOUTPUTからアンプへつなぐ。
これなら、コンプレッサーで整えた音を外部の歪みに入れ、その後ろにディレイやコーラスを加えられます。UE305には、こんなふうに外部の歪みと組み合わせる使い方が想定されていたのではないかと思います。
外部ループは歪み専用ではありませんが、私ならまずお気に入りの歪みを入れたいところです。内蔵TSのあるUE300を選ぶか、自分の好きな歪みとUE305を組むか。ここは足元で使いたい歪みが決まっているかどうかでも変わりそうです。
個別スイッチとマスターで切り替える

コーラスはWIDTHとSPEEDの2ノブ。右端には全体を切り替えるマスターがあります。
コーラスはWIDTHで揺れの深さ、SPEEDで揺れの速さを調整します。ディレイとは別に調整できるので、それぞれの役割を考えながら音を組み合わせられます。
各エフェクトには、それぞれオン/オフを切り替えるスイッチがあります。さらに全体をまとめて切り替えるマスターを備えており、この基本的な使い方はUE300と同じです。
コンプレッサーだけ使う、ディレイとコーラスを組み合わせる、まとめて効果を外す。個別の切り替えと全体の切り替えが分かれているので、曲の中で使う組み合わせを考えやすいと思います。
3つの出力で、コーラスとディレイを別々のアンプへ
UE305で面白いのは、コーラスのステレオ出力に加えて、ディレイ音を別のアンプへ送れることです。

出力端子は1・2・3の3系統。外部エフェクトループとは別に用意されています。
| 出力端子 | 主な使い方 |
|---|---|
| OUTPUT 1・2 | 2台のアンプへつなぎ、コーラスの広がりを出す |
| OUTPUT 3 | ディレイをオンにした状態で、ディレイ音だけを別のアンプへ送る |
OUTPUT 3は、ディレイとマスターをオンにして使うと、繰り返し音を分けて出せます。コーラスを通った音とディレイ音を別の場所から鳴らせるので、アンプを3台用意できれば、かなり広い空間を使った美しい音を作れそうです。
私はこの構成に、UE305ならではの楽しさがあると思っています。左右にコーラスの広がりを置き、別のアンプからディレイ音を鳴らす。1台のアンプで全部を鳴らす場合とは違う、音の配置を考えられます。
接続の参考になるIbanez名義のUE305取扱説明書にも、複数アンプへの接続例と信号の分岐図が掲載されています。
参考 Ibanez UE305取扱説明書・接続例とブロック図(英語・ドイツ語ほか、PDF)Tonehome説明書では “multiple outputs from both the Analog Delay and the Stereo Chorus” と説明されています。アナログディレイとステレオコーラスの両方から出力を取り出せる、という意味です。
ただ、ライブでアンプを3台使うとなると、設置場所や会場の機材にも左右されます。まずは1台のアンプでUE305と好きな歪みを組み、複数のアンプを使える機会があれば出力を分けてみる。私なら、そういう順で使い方を広げたいです。
私のUE305はAC100V仕様

私の個体はAC100V・50/60Hz・4Wの表記。電源コードが本体から直接出ています。
私のUE305は、本体から出ている電源コードをコンセントへつなぐ仕様です。外部に歪みを追加するときには、UE305本体の電源と、歪みペダル用の電源をそれぞれ用意することになります。
セッションより、好きな歪みを持ち込むライブで使いたい
UE305にはチューブスクリーマーが内蔵されていないので、歪みが欲しいセッションでは別のペダルも必要になります。本体に加えて歪みと接続ケーブルも持ち出すことになり、UE300より準備がひと手間増えます。
一方で、ライブなら多少荷物が増えても持っていけるかなと思います。使う歪みをあらかじめ選び、それにコンプレッサー、ディレイ、コーラスを組み合わせておく。UE305とお気に入りの歪みを中心に足元を組めば、自分の欲しい音を用意しやすそうです。
UE300のように内蔵TSをそのまま使える便利さはありませんが、歪みを自分で選ぶ楽しみと、アナログディレイが最初から入っている良さがあります。私にとってUE305は、ライブの音作りを考えながら組み合わせを楽しみたいヴィンテージマルチです。
よくある質問
- UE300とUE305の違いは何ですか?
- UE300はチューブスクリーマー、UE305はアナログディレイを内蔵しています。コンプレッサー/リミッターとステレオコーラスは共通の構成です。出力はUE300が2系統、UE305が3系統です。
- UE305には歪みが入っていますか?
- 歪みは内蔵していません。外部エフェクトループを使い、コンプレッサー/リミッターの後、ディレイとコーラスの前に好きな歪みを追加できます。
- OUTPUT 3は何に使いますか?
- ディレイとマスターをオンにした状態で、ディレイ音だけを別のアンプへ送るために使えます。OUTPUT 1・2のコーラス出力と組み合わせれば、3台のアンプへ接続できます。
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