エフェクターの音質を左右する重要な要素の一つがオペアンプの選択です。特にTS系(チューブスクリーマー系)のオーバードライブペダルでは、使用するオペアンプによってサウンドキャラクターが大きく変化します。この記事では、長年エフェクターの製作と改造に携わってきた経験を活かし、TS系エフェクターにおすすめのオペアンプ28個をまとめてご紹介します。あなたの理想のトーンを追求するお手伝いになれば幸いです!
オペアンプ選びのポイント
まずは、オペアンプを選ぶ際の基本的なポイントを押さえておきましょう。オペアンプには大きく分けて、バイポーラ入力とFET入力の2種類があります。それぞれ音質や特性に違いがあり、求めるサウンドによって適したオペアンプが変わってきます。
デュアルとシングル
よくエフェクターに使われる8ピンのオペアンプは同じ見た目でも中に回路が2つ入っているデュアルと、回路が一つだけ入っているシングルがあります。
TS系やトランスペアレント系のオーバードライブに使われる4558系や072系、1458系はデュアルのオペアンプです。シングルのオペアンプとは互換がないので注意しましょう。逆にシングルオペアンプを使った回路にデュアルオペアンプを刺しても動きません。壊れる可能性もあるので注意しましょう。
ちなみにシングルオペアンプを使った回路はRATやHOT CAKEなどがあります。
オペアンプ交換を簡単にするオペアンプソケット
オペアンプを交換して音質を追求する際に便利なのが、オペアンプソケットの活用です。ソケットを使うことで、はんだ付けなしでオペアンプの交換が可能になり、手軽にサウンドの違いを試すことができます。
丸ピンタイプのソケット
オペアンプをあまり頻繁に交換しない場合には、丸ピンタイプのソケットがおすすめです。接触が安定しており、長期的な使用でも信頼性が高いのが特徴です。
平ピンタイプのソケット
オペアンプをよく交換して、さまざまな音色を試したい方には、平ピンタイプのソケットが適しています。抜き差しが容易で、作業効率がアップします。ただし、接触が不安定になる場合があるため、取り扱いには注意が必要です。
ソケットを使用する際は、オペアンプの向きやピン配置に十分注意してください。誤った装着は機器の故障につながる可能性があります。
オペアンプには偽物も多い
リマーク品に注意
NJM4558やTL072などの比較的安価なオペアンプにはリマーク品はあまりないと思いますが、アナログ・デバイセズ社のオペアンプなどの高価なオペアンプにはリマーク品と言って別のオペアンプの表面を削って再度別のオペアンプの製造番号などを印字したものを販売したりしてます。もちろんそのオペアンプは完全に別物なので注意しましょう。後ほど紹介するオペアンプを紹介するためにAmazon等の販売ページのリンクを置いてますが、必ずしも正規品というわけではないと思います。秋月電商など正規のお店で買えばおそらく大丈夫でしょう。
秋月電商へのリンクはコチラ
https://akizukidenshi.com/catalog/c/copeamp/
TS系エフェクターにおすすめのオペアンプ28個まとめ
4558系オペアンプ
4558系のオペアンプは、クラシックなTS系エフェクターに多く使われてきた定番のバイポーラ入力オペアンプです。暖かく太いミッドレンジが特徴で、ヴィンテージトーンを求める方に最適です。
NJM4558D
オリジナルのTS9にも採用された定番のオペアンプ。暖かく太いミッドレンジが特徴で、クラシックなオーバードライブサウンドを再現します。
ヴィンテージのTS9にはいわゆる「艶あり」と呼ばれる表面に艶がある4558Dが使われてます。現在は作られていません。プレミア価格になってます。
細かいのですが、NJMとJRCは別の会社で、JRCは日本無線という会社でNJMは新日本無線という会社です。設立当初はJRCの子会社がNJMという立ち位置でしたが現在は直接の資本関係はなく親会社が共通という関係になっています。
NJM4558DD
NJM4558Dのローノイズ選別版で、同様の特性を持ちながらも安定性が向上。気持ち4558Dよりも軽やかに歪む気がします。
MC4558
モトローラ製の4558系オペアンプ。暖かく太いサウンドが得られ、クラシックロックやブルースにぴったりです。
RC4558P
Texas Instruments製の4558系オペアンプ。クリアさが増し、ノイズも少ないため、オリジナルのトーンを保ちつつモダンなニュアンスを加えたい方に適しています。個人的には同価格帯では一番好きです。
NJM4560DD
4558の改良版で、出力段が強化されています。太く力強いサウンドが特徴で、よりドライブ感を求める方におすすめです。
NJM4580DD
4558系の進化版。開放感のあるサウンドが特徴で、全体的にバランスが良く、初心者から上級者まで幅広く使えます。
1458系オペアンプ
1458系のオペアンプは、古い設計ながら独特の暖かみと太さを持つバイポーラ入力オペアンプです。オールドスクールなトーンを追求したい方に適しています。
LM1458
テキサス・インスツルメンツ製のクラシックなバイポーラ入力オペアンプ。暖かく太いサウンドが特徴で、ヴィンテージ感を重視する方におすすめです。
MC1458
LM1458と同等の性能を持つオペアンプ。モトローラ製。暖かくクラシックなトーンが得られ、ブルースやロックンロールに最適です。
FET入力系オペアンプ
FET入力のオペアンプは、高域の伸びが良く、クリアで透明感のあるサウンドが特徴です。繊細なニュアンスや高解像度な音を求める方に適しています。
NJM072
高入力インピーダンスと低ノイズが特徴のFET入力オペアンプ。クリアで明るいサウンドが得られます。
TL072
DAOKAI 12個オペアンプ TL072CP DIP-8遅延オペアンプデュアルオペアンプDIP TL072CN TL072低ノイズICチップ…
FET入力の定番オペアンプ。透明感があり、クリーントーンや繊細な表現を求める方におすすめです。TL072CPとTL072CNがありますが、そこまで違いは感じませんでした。
OPA2134
高性能なFET入力オペアンプ。透明感と高解像度なサウンドが特徴で、ジャンルを問わず幅広く使えます。
OPA2604
FET入力でありながら、暖かく音楽的なサウンドが特徴。楽しい音作りをしたい方に適しています。
MUSES8820
日本新電気(JRC)のハイエンドFET入力オペアンプ。豊かな低音とキレの良さを兼ね備え、リッチなサウンドが得られます。
MUSES8920
FET入力のオペアンプで、太いベースサウンドが特徴。エレキギターやベースに適しています。
MUSES01
上品でナチュラルなサウンドが特徴のハイエンドオペアンプ。ボーカルやアコースティック楽器の表現力を高めます。
MUSES02
MUSES01とは対照的に、ダイナミックで情報量の多いサウンドが特徴。音楽の細部まで引き出したい方におすすめです。
LME49720
低ノイズで素直な特性を持つFET入力オペアンプ。クセが少なく、扱いやすいのが特徴です。
LME49860
LME49720の高電圧対応版。全帯域で音抜けが良く、解像度も高いです。
AD712
アナログデバイセズ製のFET入力オペアンプ。クリアでナチュラルなサウンドが特徴で、フラットなレスポンスを求める方に適しています。
OP275
バイポーラとFETのハイブリッド入力を持つオペアンプ。透明感がありつつも、低域に量感があります。リファレンス用途にも適しています。
その他のオペアンプ
上記のカテゴリーに当てはまらないものの、TS系エフェクターで優れた性能を発揮するオペアンプをご紹介します。
NJM5532DD
低ノイズで高性能なバイポーラ入力オペアンプ。クリアで力強いサウンドが得られ、スタジオ品質の音質を求める方におすすめです。
NE5532
NJM5532と同等の性能を持つオペアンプ。低ノイズかつ高解像度なサウンドが特徴で、プロフェッショナルな音質を求める方に最適です。
LMC662CN
バイポーラでもFET系でもない入力を持つオペアンプ。CMOS系のオペアンプです。CMOS系とはNMOSとPMOSという2種類のMOSFETを組み合わせて構成されます。
LM833
低歪みでクリアなサウンドを提供するバイポーラ入力オペアンプ。高域の伸びも良く、バランスの取れた音質が魅力です。
LT1028
リニアテクノロジー製の超低ノイズオペアンプ。非常にクリアで高解像度なサウンドが得られます。
LT1115
同じくリニアテクノロジー製の低ノイズオペアンプ。透明感があり、ウォームなトーンが特徴です。
LT1364
高速スルーレートを持つオペアンプ。シャープで明瞭なサウンドが得られ、モダンな音作りに適しています。
LT1469
リニアテクノロジー製の高解像度オペアンプ。ウォームでナチュラルなトーンが特徴で、ハイエンドオーディオに最適です。
LT1124
超低ノイズでクリアなサウンドを提供するオペアンプ。音のディテールをしっかり再現したい方におすすめです。
まとめ
以上、TS系エフェクターにおすすめのオペアンプ28個と、オペアンプ交換を簡単にするソケットの活用方法をご紹介しました。オペアンプを交換することで、エフェクターのサウンドキャラクターを大きく変えることができます。自分の求めるトーンや演奏スタイルに合わせて、ぜひ色々なオペアンプやソケットを試してみてください!
オペアンプの交換は電子部品の取り扱いに慣れていないと難しい場合があります。安全に作業を行うために、専門知識を持った方に依頼することも検討してください。
Q1: オペアンプの交換で音質はどのくらい変わりますか?
A1: オペアンプを交換することで、音の太さ、クリアさ、暖かみなどサウンドキャラクターが大きく変化します。求める音質に合わせて選ぶことで、自分だけの理想のトーンを作り出すことができます。
Q2: オペアンプの交換は初心者でもできますか?
A2: 基板にソケットが装着されている場合は比較的簡単に交換できますが、はんだ付けが必要な場合は難易度が上がります。電子工作に慣れていない方は、専門家に依頼することをおすすめします。
Q3: オペアンプの互換性はどうやって確認すれば良いですか?
A3: 基本的にはピン配置と電圧範囲が合っていれば互換性がありますが、動作電流や発熱なども考慮する必要があります。データシートを確認し、不明な場合は専門家に相談してください。