夜な夜なエフェクター製作に勤しむ皆様も、これから自作エフェクターを始める皆様もこんにちわ。
すこしでも良い部品を使おう!とかすこしでも値段を抑えて良い音が出るエフェクターを作ろう、、、なんて色々なニーズがあるかとは思います。
中でも「抵抗」は部品の中では使用数が多く、選択基準によっては製作費用が大きく変わってしまうかと思います。
そこで本日は自作エフェクターマニア兼、電子部品収集マニアである管理人が、楽器用エフェクターに特化しておすすめの抵抗をいくつかご紹介いたします。
ご参考になれば幸いです。
そもそも抵抗とは?
電気を流れにくくする電子部品だよ
そのままですが、抵抗は電気信号に対して抵抗力があり、電気信号の流れを抑えることが出来ます。
例えば、ギターのピックアップから流れた信号をそのままエフェクターの増幅部分に流してしまうと、出力された時に歪みすぎてしまうなんてことがあります。そんなときに抵抗を使ってギター信号の強さを抑えてあげることでお望みのサウンドに近づける事ができます。
実は皆様の身体も抵抗となりえるんです。というか、全ての物質は抵抗になるといいますか、例えば木炭などは電子部品に使われる抵抗に近いものになります。
昔は犬の歯を利用した抵抗なんてものが作られていたそうです。ひどい話ですね。
単位はΩ(オーム)だよ
「オームの法則」なんて聞いたことがないですか?1826年にドイツの物理学者であるゲオルク・オームさんが発見した法則で、抵抗の値も名前から冠して「オーム」と呼ばれるようになりました。
抵抗値の数字は100オームや、値が大きいと47K(キロ)オーム=47000オーム、もっと大きいと2.2M(メグ)オーム=2200Kオームなどあります。
抵抗値はその抵抗に描かれるカラーコードや数字で判別することが出来ます。
参考
抵抗器のカラーコードAZUSA Studio
大きく分けて3種類あるよ
エフェクターによく使われる抵抗として、大きく分けて3つの種類があります。
先に言ってしまえば、エフェクターでよく使われる9Vの電圧程度ではそんなに差が出ないはずですが不思議と弾いたときのニュアンスに差が出てきます。
好みの問題ですが、使用箇所によって適切な場所に適切な素材の抵抗を使ってあげるとベストですね。
あとは抵抗が焼ききれずに使用できるor性能を保証できる電力を保証する数字として、耐圧W(ワット)数というものがあります。
エフェクターに使われるものは一般的に1/4W、1/8Wですが、ヴィンテージエフェクターやブティック系エフェクターなどでは1/2Wや1Wが使われてたりします。耐圧数字が大きくなればなるほどサイズがでかくなります。
写真の上から、1/4Wサイズ、1/2Wサイズ、1Wサイズです。
音色には関係ないと言われていますが、精神衛生上でかい方がかっこいいです。
エフェクターのおいては1/4Wサイズ以上の大きさを使えばいいでしょう。
カーボン皮膜抵抗
一番安くて、一番よく使われる抵抗です。
名前もそのまま、セラミックの円筒の表面に焼き付けられた炭素(カーボン)の皮膜が抵抗体になってます。
値段は安いですが、音が悪いということはなく温かみがありながらしっかりと働いてくれる抵抗です。
一般的に記載されている抵抗値から「5%程度」誤差があります。例えば1Kオームの場合、「950Ω~1050Ω」の範囲内で1Kオームの抵抗の中で誤差があります。そんなに気になるほどではありませんが、同じ型番のエフェクターでもサウンドが微妙に違う気がするのは誤差の影響な可能性もあります。
温度によって抵抗値も微妙に変わりますが、これも誤差の範囲です。
金属皮膜抵抗
カーボン皮膜抵抗よりお値段が若干高い抵抗、「金属皮膜抵抗」です。一般的には青色の物が多いですが、メーカーに寄って違うこともあります。
抵抗体にニッケルクロム合金などの金属を使っています。
特徴としては表記抵抗値からの誤差が非常に小さいです。誤差は0.5%、1%、2%の規格が多く、1%が一般的です。
温度の変化にも強く、ぱっとみカーボン皮膜抵抗を使う理由は無いかもしれますが、信号部分に使うとすこし硬い音色になる傾向があります。そのかわりノイズはカーボン皮膜抵抗と比較すると少ないです。
管理人はアース・グランドに落ちる箇所や可変抵抗付近に使用したりします。
アメリカ勢の大手ハンドメイドエフェクターブランドは全て金属皮膜抵抗で構成されてるエフェクターが多いです。
カーボンコンポジット抵抗
エフェクターに使われる抵抗では一番お値段が高いものです。
カーボンコンポジション抵抗とも、ソリッド抵抗とも呼ばれます。ヴィンテージエフェクターや、ブティック系のエフェクターにはよく使われています。
傾向はカーボン皮膜抵抗に似ていますが、若干箱鳴り感がする傾向があります。値段は高いと言っても1/4W一本で50円程度ですが、数が多くなるとそれだけ制作費用も上がってしまいますね。
何より見た目がかっこいいです。
管理人は気合を入れて作るときは信号が通る箇所は全てカーボンコンポジット抵抗を使用しています。
サウンドはカーボン皮膜抵抗と金属皮膜抵抗と中間なイメージです。
その他
酸化皮膜抵抗やセメント抵抗、巻線抵抗などありますが、値段とサイズなどを考慮してあまりエフェクターには不向きです。
エフェクターにおすすめの抵抗
カーボン皮膜抵抗
タイヨーム
日本の太陽社電気さんが製造している抵抗です。1/4Wのシリーズが一般的ですが、秋葉原の海神無線さんに卸している3/4Wサイズのオーディオ用抵抗が非常に好みです。
残念ながら製造中止になってしまったのか、主要数値は海神無線さんでも購入できなくなってきました。
1/4Wシリーズはヤフオクや秋葉原を歩きまわれば比較的容易に入手可能です。
サウンドはクリアーで歪まないでくれるので、クリーンブースターやモジュレーション系によく使います。
TAKMAN
タクマン電子が製造しているオーディオ用抵抗です。「REX オ-ディオ用カ-ボンフィルム抵抗”The Pink”」というシリーズが自作業界でも非常に人気で、変にカーボンコンポジット抵抗を使うよりいいんじゃないかと言われています。
非常にヌケが良く、歪みに使えば落ち着きがありながら若干ギラツキのあるサウンドです。オーバードライブ系にはよくこれを使用してます。
店舗にはあまり卸していないのか、Garretaudioさんで入手可能です。
AMTRANS
東京の淡路町に本社を置く老舗オーディオパーツメーカー「アムトランス」さんの気合の入った金属皮膜抵抗です。めちゃくちゃ高価で中々手が出ないですが、確かに解像度やギラツキなどはピカイチです。
カーボン皮膜抵抗にもかかわらず、誤差1%以内という精度も素晴らしいです。最近人気のブティック系エフェクターブランド「KarDiaN(カージアン)」さんも一部AMTRANS製の抵抗を使用しているようです。
KOA
東証一部上場している日本の大手電子部品メーカー、KOAさんの抵抗です。お値段も安い上に通常1/4Wのサイズで耐圧が1/2Wあるのでアンプにも使用できるのがお得です。
サウンドは良くも悪くも一般的で、部品点数の多いモジュレーション系のエフェクターに使ったりします。
XICON
アメリカのメーカーで、大量生産で安価なことが特徴です。管理人の中でカーボン皮膜抵抗のスタンダードな存在です。
RATなど歪みの強いエフェクターを作るときには非常に相性がよく、歪のギラツキが出やすい抵抗です。
金属皮膜抵抗
タイヨーム
カーボン皮膜抵抗に続き、金属皮膜抵抗でもおすすめなタイヨームです。非常に精度が高い上に、信号部分に使っても金属皮膜抵抗の弱点である音が固くなるといったことが少ないです。
コーラスやフェイザー、ディレイなどのアンビエントなモジュレーションエフェクターによく使います。
TAKMAN
TAKMAN社がリリースしている、「REY オ-ディオ用金属皮膜抵抗」というシリーズです。
クリアなサウンドを追求した金属皮膜抵抗です。音抜けがよく、ぎらつきがないことが特徴で、エフェクターはもちろん録音機材にもおすすめです。
傾向はタイヨーム社のものと似てます。
DALE
高音質オーディオ用非磁性金属皮膜抵抗です。
金属皮膜抵抗では珍しく、厚みのある低音と滑らかな中高音なサウンドです。 CMFシリーズが一般的には有名です。オーディオ用以外にも、軍用企画で作られているRNシリーズなどありますがエフェクターにおいてはそこまで違いはないです。
写真上がRNシリーズ、下がCMFシリーズです。
PRP
「Presicion Resistive Products」という会社で企画製造されているハイエンドな抵抗です。信号部分に使うと非常に解像度が高くクリアでざらつきが無いことが特徴です。
最近人気のブティック系エフェクターブランド「Leqtique」や「Noel」などでポイントで使われています。
DALEと同じ見た目ながら、赤くて目立つので非常にかっこいいです。日本国内ではあまり取り扱っておらず、結構レアです。
カーボンコンポジット抵抗
XICON
カーボン皮膜抵抗でも登場した、アメリカのパーツメーカー「XICON」です。カーボンコンポジット抵抗はオーディオ系のメーカーでしか使用されないので売上も中々伸びなかったようで、2010年ごろから製造中止?されたようです。日本では当時輸入した在庫分しか入手不可です。
良くも悪くもカーボンコンポジット抵抗の標準的なサウンドで、箱鳴り感を非常に感じます。元祖ハイエンドエフェクター「LANDGRAFF」(ランドグラフ)では全てこの抵抗が使われていました。
KAMAYA
上記のXICONに代わって日本国内のカーボンコンポジット抵抗市場を独占しているのが、日本の釜屋電機さんが手がける抵抗です。
XICON社製よりもギラツキが少なく、ノイズも少ないおとなしいサウンドです。素直な響きがするのでオーバードライブ系に使用すると良いと思います。
XICONとの見分け方は、KAMAYAの方がしっかりとカラーコードが印字してあり、ボディカラーもより濃い茶色なのが特徴です。
Allen Bradley
抵抗の歴史を見ると、ALLEN BRADLEY(アレンブラッドリー)社製のカーボンコンポジット抵抗がエフェクター創世記によく使用されています。というよりも、当時生産されていた抵抗の中で、音声信号に使用できるもので一番入手しやすいのがALLEN BRADLEYしかなかったのかとおもいます。
現在はもちろん製造されていなかったのですが、1970年ごろまでかなりの数が製造されたようで現在でも入手できます。とはいえプレミア価格がついてすこしお高いですが。
サウンドは非常に締まりのあるサウンドながらXICONよりも荒々しく、より箱鳴り感を味わえます。抵抗数字の誤差が非常に大きいので10%程度の誤差を覚悟したほうが良いです。
管理人もかなりの数をストックしておりますが、カラーコードの数字を信用せずにちゃんとテスターで測定してから使用しています。
OHMITE
アメリカで現行でも少量製造されているらしいカーボンコンポジット抵抗「Little Demon」です。Allen Bradley社製と非常に似た音色で、誤差も平均的なので他人にエフェクター作ってあげるときはこっちを使用したほうが良いです。
Little Demonはサイズが1/4Wがないそうで、日本国内では抵抗数字の種類が少ないのが難点ですね。
STACKPOLE
ALLEN BRADLEYよりもレアなヴィンテージカーボンコンポジット抵抗です。アメリカのギタ-アンプビルダ-の間では、ALLEN BRADLEYよりもファットでメロウという評価がされているそうです。
管理人はファズフェイスで使用した時のサウンドが好みでした。野太い印象です。
エフェクター自作におすすめの抵抗のまとめ
いかがでしたでしょうか。所詮抵抗されど抵抗ですが、自分だけのオリジナルエフェクターを製作するんだったらどうせなら拘りたいですよね。
9V程度の電流ではそんな差は出ないかもしれませんが、電池交換のときにイカした抵抗使用してるとテンションあがりますよ。(結局そんな音に関係ないんかい!)