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シールドケーブルってなんでもいい?音への影響について詳しく解説

はじめての「おすすめ」結論:3m・3,000〜5,000円でOK。低容量か標準容量かを決めよう

結論、最初の1本は「3m・3,000〜5,000円」帯で十分。まずは静電容量(pF/m)が低め=ハイ落ちしにくいタイプか、標準的でバランス型かを決めましょう。バッファ無し・ボード〜アンプまでやや長めに引く人は低容量寄り、バッファ有り・ケーブルも短めなら標準容量でOKです。

エレキギターにおけるシールドケーブルの役割と「限界」

シールドはギター信号を外来ノイズから守り、ピックアップの出力を劣化少なくアンプへ届けるためのパーツです。ただし、シールドを高級品に替えたからといって劇的に音質が変わるわけではありません。ギター本体の配線/ポット/ピックアップのインピーダンス、ボード内の総ケーブル長、バッファの有無など全体最適のほうが影響は大きいです。

「良いシールド=必ず音が良くなる」ではない理由

  • 影響が大きいのは静電容量と総延長:ケーブルが長く・容量が高いほど高域が減衰しやすい。短く・低容量ほど高域は伸びやすい=〈明るい/パリッと〉感じやすい。
  • バッファの有無:入力直後にバッファがある場合、ケーブル容量の影響は小さくなる。ボード前段が“トゥルーバイパスばかり”で長距離なら低容量が有利。
  • 楽器側の個性:同じケーブルでも、シングル/ハム、配線容量、トーン設定で感じ方は変わる。要はギターのポテンシャルをどう活かすかです。

SN比(Signal-to-Noise Ratio)とは?

SN比は「有用な信号量」と「ノイズ量」の比。単位はdBで、数値が大きいほどノイズに埋もれにくい指標です。シールドは外来ノイズの混入を抑えることで結果的にSN比に寄与しますが、ケーブルだけでSN比が劇的に上がるわけではない点に注意。ピックアップ〜ペダル〜アンプまでのゲイン構成やバッファ配置の設計が揃ってはじめて効果が出やすくなります。

ケーブル構造:音への影響ポイント

  • 静電容量(pF/m):低いほど高域減衰が少ない傾向。長く引くほど差が出る。
  • シールド方式:スパイラル(サーブ)/編組(ブレイド)など。編組は被覆率が高くノイズに強い傾向、スパイラルは柔軟で取り回しに優れる。カーボン層(導電PVC)併用でタッチノイズ低減を狙う設計も。
  • 導体サイズ(AWG):数値が小さいほど太い(例:20AWGは22AWGより太い)。直流抵抗や機械的強度に関係するが、音色差は容量や長さほど支配的ではない。

迷ったらこれ:用途別の“おすすめ”早見表(3m基準)

用途/好み指針候補ケーブル
明るくレンジ広め/長めの配線低容量タイプMOGAMI 3368(約70 pF/m)
バランス型/定番で失敗しにくい標準容量MOGAMI 2524(約130 pF/m)、CANARE GS-6(約160 pF/m)
やや太く落ち着いた印象高め容量(短めで)BELDEN 9395(約180 pF/m)、BELDEN 8412(約110〜190 pF/m※項目条件で表記差)

※数値はメーカ公開値/資料の代表値。実測条件や表記(コア間/対シールド)で前後します。

まず買うべき「おすすめ」モデル(3m・3,000〜5,000円帯中心)

以下は取り回し・価格・耐久性のバランスがよく、初めてのアップグレードに向く定番どころです。

扱いやすい細身・バランス型

BELDEN ギターシールド #9395 3M SL

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どれも“万能”寄り。2524はハイ落ちが少なく、GS-6はしなやかで取り回し良好、9395はやや太めの印象を好む人に。

ロー感を落としたくない/長めに引く

8412は頑丈で太めのケーブルを好む人に。3368は低容量でロングランに強い選択肢。取り回しはやや太さを感じます。

プラグで差がつくのは“音質”より耐久性

プラグは断線や接触不良リスクを左右します。NEUTRIK NP2X系のチャック式ストレインリリーフや、Switchcraft 280の実績のように、信頼できる機構/設計を選ぶとトラブルが減ります。金メッキの有無は音よりも耐食性の文脈で考えると実務的です。

買う前の最終チェックリスト

  • 長さ:最短で届く長さを選ぶ(音・取り回し・価格すべてに効く)。
  • バッファ:ボード頭にバッファが無いなら低容量優先。あるなら標準容量でも十分。
  • 取り回し:太いケーブルは踏まれても強い一方で曲げにくい。現場の動きで選ぶ。
  • プラグ:NEUTRIK/Switchcraft等の堅牢設計を優先。L字/ストレートはギター側のジャック向きで。

よくある質問(FAQ)

Q. シールドを変えると音は“劇的に”良くなりますか?

A. 変化はありますが、“劇的”かは環境次第。ケーブル容量×長さ、バッファ有無、ギター側の配線容量が効きます。まずは3m・3千〜5千円帯の定番で全体最適を。上位機は「長距離でもハイが落ちにくい」など、目的が合えば恩恵が分かりやすいです。

Q. SN比って何?どうすれば上がるの?

A. SN比は「信号:ノイズの比(dB)」。外来ノイズを拾いにくい配線、適切なゲイン設計、早めのバッファ導入、良質なシールド/プラグで改善を狙えます。ケーブル単体より“システム全体”の見直しが近道です。

Q. どのブランドが“音が良い”の?

A. 一概に序列はつけられません。同じメーカー内でもモデルで容量や構造が違います。自分の環境(長さ/バッファ/現場動線)に合う仕様を選ぶのが近道です。

まとめ:ケーブルは“最後の1m”。バッファ設計と長さ最適化が先

シールドは音作りの重要パーツですが、長さ・静電容量・バッファの配置を整えるだけで満足度は大きく変わります。最初はコスパの良い定番で出発し、必要に応じて低容量モデルやプラググレードで詰める——この順序が失敗しにくいです。