エレキギター機材知恵袋を開設しました!質問募集中!

メタリカ/ジェームズ・ヘットフィールドの機材|ギター・アンプ・エフェクター

メタリカのジェームズ・ヘットフィールドの音は、20台のエフェクターを並べれば再現できるものではありません。中心になるのは、ハムバッカー搭載ギター、Mesa/BoogieやFractalのハイゲイン、ノイズ管理、そして強く正確な右手です。

先に結論
最初に揃えるなら、ブリッジ側ハムバッカーのギター、タイトなハイゲインアンプ/モデラー、ノイズゲートで十分です。RATやTS9など初期機材の説はありますが、年代と出典が曖昧な情報も混ざります。この記事では、公式確認できた機材、関係者情報、未確認の通説を分けて紹介します。

まず押さえたい音作りの中心

ジェームズのリズムサウンドは、歪みの量だけでなく、音の立ち上がりと不要な低音を整理することで近づきます。

要素近づける考え方よくある失敗
ギターブリッジ側ハムバッカー。強く弾いても低音が広がりすぎないもの形だけExplorer系にして、ピックアップと調整を無視する
アンプ/モデラーMesa Mark系やタイトなハイゲインを基準にするゲインを最大にしてピッキングの輪郭を消す
EQ低音を出しすぎず、中音を完全には消さない自宅の単音だけで極端なドンシャリにする
ノイズ管理演奏していない瞬間だけを静かにするゲートを強くしすぎて音の伸びを切る
演奏ブリッジ寄りのパームミュートと一定したダウンピッキング機材だけで速さと粒が揃うと考える

アンプのGAINは半分前後から始め、BASS、MIDDLE、TREBLEを12時に置いて調整します。低音が大きい場合はGAINやBASSを下げ、音が細い場合はMIDDLEを少し戻してください。録音では複数テイクを重ねた音と、部屋でアンプ1台を鳴らした音も同じにはなりません。

年代で変わるジェームズの機材

長い活動歴の中で、スタジオ、ツアー、曲によって機材は変わっています。すべてを1枚のペダルボードとして混ぜないことが重要です。

時期・資料確認できる中心機材読み取れること
初期〜1980年代Electra OGV、初期ESP MX、Gibson Explorer系、Mesa/Boogie Mark IIC+初期アルバムの機材は証言や後年資料が多く、ペダルの細部には未確認部分がある
2011年のMesa公式ライブリグTriaxis×2、2:90、Mesa Amp Switcher、GCX Expander、DBX Quad Gate、TC Electronic G-Major、Mesa 4×12歪みの中心は小型ペダルではなく、プリアンプ、パワーアンプ、ラック制御
2014年以降のライブFractal Axe-Fx系へ移行。ギターテックと本人が音と弾き心地を調整同じMetallicaの音でも、年代によって実アンプとモデラーの構成が異なる
2023年『72 Seasons』制作Copper Top Snakebyte、So What!、EET FUK、Electra OGV、Fractal Axe-Fx本人インタビューと制作担当者の説明で、ギターと録音用モデラーを確認できる

Mesa/Boogieの公式アーカイブでは、Mark IIC+が初期Metallica作品で重要な役割を持ち、2011年のジェームズ用ラックではTriaxisを2台使用したと説明されています。1台はMark IIC+モード、もう1台はクリーン用で、2:90パワーアンプとMesa 4×12へ送る構成です。

参考 Metallica Live RigsMESA/Boogie公式アーカイブ

Fractal公式もMetallicaを使用アーティストとして掲載しています。2014年のAxe-Fx II移行時には、ジェームズのギターテックが本人の反応を聞きながら調整したと説明しており、2019年にはツアー技術者がAxe-Fx IIIへの移行に言及しています。ツアー機材は更新されるため、Axe-Fxの世代を全時期へ固定して考えません。

参考 Fractal Audio Artists|MetallicaFractal Audio Systems公式 参考 Metallica using Axe-Fx on stage|Jamesのギターテックによる説明Fractal Audio公式フォーラム 参考 Metallica and Axe-Fx III|ツアー技術者の移行報告Fractal Audio公式フォーラム

使用ギター

ESP公式のJames Hetfieldページでは、Snakebyte、Iron Cross、Vultureなどのシグネチャーモデルを確認できます。Metallica公式が紹介する本人の書籍『Messengers』には、Electra OGV、初期ESP MX、Snakebyte、Ken Lawrence製カスタム、ヴィンテージGibsonなど40本以上が収録されています。

参考 James Hetfield Signature GuitarsESP Guitars公式 参考 Messengers: The Guitars of James HetfieldMetallica公式

72 Seasonsで本人が挙げたギター

2023年のMetallica公式インタビューで、ジェームズ本人は『72 Seasons』の中心になったギターとしてCopper Topと呼ぶSnakebyteを挙げています。So What!、EET FUK、Metallica結成当初から所有するElectra OGVも使ったと説明しています。

参考 James Hetfield: The 72 Seasons InterviewMetallica公式

代表的なギターを簡単に分けると、次のようになります。

  • ESP Snakebyte:本人が設計した代表的なシグネチャー。現行ライブや近年の制作で確認しやすい
  • ESP MX-220/MX-250系:初期から中期のExplorer系シェイプとして知られる
  • ESP Iron Cross/Truckster/Vulture:年代ごとに登場する本人仕様のモデル
  • Electra OGV:Metallica初期から所有し、『72 Seasons』でも再使用したと本人が説明
  • Gibson Explorer系:1980年代の写真や記録で確認できる
  • Ken Lawrence製カスタム:本人のコレクションとステージで知られるハンドメイド機

EMG JH Setとピックアップ

Metallica公式は、James Hetfield Signature Snakebyteに本人仕様のEMG JH Setが搭載されていると説明しています。JH Setはネック用とブリッジ用のアクティブ・ハムバッカーで、EMGの取扱資料では9V駆動、セットの消費電流160µA、出力インピーダンス10kΩです。

参考 James Hetfield Signature Snakebyte and EMG JH SetMetallica公式 参考 James Hetfield JH Set Installation InformationEMG Pickups公式資料

ピックアップ名だけで同じ音になるわけではありません。弦高、ピックアップ高、弦の太さ、ピッキング位置、アンプの入力でも低音の締まりとアタックは変わります。まずブリッジ側を使い、低音弦が強く鳴りすぎない高さから合わせます。

アンプとラック機材

Mesa/Boogie Mark IIC+、Triaxis、2:90

Mark IIC+は初期Metallicaの音を語るうえで重要ですが、アルバムごとの録音は複数アンプ、キャビネット、マイク、重ね録りを含みます。「Mark IIC+を買えばアルバムと同じ音」とは考えない方が現実的です。

2011年のライブリグでは、Triaxis、2:90、Mesa 4×12のほか、次の機器が確認できます。

  • Mesa/Boogie Amp Switcher
  • Digital Music Corp. GCX Expander
  • DBX Quad Gate
  • TC Electronic G-Major

GCXは音を歪ませるペダルではなく、複数のアンプやエフェクトを切り替えるための機器です。旧記事で挙げていたVoodoo Lab GCX Guitar Audio Switcherと名前が近いものの、Mesa公式記事の表記はDigital Music Corp. GCX Expanderです。同一製品として断定しません。

Fractal Axe-Fx

『72 Seasons』の制作担当者は、ジェームズのギターをDI信号とFractal Axe-Fxからの2種類のアンプ音で録音したと説明しています。これは「ライブだけでデジタル機材を使う」のではなく、制作でもモデラーが使われたことを示します。

参考 Jason Gossman: The 72 Seasons InterviewMetallica公式

一方、Axe-Fx内の正確なプリセット、IR、EQ値は曲や時期で変わり、公式に全設定が公開されているわけではありません。ネット上の「Hetfield preset」は再現者が作ったものも多いため、本人用データと混同しないようにします。

エフェクター20機種説の確度

旧記事では20機種を個別の使用機材として掲載していました。しかし、同じ系統の新旧モデルが重複し、Metallicaの別メンバーやベース用機材と混ざる可能性がある項目も含まれていました。情報自体は消さず、現在確認できる確度で整理します。

旧記事にあった機材現在の扱い注意点
ProCo RAT、Ibanez TS9初期機材として語られる通説公式・本人資料で使用時期と接続を再確認できていない
Line 6 DM4、DL4ライブ機材として挙げられる情報James個人のどの時期・用途か、今回の公式資料では確定できない
MXR Phase 100/Script Logo同一系統を2機種として重複掲載していた個体・年代を含むJames本人の使用証拠は未確認
Klon Centaur/Gold Horsie同一モデル系統を2件掲載していた使用時期と用途を公式確認できていない
BOSS NS-2、TU-3、CS-1ノイズ管理、チューニング、クリーン補助として挙げられる情報旧記事の商品リンクはCS-1ではなく現行CS-3だった
DigiTech Whammy 5/WH-1同じWhammy系を2件掲載していたMetallicaの曲で使われたこととJames本人の使用は別
Cry Baby、Heil Talk BoxMetallicaのリード表現と混ざりやすいKirk Hammett側の機材・演奏と区別が必要
EHX Bass Micro Synth/Bass Mono Synthベース用機材を2件掲載していたRob TrujilloやCliff Burtonの音とJamesのギターを混同しない
Lovetone Brown Source使用説公式・本人・技術者資料で確認できていない
Fractal AX8旧記事ではAX8と現行FM9商品を混在確認できるのはMetallicaのAxe-Fx系使用。AX8/FM9と断定しない
GCX Guitar Audio Switcherラック切替機器として近い情報Mesa公式のDigital Music Corp. GCX Expanderと商品名を混同しない

「確認できないから使っていない」とも断定できません。初期のRATやTS9などは長く語られているため、通説として残します。ただし、再現機材を買う理由にする場合は、公式資料で確定した機材と同じ扱いにしない方が安全です。

初期RAT説から音を試す場合は、ヴィンテージRATと現行RAT2の違いをこちらで確認できます。

TS9については、世代と回路の違いを先に把握しておくと、通説だけでヴィンテージを選ばずに済みます。

手持ちの機材で近づける設定

以下は本人の公開プリセットではなく、一般的なハイゲインアンプで方向を近づける出発点です。数字より、パームミュートの低音が長く残らず、コードの各音が聞こえる位置を優先します。

項目出発点調整方法
GAIN4〜6/10音の粒が潰れたら下げる
BASS4〜5/10低音弦が遅れて聞こえたら下げる
MIDDLE3〜5/10バンドで消える場合は上げる
TREBLE5〜6/10ピック音が痛い場合は下げる
PRESENCE3〜5/10音量を上げた状態で最終調整
ノイズゲート弾いていない瞬間だけ閉じる値音の伸びが切れたら弱める

歪みペダルを使う場合は、DIST/DRIVEを低く、LEVELを高めにしてアンプ前段を押す方法から試します。RATをメイン歪みにする場合も、FILTERとアンプ側の高音を同時に上げすぎないようにします。

クリーンは、2017年のFractal公式フォーラムに掲載されたギターテック取材でJazz 120系アンプモデルの使用が報告されています。コーラスを深くかける前に、低音を整理したクリーンとピッキングの強弱を作る方が近道です。

参考 Metallica backstage part 2|Jamesのライブ用アンプモデルFractal Audio公式フォーラム

JC-120で歪みとクリーンを作り分ける方法はこちらで解説しています。

まとめ

ジェームズ・ヘットフィールドの音作りは、エフェクター20台より、ハムバッカー搭載ギター、Mesa/Fractal系のタイトなハイゲイン、ノイズ管理、正確な右手が中心です。ESP Snakebyte、EMG JH Set、Mesa Mark IIC+、Triaxis、Fractal Axe-Fxは公式・本人・関係者資料から追いやすい機材です。

RAT、TS9、Klon、Whammyなどの説は削除せず残しましたが、年代と本人使用を確認できない項目は通説として分けました。Metallicaは活動期間が長く、James、Kirk、Robの機材も混ざりやすいため、「バンドで使われた」と「Jamesが使った」を分けて読むことが大切です。

FAQ

ジェームズ・ヘットフィールドの歪みの中心はエフェクターですか?
確認しやすい年代では、Mesa/Boogieのプリアンプ/パワーアンプやFractal Axe-Fxが中心です。RATやTS9の使用説はありますが、全時期のメイン歪みがペダルだったわけではありません。
メタリカの音作りに必要なエフェクターは何ですか?
必須に近いのはノイズを管理するゲートです。歪みはアンプやモデラーで作り、必要なら低ゲインのオーバードライブで低音を整理します。まずギター、アンプ、右手のミュートを整えてください。
ジェームズはRATやTS9を使っていますか?
初期機材として広く語られる説はありますが、今回確認した公式・本人資料では使用時期、接続、設定まで確定できませんでした。使っていないと断定せず、通説として確度を分けています。
ジェームズ・ヘットフィールドの代表的なギターは何ですか?
ESP Snakebyteが代表的です。ほかに初期ESP MX、Iron Cross、Truckster、Vulture、Electra OGV、Gibson Explorer系、Ken Lawrence製カスタムなどが本人・公式資料で紹介されています。